知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

循環器;心電図・不整脈・塞栓症・抗凝固

★ACT(activated clotting time)は心臓手術時、体外循環時、バルーンパンピング時等に使われる.

◎APTT、PT、ACTの違いを理解しておきましょう。

ヘパリンのモニター
●ヘパリン少量投与の際
Ⅸ,Ⅺ,Ⅻ因子に対して強く反応する
⇒PTよりAPTTの方が延長する
APTTでモニターする

・もし大量投与したら
⇒アンチトロンビンと複合体形成し,トロンビン(Ⅱ因子)の作用抑制+Ⅹa因子阻害
両方延長する

※よって、普通APTTでモニターします。


ACTの原理
●血液採取し,セライト,カオリンなどの活性化剤と混合
Ⅶ因子(内因系)活性化
⇒最終的にクロット形成するまでの時間=ACT

ほとんどAPTTに取って代わられている!
⇒が,ACTは迅速に測定される
⇒例えば、
・人工心肺稼働中,測定される(400秒を越えるようにする)
・体外循環時(PCPS)、300秒を超えるようにする
⇒ただ、300〜400秒というのは経験則による値で、状態に合わせて微調整する。

※抗凝固がしっかりしていないと,人工心肺中で凝血をおこし,解決不可能(=死亡)ともなりうるので重要な問題です。


ACTは色々な要素により影響を受けることを理解するのが重要
・低体温,低血小板,経口凝固薬,凝固因子低下,ループスアンチコアギュラントなど
⇒過度に延長するため注意


参照 JaSECT 安全対策委員会 2011.1,Practical-Haemostasis.com,研麻抄

★Kチャネルの不活性化による.

◎これも知っている人は、循環器内科医でも少ないです。

循環器治療薬ファイル -薬物治療のセンスを身につける- 第2版


 最高の本です。


ATP(アデノシン3リン酸)
・脱リン酸化され,アデノシンとして作用
⇒A1受容体に結合
Gi蛋白と結合
⇒アデニル酸シクラーゼを抑制
⇒cAMP産生↓
 ※参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/26318056.html
Ach感受性Kチャネル開口(外向き)
細胞内からK+出て行き,過分極となります
 ※このKチャネルは刺激伝導系には分布するが,心室筋細胞には分布しません
  ⇒ATPもAchも,心室筋細胞の電気活動には影響しません
⇒脱分極しにくくなり,房室結節の伝導が抑えられる

半減期が10秒と短いため,PSVTの治療に用いられます(アデホスL)
⇒投与する速さが重要です(急速静注する) 


参照 
 循環器治療薬ファイル
 G蛋白による心筋細胞Kチャンネルの調節機構 : アセチルコリンとアデノシンによるカリウムコンダクタンス増加の基礎と臨床 : 心筋細胞膜電流系の細胞内調節機転の異常 : 第56回日本循環器学会学術集会 

★心筋の再分極中に生じた小さな脱分極(後脱分極)が誘発した活動電位のこと.
=つまり発生に先行する活動電位が必要(自動能ではない)

◎不整脈の発生機序として重要な一つですが、概念的に理解することが少し難しいです。じつは電気生理学的な定義です。


■撃発活動
・心筋脱分極,収縮
⇒再分極過程
⇒何らかの原因により,小さな脱分極が生じます
 ・2相~3相で生じたもの:早期後脱分極(EAD:early afterdepolarization)
 ・再分極がほぼ終了した所で生じたもの:後期後脱分極(DAD:delayed)
これらが引き金となり,新たな活動電位が生じる(=心筋収縮する)ことがあります
 =triggerされた状態、ということで、
 =triggered activity(撃発活動,誘発活動)

原因
DADの原因は細胞内高Caが重要とされます;ジギタリスなど
EADの原因は研究段階です。

※triggered activityは,不整脈の成因として重要です。
異所性自動中枢(ectopic focus)は、不整脈の成因となる他のメカニズムです。
 ⇒これは、Afの起源となる肺静脈口(PV)が有名
※Af治療であるPVI(PV isolation)は肺静脈口を囲う手段
 ⇒メカニズムが撃発活動か,異所性自動中枢なのかは、実は不明です。

 
参照 Heart Rhythm. 2007 Mar; 4(3 Suppl): S17–S23.

★色んな原因で動悸になる.

◎違います!しかも,不整脈の多くは動悸を伴わないです。

■動悸の機序
・動悸=心臓の鼓動を自覚すること

心拍出量↑
・タバコ,カフェイン,薬剤,運動,ストレス,交感神経↑,貧血
・おそらく除脈によるものも
 (1回拍出量が上昇するからです)
②頻脈
左室拡張による,前胸部の運動↑
・大動脈弁逆流(AR),肥大型心筋症
精神的
・心臓性が43%に対し,精神性は31%とされます。
⇒診断はなかなか難しいとされますが、なんとなくわかります。
循環器内科医が注意することは、PSVTを見逃さないようにすることです


■患者の訴え
(ハリソンからです)

①ドクンとする、結滞
多くの場合,期外収縮を表します。
・期外収縮
⇒その後ポーズ(休止期)が長いです
次の拍出量が多くなります
⇒収縮力増加により,自覚します

②ばたばた羽ばたくよう
(聞いたことありませんが)
・頻脈性不整脈によります
・もちろん洞頻脈も含まれます

※ドクドクいう、というのは鑑別が難しいです。

③首まで放散する
房室解離による
⇒心室収縮中,心房が収縮する
⇒逆流し,頸静脈波が増える(A波)
(これもマニアックです)

④体位を変えると自覚する
・心臓内部,心臓に隣接する隆起病変
⇒心房粘液腫,縦隔腫瘍など 
(これもさらにマニアックです)


※臨床的には、検脈といって、radial Aを患者自身が触れられるよう教育し、動悸のときに「脈が早くなっているか、脈がバラバラか」確認して貰う方法が有用です。
▶勿論、バラバラの不整脈はAFです。


参照 ハリソン

Harrison's Principles of Internal Medicine, Twentieth Edition (Vol.1 & Vol.2) (English Edition)

英語では、なんと20版!

★高カリウムにより遅延整流性カリウムチャネルが開くことが重要。

◎電位の話は難しいですが、高K血症の変化を理解する事は、心電図変化や治療につながるので重要です。

◎2018/10/28 重要な更新:
■なぜ細胞外Kが高いと静止膜電位が上昇するか を追加。


■一般的な心筋の活動
①脱分極=収縮
・(細胞内に)Na流入(電位依存性Naチャネル
②プラトー
・Ca流入(電位依存性Caチャネル)+K流出遅延(ちょっと流出,内向き整流性Kチャネル)
③再分極
・K流出(遅延整流性Kチャネル
⇒膜電位が下がる
⇒静止膜電位の形成(内向き整流性Kチャネル)


■カリウムとQT、T波
・高K血症
⇒NaKポンプの機能↑
⇒細胞内Kが高くなる

遅延整流性Kチャネルが開きやすくなるK流出しやすくなる
再分極の時間が減る
⇒T波の幅が狭くなる(QT短縮
その分T波が高くなるテント状T)

※T波増高とは、QT短縮の結果なのです!


