★基本的に常染色体優性遺伝で,誘因が多数ある.

Brugada症候群は突然死のリスクとなり、ペースメーカーの適応となり得る疾患としてかなり有名です。しかし、病態は難しくて、分からない方が多いかと思います。なぜV1-3でSTが上がり、T波が陰性となるのか?なぜVFが起こるのか?なるべく分かりやすく、解説してみます。
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■なぜST上昇するか
●Naチャネルに関わる遺伝子(SCN)変異、右室心筋の異常、自律神経異常、発熱、コカインや抗精神病薬の使用が提唱されています。

①遺伝子変異
・遺伝子変異
心筋Naチャネルの機能不全
⇒ST上昇

※Naチャネル変異→ST上昇(仮説)…ここが難しい所です
●基本は、心筋の活動の順序です。
 …脱分極 (Na流入)▶︎プラトー (Ca流入+K流出遅延)▶︎再分極 (K流出)

Naチャネルの異常があると、Na流入量が少なくなります
あまり脱分極せず、活動電位の持続時間が短くなります
 =そこは、特に活動電位の持続時間が短いのです(◇)
⇒I(to)という一過性の外向き電流が著明となります
⇒特に右室流出路 (肺動脈弁付近)の心筋細胞はI(to)電流が大きく、変化が劇的です(◇◇)

●心室の心筋細胞は心外膜細胞,心内膜細胞,M細胞からなります
⇒Naチャネル変異は心外膜細胞,M細胞に起き、心内膜細胞には起こらないとされます
⇒(◇)による再分極の異常が心室全体に波及します(特に右室流出路)
 =心内膜側は普通、心外膜側が再分極が異常です(◇◇◇)
この貫壁性の電位勾配がST上昇としてみられるということです。
右室流出路の細胞が異常なので、V1-3に変化がみられます!
 (位置が近いのです)

※Naチャネル異常には、SCN5ASCN10Aの異常が代表的です。
・Naチャネルは心筋細胞の活動に重要なので、これらの異常は他疾患の原因にもなります
⇒QT延長症候群、早期再分極症候群、先天性洞不全症候群、房室伝導欠損症など


②心筋の異常
●Brugada症候群は基本的に問題なさそうな心臓に起きます
⇒しかし、小さな変化・異常を示唆する所見が起こる、という見解があります。
 …具体的には、右室流出路の拡大や、そこに限局した炎症線維化です。

・興味深いのは、18例のBrugada症候群患者に右室の心筋生検を行った研究です。右室の心筋炎の所見が14例に認められました。その14例の心筋炎が落ち着いた段階で、8例がBrudagaの心電図変化が改善したらしいのです。


③その他
副交感神経がST上昇に関与する可能性があります
⇒以下の報告が傍証です
…夜間に、Brugada症候群による不整脈が多いといわれます
 MIBGシンチ(交感神経で取り込まれる)で、低下がみられることがあります
 運動負荷後のリカバリー時にST上昇を認める患者がおり、不整脈との関連があります

発熱がST変化・心停止の原因となっている可能性があります
・Naチャネル遮断効果がある、コカインや三環系抗うつ薬が原因となり得ます


※ちなみに、Brugadaは3兄弟で、皆循環器内科医です。本をいっぱい書いています。

Clinical Approach to Sudden Cardiac Death Syndromes [ Ramon Brugada ]




■なぜBrugada型心電図でVFとなるか
Phase 2 reentryというメカニズムが考えられています。
右室心筋の不応期が不均一であることが重要です
…Naチャネル異常細胞は、脱分極をあまりしません:phase 0
⇒右室流出路でI(to)が著明です(◇◇):phase 1
 +これは心外膜部でより著しいです(◇◇◇)
⇒脱分極が小さいので、プラトーの期間が短いです
 =Caチャネル活性が低下します:phase 2
不応期が短くなります
(ここまでは上記の復習みたいなものです)

Naチャネル異常の心筋細胞は活動電位を伝播することができないことがあります
⇒一部伝導ブロックが生まれます(=不応期が長い
⇒一方、上記の不応期が短い細胞もあります
⇒これらで小さなリエントリーを生じます;phase2 reentry
⇒これらは右室流出路(心室)にあり、PVCからsustainし、VT, VFとなります


参照 UpToDate