知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

ICU・集中管理

★違う意味で用いられる同じ略語を認識する.

◎機械によって同じ単語の意味が違うので、紛らわしいです。

INTENSIVIST Vol.10 No.3 2018 (特集:人工呼吸器)


 ↑本気の人むけ


IPPV:invasive positive pressure ventilation(侵襲的人工呼吸)
 挿管して行う人工呼吸のこと

●調節
PEEP:positive end-expiratory pressure(呼気終末陽圧)
 常に一定の圧をかける;呼気終末に肺が虚脱する(しぼんでしまう)のを防ぐため
PS:pressure support
 吸気時に圧をかける:吸気努力を減らす

●モード
A/C:assist-control ventilation
 吸気努力を感知する
 ⇒全ての吸気において,設定した1回換気量or圧を送り込む

Savinaという人工呼吸器においては,
 圧でのA/C=BiPAP
 量でのA/C=IPPV
 と呼び,ややこしい.

SIMV:synchronized intermittent mandatory ventilation(同期式間欠的強制換気)
 吸気努力を感知する
 ⇒設定した呼吸数分だけ,設定した1回換気量or圧を送り込む
 ⇒呼吸回数を多くするとA/C,少なくするとCPAPとなる
 ふつうPSVと併用される

PSV:pressure support ventilation
 吸気努力を感知し,圧を供給することで助ける
 =PSのみ、ということ。

CPAP:continuous positive airway pressure
 PEEPのみ

CMV:controlled mechanical ventilation(調節人工呼吸)
 今はA/Cと同義
 ⇒昔は吸気努力を感知しない人工呼吸のことも指していた


NPPV(=NIPPV):non-invasive positive pressure ventilation(非侵襲的人工呼吸)
 挿管しない人工呼吸のこと
 ⇒機械で吸気中でも,患者が吐きたいと思えば吐ける

BiPAP
 BiPAP visionという,NPPV用の製品名

BIPAP:biphasic positive airway pressure
 CPAPに対する,換気モードの名称
 ⇒下記EPAPとIPAPの2つを設定することに由来.

調節
EPAP:expiratory positive airway pressure(呼気相陽圧)
 NPPVにおけるPEEPのこと
IPAP:inspiratory positive airway pressure(吸気相陽圧)
 NPPVにおけるPEEP+PSのこと

※つまりIPAP – EPAP = PS。PSはこのように設定する。

モード
S/T:spontaneous/ timed
 自発呼吸を補助しながら,一定時間自発呼吸がない時,設定回数に合わせてバックアップ呼吸が入る

PAV/T:proportional assist ventilation/ timed
 呼吸筋発生圧に対し,一定の割合で気道内圧を保つようサポートする
 ⇒流量(VA:volume assist),流速(FA:flow assist)で規定する

CPAP
 同様

ASV:adaptive servo -ventilation(適応補助換気)
 患者の呼吸パターンを学習し,自動的に適切な陽圧で呼吸をサポートする
 ⇒呼吸が弱くなるor 止まると,よりサポートする
 ⇒CPAPと比較される概念.最近のもので,SASに対しCPAPより優秀.

 
参照 ICU/CCUの薬の考え方,使い方,FCCSプロバイダーマニュアル,ペベレンスキーズブログなど 

★一回拍出量変化で,輸液反応性の指標となる.

◎SVVは、施設によって多用されます。Frank-Starlingの法則に合わせて理解しましょう。

■SVV:stroke volume variationの原理
一回拍出量(SV)の呼吸性変動のこと
…吸気→肺血管床↑→前負荷↓→SV↓;SVmin
  呼気→前負荷↑→SV↑;SVmax
⇒SVV(%)=(SVmax-SVmin) ÷ SVmean
 =一定の前負荷変化による,拍出量変化の割合
 =Frank-Starlingの曲線における傾き

●Frank-Starlingの曲線
プレゼンテーション1


















・①より②の傾きが大きい
=②のSVV大きい
SVV大きいと前負荷が少ない
⇒血管内volume少ない
輸液に反応する

・SVV=13%以上で輸液反応性あり,とされています
⇒一概には言えず,患者ごとに相対的に判断する必要があります
…SVVが輸液反応性と相関することは,研究で確かめられています。


■SVVが当てにならない場合
flotrac(動脈ラインにつなげる機械)で測定します
・flotracは圧波形を基に統計からSVを算出します
⇒数値の信頼性は限定される
自発呼吸中一回換気量が少ないと当てにならない
⇒SVVはSVを基に計算するので,この場合不適

※参照(フロートラック)
 :http://chishiegg.com/archives/37091864.html
  http://chishiegg.com/archives/36032547.html

心機能障害がある場合
Frank-Starling曲線は下に移動する
⇒全体的に傾きが小さくなる
⇒②に部分でもSVVは小さい
SVVが小さい事が前負荷少ない事を意味しません!

※加えて,心拍出量を増やせば予後がよくなる訳ではないことに注意しましょう。
=輸液反応性があるからといって,輸液すれば良い訳でない、ということ。


参照 Edwards社HP,AneSTATION,anesthemanのブログ

★効くシチュエーションもある.

◎免疫低下するため全てのARDSに適応はないですが、発症早期の中〜重症には適応です。

■作用機序

●ARDS:肺の過剰炎症(急性期)
    ⇒間質において血管透過性が亢進
    ⇒血漿成分漏出,多核白血球浸潤

ステロイド
⇒①肺毛細血管からの血漿成分漏出を減少,多核白血球の遊走・接着を抑制
  ②白血球内の核にあるステロイド感受性遺伝子に作用,抗炎症蛋白の発現を増強
  ③NF-κBによる炎症蛋白の発現を抑制
⇒肺損傷を改善させます


■エビデンス
作用機序は明らかにされている割に,どんな状況でも効くわけではないです.
1.発症早期に対する高用量ステロイド
 ・一次的な改善はあるかもしれないが,生存率・ARDS改善率は変わりません
 ⇒無効

2.早期の中〜重症ARDSに対する低用量ステロイド
 ・PEEP10以上でP/F ratio<200の場合
 ⇒1mg/kgのmPSL投与+漸減で予後改善する
 ⇒治療推奨されます

3.持続するARDSに対する中用量ステロイド
 ・炎症が持続するARDSは予後が悪い
  …7-14日目には線維化が始まる
 ⇒この間に2mg/kgのmPSL投与+漸減
 ⇒ICU滞在期間など改善(死亡率は変わらないかもしれない)
 ⇒治療推奨されます

※但し,14日目以降より治療開始した場合,明らかに予後悪化させる
⇒治療禁止


参照 intensivist, ICU book

★良い.