■高Kの他の心電図変化

・細胞外Kが高い
静止膜電位が上昇する(元は-70くらいだが,0に近づく=電位差が少なくなる):★詳細後述
(⇒脱分極しやすくなる、と思うが、違う)
⇒静止膜電位上昇により、電位依存性Naチャネルが開きにくくなる
 (電位依存性なので)
脱分極しにくくなる、鈍化する
⇒Rの幅が広くなる(wide QRS)
 伝導障害(房室ブロック
⇒更に進行、Naが流入しなくなる
⇒細胞内に残っているCaのみで脱分極する
P波消失持続的な収縮(心室細動、VF)


■なぜ細胞外Kが高いと静止膜電位が上昇するか
・細胞内と細胞外に、それぞれの境界に膜があります
静止膜電位とは、イオンの動きが平衡の時の、細胞内側の膜の電位です
 (イオンは絶え間なく動いています)
⇒例えば、細胞内がプラスに偏ると、膜の電位はその逆のマイナスに偏ります
⇒逆に、細胞外がプラスに偏ると、細胞外側の膜の電位がマイナスに偏るため、細胞内側の膜の電位=静止膜電位はプラスに偏ります。

●これを定量化したのがネルンストの式です。
⇒それぞれのイオン(K, Na, Cl等)の膜電位を計算できます
⇒ただし、実際の静止膜電位はすべてのイオンを総合して計算されます
⇒これを可能にしたのが、ゴールドマン・ボジキン・カッツの式です
※ただし、イオンの透過性はKが高く、静止膜電位はKによりほぼ決定されます。

●高カリウムの場合、
細胞外側のKイオン濃度が高い=プラス
▶細胞外側の膜の電位はマイナス
▶細胞内側の膜の電位はプラス
▶静止膜電位は上昇、となります。

NaKポンプで細胞内Kも上昇しますが、これは二次的なもので、細胞外Kが上昇したほど細胞内Kは上昇しないので、相対的に細胞外Kのイオン濃度が高い、ということになります。


参照 Braunwald, UpToDate

★心不全あるときは、β遮断薬でrate controlはじめるとよい。 

◎クリニカルに問題となるのは、頻脈性心房細動でlow EF、心不全をきたした場合です。low EFの心不全に関しては、利尿薬に反応しない場合DOBやNOAを用いるのがオーソドックスですが、カテコラミンを用いれば、もちろん頻脈は増悪します。答えはβ遮断薬で、以下の機序によりこの場合はcardiac outputが増えるためです。

発作ゼロ・再発ゼロをめざす「心房細動」治療 [ 桑原大志 ]


 最新の治療では、再発率はかなり低くなりました。手技も簡単になりました。


■Afの心拍出量への影響
①Afに対する心室の反応が速い
 (⇒持続すると頻脈性心筋症となります)
心室が十分に収縮できない
⇒よってcardiac outputが減少

心房キックがなくなる
拡張期に心室が十分に満たされない
⇒cardiac output減少

※atrial kickは、拍出量の20%近くに影響すると言われます
.....ただし、これはもちろんrate controlでは戻りません
 ⇒最近、心不全患者にカテーテルアブレーションによるrhythm controlをすることで予後が改善したという論文発表があります。これは、この修飾によるatrial kickが、特にlow EFの場合は重要であることを示唆しています。
➡️N Engl J Med. 2018 Feb 1;378(5):417-427



■Afにrate controlかrhythm controlか

・結論は出ていません。
 ...上で紹介した論文が、初めて生命予後に有意差がでた大規模臨床研究です。

・最近は、クライオアブレーションによるAFの治癒率が上昇したことから、積極的にリズムコントロールをすることが検討されます。
⇒元気な患者ならもちろん、心不全患者は特に適応となるでしょう。

・循環器内科医の感触は、やはりリズムコントロールに勝ることはないというものです。
⇒AFをほっておくと、心房がリモデリングし、心房機能の低下のみならず、弁輪拡大による僧帽弁逆流(MR)となります
⇒こうなってしまっては、リズムコントロールはほぼ不可能
⇒かつ、MRに対する手術が必要となってしまいます。

・ただ一方、やはりアブレーション後に心房頻拍を繰り返してしまう方はいます。
⇒こういう方は、心房細動という表現型の心房心筋症だ、という考え方があります。
⇒これに関しては、今後の研究が待たれます
(一方、心室心筋症にはβ遮断薬がリモデリング予防に繋がることから、β遮断薬を飲んだ方がよいのかもしれません)



■実際のrate control治療

第一選択はβ遮断薬
…特にメインテート(ビソプロロール)
…陰性変力作用あるので、low EFの場合は少量から始めます
 ⇒ただし、心不全急性期にも、上記機序から使います(最近はオノアクト)
これなしにrate controlはありえません。

・Ca拮抗薬(特にワソラン)
⇒有名ですが、陰性変力作用あり、low EFには使いにくいです。
⇒AFのみの健康な方で、リズムコントロールしていない方、もしくは発作性心房細動の発作時に使います。

・ジゴキシン
生命予後を短縮するため、長期の使用はだめです。
⇒しかし、入院中rapid AFの短期的使用は問題ありません(ivで使えます)。

・アミオダロン
⇒リズムコントロール用の薬剤ですが、rate controlにも使えます。
⇒アミオダロンは、EF低下時に唯一使える抗不整脈(βをのぞいて)と言って良いです。
⇒甲状腺機能、間質性肺炎に注意して使っていきます。

★左脚前肢ブロックが左軸偏位.

◎電気の流れを理解するのは、一朝一夕では難しいですが、わかると色々見えてきます。

■解剖
非常に良いイラストです⇨http://illustrator-amy.com/2015/07/29/post-42/

①左脚前枝ブロック
(★)刺激伝導系で下に行き:早い伝導
(◆)その後心筋を伝導して左上へ:遅い伝導
Ⅰ誘導:(★)ほんの少し逆向き→(◆)同じ向き
  ⇒qRパターン:下向きのQ小さく,上向きのR大きい
aVF誘導:(★)同じ向き→(◆)逆向き
  ⇒rSパターン:上向きのR小さく,下向きのS大きい
➤Ⅰが(+),aVFが(-)より左軸偏位

※-45°以上の高度左軸偏位となる


②左脚後枝ブロック
・①の逆と考える
右軸偏位

※但し左脚後枝ブロックは稀です
左脚後枝自体が厚く,左室流出路の近くで保護されているためです!

★いつも調べるのが大変なのでまとめました。2017/10/30現在。
AF:心房細動
PE:肺塞栓症
DVT:深部下肢静脈血栓症
CLcr:クレアチニンクリアランス(※リンク▶︎eGFRとの違い
※アレルギーや出血、凝固異常が禁忌なのは当たり前なので省いてます。また、硬膜外カテーテル使用中には普通使いません。

■エリキュース(アピキサバン)

●AFは5mg*2回の投与、PE/DVTは10mg*2回を7日間⇒5mg*2回。
以下の2つ以上に該当する場合、2.5mg*2回へ減量する
 ・80歳以上
 ・体重60kg以下
 ・Cre>1.5mg/dl
●禁忌
 ・AFでの使用⇒CLcr<15
 ・PE/DVT⇒CLcr<30


■イグザレルト(リバロキサバン)

●AFは15mg*1回の投与、PE/DVTは15mg*2回を3週間+以降15mg*1回
AFでの減量基準は腎機能のみ、引っかかると10mg*1回
 ⇒CLcr<50(CLcr<30は注意して使用可能)
※PE/DVTでの減量基準は記載無し
●禁忌
 ・肝障害(Child/Pugh BかC)
 ・妊娠の可能性
 ・HIVプロテアーゼ阻害薬、アゾール系抗真菌薬、コビシスタット含有薬
 ・感染性心内膜炎の急性期
 ・AFでの使用⇒CLcr<15
 ・PE/DVT⇒CLcr<30


■リクシアナ(エドキサバン)

●AF/PE/DVT⇒60mg, 整形外科術後のDVT予防⇒30mg
●減量規定:どれかに引っかかると30mgの投与
 ・体重60kg以下
 ・CLcr 50 ml/min 以下
 ・P糖蛋白阻害作用を有する薬(キニジン、ベラパミル、エリスロマイシン、シクロスポリンなど)との併用
●禁忌
 ・感染性心内膜炎の急性期
 ・AF/PE/DVT⇒CLcr<15、凝固異常を伴う肝疾患
 ・DVT予防⇒CLcr<30


