神経・感覚・精神・脳外科

浸透圧性利尿薬の使い分け 心不全には使わない?

★急に脳圧を下げたい時はマンニトール使ってもよい。

◎普通、心不全には使わない。脳圧低下させる。

■マンニトール
・吸収されない糖
⇒血管内浸透圧上昇し、間質から血管内に水を引く
⇒体内で代謝されない
 =完全に腎排泄
⇒近位尿細管、ヘンレのループにてNaと水の再吸収を抑制

投与後40〜50分後に脳圧は最低となり、3時間持続する
早く脳圧を下げたい時に使える
 …くも膜下出血、脳出血など
※但し持続しないため、脳圧の変動が大きい

●副作用
血管内volume↑⇒肺水腫、低Na血症
 ⇒特に腎障害ある場合、効果が遷延して危険。心不全には使えない。
・浸透圧↑より、高血糖高浸透圧性脱水の状態⇒高K血症、代謝性アシドーシス
・脳神経の細胞内脱水
リバウンド現象:BBB破綻している場合、脳内にマンニトール移行し脳浮腫が逆に増悪する
・投与量が多い場合、腎障害(可逆的)

■グリセロール
80%程度が肝臓で代謝され、残りが腎排泄
⇒浸透圧利尿が少ない
⇒電解質変化がマイルド
・エネルギー源となり、脳代謝を改善させる
投与後2時間で脳圧最低となり、6時間持続する

■エビデンス、実際
・大きな脳出血の急性期にグリセロール投与が救命に有効であった:エビデンスレベルⅡa
・グリセロールにより有意な変化なし:Ⅰb
・マンニトールにより有意な変化なし:Ⅰb

・実際、脳圧亢進疑われる急性期の患者にはマンニトール使用することが多い。
・長く使う場合はグリセロールとすることが多い。
・併用する人もいる

 
参照 UpToDate、脳卒中ガイドライン2009 

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