◎生理的には、左心不全にCPAP用いることで左室貫壁圧↓,心拍出量↑となるからです。臨床研究でも、PEEPにより心源性肺水腫の改善が促進される事が示されています。


■PEEPの原理
・胸腔内圧を上げます
⇒SVC,IVC虚脱
⇒心臓への血液流入↓
前負荷↓
横隔膜が下がることで腹腔内圧↑,胸腔へ静脈血を押し出すため,前負荷が保たれるとの考えもあります
 (ここでは省略)

・胸腔内圧=心臓の周りの圧力が高い
⇒左室拡張が妨げられます
⇒ラプラスの定理より,後負荷↓
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35695947.html


■PEEPによる心臓への影響
●正常心
・前負荷の低下は,心拍出量の低下とほぼ相関します
(後負荷にはあまり影響されません。心臓に余力があるため)
⇒よって,PEEP↑では前負荷↓の影響が強く出る
心拍出量↓

●左心不全
・前負荷がある程度以上増えても,心拍出量は変わりません
 …うまく拍出できていないため
 =逆に、前負荷が低下してもあまり心拍出量は変化しません
・後負荷の低下は心拍出量の上昇とほぼ相関します
⇒よって,PEEP↑では後負荷↓の影響が強く出る
心拍出量↑

血管内volume低下時
…前負荷低下の影響が強く出ます
不全心でも心拍出量が低下します!
・よって,心不全にPEEP用いるとき,適切な血管内volumeの維持が重要です. 
 

参照 ICU book 

★FIO2と’平均気道内圧’で決まる.

◎PaO2の制御はFIO2とPEEPというのが常識ですが、本当にこれだけで決まるのか、疑問に思いました。呼吸回数は関係ないのか。それを答えるには、呼吸生理を学ぶ必要がありました。

FCCSプロバイダーマニュアル 第3版


 さらに興味があれば。


■酸素化の規定因子
 FIO2と平均気道内圧
▶高濃度酸素が圧力の高い状況で供給されていれば、血中により多くの酸素が取り込まれる、ということです。

●平均気道内圧の規定因子
・PEEP
・一回換気量
・吸気流速
・I:E比
・auto PEEP:呼気時間が短いため,呼気の途中で吸気が始まってしまう場合
      ⇒死腔の増加によりPaCO2が増加し,酸素化能は低下します。

PEEPが直接関わりますが、細かくはPEEPだけではない、ということです。


■Clinical Implication
※最も問題となるのが,ARDSの場合です。
PEEPを上げたいが,肺が硬いので(P/F比<200)
 ⇒すぐ気道内圧が上昇してしまいます。

・この場合,酸素化を上げるために、以下のオプションが生まれます。
①一回換気量を少なくする(auto PEEPを解除する)
②PEEP上げる
CO2の貯留は容認する

 
参照 FCCSプロバイダーマニュアル 

★具体的に考えましょう.

◎呼吸器によっても異なりますが、ここでは呼吸様式がどう変化するかという話です。

呼吸数を12/分に設定した時,

●自発呼吸0/分の時

 

SIMV

A/C

強制呼吸

12

12

補助呼吸

0

0

PSV

0

0


▶同じです。


●自発呼吸10/分の時

 

SIMV

A/C

強制呼吸

2

2

補助呼吸

10

10

PSV

0

0

 
▶同じです。


●自発呼吸15/分の時

 

SIMV

A/C

強制呼吸

0

0

補助呼吸

12

15

PSV

3

0

 
▶SIMVが15-12=3 回がPSVとなります。


※PSVとは,設定した圧を自発呼吸に乗っける方法です.

※補助呼吸とは,設定した圧or量で換気し,吸気の減速に反応して呼気のモードに入る(%で設定するか,大抵は25%に設定してある)方法です.

★平均血圧を見て判断する.
※ここでは橈骨動脈ラインについてです。

◎ICU bookで、それぞれのエラーの原因を理解しておきましょう。

ICUブック 第4版



A-lineのエラー
・動脈が曲がる(先が壁に当たる):手の位置がずれる,動脈が攣縮する
 ※動脈を押さえつけると攣縮してしまいます

0位置が変化する
 体動でも変化します
 ⇒定期的に調整する必要があります

アーチファクト
 ルート内の液体自体が振動することによります(増幅 or 減衰する)
 ⇒フラッシュテストで確認
 ※詳細は略.気泡の除去,チューブの交換が対処法.


血圧計のエラー
・誤ったカフの利用:
 上腕の半分以上が覆われること(大きすぎは問題ない),平行に巻けていない

が一様に動脈を圧迫していない
 …嚢とはカフの中の空気が入る場所.嚢の幅は上腕周の40%を超える必要があります


血圧モニタリングについて
・末梢に行くほど,収縮期血圧が高くなります
 ※末梢からの圧波反射によります:
  血管分岐部と狭小化した血管から,反射波発生する
  ▶動脈硬化で顕著となる(圧波がより速く戻る

⇒但し,平均血圧は変化しません
 …平均血圧は,収縮期・拡張期の時間で平均されます
 ⇒上記の収縮期血圧上昇は,収縮期波形の狭小化を伴うため,平均血圧は変化しないのです。

血圧計,動脈ラインで平均血圧の差は±10程度のはずです
⇒これがずれた時,上記を確認します



●動脈ラインの管理については、本当に病院それぞれです。A lineを(ほとんど)全く使わない所もあります。
私見:集中管理中,基本的に血圧計は信頼できます.a-lineは継続して監視できるのが良い点なので,血圧計の値を参考に適宜調整していきます。


参照 ICU book,UpToDate

★非常に基本的な内容の確認です。

◎実臨床では細胞内液の補充、という考え方はあまりしません。高ナトリウム血症のときなど「血液を薄くしたい時」、心不全の時など細胞外液量を増やしたくない時(でも他の点滴が必要なので点滴ラインをつまらせないため)にブドウ糖液を使います(自分は)。

●5%ブドウ糖輸液

⇒細胞外液に入る
⇒ブドウ糖が分解され,free waterとなる
⇒細胞外液の張度を下げる
細胞内液の張度の方が高くなるため,細胞内へ移動する
もともとの容積比(細胞内:間質:血管内=8:3:1)に従い分布する

※free waterが最も効率よく細胞内へ分布する為,細胞内液の補充に用いられます。

※真水を用いると,入れた部位の浸透圧が急激に下がり,溶血を起こしてしまうので、
⇒5%ブドウ糖液を用いるのです。

 

★1時間以内ならよい.