■プラザキサ(ダビガドラン)

AFに対する血栓予防のみが適応。150mg*2回。
●減量基準のどれかに当てはまると110mg*2回へ減量
 ・70歳以上
 ・消化管出血の既往
 ・CLcr<50
 ・P糖蛋白阻害作用を有する薬との併用
●禁忌
 ・CLcr<30
 ・イトラコナゾール服用


こう並べると、エリキュースがやはり使いやすい気がしてしまいます。

★EPS中の心臓解剖の言い回しがわかると(前回記事)、理解できるようになる。

◎不整脈の先生が心電図を見て、「これは〇〇起源っぽいな」と言いますが、どのように考えているのか不思議に思っていました。今は、大まかな解剖を頭に入れながら、アルゴリズム的に推定しているんじゃないかと思っています。ここでは、特発性PVCの起源推定の考え方をまとめてみました。


●下方軸か上方軸か

Ⅱ,Ⅲ,aVFで上向きならば、その期外収縮は下向きに伝導しています。
 =下方軸と言います
起源は上の方にあるということです。
⇒心臓の上側には右室/左室流出路、大動脈弁、肺動脈弁があります。
 ※PVC起源として圧倒的に多いのが右室流出路(RVOT)です。

・逆に、上方軸の場合、心室からのPVCかと思われます。

以下は、下方軸のPVCを鑑別していきます。


●左脚ブロック型か右脚ブロック型か

V1誘導を見ます。
R波がS波より高ければ、右脚ブロック型と言います。
⇒右脚ブロックなので、左から伝導するということです。
左室流出路(LVOT)起源です。

左脚ブロック型であれば、大動脈冠尖もしくはRVOT起源です。
 (大動脈冠尖は、意外に右寄りにあるのです)
⇒もちろん、大動脈冠尖の方が、RVOTよりは左にあります。
この鑑別は、V1, V2誘導を見ます
①波高において、R波/S波>0.3であれば、大動脈冠尖起源です。
②波の幅において、QRSの内Rが占める割合>0.5であれば、大動脈冠尖起源です。
※V1, V2で大きい方を採用します。


●前か、後ろか

「心臓の前」とは、RAOで右側です
 =体の左前側です
⇒前か後ろかは、Ⅰ誘導で鑑別します。
⇒Ⅰ誘導が+であれば、体の右から左へ伝導していることを意味します。
 =心臓の後ろから前側へ伝導していることを意味します
Ⅰ誘導が+は、後ろ側に起源があると推定します。
(RVOTの中でも後壁寄り、とか言えます)


●QRSの幅

・PVCは基本的にwide QRSですが、その幅にも注目します。
比較的narrowであれば、His束に近いということです。
中隔寄りに起源があると推定します。


●LCCか、RCCか

・PVCの起源が大動脈冠尖っぽい時に、ここまで考えます。
LCCがRCCより心臓の前側にあります
LCCでは、Ⅰ誘導にマイナス成分(つまりS波)を認めます。
 …RCC起源ではわずかです。

RCCは右、LCCは左にあります
⇒どちらが起源でも心臓の上から下へ伝導しますが、
 RCC起源であれば右から左、
 LCC起源であれば左から右、
の気持ちが残ります。
・Ⅱ誘導は右上から左下、Ⅲ誘導は左上から右下のベクトルです。
RCC起源であればR波がⅡ誘導>Ⅲ誘導
 LCC起源であればR波がⅢ誘導>Ⅱ誘導

となります。

・RCCは、RVOT(の後中隔)に接しています。
⇒RCC起源のものは、RVOT起源のものと似ます。


●大動脈弁下起源の特徴

LVOTは、心臓の上側ですが、RVOTと比べてやや下にあります。
Ⅱ,Ⅲ,aVFのR波がやや小さくなります

・また、心尖部までの距離も短くなります。
⇒RVOT起源ではV6はR波のみですが、
 LVOT起源ではV6にS波が出現します。
(伝導が心尖部まで行って少し帰ってくる、ということ)


●心外膜側(epi)か
・心外膜側起源は、Ⅱ,Ⅲ,aVFのR波の立ち上がりが緩やかになるのが特徴です。
 …indexはありますが、臨床的には使いづらいです
 ⇒impressionが大事なようです。

・epi起源のものは成功率が低くなるので、事前の推定が重要です。

・OT起源に近い心外膜側は、summitと呼ばれる箇所です。
 =LADとLCx分岐部の又の部分


参照 レジデント 2014年3月号別刷

★心臓の前は、体の前とは違う!

◎前か後ろか?左か右か?初学者には非常にわかりにくい所です。しかも、はっきりと中々教えてもらえず、モヤモヤします。ここでは、指導医に教えてもらったことを、噛み砕いて説明します。

Anatomy for Cardiac Electrophysiologists: A Practical Handbook

 ↑少し高いですが、やはりこの本が良いと先輩方は言います。


■心臓の解剖で電気生理学的検査の際に重要なこと
●前と後ろ

・これが極めて間違えやすいのですが、「心臓の前」は「体の前(おへその方)」とは異なります
・心臓は斜めに位置しています。
心臓の前は、RAOで右向きの方です。
⇒つまり、体の左前方向が「心臓の前」なのです。

※これを理解していないと、非常に混乱します。しかし、このように明記してある本はなかなかありませんので、注意してください。


●左と右

・これも体の左右とは異なります。
「心臓の左」は左心系(左房と左室)側を意味します。


●上と下

頭側が上、尾側が下です。
心臓の上側には、右室流出路と左室流出路、肺動脈弁と大動脈弁があります
・心臓の下側には、右室と左室の心筋があります。


●中隔側

・心室中隔は、右室と左室を分け隔てる心筋です。
⇒これは、カテーテルが右室にある時、LAOで右方向です。
⇒つまり中隔は、体の左後ろに位置しています。
・中隔と反対方向を、自由壁(free wall)側と言います。


●弁下と弁上

・文字通り弁の上か下かですが、
大動脈弁の弁下は心室側僧帽弁の弁下も心室側です。
⇒アブレーションカテーテルのA波とV波の大きさの違いで区別できます。
・重要なことは、状況によって何の弁の上下なのか変わってくることです。

「弁上を焼く」とは、弁自体に通電しているわけではありません。
弁の外周(の心筋)に通電しているのです。
⇒「弁下を焼く」際も同様です。


●右心室の形態

・左心室は楕円球ですが、右心室は左心室を片側から覆うような形態をしています。
 
↑イメージです。三日月が右心室、黒い円が左心室内腔、その間の(何もない)白い部分が心筋(中隔)です。
・この図の右室の、前側の右室と左室の接合部をanterior attachment, 後ろ側の接合部をposterior attachmentと言います。


●右室流出路、大動脈弁の位置

これらが接していることを理解することが大事です。
⇒詳細には、右室流出路に接しているのは右冠尖(RCC)です。

大動脈弁で、心臓の前側にあるのは左冠尖(LCC)です。
※「あれ?RCCじゃないの?」と思った方は、体の前と心臓の前とを混同しています。
⇒CTで見ると、体の前側にあるのは、もちろんRCCです。
⇒しかし、心臓の前と体の前は意味合いが異なります。
⇒このページの最初からお読み下さい。

★PSVTの鑑別ですが、どんなリエントリー回路かを考えると、違いがわかります。しかし〇〇っぽいとは言えますが、実際はEPSをやってみないとわかりません。

◎不整脈の先生がnarrow QRS頻拍の心電図を見て議論していますが、なにを考えているのでしょうか。わかりやすさを重視して説明して見ました。


■頻度の高いPSVT
●正方向性AVRT(房室回帰性頻拍)

・心房と心室の間にある、副伝導路(Kent束など)を原因とします。
 …副伝導路は伝導が早いです

「心房>房室結節>心室>副伝導路>心房>…」とリエントリー回路を形成します。
心室収縮の後、すぐに心房収縮します
QRS波の後に逆行性P波がきます(90msec以上離れます)
 =逆行性P波が見えることが多いです

