★埋めれば運転停止期間が定まっており、埋めなければ運転は禁止。

◎植え込み型除細動器(ICD)に関して、運転制限は社会的な問題です。運転したいから移植しない、のは医学的に正しくないのは明らかですが、法律上どうでしょうか。


■ICD植え込みが決定するまで

●ICDの適応には一次予防と二次予防があります。
一次予防
⇒致死的不整脈(持続性VTまたはVF)は認められてないが、そのハイリスクである患者 
二次予防
致死的不整脈が確認されている患者

※日本では二次予防目的のICD植え込みがメインですが、アメリカでは一次予防でかなりのICD植え込みが施行されているとのことです。


■ICD植え込みと運転許可について

●ICD植え込みの適応となったということは、致死的不整脈が起こるかもしれないということを意味します。運転中に起こったら、ご本人の命に関わるのみならず、他人を事故に巻き込む危険性があります。ですから、運転が制限されることは合理的です。

●さて、もちろん致死的不整脈のリスクに応じて対応が異なるべきです。上記の一次予防と二次予防では、明らかに二次予防の方がリスクは高いことがわかると思います。
ICD植え込みから運転許可までの、法律で定められた期間が異なります。
 ・一次予防:30日間
 ・二次予防:6ヶ月間
⇒この間にICD作動がなければ、自己申告の上運転が許可されます。

正常なICD作動(致死的不整脈の出現)があれば、当然話は変わります。
⇒現在は、ICD作動した場合は、その日から12ヶ月運転が制限されます
※欧米のガイドラインではこれより短く、日本も近いうちに6ヶ月程度まで短縮されるかもしれません

●現在は、誤作動時に意識消失を伴わない場合は、運転制限の必要はありません
⇒しかし、誤作動の原因検索、対応はなされるべきです(ICDの再設定など)
※誤作動でも意識消失した場合、12ヶ月の運転停止です。

●ちなみに、ICD植え込みや作動は、患者さんが自己申告しなければなりません。自己申告は法律で定められており、自己申告しない場合の罰則があります。この罰則は近年強化されています。注意が必要です。


■ICD移植しなければ運転はできるのか

●これが臨床上大きな問題です。特に田舎は車社会で、運転できないことはかなりのdisadvantageとなるので、よく問題となります。

●医学的には植えこむべき状況でも、社会的な利益を優先する患者さんはいます。特に、ICDは将来のリスクヘッジという治療法ですので、今を大切にされる方はやはり悩まれます。

しかしながら、
二次予防に関しては、植え込まなければ運転は禁止されますこれは法律で禁止されています。ですから、運転したいのであれば植えこむしかないのです。
※一次予防に関しては、法律では禁止されていません。

●循環器内科医が見ると、同じ一次予防でも「この方は中でもハイリスクだな」「この方はそこまでリスクは高くないけど、致死的不整脈は恐ろしいから埋めた方が良いな」と考える例があります。これは臨床研究やガイドラインでは見えないところです。
⇒ですから、やはり専門家に基本的にICD植え込みが提案されれば、従った方が良いと思います。
⇒ですから、一時予防の植え込みでも、運転制限を危惧して患者さんが植え込みを拒否した場合、医師は運転を基本的には禁止します。


参照 ICD講習会資料、日本不整脈心電学会HP