◎輸血中にメインをどうするのか問題です。


・輸血製剤
クエン酸により凝固が抑えられています。

・リンゲル液
⇒ 生理食塩水にK, Caを加え、より生理的にしたものです。
=イオン化カルシウムが含まれます。

⇨混注すると、
     Caがクエン酸によりキレートされ、坑凝固活性がなくなるため、
    理論的には凝固します.

※しかし、 実際に実験した論文によると、
   60分以内の急速輸液中なら問題ない、とされています.


よって、
メインが生理食塩水ならそのまま
メインがリンゲル液なら輸液は別ラインから
が推奨されます。


参照   ICU/CCUの薬の考え方、使い方

ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2


日本の教科書としてはかなり良い。

★酸素流量(/min)では吸入量に足りず,足りない分は室内の空気を吸っていることが重要。

◎酸素低流量では、マスクだとだめな理由です。また、マスクとリザーバーマスクは結構違います。


■低流量システム(厳密なFIO2管理が必要ない場合)

①鼻カニューラ

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・FIO2の目安は
 ⇒1L/min:24%,以降1Lupで約4%up

※酸素流量は一定です
一回換気量が多い程,吸入酸素濃度は低下することに注意します。

・加湿は
2-3Lまでは必要ないです。自覚症状もそれほど変わりません。

ex.2L/min
・吸気は約1秒です
⇒一回換気量を500mL/sec=30l/minとします
⇒吸入量の6.6%に過ぎないのです。



②簡易酸素マスク

管理医療機器 中濃度用酸素マスク 成人用 チューブ無し 1箱10入 No.4-01 ブルークロス



・FIO2の目安は、
5-6L:40%,以降1Lupで約10%up

※上記同様、一回換気量により吸入される酸素濃度が異なります。

※5L以上の時に用います。
⇒横に空いている穴が小さく,呼気中のCO2を再吸入してしまうのです!
⇒なので、低流量だとPaCO2が上昇する危険あります。



2.高流量システム

③リザーバーマスク

高濃度酸素吸入用マスク HT1096 1箱(10個入)

・原理
リザーバー(袋)があります
吸気(1秒)+呼気(3秒)分酸素がたまります
⇒リザーバーなし(吸気の1秒のみ関係する)よりたくさんの酸素が吸えるのです。

※但し,4秒間でたまった分しか吸えません
ex.6L/min=100ml/minの設定
 ⇒400mlしか吸えない
 ⇒深呼吸できないということ。

●吸入量が足りない場合,弁を解放します
⇒すると、隙間から空気がはいります
⇒よって、この場合,吸入酸素量は低くなります。

・FIO2
カタログでは、6Lで60%,以降1Lで10%ずつup
⇒但し隙間からのもれが必ずあります。
⇒60-80%がmax



④インスピロンネブライザー+ベンチュリーマスク

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・原理
設定酸素濃度a%,酸素流量bLに設定します。
吸入するものが,FIO2=a%となるように,bLの酸素が空気で希釈されます!

ex.30%,3Lに設定
⇒3L×100%酸素+xL×21%酸素(空気)=(3+x)L×30%酸素
⇒x≒20
約23Lの30%酸素を吸うことになります。

※但し,成人の一回換気量は  24~30L/minです
不足分は隙間から空気を吸い込みます。
流量が足りない場合,FIO2は設定より下がります

よって、正確にコントロールしたい場合は、吸入量より流量を多くする必要あります!


最大はFIO2=60%です
⇒100%,15Lの設定がmaxであるためです
 =15L隙間から吸う、ということ。



※小児や肺線維症の患者=一回換気量が少ない場合は,それに応じて計算する必要があります。


参照 日本メディカルネクスト株式会社HP

★バルーンの体積分の血流の動き。

◎IABP(intraaortic balloon pumping=大動脈内バルーンパンピング)とは、下行大動脈に大きなバルーンを留置し、拡張期に膨らませ,収縮期にしぼませる方法です。
重要な事は、表示されるIABP先端圧は、拡張気圧/収縮気圧 となっていることです。

■収縮期に後負荷が減る機序

●拡張期は大動脈内の圧が高い
⇒バルーンを、収縮期のちょっと前に急速にしぼませる
⇒大動脈内の圧が急速に減る
⇒血液が末梢へ流れやすくなる
  =心臓への後負荷は減る

■拡張期に冠動脈血流が増える機序

●拡張期のちょっと前に膨らませる
バルーンの体積分の血流が余る
⇒余った血流が逆流=大動脈弓へ(★)
⇒冠動脈,内頚動脈血流↑

※冠動脈は拡張期に血流が流れます。
 …収縮期には心臓が押しつぶされるため,血流が流れないのです

●ARでは,★のため,逆流が増える⇒禁忌です。


参照 UpToDate

★はっきりと決まった基準はなく患者ベースで決めるべきだが、ハイリスクの場合ステロイド使用を考慮する。

■抜管前の確認事項

エアウェイの確保が可能なことを確認
意識状態よい;GCS<8, 指示動作可能
が十分可能;咳嗽時のpeak expiratory flow>60ml/min
痰の量が少ない;サクションを1時間に複数回必要としない
 ※絶対的な基準はない
⇒上記の内、複数問題ある場合は再挿管になる可能性がはっきり高い

エアウェイが十分開いている事を確認
 =抜管後喉頭浮腫が問題とならない事を確認
リスク;36時間~6日以上の挿管、80歳以上、チューブが太い(男性で8.5以上、女性で7.5以上)、チューブが喉頭径の45%以上、APACHEⅡスコア>12、GCS<8、挿管時の損傷あり、女性、喘息の既往、挿管時の固定が甘い、挿管時の鎮静が甘い、誤嚥あり、経鼻挿管 など
カフリーク テスト
⇒バルーンをデフレート、聴診器で喉頭周囲にエアの通過音が聴取されない場合
 リークしている量が110ml以下、若しくはVTの12-24%以下の場合
⇒抜管後のstridor聴取を、感度15-85%、特異度72-99%で予測
 カフリークあれば、基本的に抜管は問題ない
カフリークが無くとも、無事に抜管できる場合がほとんど
 …そもそも再挿管は12-14%程度の頻度
⇒カフリークが減弱している場合、少し慎重な対応を考慮する(ステロイド投与など)