・通常、頻脈時に心拍数がかなり速いです。180bpmとか。


●通常型AVNRT(房室結節回帰性頻拍)

房室結節二重伝導路を原因とします。
 …房室結節周囲に、心房と房室結節をつなぐ伝導路が2本あるということです。
 ⇒片方の伝導は速く(fast pathway)、片方は遅いです(slow pathway

「心房>slow pathway>房室結節>fast pathwayと心室>fast pathwayから心房へ>…」
心室収縮の最中に心房が収縮します
QRS波の中に逆行性P波がきます
 =S波に隠れ、はっきりと逆行性P波を特定できないことが多いです(偽性S波

・頻脈時にも、脈はそれほど速くなりません。130bpmとか。
※しかし、これは例外があります。lower common pathwayです。
⇒slow pathwayとfast pathwayからなる回路がどれほど大きいか、という問題です
⇒大きければ周期は長くなるので、脈拍数が少なめになります
⇒lower common pathwayがあると、回路が小さくなるので、脈拍数が多めになります


■稀な他のAVRT
●逆方向性AVRT

・逆に、「心室>房室結節>心房>副伝導路>心室>…」と回旋します。
心房収縮の後、すぐに心室が興奮します
 +心室は副伝導路のあるところから興奮するので、wide QRSとなります
 (例外副伝導路が中隔=His束近傍にある場合は、narrow QRSとなります)
⇒ですから、QRS波後のP波が来るまで時間がかかります
 =long R-P'

●副伝導路間AVRT
「心房>副伝導路>心室>副伝導路>心室>…」と回旋します。
非常に速い頻拍となります。
・逆方向性と同じく、wide QRS頻拍となります。


■稀な他のAVNRT=非通常型AVNRT
①fast-slow型

「心房>fast pathway>房室結節>slow pathwayと心室>slow pathwayから心房へ>…」
房室結節から心房までかかる時間が長くなります
⇒QRS波からP波が来るまで時間がかかります
 =long R-P'

②slow-slow型
・全部slow pathwayですが、fast-slow型のslow pathwayよりは伝導速度が遅くないです。
⇒long R-P'まで行かず、QRS波から少し離れた位置にP波がきます。
 (90msec以上です) 


■δ波
●副伝導路があればデルタ波が見えます。WPW症候群です。

・デルタ波とは、
副伝導路が「心房>心室」の伝導速度が早いためQ波の始まりが速くなる現象です
⇒すなわち、PQ間隔の短縮が本質です
 =デルタに見えても、PQ短縮がなければ、デルタ波とは言いません。

●大事なことは、デルタ波は副伝導路の順行性伝導を表すということです。
 …順行性とは、「心房>心室」の伝導のことです。
⇒正方向性AVRTを思い出していただくと、副伝導路を逆行性に伝導しています
⇒デルタ波は副伝導路の存在を表しますが、正方向性AVRTが起きるとは限らないということです
 (WPW症候群の25%は副伝導路の逆行性伝導がありません)

●逆に、デルタ波がなくても正方向性AVRTが生じ得ます
⇒逆行性にしか伝導しない副伝導路がある、ということです
⇒これを、潜在性WPW症候群と言います。
 (正方向性AVRTの1/3は副伝導路の順行性伝導がありません)
 

参照 UpToDate, coronary intervention vol.13 2017 

★埋めれば運転停止期間が定まっており、埋めなければ運転は禁止。

◎植え込み型除細動器(ICD)に関して、運転制限は社会的な問題です。運転したいから移植しない、のは医学的に正しくないのは明らかですが、法律上どうでしょうか。


■ICD植え込みが決定するまで

●ICDの適応には一次予防と二次予防があります。
一次予防
⇒致死的不整脈(持続性VTまたはVF)は認められてないが、そのハイリスクである患者 
二次予防
致死的不整脈が確認されている患者

※日本では二次予防目的のICD植え込みがメインですが、アメリカでは一次予防でかなりのICD植え込みが施行されているとのことです。


■ICD植え込みと運転許可について

●ICD植え込みの適応となったということは、致死的不整脈が起こるかもしれないということを意味します。運転中に起こったら、ご本人の命に関わるのみならず、他人を事故に巻き込む危険性があります。ですから、運転が制限されることは合理的です。

●さて、もちろん致死的不整脈のリスクに応じて対応が異なるべきです。上記の一次予防と二次予防では、明らかに二次予防の方がリスクは高いことがわかると思います。
ICD植え込みから運転許可までの、法律で定められた期間が異なります。
 ・一次予防:30日間
 ・二次予防:6ヶ月間
⇒この間にICD作動がなければ、自己申告の上運転が許可されます。

正常なICD作動(致死的不整脈の出現)があれば、当然話は変わります。
⇒現在は、ICD作動した場合は、その日から12ヶ月運転が制限されます
※欧米のガイドラインではこれより短く、日本も近いうちに6ヶ月程度まで短縮されるかもしれません

●現在は、誤作動時に意識消失を伴わない場合は、運転制限の必要はありません
⇒しかし、誤作動の原因検索、対応はなされるべきです(ICDの再設定など)
※誤作動でも意識消失した場合、12ヶ月の運転停止です。

●ちなみに、ICD植え込みや作動は、患者さんが自己申告しなければなりません。自己申告は法律で定められており、自己申告しない場合の罰則があります。この罰則は近年強化されています。注意が必要です。


■ICD移植しなければ運転はできるのか

●これが臨床上大きな問題です。特に田舎は車社会で、運転できないことはかなりのdisadvantageとなるので、よく問題となります。

●医学的には植えこむべき状況でも、社会的な利益を優先する患者さんはいます。特に、ICDは将来のリスクヘッジという治療法ですので、今を大切にされる方はやはり悩まれます。

しかしながら、
二次予防に関しては、植え込まなければ運転は禁止されますこれは法律で禁止されています。ですから、運転したいのであれば植えこむしかないのです。
※一次予防に関しては、法律では禁止されていません。

●循環器内科医が見ると、同じ一次予防でも「この方は中でもハイリスクだな」「この方はそこまでリスクは高くないけど、致死的不整脈は恐ろしいから埋めた方が良いな」と考える例があります。これは臨床研究やガイドラインでは見えないところです。
⇒ですから、やはり専門家に基本的にICD植え込みが提案されれば、従った方が良いと思います。
⇒ですから、一時予防の植え込みでも、運転制限を危惧して患者さんが植え込みを拒否した場合、医師は運転を基本的には禁止します。


参照 ICD講習会資料、日本不整脈心電学会HP

★下大静脈-三尖弁輪間峡部(CTI:cavo tricuspid isthmus)ブロックライン作成

◎通常型心房粗動(common AFL, atrial flatter)のアブレーションについての解説です。実際にどういう所を見ているのでしょう。詳細は教科書を参考下さい。

●勉強を始めるには、研修医にはちょうど良い。かなり深い所まで書いてあります。

看護師・研修医・臨床工学技士のためのカテーテルアブレーションの治療とケア―「むずかしい」が「おもしろい」に変わる



●かなりしっかりした教科書。やや難しいですが、勉強になります。

EPカンファレンス -症例から学ぶ不整脈・心臓電気生理- 第2版



■定義
●心房粗動は、粗動派(のこぎり状の心房波)を認める上室性頻拍です。通常型かどうかが大事です(通常型は比較的ablationが簡単だから)
①通常型心房粗動(common flatter)
Ⅱ,Ⅲ,aVFで下向きV1で上向きの粗動波のものです。
 ⇒分かりにくい時(2:1伝導など)は、頻拍中にアデホス(ATP)を打ちましょう。房室結節を介するリエントリーでないので停止しませんが、QRSが一時的になくなり、粗動波が分かりやすくなります。
・機序はリエントリーです。三尖弁輪を中心として、反時計回りに興奮が旋回します
 ⇒なので、下大静脈-三尖弁輪峡部(CTI);リエントリー回路の一部  を焼くことで、興奮が回らなくなります。

