①ベンジルペニシリン
  ペニシリンG(ペニシリンG®,PCG):点滴
特徴
感受性があればめっちゃ強い
用法
・100~400万単位を4時間おき(6回/day):100万単位=0.6g
・長時間おいておくとバッグの中で失活する
⇒但し8時間おきに交換すれば,持続点滴使える

適応菌
■GPC
・溶連菌:A群には100%効く
       B群にはほとんど効く
       C,G群にはあまり効かない
・緑色連鎖球菌(viridans)…常在菌だが,感染性心内膜炎おこす
                ⇒単剤若しくはアミノグリコシドとの併用
・腸球菌:E.faecalisは効く(但しアミノペニシリンの方が有効
       E.faeciumには効かない
   ※ちなみに,腸球菌にセフェムは効かない
・肺炎球菌:ほとんど効く
      ⇒髄膜炎を起こすと効かない
■GPR
・アクチノマイコーシス…ゆっくり腫瘤作り,腫瘍と間違えられる:効く
・破傷風菌:効く(破傷風免疫グロブリンに併用)
■GNR
ほとんど効かないが,
・髄膜炎菌:100%効く
・淋菌:7割効く
・感染性心内膜炎おこすGNR(HACEK):ペニシリン効くことがある(初期治療は3世代セフェムが多い)
⇒Haemophilus parainfluenzae, Aggregatibacter actinomycetocomitans(歯周病の原因菌),
   Cardiobacterium hominis, Eikenella corrodens, Kingella kingae
・鼠毒の起炎菌:効く
■嫌気性菌
・横隔膜より下(GNR)には効かない
・横隔膜より上(GPC)にはやや効くが,他の薬あるのでそっち使う

副作用
・アナフィラキシー
・間質性腎炎(2型アレルギー):腎毒性の原因.
⇒アレルギー機序なので,容量多いから腎毒性がでるわけではない(アミノグリコシドとは違う)
※但し腎機能悪ければ,血中濃度上昇し痙攣来しうるため,容量減らす

②アミノペニシリン
  アンピシリン(ビクシリン®,ABPC):点滴
  アモキシシリン(サワシリン®,AMPC):経口
特徴
ペニシリンGよりGPCへの活性↓,GNRへの活性↑(ちょっとだけ)
※腸球菌,リステリアは例外
⇒但し,他にGNRへもっと効く抗菌薬あるので,ほぼペニシリンGと同様に用いられる.
適応菌
■GPC
腸球菌:E.faecalisの第一選択
       E.faeciumには効かない
・肺炎球菌,連鎖球菌
■GPR
Listeria monocytogenes…食中毒の原因:第一選択
■GNR
・ペニシリンGでカバーできる菌

適応病態
ペニシリンGと異なり,アモキシシリンは経口できるので,以下の病態に有用
●歯科治療時
・心内膜炎予防に用いられる
⇒口腔内GPCと嫌気性菌をカバーできるため
※但し適応は弁置換後,IEの既往ある場合のみ
⇒普通の歯磨きでも菌血症になり,コスト/ ベネフィットを考えた結果.
●細菌性上気道炎
・伝染性単核球症に用いると全身皮疹の原因になる
⇒迅速kitでA群溶連菌を確かめてから処方する.
●中耳炎,副鼻腔炎
・重症例のみ治療対象となる
⇒その場合第一選択
●梅毒
・アモキシシリン+プロベネシド(尿酸排泄促進,ペニシリン排泄抑制)
⇒benzathine penicillinだと筋注1回で治療できるが,日本にはない

③アンピシリン/ クロキサシリン(ビクシリンS®,ABPC/MCIPC)

特徴
黄色ブドウ球菌に効くペニシリン!
※メチシリンの改良版.メチシリンは間質性腎炎を高率で発症し,現在発売停止.
・他のGPCにも良く効く.
適応菌
黄色ブドウ球菌…IE,関節炎など
⇒βラクタマーゼ産生のため,①や②は効かない
第一世代セフェムは効くが,髄液移行性が悪い;IEの脳塞栓などには使えない
⇒クロキサシリン使える(実際は,アンピシリンとの合剤;ビクシリンS のみ売られている)

④アシルアミノペニシリン

  ピペラシリン(ペントシリン®,PIPC)
特徴
緑膿菌に効くペニシリン!
適応菌
かなり広域(βラクタマーゼ産生菌には使えない)
●GPC
・活性は②よりやや落ちる
⇒但し,黄色ブドウ球菌,連鎖球菌,腸球菌などには十分.
●嫌気性菌
ほとんど効く
●GNR
ほとんど効く
緑膿菌に効く:これがほとんど唯一の適応
⇒他のGNR,嫌気性菌には,他に使える抗菌薬がめっちゃあるため
※緑膿菌の患者は免疫抑制状態
⇒静菌できる濃度(MIC)では足りず,殺菌できる濃度(MBC)が必要
⇒大量投与が必要

アンピシリン/ スルバクタム(スルバシリン®,ユナシン®,ABPC/SBT):点滴
  アモキシシリン/ クラブラン酸(オーグメンチン®,AMPC/CVA):経口

特徴
βラクタマーゼ阻害剤+②
スルバクタム:ペニシリン結合蛋白に結合し,抗菌効果もたらす
          ➤染色体由来(AmpCなど)のβラクタマーゼにも割と効く
クラブラン酸:βラクタマーゼに結合した後に活性化
        ➤プラスミドでなく,染色体由来のβラクタマーゼには効かない;ESBL産生菌など
        ➤肝排泄;②は腎排泄なので,腎不全患者で容量調節できない
適応菌
■GPC
・MSSA,連鎖球菌,腸球菌
■GNR
・インフルエンザ菌,モラキセラ,大腸菌,プロテウス,サルモネラなど(感受性ある場合)
※βラクタマーゼ産生するGNR,嫌気性菌によく用いられる
アシネトバクタースルバクタムがかなり効く
          ⇒使うべき
適応病態
動物に咬まれた時:第一選択
アモキシシリンでうまく治療できなかった急性中耳炎,副鼻腔炎など
副作用・用法
アモキシシリン/ クラブラン酸:オーグメンチン®はクラブラン酸の配合比率多い
                 ⇒下痢生じる
                 ⇒アモキシシリン(サワシリン®)と併用すれば大丈夫(オグサワ)

⑥ピペラシリン/ タゾバクタム(ゾシン®,PIPC/TAZ):点滴

特徴
④+βラクタマーゼ産生菌=ほとんどの菌に効く!
適応菌
●GNR
・緑膿菌:保健上,なぜか④より投与できる量が多い(行政の問題)
※緑膿菌の,ピペラシリン耐性機序は,βラクタマーゼ産生とは関係ない
④耐性=⑥耐性
⇒緑膿菌に⑥使う意味は無い(④使う)
適応病態
初期治療…緑膿菌感染が疑われる場合,医療関連感染,好中球減少時の発熱,術後の腹腔内感染,
        免疫不全患者の敗血症


参照 抗菌薬の考え方,使い方 感染症まるごとこの一冊