●自己抜管(挿管患者の3-12%)
・再挿管のリスクは50%程度と非常に高い;特に12時間以内
 +再挿管自体も難しくなる
基本的にすぐ再挿管を考慮する
=積極的なサクションで経過観察できる患者は少ない
 …状態安定し、酸素必要量が少なく、エアウェイの確保が可能でかつ十分に開いている患者


■抜管前ステロイド投与
・リスクの高い患者で、ステロイドを複数回投与すると再挿管、stridor減ったとの報告あり
・色々なプロトコルがあるが、
 メチルプレドニゾロン20mgを4時間おきに4回投与して抜管
 メチルプレドニゾロン40mgを抜管4時間前に1回投与
などが推奨される
リスクの高い患者に限定して行う事


■抜管後の管理
積極的な酸素化エアウェイクリアランスにて再挿管を防ぐ事が重要
・十分な酸素化;ほとんどの患者は通常の酸素投与で十分。必要ならnasal high flowなど
 ※COPD等ベースの呼吸状態が悪い患者はNPPVを考慮する
 ⇒抜管後に呼吸状態が悪化してからNPPVは有害であり、再挿管の適応である事に注意
・エアウェイクリアランス;サクション、気管支拡張薬、利尿薬の使用


参照 UpToDate

★優秀な指標はあまりなく、原因治療が出来て酸素化がよく全身状態安定していれば、その場の判断でweaningを開始してよい。

■Weaningとは

●人工呼吸器による呼吸サポートを減らし、呼吸の大部分を自力で行うようにすること
⇒徐々に減らす方法が一般的
 急に減らす方法=spontaneous breathing trial (SBT)
※SBT
1日1回30-120分間、SPONT+PS 若しくはTピースとする
⇒自発呼吸に耐え得るかを判断する
・Weaningを開始して良いか検討する方法=Readiness testing


■Readiness testingの開始基準
●必須の基準

・呼吸不全の原因治療が出来ている
酸素化が十分;PaO2/FIO2≧150mmHg or SpO2≧90%(FIO2≧40%かつPEEP≧5-8mmHg)
  ※ベースの酸素化が悪い患者は、PaO2/FIO2≧120mmHgで代用可能
・動脈血ガスにてpH>7.25
・心筋虚血がない
血行動態が安定している;sBP 90-180mmHg(少量のカテコラミン投与下でもOK)
自発呼吸あ

●あれば更に良い基準
・Hb≧7-10mg/dl;重症貧血でなければ大丈夫という事になっている
・深部体温<38-38.5℃;高体温だと呼吸努力が必要になるため
・意識清明、指示動作可能


■Readiness testing
(Weaningに耐え得るか予測する因子)
●rapid shallow breathing index (RSBI);最もよく研究されている指標
呼吸回数÷一回呼吸量(f/VT)
 ⇒65-105以下であること
 ⇒105を基準とすると感度は良いが特異度は低い
 ⇒単独の指標としては難しい
※酸素化、分時換気量、最小吸気圧(MIP)はそれぞれ単独では良い指標とならない
 他にも様々な指標があるが、どれもそこまで良くない
現状は、RSBIを参考に、その場の臨床医の印象を持ってweaningを開始するのが良い


参照 UpToDate

★重症患者は基本的にヘパリン等で抗凝固、出血してたらフットポンプ。

■DVTリスク評価
●Pauda Prediction Score

癌(3)、静脈血栓症の既往(3)、3日以上の運動制限(3)、過凝固状態(3)、1ヶ月以内の外傷か手術(2)、70歳以上(1)、心/呼吸不全(1)、脳卒中/急性心筋梗塞(1)、活動性の感染症/膠原病(1)、BMI>30(1)、ホルモン補充療法(1)
0-3点:low risk (0.3%)、4-20点:high risk (11%)

IMPROVE Risk Score

静脈血栓症既往、60歳以上、癌、血栓性素因あり
⇒0点:low risk (0.5%)、3-4点:high risk (8-11%)

※これらに頼らず、総合的に判断する。下肢麻痺、重症、活動的な癌患者は特にリスク高い。


■出血リスク評価
IMPROVE Risk Models

消化管潰瘍、3ヶ月以内の出血、血小板5万以下、肝不全、ICU/CCU入院、CV留置、膠原病、癌、性別、年齢、腎機能
⇒重みをつけて点数化、リスク評価

※特に以下の患者は抗凝固が基本的に禁忌(◇)

⇒活動性の出血(月経と皮下出血は除く)、頭蓋内出血、6-12時間以内に手術が予定されている、凝固障害あり、血小板低下(5万以下)


■具体的な対応

・low risk
⇒離床励行のみ
・moderate以上のrisk
…1つ以上のDVTリスクあり、出血リスク軽度
ヘパリン等によるDVT予防が推奨される

※moderate以上のDVTリスクがあるが、出血リスクがある場合

上記(◇)の場合は抗凝固が基本的に禁忌なので、機械的予防法(弾性ストッキング/フットポンプ)を必ず用いる
出血リスクが解除され次第、すぐ抗凝固開始する


参照 UpToDate

★原因が多すぎて除去しきれない。

■原因

代謝異常
低血糖,低Ca血症,肝・腎不全
全身状態悪い栄養失調,感染,脱水(循環血漿量↓だけでも)
・脳疾患:低酸素脳症,神経変性疾患,脳卒中,加齢,アルコール
薬剤(原因の30%)
⇒何でも原因になるが、特に以下に注意。
 ①オピオイド;せん妄
疼痛増強として発現しうる
 ②ベンゾジアゼピン「眠れない→眠剤」も原因となる
 ③H2ブロッカー;見過ごされやすい。CNSでの抗ヒスタミン作用の影響か
※治療域の濃度でも生じる!