②非通常型心房粗動

通常型心房粗動以外の心房粗動をいいます。
…機序は様々です。リエントリー(主にincisional reentrant tachycardia)、自動能亢進、撃発活動など。三尖弁輪を逆回転(時計回り)に興奮が旋回するものも含まれます。
※心房rate<240bpmの場合、心房頻拍と診断されます。


■アブレーション(CTI block line作成)

①電極留置
・右大腿静脈より3箇所穿刺します。
・冠静脈洞(CS)に6極カテーテル、三尖弁輪(TA)にHaloカテーテルを留置、アブレーションカテーテルを入れました(下図、LAOです)。
※電極カテーテルは色んな種類があります。
※CSカテーテルは内頚静脈からアプローチする事も多いです。
電極は、先端から1,2…と番号がついており、1-2, 3-4,…の電位差を記録しています。
CTI


 
















②isthmusを回路に含むことの確認
・三尖弁輪を回る頻拍か、確認します。
・まず頻拍を誘発します。Haloカテーテル(心房に留置されています)からのBurst刺激を行いました。
・頻拍中となったので、以下の手技を行います。
1. sthmusからのpacing⇒Halo, CSの電位波形が粗動のものと同じ(entrainment without fusion
2. ペーシング後の心房粗動1拍目までの時間が、粗動周期と一致(PPI: post-pacing interval
 …回路上にある所からのpacingなので、そこからまた一回りするからです。

※明らかにcommon AFLである場合、頻拍がなかなか誘発されない場合は、これらを省く事もあります。

③焼灼
・三尖弁輪峡部をアブレーションカテーテルで線状に焼きます。
・この際、局所電位(ABL distal電位)に着目します。

1. しっかり下大静脈〜三尖弁輪を焼かなくてはなりません。まず三尖弁輪の端、右室側から焼きます。つまり、局所電位は、心室電位がしっかりとれる場所から始めます。
…しかし焼くのは心房です。つまり、「心房電位がsharp>>>>平坦 or Q波」となることを目標にします。
ですから、心房電位がしっかり取れる箇所を焼いていきます。

2. 心室側より段々心房側、下大静脈側へ引いて焼いていきます。焼くpointは、上記の通りです。
※焼いている時、アブレーションカテーテルが心筋に密着している事が大事です(そうでなければ焼けませんから)。しっかりと曲げて、カテが心拍動と同期する動きをすることを確認します。

3. 下大静脈側へ引いてくるときには、曲げを緩めます。緩める事でカテが当たる面積が増え、かつカテが落っこちることを防ぎます。

4. 完全にblock lineができると、局所電位がdouble potentialとなります!
 …カテがblock lineの上にあれば、右からくる電位と左からくる電位が別に記録されるからです。
 …CS pacingを行えば、片方の電位はHalo電位の前、片方の電位はHalo電位の後に記録されます。


④両方向性ブロックの確認
1. CS pacingを行います。
⇒焼く前は、CSからの刺激は最も近いHalo先端(1-2)に最も早く到達する
⇒焼いた後は、Halo 1-2に直接届かないため、Halo最後部(23-24)に最も速く到達する
 =左から右への伝導が切れた証明(一方向性ブロック

2. TA pacingを行います。
Halo 1-2と7-8からペーシング(differential pacing)
⇒CSまで伝わる長さを比較します。
⇒block lineができていれば、Halo1-2よりHalo7-8の方が早く伝わります。
 =右から左への伝導が切れた証明(両方向性ブロック)

以上で手技を終わります。


参照 EPS, EPカンファレンス

★心筋障害で伝導遅延したもの(VTのリスク)を、体表の心電図から見つけ出そう、という検査。

◎加算平均心電図や遅延電位って何でしょう。late potentialあるから何なのでしょう。実はそれほど複雑でないです。

■遅延電位とは?
心室頻拍(VT)の基質(substrate)がある人というのは、心筋に何らかの異常があります
 …繊維化、炎症、浮腫、scarなど
その箇所は、伝導が遅延しています
 (だからVTが起こりうるのです。リエントリーの原理です)
洞調律の時にも、その場所は伝導遅延する訳です
⇒しかし、これは十二誘導心電図ではdetectできない、QRSの最後に現れる小さな電位です
 =これがlate potential(LP, 心室遅延電位)
洞調律時のQRSを増幅する事(加算平均心電図)で確認できます

※心房の遅延電位もあり、p波の最後に認められます
 ⇒心房細動のリスクといわれます


■加算平均心電図の原理
・小さな遅延電位は、心電図を単純に増幅しては見つけられません
 …ノイズも増幅されてしまうからです
沢山のQRS波を平均する事で、late potentialは拾われ、ノイズはキャンセルされます
+デジタルフィルタリング等で更に精度が高くなります
 …だいたい200-400の波形を平均すれば、理想に近くなります

※加算平均には方法がいくつかあります。temporal signal averaging, spatial signal averaging等。
 難しくて分かりません。


■late potentialの定義

3つの定義があります。
 …まとめると、小さな電位が、QRS最終部にある程度長い時間認められる事

①フィルター後のQRS幅>114msec
②QRSの最終40msecの部分で、root mean square voltage<20mcV
※root mean square (rms)

③40mcV未満の低電圧が持続する時間>38msec

・これらは沢山の臨床研究で有効性が確かめられた結果作られた基準です


参照 UpToDate

★心房リズム整で100bpm以上の、洞結節以外に起源をもつ頻拍。

◎「これはATかな?いや、sinusか?PSVTではないと思うけど、否定しきれないか?AFLの可能性もあるか」みたいな発言をよくしますが、ATって何でしょう。また、他の不整脈とは何が違うでしょう。

■narrow QRS tachycardiaの種類
・洞頻脈(sinus tachycardia, サイタキ)
・心房期外収縮の頻発(frequent PAC)
・心房粗動(AFL, フラッター)
・心房細動(Af)
・心房頻拍(AT)
・発作性上室性頻拍(PSVT)
 ⇒これにAVRT (WPW症候群などの副伝導路)とAVNRTが含まれる
・その他、稀なもの
※もう少し細かい鑑別;参照 http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/41683272.html

●臨床的には「洞頻脈/ frequent PAC」か「AFL/ Af/ AT」かの鑑別が重要。なぜなら、前者はほっておいても良いが、後者は心内血栓のリスクとなり抗凝固が必要となるからです。
⇒参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/45095518.html

※本当に初学者の方へ。
 漫画で学びましょう。著者は著明な循環器内科医師です。

ストーリーでよくわかる!頻脈性不整脈 [ 一色高明 ]



■洞頻脈/ frequent PAC
●そもそも、脈は洞結節からの電気信号がはじまりです。
  ◇ 洞結節⇒心房を興奮(p波)⇒房室結節⇒His束⇒心室を興奮(QRS波)
・洞頻脈は、激しい運動したとき等におきます。洞結節が興奮して、頻回に信号を出すのです。
・心房期外収縮(PAC, APC)とは、「洞結節以外の心房のどこか」を起源とする脈です。
⇒この脈は◇の洞結節以外を通るので、p波とQRS波があります
⇒細かくは、心房の興奮の仕方がsinusとは異なるので、p波の形が異なります
 (分からないことも多いです)

●但し、frequent PACとなると、HRは150bpmとか、かなり上昇することもあります。この時はPACが連続して出て、p波がはっきり分からないことも多々あります。
⇒これが、Afと鑑別に迷うときがあります。
 そしてこの鑑別は重要です(なぜなら、Afは抗凝固が必要だから)
⇒鑑別点は、sinusの時に、よくみてp波を確認する事です。

