★ミトコンドリアの異常=ATP産生の異常。

◎ミトコンドリア脳筋症は、時々出会います。なぜ脳と筋肉が影響されるのか、気になりました。すると、酸化的リン酸化に関わる、なかなか複雑な話でした。

イラストレイテッド生化学 原書6版 (リッピンコットシリーズ)


 リッピンコットにお世話になりました。


■ミトコンドリアでのエネルギー産生機序

●糖,アミノ酸,脂肪酸の代謝において
⇒NAD+→NADH
  FAD→FADH2
  ADP→ATP
NADHとFADH2はミトコンドリアでATP産生に用いられます
 ...これが酸化的リン酸化


●酸化的リン酸化
電子伝達鎖において,電子を受け渡していく
 ...電子を受け渡す=酸化

🔽電子は,以下のように伝達されます
H-としてNAD+へ
H×2としてFMN,CoQ,FADへ
e-としてシトクロムへ

還元→次を酸化…をくりかえすのです。

詳しくは,
①NADH+H+→NAD+(酸化)によりFMN→FMNH2(還元)
②FMNH2→FMN(酸化)によりCoQ→CoQH2(還元)
③CoQH2→CoQによりFe3+→Fe2+(シトクロムbc1において)
④Fe2+→Fe3+によりFe3+→Fe2+(シトクロムcにおいて)
⑤Fe2+→Fe3+によりFe3+→Fe2+(シトクロムa+a3において)
⑥Fe2+→Fe3+によりO2→2H2O

⇒これら全ての反応でエネルギーが生じます!
 …還元電位が違うから:その還元剤がどれほど強力か
  (ex. 還元剤の還元力の強さ:NAD+>FMN>シトクロムc Fe3+>O2) 
 ⇒強い還元剤は電子を喪失したい
 ⇒喪失するとエネルギー生じるのです

⇒できたエネルギーでプロトンポンプが作動
⇒ミトコンドリアマトリックス(内側)から膜間腔(真ん中)へH+が移動
⇒電気的勾配,pH勾配できます

⇒複合体ⅤのF0ドメイン(膜間腔側)よりH+が流入
⇒F1ドメイン(マトリックスへ突き出ている)へ
⇒F1ドメインのコンホメーション変化
⇒酵素活性化
ADP+P→ATP


■ミトコンドリア脳筋症

・酸化的リン酸化に120個のポリペプチドが必要ですが、
⇒13個がミトコンドリアDNA(mtDNA)によりコードされています。
これらはミトコンドリア内で合成されます

・病態=mtDNAの変異により,酸化的リン酸化に不備があるということ
⇒ATP産生↓
ATP要求度が高い組織が大きく影響うけるのです
 ex. 中枢神経,骨格筋,心筋,腎臓,肝臓など


参照 リッピンコット生化学