●リスク

・疼痛;リスクとなる(9倍)
・術後,癌は特に高いリスク
・状況:動けない(抑制も含まれる),care unitへの長期滞在,部屋変更,時計ない状況
    視覚聴覚の制限(眼鏡なし,リハビリなし)など.入院自体も.


■治療
原因の除去が最重要
⇒但し、なんでも原因になるので、現実的にはできるだけ除去する。

●次に
サポート管理が重要
…痛みや栄養をしっかり管理する

 付き添い人がいると出にくいか,いないと出にくいか判断する
 環境変化に注意する

薬剤
著効するエビデンスは乏しいが、臨床上著効する印象はある。
①内服可能な場合
セレネース(ハロペリドール) 0.5~1mg、
リスパダール(リスペリドン) 0.5~4mg
 …
major tranquilizer:ドパミン2受容体遮断
⇒昔から使われ、一番エビデンスがある
 ※リスパダールはセレネースの2倍の力価

ジプレキサ(オランザピン)やセロクエル(クレチアピン)
 …
非定型抗精神病薬:ドパミン2受容体+セロトニン2A受容体遮断
催眠作用もあり、使える。但し糖尿病患者には禁忌


②内服困難な場合
セレネース(ハロペリドール) 1~2A:せん妄を軽くする(頻度は減らない)
⇒効かなければ、追加でサイレース(フルニトラゼパム) 1A:眠剤。寝るまで投与。

抑制は最終手段(不穏を助長する)


参照 UpToDateなど

★3日以上+呼吸状態悪化+質の良い培養陽性。

■人工呼吸器関連性肺炎(VAP:ventilator-associated pneumonia)の重要性は、そこまで高くない
・致死率は5-65%と幅広い
死亡と直接に関連する、というエビデンスは無い
⇒呼吸器離脱まで、ICUでるまでの期間が延びるが、致命的疾患とはいえない


■VAPの機序⇒予防

中咽頭に常在している菌が原因のほとんど
⇒挿管後4日以内に発症するVAPが多いが、これは挿管時にこの菌が引き込まれるため
●よって、口腔内除菌(口腔ケア)は、予防に最も重要

②原因菌は、挿管チューブにコロニー形成、バイオフィルム形成する
バイオフィルムは、菌のそれ以上の増殖を抑える働きがある
●サクションはバイオフィルムを壊す
⇒それ以降の下気道へ細菌を運ぶ
ルーチンにサクションする事は推奨されない!

カフの隙間からも、下気道へ唾液が入り込む
 …カフは膨らませても、完全にシールドできないということ
⇒3/4は無症候性
連続的なカフ上サクションは、VAPを予防するため推奨される


■VAPの診断に胸部Xp、考えの無い痰培養は全然使えない!

●胸部レントゲン
・そもそも、レントゲンの質が悪い
 …ポータブルだから+吸気不十分なことも多い
⇒浸潤影が見えない肺炎たくさん+血管影が浸潤影にみえることがよくある
・ICUでは、浸潤影のうちたった1/3が肺炎
…他に多い原因は、肺水腫、ARDS、無気肺

●痰培養
サクションで引いた痰の培養
⇒VAPに対して感度90%、特異度15-40%
⇒陰性で否定できるが、陽性でも診断はできない
 …痰の質も問題。参照:BALで引いた痰の培養
⇒VAPに対して感度70%、特異度80%
⇒陽性で診断に使える


■信頼できる、VAPの診断基準(National Health Safety Network algorithm)

①⇒②⇒③と進む。
①人工呼吸器関連状態(VAC:ventilator-associated condition)

・2日間に渡って、FIO2 20%/dayか、PEEP 3cmH2O/dayの増加

②感染に関連した人工呼吸器合併症(IVAC:infection-related VAC)

・①を満たし、挿管後3日以上で、BT>38℃ or <36℃ かつ WBC<12000 or <4000
 
③VAP疑い

・②を満たし、以下のどちらかを満たす
1)引いた痰がGram染色で好中球>25 かつ 扁平上皮<10で、かつ以下のいずれか
・サクション:105CFU/mlの培養陽性
・BAL、組織、PSB:104CFU/mlの培養陽性
※常在菌、カンジダ、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、腸球菌は除く
2)以下のいずれか
・胸水培養陽性
・肺病理で陽性
・迅速検査陽性:レジオネラ、インフルエンザ、アデノ、RS、ライノ、コロナ、HMV


参照 ICU book

★経口摂取禁忌の場合、経静脈栄養はすぐ始めないほうが良い。

■経静脈栄養
・入室後48時間以内に開始しても、ICU滞在日数や死亡率に変化ない
感染症の発生率は上昇する:(4~5%程度)
⇒ICU滞在日数、挿管期間も延長するかもしれない
適正な開始時期は不明
⇒一般的に、入室後1週間~2週間程度が目安

入室時より低栄養状態の患者
⇒禁忌がなければ経腸栄養が勧められる
⇒経静脈栄養の是非については、現在研究段階。

※ただし低栄養は確実に死亡率を上昇させる
⇒経腸栄養が不可能な場合、1週間後程度より経静脈栄養開始とすると良いかも。


■経腸栄養
入室後48時間以内に開始すると、感染の発生率が減少する
 …機序(仮説):炎症↓、腸管免疫の保持(バクテリアルトランスロケーションの予防)
⇒死亡率が改善するかどうかは、まだ諸説ある。

 ※トライアルの患者は主に外傷・腹膜炎・熱傷の患者。
 他の内科系疾患の患者に、そのまま適用できるかは微妙。
 

■経腸栄養禁忌
循環動態が不安定、シビアなhypovolemia
⇒経腸栄養によって腸管虚血となりうるため
 …安定した循環血漿量低下のみであり、臓器症状なければ適応。
・他:腸閉塞、遷延したイレウス、消化管出血、止まらない嘔吐・下痢、腸管虚血、分泌量が多い消化管ろう

腸管関連手術後:早期の腸管栄養は腸管吻合を強くする
 ⇒以前は禁忌と考えられていたが、現在は推奨される
 

■栄養量
最小限の栄養量とすることで、感染↓、胃腸不耐性↓
⇒熱量:18~25kcal/kg/day
  蛋白:1.2~1.5g/kg/day
    …重症でなければ8~1.2g/kg/day、重症熱傷などでは2g/kg/dayまで。 


参照 UpToDate 

★オームの法則を基に,脈圧と統計から算出している.