※sinus tachycardia/ frequent PACは心房がきちんと興奮するので、心房内に血液が鬱滞しません。
⇒だから、左心耳に血栓ができません
 =抗凝固の適応ではありません


■AFL/ AT

●ATは広い概念です。
・定義;心房リズム整で100bpm以上の、洞結節以外に起源をもつ頻拍
※房室伝導(心房▶︎心室)が遅延することで、心室の収縮(=脈)は不整ともなり得ます
 …心房収縮が早すぎると、房室結節は1:1に伝導できなくなるからです
AFLはこの定義のATに含まれます
 (Afはリズム不整、PSVTは洞結節起源のため含まれません)
但し、普通ATという時は、AFL以外で上の定義を満たす頻脈を言います。

ATの機序は3種類あります。
 …自動能亢進、リエントリー、撃発活動(参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/31756527.html
⇒しかしはっきりと区別できることは少なく、EPSで高頻度にオーバーラップします
⇒この機序の分け方は、実用的ではありません
・臨床的には、管理法とアブレーションの戦略が重要です
マクロリエントリー性AT局所性ATの2種類に分けられます
 …マクロリエントリーとは、心房内の大きな回路をグルグル電気が回って起る事
  局所性とは、心房内に、洞結節以外に自動能をもつ箇所を原因とするもの
マクロリエントリー性ATで最も高頻度なのがAFLなのです。

▶︎マクロリエントリー性AT
・最も高頻度なものがcommon AFL;「Ⅱ,Ⅲ,aVFで陰性、V1で陽性の鋸歯状波」(重要)
 ⇒三尖弁輪にリエントリー回路が形成されたもの
 ⇒ablationは比較的容易
・他の原因は、①手術後の痕跡、②心房アブレーション後、③僧帽弁輪、④心房の特発性繊維化、⑤他の解剖学的・機能的な障害物 などがあります
⇒ablationの際はmappingして回路を同定する必要があり、common AFLより大変です


▶︎局所性AT

・洞結節以外の心房の局所に起源をもつものです。
…起源は色々あります;①三尖弁輪、②分界稜(右心耳付近の上大静脈と心房筋との境目:洞結節が近くにある)、③冠静脈洞入口部、④結節周囲組織、⑤右心耳
・PACと異なる点は、心房レートが早い事です(200bpm程度)
 ⇒だから抗凝固が必要となります
※何らかの心臓病をもつ人に多い。また、ジギタリス中毒も原因となる。

※多源性AT(multifocal AT: MAT)
・心房レートが100-130程度の、3パターン以上のp波を認めるAT
 …局所性ATの一型
・COPDや慢性心不全のある高齢者にみられ、Afへ移行する
・原因としてテオフィリンが考えられている

●atrial tachycardia with block

・レートが早くなる
AV伝導が障害される
2度房室ブロックが生じる
atrial tachycardia with blockと心房粗動は、ECGで区別が難しいことがある
(心房粗動も心房レート早く、QRS irregularとなりうる)


参照 UpToDate, Brawnwald

★基本的にICD植え込みで、心室性不整脈が頻回に起きる場合は薬物療法やablationが検討される。

◎医療が進歩しても、Brugada症候群に対する治療は植え込み型除細動器しかないのでしょうか?他に治療がないのか、よくトピックになります。

■ICDの考え方

●ICDは、安全かつ心室不整脈を効果的に止める事が出来、Brugada症候群で生存率を上昇させる、第一選択の治療法です。
・そもそも、Brugada症候群は典型的症状があるはずです。即ち、ICD植え込みは2次予防ということになります。心筋梗塞急性期を除き、「心室不整脈の2次予防」にはICDが必須です。
・一方、1次予防としてのICD植え込みは色々と議論が分かれるところです(Brugadaではなく、低心機能心不全などの場合も含め)。だから、Brugadaのリスク層別化は大事な所です。
 別記事参照。

・ICD植え込みを拒否した場合、もしくは全身状態不良につきICD植え込みが不可能な場合は、薬物療法の適応となります。
⇒キニジンかアミオダロン
※「ICD植え込みを拒否した場合」というのは難しい話です。アメリカと日本では状況は異なると思います。医師としては、必要性を何度も説明し、患者を納得させることが必要となる場面です。


■薬物療法

突然死の一次予防として、有効性が示された薬剤はありません
⇒しかし、キニジンアミオダロンは間接的に有効性が証明されています
 (EPSでVT/Vfが誘発できなくなった、など)
⇒基本的に、ICD植え込み後、心室不整脈が出てしまう患者に適応となります

・アミオダロンは言わずもがな、心室不整脈に対して最も有用な抗不整脈薬です
・キニジンはI(to)を抑制し、これが論拠となっています。
キニジン以外の1型抗不整脈薬は避けなければなりません。特にNaチャネルブロッカーは、coved型心電図の誘発試験に用いるほどです。
※良い本です。

不整脈治療薬ファイル ―抗不整脈薬治療のセンスを身につける―



■カテーテルアブレーション

●ICD植え込み後、VT.Vfが頻回に生じる場合、適応となります
右室流出路心外膜側よりmappingし、異常な電位の箇所を焼灼します
・大規模研究により有効性はまだ確かめられていません

J Wave Syndromes: Brugada and Early Repolarization Syndromes




参照 UpToDate, J wave syndromes

★典型的症状があれば診断、無い場合はcoved型を確認し、加算平均心電図やEPS、家族歴等でリスクを評価する。

◎Brugadaっぽい!心電図はよくみます。全例にICD植え込みを検討しますか?そんなことはありません。診断が大事です。ここではBrugada症候群の診断をレビューします。


■Brugada型心電図

1型coved型
 2mm以上のST上昇▶︎陰性T波
2型saddleback型
 2mm以上のST上昇+二峰性T波
肋間を上げると感度が増えます
⇒肋間上の誘導でのみBrugadaが認めても、通常誘導でBrugadaが認められる人と死亡率は同様との報告有り。
!肋間を上げる事はスクリーニングに必要ということです。

★covedとは、「入り江の」という意味です。
 入り江とは、海岸や湖の一部が陸側にえぐるように入り込んでできた地形のことです。


⇒海側からみれば、coved型のST上昇にみえなくもない。


★saddlebackは自転車のサドルです。




■Brugada症候群

●2013年のexpert consensusでは以下の2つが確定診断に必要です。
・典型的症状
 …心停止、心室不整脈による失神、夜間の瀕死呼吸
・1誘導以上でcoved型のST上昇
 …一過性でも、薬物(サンリズム)負荷で誘発されたものでもOK

症状が無い場合は確定診断とはなりませんが、以下が診断の参考となります。
・1度房室ブロック、左軸偏位
・心房細動
・加算平均心電図でのlate potential
・fragmented QRS comples;QRSに切り込みがあるもの
・左脚ブロック型のPVC
・器質的な心疾患がないこと
・EPSにて心室不応期<200msec かつHV間隔>60msec


■Brugadaの精査・心室不整脈リスク層別化
●症状ある場合

・まず器質的心疾患をエコーやシンチなどで除外します
⇒①coved型の場合、Brugada症候群の診断。ICDなどの対応
 ②saddleback型の場合、薬物負荷で精査
※上の診断基準のとおりです。

●症状ない場合
1親等以内(特に45歳未満)に、突然死原因不明の失神coved型心電図がないか確認
⇒あれば大きなリスクとなります。

薬物負荷は、場合によります
…coved型の場合は適応なし
 saddleback型かつ上記の家族歴ある場合は、施行してよい
※具体的には、サンリズム1A+生食50mlを10-30分くらいで投与するだけです。経過の心電図変化をみます。covedへ変化する場合、リスクとなります。
⇒coved型へ変化するかを確認するのです。

EPS(VT/Vf誘発)はcontroversialです
 …誘発された群は、心室不整脈のリスクが高いのは間違えなさそうです
 ⇒しかし、誘発された事でICDの適応を判断するのかは微妙な所です

④その他
加算平均心電図でLP陽性は、リスクとなります。
SCN5Aの遺伝子変異は調べるべきです
 ⇒但し解釈は難しい場合も多く、専門家がすべきです

※まとめると、
・症状+心電図⇒確定
・心電図(coved型)のみ⇒状況による。色んな検査をする。
・心電図(saddleback型)のみ⇒リスク低い。家族歴あれば薬剤負荷を検討する。
ということになります。


参照 UpToDate

★基本的に常染色体優性遺伝で,誘因が多数ある.

