★抗菌薬投与の必要がないウイルスと細菌が多いが、他を見落とさぬように。
外来で,急性下痢・腹痛を主訴とする,生来健康な患者について.

■原因

・軽症はウイルスが多い
・重症は細菌が多い;4回/日以上の下痢が3日以上続いた患者の、87%は細菌性だった
…サルモネラ,カンピロバクター,シゲラ,大腸菌(O-157:H7)、クリストスポリジウム,ビブリオ

■アプローチ
①重症度を評価

・以下の1項目以上で比較的重症
…脱水所見、血便、少量粘液便が頻回、38.5℃以上の発熱、24時間に6回以上の下痢便か48時間以上の下痢持続、激しい腹痛、入院患者か最近の抗菌薬使用、70歳以上か免疫不全者、全身症状のある妊婦

病歴,所見から検査を選ぶ
・24時間以内の発症
半分は24時間以内に軽快するため,経過観察
 ※脱水,発熱,血便の場合は別.
・冬
⇒家族内,介護施設内(ノロ)か,小児(ロタ)
⇒1-3日で収まるので,検査いらない
・発熱(>38.5℃)
⇒細菌感染が疑われる
⇒血便もあれば、ルーチンで便培養すべき
 …サルモネラ,シゲラ,カンピロ、大腸菌(O-157:H7)を疑う
・下痢の持続,テネスムス,発熱
炎症性下痢を確かめる検査が必要
便中白血球;感度73%,特異度84%
 便中ラクトフェリン;感度92%,特異度79%
 ※ラクトフェリンは好中球の顆粒成分の一つ.
・曖昧なケース
 ⇒ラクトフェリンをスクリーニングとし,陽性なら便培養すれば良いかも
  (陰性的中率が高いため)
 ⇒ラクトフェリン陽性の場合,治療可能な原因菌を否定すれば炎症性腸疾患を疑う
 ⇒シゲラ,サルモネラ,カンピロ,C.difficile,赤痢アメーバ

※疾患特異的な病歴

・食べた時期
⇒6時間以内:黄色ブドウ球菌、Bacillus cereus
 8-16時間:Clostridium. perfringens
 16時間以上:なんでもあり
・発熱なし,血便あり⇒O-157:H7
・アフリカ,アジア,ラテンアメリカ帰りで血便あり⇒赤痢アメーバ
・甲殻類食べた⇒ビブリオ
・持続する腹痛,発熱,腹膜リンパ節炎,他の免疫反応⇒Yersinia属
・最近の抗菌薬使用⇒C.difficile
・汚い水に7日以上接触⇒ジアルジア,クロストスポリジウム(プロトゾルのため)
・ソフトチーズを食べた妊婦⇒リステリア症(20倍危険がある) 

参照 N Engl J Med. 2004 Apr 8;350(15):1576-7, UpToDate