■脈圧から一回拍出量(SV)を算出する
・オームの法則:V=I×R
⇒血管抵抗(R)が一定の時,脈圧(収縮期-拡張期血圧,V)はSV(I)と比例する

①脈圧

・脈圧の代用として,血圧の標準偏差を利用している
 …20秒間に2000ポイント測定,標準偏差を計算する
⇒コンピューターが計算しやすいため.
 …SVは波動のエネルギーと比例,それは標準偏差と近似できることから.

②血管抵抗
・剖検で大動脈を用いて血管コンプライアンスを計算してある
⇒これに,平均動脈圧,標準偏差等を加味し,重回帰分析にて算出
要は統計的に算出している.
 具体的計算式は公開されていない.

●20秒ごとに一回拍出量を計算,それに脈拍数をかけて拍出量(CO)を計算している.


参照 麻酔・集中医療とテクノロジー2011

★拍動を利用して動脈血特異的としている.

■光の波長
・赤色光(660nm):酸素化ヘモグロビン(HbO2)は非酸素化Hbより光を吸収しない
         ⇒動脈血がより赤くなる
・赤外線(940nm):非酸素化Hbの方が光を吸収しない

■パルスオキシメトリー
●片方から660nmと940nmの光が放出
⇒反対側で感知
660nmと940nmの吸収具合を利用し,HbO2とHbの比を求める
⇒「SpO2=HbO2÷(HbO2+Hb)×100」

●この原理だと,静脈血と動脈血を区別できない
⇒拍動を利用する
拍動する波長を増幅,拍動しないものを減弱させる
⇒動脈血のみのSpO2を算出する

※SaO2>70%において,SpO2とSaO2の差は3%以内となる


参照 ICU book

★計算式あり.

●MAP
・2単位=血液400mlから作られる(280mlとなる)
⇒DonorのHb=15g/dLとすれば,Hb 60gが含まれる
・循環血漿量=70ml/kgとすれば,60kgで4200ml=42dL
2単位の輸血でHb1.5程度上昇する

●PC
・5単位=10の11乗個以上
・予想血小板増加数=投与量÷循環血液量×2/3
⇒50kgの人に5単位輸血すると19000/μL以上上昇する

※実際にはこんなに上がらない.


参照 血液製剤の使用にあたって

★精度の問題.

■SVV測定の条件
・SVVの測定法…参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35959892.html
一回換気量>8ml/kg
 ・SVVは吸気と呼気での変動から計算する
 ⇒変動が十分にないと,精度が低下する
PEEP<10
 ・胸腔内圧↑⇒後負荷↓⇒CO↑
 ⇒一回拍出量が過大評価
 ⇒SVVも過大評価される
開胸していない
 ・開胸
 ⇒胸腔内圧の変化↓
 ⇒SVV過小評価
調節呼吸
 ・自発呼吸だと,呼吸数と一回換気量が一定とならない
 ⇒完全調節呼吸の必要がある

フロートラックは統計データを基としているので,数値自体を信用するには,完全に条件を満たす必要がある
 参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/37091864.html
⇒そもそも完全鎮静としていることは,全身麻酔下以外の状況ではほとんどない
相対値としてのみ参考にする場面が多い

※自発呼吸下でも,SVVが参考になる,という研究もある
⇒そもそも血管内volumeに関して,何が参考になるかははっきりとしていない
 ex. CVPは全く相関しない,とされる
⇒実際は色々なパラメータを総合して考えるので,一つの指標としては有用かもしれない
 …でも自発呼吸下だと,本当にかなりバラつきがある印象.


参照 ICU book,Flotrac HP,
    http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/files/anesth/book/18/6.pdf?1368500033

★入れた分だけ.

■コロイドの原則
'Q'は'Pc-COP'に比例する
…Q:液の移動
  Pc:毛細血管の静水圧
  COP:コロイド(膠質液)の血漿浸透圧
⇒Pcは平均20mmHg程度,COPは正常28mmHg程度
⇒通常状態で,液は間質から血管内へ移動している

●晶質液
⇒COP減らす
⇒血管外への水分移動を促す
●膠質液
⇒COPを保つか,増やす
⇒血管内へ水分移動させる


■アルブミン製剤
①5%アルブミナー
・COP=20mmHg
1L⇒700ml血管内,300ml血管外に
…外液の場合,250ml血管内,750ml血管外
3倍の血管内貯留効果あり
⇒研究)出血性ショックの場合,外液の5倍程度の効果あった
・入れた量の70-130%血管内へ行く,とされている
※但し12時間で効果切れる

②25%アルブミナー
・COP=70mmHg
入れた量の3-4倍血管内へ残る,といわれる


■Albへの効果
必要投与量=期待上昇濃度×循環血漿量÷アルブミン回収率
…循環血漿量:0.4×体重(kg)
  アルブミン回収率:0.4
※例えば60kgの人のAlbを1g/dl上げたいとき
⇒必要投与量=1×0.4×60÷0.4=60g
 …5%アルブミナーで1200ml,25%アルブミナーで240ml必要


参照 ICU book,アルブミナーインタビューフォーム

★あまり使われない.

■右心カテーテル(スワンガンツ)
●構造
・イントロデューサー
→圧計(右房に留置)
→温度計(肺動脈に留置)
→バルーン,圧計(肺動脈にはめ込む)

●わかること
①wedge pressure
・肺動脈にはめ込む
⇒血の流速=0となる
⇒肺動脈楔入圧=左房圧=左室拡張末期圧
※但し,肺胞圧<肺毛細血管圧のときのみ
 …ARDSなど肺胞圧高い時,肺毛細血管が押される
  ⇒wedge pressure高くなりうる
wedge pressureは,主に心原性(左心心不全) or 肺性肺水腫(ARDS)の鑑別に使われる
⇒wedge pressure高いのは心原性の特徴だが,ARDSでもなりうる

②Cardiac output
・冷水を流し,温度の変化で拍出量を測る(熱希釈法)
…PRがあると使えない
  PCPSも逆流起きるため使えない

③CVP
・中心静脈圧=右房圧=右室拡張末期圧


■実際
・以上のパラメータより,血液量減少性ショック,心原性ショック,血管原性ショック(血管拡張)の鑑別に使える
⇒実際は身体所見等でほとんど十分
⇒一部,心原性ショックを見つけるのに役立つこと有り
⇒心原性ショックの治療法は無いため,結局治療方針にはあまり影響しない
使うことで生存率は改善しない
・入れるリスクがある
⇒実際に使われることはかなり少ない
※但し,うまく使えば,それぞれの値が意味を持っている
…フロートラックでの値は参考値でしかなく,相対的な意味合いしか持たない.