Brugada症候群は突然死のリスクとなり、ペースメーカーの適応となり得る疾患としてかなり有名です。しかし、病態は難しくて、分からない方が多いかと思います。なぜV1-3でSTが上がり、T波が陰性となるのか?なぜVFが起こるのか?なるべく分かりやすく、解説してみます。
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■なぜST上昇するか
●Naチャネルに関わる遺伝子(SCN)変異、右室心筋の異常、自律神経異常、発熱、コカインや抗精神病薬の使用が提唱されています。

①遺伝子変異
・遺伝子変異
心筋Naチャネルの機能不全
⇒ST上昇

※Naチャネル変異→ST上昇(仮説)…ここが難しい所です
●基本は、心筋の活動の順序です。
 …脱分極 (Na流入)▶︎プラトー (Ca流入+K流出遅延)▶︎再分極 (K流出)

Naチャネルの異常があると、Na流入量が少なくなります
あまり脱分極せず、活動電位の持続時間が短くなります
 =そこは、特に活動電位の持続時間が短いのです(◇)
⇒I(to)という一過性の外向き電流が著明となります
⇒特に右室流出路 (肺動脈弁付近)の心筋細胞はI(to)電流が大きく、変化が劇的です(◇◇)

●心室の心筋細胞は心外膜細胞,心内膜細胞,M細胞からなります
⇒Naチャネル変異は心外膜細胞,M細胞に起き、心内膜細胞には起こらないとされます
⇒(◇)による再分極の異常が心室全体に波及します(特に右室流出路)
 =心内膜側は普通、心外膜側が再分極が異常です(◇◇◇)
この貫壁性の電位勾配がST上昇としてみられるということです。
右室流出路の細胞が異常なので、V1-3に変化がみられます!
 (位置が近いのです)

※Naチャネル異常には、SCN5ASCN10Aの異常が代表的です。
・Naチャネルは心筋細胞の活動に重要なので、これらの異常は他疾患の原因にもなります
⇒QT延長症候群、早期再分極症候群、先天性洞不全症候群、房室伝導欠損症など


②心筋の異常
●Brugada症候群は基本的に問題なさそうな心臓に起きます
⇒しかし、小さな変化・異常を示唆する所見が起こる、という見解があります。
 …具体的には、右室流出路の拡大や、そこに限局した炎症線維化です。

・興味深いのは、18例のBrugada症候群患者に右室の心筋生検を行った研究です。右室の心筋炎の所見が14例に認められました。その14例の心筋炎が落ち着いた段階で、8例がBrudagaの心電図変化が改善したらしいのです。


③その他
副交感神経がST上昇に関与する可能性があります
⇒以下の報告が傍証です
…夜間に、Brugada症候群による不整脈が多いといわれます
 MIBGシンチ(交感神経で取り込まれる)で、低下がみられることがあります
 運動負荷後のリカバリー時にST上昇を認める患者がおり、不整脈との関連があります

発熱がST変化・心停止の原因となっている可能性があります
・Naチャネル遮断効果がある、コカインや三環系抗うつ薬が原因となり得ます


※ちなみに、Brugadaは3兄弟で、皆循環器内科医です。本をいっぱい書いています。

Clinical Approach to Sudden Cardiac Death Syndromes [ Ramon Brugada ]




■なぜBrugada型心電図でVFとなるか
Phase 2 reentryというメカニズムが考えられています。
右室心筋の不応期が不均一であることが重要です
…Naチャネル異常細胞は、脱分極をあまりしません:phase 0
⇒右室流出路でI(to)が著明です(◇◇):phase 1
 +これは心外膜部でより著しいです(◇◇◇)
⇒脱分極が小さいので、プラトーの期間が短いです
 =Caチャネル活性が低下します:phase 2
不応期が短くなります
(ここまでは上記の復習みたいなものです)

Naチャネル異常の心筋細胞は活動電位を伝播することができないことがあります
⇒一部伝導ブロックが生まれます(=不応期が長い
⇒一方、上記の不応期が短い細胞もあります
⇒これらで小さなリエントリーを生じます;phase2 reentry
⇒これらは右室流出路(心室)にあり、PVCからsustainし、VT, VFとなります


参照 UpToDate

★必須。

●日本では基本的に低分子ヘパリンを使用しており、ここではその使用法について。
※他国では、その他の抗凝固薬の使い分けが重要でトピックとなっている

■救急外来、診察時

●急性冠症候群がSTEMI, NSTEMI, UAPのどれであっても、抗凝固薬の対応はほぼ同様
診断後なるべく早くボーラス投与する
 …60-100U/kg, 5000Uまで


■primary PCI

PCI施行中は、血栓によるacute closureの予防のため投与する
⇒基本的にACT 250-350を目標とする
 ※エフィエント投与時はACT 200-250とすることが望ましい

PCIが特に問題なく終了した場合、ヘパリン投与は推奨されない!
 =ヘパリン投与は、PCI手技終了までとすることが推奨される
・利益が少なく、出血性合併症の頻度が増えるため
・シース抜去はACT 150-180となってからが望ましい(特にfemoral sheath)
※以下の場合は、ヘパリン投与の継続を考慮する
①PCIが複雑で、再度虚血となりうる場合
②血栓合併症のリスクが高い場合;ant STEMI, low EF, 心不全、肺塞栓の既往、左室内血栓
③抗凝固が必要な併存疾患:機械弁、心房細動など

PCI施行しない患者:血栓溶解、又は経過観察
基本的にヘパリン投与とする
⇒最低2日、最大8日もしくは退院まで投与継続する
 

参照 UpToDate 

★重症患者は基本的にヘパリン等で抗凝固、出血してたらフットポンプ。

■DVTリスク評価
●Pauda Prediction Score

癌(3)、静脈血栓症の既往(3)、3日以上の運動制限(3)、過凝固状態(3)、1ヶ月以内の外傷か手術(2)、70歳以上(1)、心/呼吸不全(1)、脳卒中/急性心筋梗塞(1)、活動性の感染症/膠原病(1)、BMI>30(1)、ホルモン補充療法(1)
0-3点:low risk (0.3%)、4-20点:high risk (11%)

IMPROVE Risk Score

静脈血栓症既往、60歳以上、癌、血栓性素因あり
⇒0点:low risk (0.5%)、3-4点:high risk (8-11%)

※これらに頼らず、総合的に判断する。下肢麻痺、重症、活動的な癌患者は特にリスク高い。


■出血リスク評価
IMPROVE Risk Models

消化管潰瘍、3ヶ月以内の出血、血小板5万以下、肝不全、ICU/CCU入院、CV留置、膠原病、癌、性別、年齢、腎機能
⇒重みをつけて点数化、リスク評価

※特に以下の患者は抗凝固が基本的に禁忌(◇)

⇒活動性の出血(月経と皮下出血は除く)、頭蓋内出血、6-12時間以内に手術が予定されている、凝固障害あり、血小板低下(5万以下)


