★E/A, E/e', SFFの値とパターンで認識する。

■E波とA波(左室流入血流速度波形)

E波:左室急速流入血流速度(最初に心室が拡張する事で左室流入する血流)
A波:心房収縮期流入血流速度(次に心房が収縮する事で左室流入する血流)

正常だと、E波>A波:E/A>1
⇒拡張障害あると、拡張による血液流入↓:拘束パターン
 →E波↓、Deceleration time(DecT)延長(>220ms)
 →代償性にA波が高くなる:E/A<1
 →拡張に時間がかかる:E波とA波の間の時間(IVRT)延長(>90ms)
更に進行すると、左房圧↑
 →E波↑:E/A>1, DecT↓(偽正常化  pseudo-normalization
⇒更に進行すると、もっと極端になる
 …E/A>2, DecT<150, IVRT<70


■E波とe'波(組織ドップラー)

e'波僧帽弁輪部の拡張早期最大速度
 …E波と比較し前負荷の影響を受けにくく、左室拡張能の低下に従い低下する
 (偽正常化しない)
※記録部位が動く事が前提;心筋梗塞でasynergyだと全く当てにならない
 また、僧帽弁疾患、心膜炎だと当てにならない

E/e'は拡張末期圧とよく相関:エコー検査で一番信頼性高い
…8以下が正常、12-15以上が圧上昇

 
■肺静脈波

・4腔断面像で右上肺静脈血流がわかる;3相性
…S波:収縮期に、左房へ流入する血流
 D波:拡張早期に、左房へ流入する血流(E波に相当)
 Ar波:拡張期の心房収縮期に、左房から逆流する血流
⇒それぞれのTVIを測る (時間-流速グラフの体積)
収縮充満率 (SFF:systolic filling fraction)
 SFF = S ÷ (S + D)
⇒EF低下している人でSFF<40の場合、左房圧上昇しているサイン
※ブロック、頻脈、僧帽弁疾患、心膜炎で当てにならない
・Ar波の持続時間も参考にする


■左室拡張不全の診断
●EF保たれている場合

・E/e'<8は正常
E/e'>13は拡張期圧上昇している拡張不全
・この間の場合、以下があれば拡張不全
…LA容量>34ml/m2、Ar持続時間>30ms、PA収縮期圧>35 (肺疾患ない前提)

●EF低下している人場合

・E/A<1で正常パターンなら問題なし
E/Aが拘束パターン:SFF<40なら拡張不全
E/Aが偽正常化なら、ほぼ拡張不全
 …E/e'>15, PA収縮期圧>35、Valsalva法でE/A変化する、などで確認する


■拡張不全の重症度分類

●Grade 1:E/A<0.8, S>D, e'<0.08m/s, E/e'<8
…高齢の場合、正常範囲内とする
●Grade 2:E/A>1, E/e'>10, Ar波持続時間>30ms
●Grade 3:E/A>2, DecT<160ms, IVRT<70ms, SFF<40, E/e'>13
…心不全治療で改善しうる。しない場合、予後が悪い。

 
参照 UpToDate, 心機能指標の標準的計測法とその解説