●現在の所,挿入する適応は定められていない
経験に任されている
※相対禁忌はある:Eisenmenger(出血のリスク),重い肺の疾患,三尖弁逆流(有用性が低くなる)など.

 
参照 UpToDate,ICU book 

★HESは微妙,生食かアルブミナー.

■膠質液
 …HES製剤,アルブミン製剤,デキストラン製剤

①ヒドロキシエチルデンプン=HES製剤
…ヘスパンダー,サリンヘス,ボルベン
腎障害
 ・特に高分子量のHESで指摘された
 ⇒ヘスパンダー,サリンヘスは低分子量
 ・機序は膠質浸透圧によると考えられるが,詳細は不明
 ・重症患者(重症敗血症,循環血漿量減少性ショック)にみられ,それより軽い患者には見られない
血液への影響
 ・第Ⅶ因子,vWFの阻害,血小板凝集抑制作用あり
 ⇒臨床的に問題となるケースは,大量HES投与しない限り少ない
●AMY上昇
 …1週で戻る
※ボルベンは高分子量だが,腎への影響少なく,組織蓄積性も低い
 ⇒高用量の投与が可能
  …臨床上では普通に腎への影響でる,という人も.

②アルブミン製剤
…アルブミナー
●5%→浸透圧20mmHg:100%血管内に残る
  25%→浸透圧70mmHg:間質から引いて3-4倍になる
⇒細胞外液で言えば,5%アルブミナーで4倍量と等しい

※5%アルブミンと,6%HES(ヘスパンダー)の,血管内ボリューム増幅効果は等しい
⇒腎障害ないぶん,5%アルブミナー使うべき.


■生理食塩水か膠質液か
・ICUにおける輸液蘇生において,死亡率に有意差はないとする研究あり(NEJM2012)
 ⇒但し,HESの方が腎代替療法必要とした
★そもそも,どちらかしか使わないという前提が極端. 
状況に応じて使い分けるべき
 ・出血によるhypovolemia=すぐ血管内への補正が必要
  ⇒膠質液(もちろん外液も負荷する)
 ・脱水によるhypovolemia=間質の水も減少している
  ⇒等張液
 ・低Albなど低浸透圧によるhypovolemia=間質が浮腫
  ⇒高調膠質液(25%アルブミナー)を使っても良い.5%アルブミナーでも.

※但し,生食は安価で効果あるのは確実.
※膠質液を使うなら,5%アルブミナー.
 

参照 ICU book,呼吸器内科医
更新 2014/1/26 

★FIO2を下げる.
・活性酸素により,炎症・細胞死を誘導
⇒無気肺,高CO2,気道障害,肺水腫など
・FIO2の基準は厳密に調べられていないが,60%が6時間以上続いた場合危険とされる.

①一回換気量を少なくする=肺を保護する
・肺胞の過膨張→肺胞障害を防ぐ
・しかしCO2貯留し,アシドーシスを来しうる
⇒許容する(permissive hypercapnia
 …対応は,呼吸数を増やす(auto-PEEPがかからない程度に)
        加湿する→デッドスペースを減らす
・プロトコルがある
参照:http://www.ardsnet.org/

②PEEPを高くする
・肺胞の虚脱を極力なくす
全体に吸気がいきわたる
⇒肺胞の過膨張がなくなる
心拍出量が少なくなることに注意
プラトー圧が28-30に達すると,肺胞障害が起きる
 …副作用や,実際のPEEP設定に関するエビデンスが少ない
⇒現場では,
  ●まずFIO2を下げる
  ●徐々にPEEPを下げていく
 というアプローチをとる.

③APRV(airway pressure release ventilation)

20-30のPEEPをかけた状態で自発呼吸をさせる
=肺胞をつかえ,酸素化を維持できる
 しかし,換気量が減ってCO2が溜まる
一瞬(0.4-0.6秒),PEEPを0にして圧を解放する(リリース
 …解放時間が短いため,肺胞は虚脱せずに済む
※結局,プラトー圧を抑えた中で,どのように換気するかという問題

・エビデンス蓄積中だが,かなり有用
・適応外…自発呼吸がない場合
       リリースできない場合:喘息,COPDなど=一秒率が低い
       血管内脱水の場合;PEEP高いと心拍出量減る
※そもそも循環血漿量が少ない場合,呼吸器設定以前にまず是正すべき


参照 UpToDate,ICU book

★どちらも感染予防に有効.

■機序
①腸管腔にものが入る
 ⇒腸粘膜のintegrityを保つ
  =腸粘膜からの,腸内細菌の侵入(トランスロケーション)を防ぐ

②腸管栄養
 ⇒腸壁の単球によるIgA産生↑
 ⇒病原体の腸粘膜への付着を防ぐ

胃の膨張刺激
 ⇒ガストリン,コレシストキニン放出
 ・腸管内グルタミン↑
 …腸管粘膜の細胞の栄養となる
 ⇒これらは①と②を促す

④栄養体の塊(bluk)が腸管にある
 ⇒絶食によりなくなる
 ⇒腸管粘膜が萎縮
 ⇒トランスロケーション↑


■選択的消化管殺菌(SDD)
バクテリアルトランスロケーションを防ぐ目的
⇒実際ICUでの感染症発症・死亡率を下げるという報告有り
 一方,ESBLアウトブレイクの報告もあり
…耐性菌の出現,地域性,持続時間等考える必要あり
・中咽頭の選択的除菌という考え方もある

経腸栄養,SDDともバクテリアルトランスロケーションによる感染症の予防効果ある,と考えられる.
※プロバイオティクス(ビフィズス菌)も同様の効果ある 
 

参照 UpToDate,jseptic,呼吸器内科医ブログ 

★厳密には評価できないので,おおざっぱに.

■K欠乏量
①KはpHに影響される
pH=7.4+/−0.1a ⇒ K正常値=4.0−/+0.5a
…pH 7.5の時,K正常値 3.5

K欠乏量
正常値-0.5⇒100mEq欠乏
正常値-1.0⇒200mEq欠乏
正常値-1.5⇒400mEq欠乏

③重要な点
・K喪失量=K欠乏量でない
⇒Kの貯留槽の容積が減少するため
血清K濃度と,体内K保有量は,ほとんど相関しない
⇒このことを分かった上で,ラフにK補正法を考える


■K補正法

K維持量=40mEq/day(KCl 3g)
⇒これを1単位とし,2~3単位で投与していく
 (糖尿病性ケトアシドーシスなど,緊急でも6単位を上限とする)

◎K補充は経口が原則
・食品
バナナ1本:10mEq
  オレンジジュース1l:40mEq
経口薬1錠
…グルコン酸K:5mEq
  アスパラギン酸K:1.75mEq
  スローケー:8mEq
  KCl腸溶錠:3.4mEq
◎K静注はゆっくりと
 ⇒20~30mEq/hを上限とする


参照 ドクター和田の輸液の基礎知識

★なんとなく原則を知っておくと良いかも.

■重要な点
・出血性ショック,糖尿病性ケトアシドーシスなどは,急速に補液する必要がある
⇒現場ではボーラス投与とする
高張食塩水,グルコース投与の時は,ある程度遅くする必要がある
⇒①高張食塩水:100ml/h以下で
  ②glucose:0.5g/kg/h以下で
  …生体内で代謝される速さを考えないと,浸透圧利尿により脱水を生じてしまうから
  ⇒5%グルコース:10ml/min以下
    10%グルコース:5ml/min以下

■輸液速度に関する簡易化

 

ml/min

滴数/min

ml/hr

very slow

1

15-20

60

slow

2

30-40

120

moderate

4

60-80

250

rapid

8

120-160

500

very rapid

16

240-320

1000

extremely rapid

32

480-640

2000


・1ml≒15-20滴
1秒に1滴=slow~moderate
・5%Glu投与時:moderate以下とする


■尿量を考慮に入れる

・「0.5ml/min=30ml/hr=720ml/day」を基準とする
…これは不感蒸泄(15ml/kg/day)-代謝水(5ml/kg/day) =10ml/kg/dayとほぼ等しい
⇒例)・尿量がこの基準だと,
     水の支出≒1/ml/minとなる
    ・x ml/minで輸液した場合,
              x−0.5ml/min がおおよその尿量となる
    ・0.25ml/min(=360ml/day)だと乏尿の基準
 

参照 ドクター和田の輸液の基礎知識 

★1Lに含む組成を,主要なものだけ分かりやすくまとめました.


■細胞外液

 

Na

K

Cl

Ca

Mg

P

乳酸

ブドウ糖

kcal

生理食塩水

154

0

154

0

0

0

0

0

0

リンゲル液

147

4

156

5

0

0

0

0

0

ラクテック

130

4

109

3

0

0

28

0

0

(乳酸リンゲル)

ソルアセトF

130

4

109

3

0

0

28*

0

0

(酢酸リンゲル)

ビカーボン
(重炭酸リンゲル)

135

4

113

3

1

0

25*
5**

0

0

フィジオ140

140

4

115

3

2

0

25*
6
**
3
***

10

40




















■○号液

Na

K

Cl

Ca

Mg

P

乳酸

ブドウ糖

kcal

ソリタT1

ソルデム1

90

0

70

0

0

0

20

26

104

フィジオ70

70

4

52

3

0

0

25*

25

100

ソリタT2

84

20

66

0

0

10

20

32

128

ソルデム2

77.5

30

59

0

0

0

48.5

14.5

58

ソリタT3

ソルデム3A

35

20

35

0

0

0

20

43

172

ソリタT3G

ソルデム3AG

35

20

35

0

0

0

20

75

300

フィジオ35

35

20

28

5

3

10

20*

100

400

 

 

■末梢静脈栄養(PPN)

Na

K

Cl

Ca

Mg

P

乳酸

ブドウ糖

kcal

kcal(非蛋白)

ビーフリード

35

20

35

5

5

10

20
16
*
6
**

75

420

300

アミカリック

30

25

50

0

3

0

40

75

410

300

 
■中心静脈栄養(TPN)

Na

K

Cl

Ca

Mg

P

乳酸

ブドウ糖

kcal

kcal(非蛋白)

エルネオパ1

50

22

50

4

4

5

12
8
*
41
**

120

560

480

エルネオパ2

50

27

50

5

5

6

15
13
*
5
**

175

820

700

 

○*酢酸,**クエン酸
○単位
・P以外の電解質:mEq/L(P:mmol/L),ブドウ糖:g/L
○その他添加物
※PPN,TPNはアミノ酸を含む.
※TPNのみ,ビタミン,微量元素(Zn,Fe,Mn,Cu,I)含む.
 

参照 輸液製剤協議会HP 
更新 2014/1/25 

★厳密には決まっていない.

■原則
腸が使えるなら,経腸栄養を行う
⇒腸が使えない場合,経静脈栄養を行う
⇒完全静脈栄養の場合,中心静脈栄養が必要の事が多い.

■完全静脈栄養の適応
①消化管手術
経腸栄養開始まで10日以上かかる,と見込まれる場合
もともと低栄養の場合,術後合併症で状態が悪い場合は適応となる
②重症患者
・腸が使えず,栄養状態が悪い場合

■経静脈栄養の禁忌
・消化管が有効に使える場合
・頸静脈栄養の期間が5-7日を超えそうにない場合
・輸液量が過多になってしまう場合
・ひどい高血糖,電解質異常がある場合
・中心静脈カテーテル留置の危険が高い場合
 
末期癌の患者に,よく中心静脈栄養が用いられる施設が多い
⇒必要栄養量も下がっているため,経口+末梢で十分なことが多い
手術前にルーチンでCVを入れる施設が多い
⇒適応にはなっていない
⇒しかし合併症を起こさない自信がある場合,鎖骨下なら患者さんは楽に感じるので良いのかもしれない(私見)
 …CV感染の危険性は排除できないが.
 

参照 UpToDate,レジデントノート,NEJM 

★ガスボンベが「高圧ガス保安法(高圧ガスによる災害を防ぐ)」によるのに対し,
  配管は「JIS規格(日本工業規格)」により規定されたため.



配管…酸素:緑,笑気:青,空気:黄色,吸引:黒
ボンベ…酸素:黒,笑気・窒素・空気:灰色,二酸化炭素:緑

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