■具体的な対応

・low risk
⇒離床励行のみ
・moderate以上のrisk
…1つ以上のDVTリスクあり、出血リスク軽度
ヘパリン等によるDVT予防が推奨される

※moderate以上のDVTリスクがあるが、出血リスクがある場合

上記(◇)の場合は抗凝固が基本的に禁忌なので、機械的予防法(弾性ストッキング/フットポンプ)を必ず用いる
出血リスクが解除され次第、すぐ抗凝固開始する


参照 UpToDate

★薬剤でのrate controlは難しいため、DCやって良いが、塞栓症に気をつける。

■rate controlの適応

①有症候性の場合
②AFLを繰り返している人で、アブレーションが予定されていない場合
③持続性AFLでアブレーションが予定されてない場合(頻脈誘発性心筋症予防のため)
④Afアブレーション後のAFL


■rate controlの方法
●目標(参考)

・有症候性:80bpm未満、無症候性:110bpm未満

●薬剤

①Ca拮抗薬:房室結節の不応期↑、伝導速度↓より、心室への刺激回数↓
・ジルチアゼム(ヘルベッサー)
 …20mg/2min div、効かなければ15分後に25mg/2min div
 ⇒効けば10-15mg/hで持続投与
・ベラパミル(ワソラン)
 …5-10mg/3min div、効かなければ15-30分毎に繰り返す
 ⇒効けば7.5mg/hで持続投与
※投与禁忌
⇒心不全(NYHA3 or 4)、洞不全、2-3度房室ブロック、低血圧、副伝導路あり
 (WPW症候群など、副伝導路があると、AV nodeブロックによりrate↑)

②β遮断薬
・ランジオロール(オノアクト)
=超短時間作用型β blocker(エスモロールも)
 …使い方:参照 持続注射薬の使い方

③アミオダロン:房室結節不応期↑、洞調律化も期待できる
⇒血行動態が悪く、Ca拮抗薬やβ遮断薬が使いにくい患者に使っても良いかも
※ただ、基本的には血行動態が悪ければDCかけたい


●電気的除細動の適応

 …第一選択でもよい
・薬剤でのrate controlが難しい場合(けっこう多い)
・血行動態が不安定な場合
・副伝導路ある場合

※Afより頻度は少ないが、AFLも洞調律化時に脳梗塞のリスクはあるとされる
 +また、AFL患者はAfを合併していることも多い
抗凝固療法の適応はAfと同じで良い
 (CHADS2 scoreなど参照)


●アブレーション

・有症候性、又は繰り返す心房粗動なら適応


参照 UpToDate, Braunwald

★CKD Stage 4では推奨、透析になると推奨されない。

■機序
●CKD⇒塞栓リスク↑

・透析:血管内血液量が数時間で急に減る
   ⇒粘稠度が増す可能性あり
・内皮障害、動脈硬化↑
・RAAS系↑
・proteinC代謝、Glycoprotein Ⅰb発現、PAI-1発現などの変化
⇒正常なhemostasisが維持されず、塞栓症リスク↑

塞栓症リスクは、腎機能が悪ければ悪いほど上昇する
 +腎機能障害は、塞栓症の独立した因子(CHADS2には入ってないが)

●CKD⇒出血リスク↑

・尿毒症物質蓄積、血小板アラキドン酸代謝の異常、vWFの異常、細胞内ADP・セロトニン減少
⇒血小板機能異常


■対応
●CKD Stage3 (eGFR: 30-59)

・CHADS2 0点でも抗凝固薬の使用を検討する
・NOACはwarfarinに対して非劣等

●CKD Stage4 (eGFR 15-29)

抗凝固薬の使用が推奨される
ワーファリンが良い;NOACのエビデンスが乏しい
※ワーファリンは肝代謝
⇒但し、以下の場合は内服を推奨しない
 …転落リスク高い、大出血の既往、コントロール不良の高血圧、コンプライアンス悪い

●CKD Stage5 (eGFR<15)

・データは少ないが、Stage 4と同様の対応でよい

●維持透析

・抗凝固はcontroversialだが、脳梗塞のリスクを減らさないとの大規模研究あり
 +透析の度穿刺するし、上記より出血のリスク高い
抗凝固を選択しない理由は十分
⇒但し、以下の血栓ハイリスクの場合、ワーファリンによる抗凝固を検討する
 …心房内血栓、機械弁、TIAや脳梗塞の既往


参照 UpToDate  
用語 心房細動(Af) 

★カリウムは高くても意外に大丈夫で、ECG変化があると早急な治療対象。

■心電図変化
●高カリウムの進行に伴う心電図変化の流れ

 …機序の参照:P波減弱
T波増高、QT短縮
 …特異的でない;MI、LVH、早期再分極でもみられる
 (ただ、高KによるテントTは、QT短縮の結果なので左右対称)
⇒PR延長;房室伝導↓
 …Ⅱ-Ⅲ度AVブロックを伴うこともある
wide QRS
⇒偽性右脚ブロック+ST上昇:hyperkalemic Brugada sign
 …重篤な患者で、K>7meq/lの場合に見られうる
P波消失
 …正弦波パターン(サインカーブ)となることがある
QRS消失;Asystole、VF、VT
 
※但し、心電図波形から高K血症の程度/ 治療反応性を判断できない、とされる
 …重度の高Kでも心電図変化が無い場合もある
急な高K進行、アシデミア/ 低Ca/ 低Naとの併存、でECG変化しやすい
⇒ECG変化あれば早急な治療を(下記参照)

●高K血症による不整脈

・洞徐脈、洞停止
・心室固有調律による徐脈
・VT、VF、Asystole


■高K血症の治療

早急な治療を要する状況(危険な不整脈が誘発されうる状況)
・慢性高K血症(腎不全など):K≧7meq/l
・急性高K血症(溶血、組織破壊):Kの値によらず、K上昇がみこまれる
・心電図変化を伴う高K血症

●具体的な管理法
別記事参照


参照 UpToDate, Braunwald

★人によって全然違う。一例。

■緊急にカルディオバージョンする状況

①心筋虚血あり;狭心症状、もしくは心電図上
②臓器虚血あり
③重篤な急性心不全の徴候あり


■安定している状況
①原因検索、脳梗塞のリスク評価をする

・僧房弁狭窄、逆流
・甲状腺機能亢進症
・他、器質的心疾患

②まずRate control

●目標
有症候性の場合、85bpm以下まで
無症候性の場合、110bpm以下まで

●薬剤
β遮断薬
Ca拮抗薬(べラパミルかジルチアゼム)
・ダメならアミオダロン
・これらが使えない場合、ジゴキシン
PQ短縮(WPW症候群)が疑われる場合、β遮断薬とCa拮抗薬は用いない
…fast pathwayからのみ伝導、Vf誘発されるため

③Rhythm control

●基本的に、必ず試すべき
…二度とAfとならないかもしれないし、なったとしても頻度が少ないかもしれない。
 また、sinusに戻そうとしなければずっとAfのままかもしれない。
しなくて良い状況は、以下だけ
・無症候性で、高齢で、併存する疾患が多く、カルディオバージョンのリスクの方が大きいとき
・無症候性で、数年ずっとAfで、左房拡大(>55mm)している

●タイミング
発症後48時間以内なら、脳梗塞のリスクは少ないため、直ぐやる
・48時間以上の場合、経食道エコーで確認してからやる
⇒血栓を認めた場合、2-3週間抗凝固施行後にやる
すぐにカルディオバージョンする場合、rate controlは不要かもしれない

●方法
・電気的除細動
・アミサリン:400mg div、効かず血圧安定していれば再投与
・サンリズム:100-150mg経口、50mg div
 …腎排泄である点に注意。
・タンボコール:50mg div、再投与可
・アンカロン:150mg 10分以上でdiv
 …心不全ある患者には使いやすい。使い方のプロトコルが定められている
・他、リスモダンP:50mg、シベノール:70mgなど


参照 UpToDate、循環器治療薬ファイル、日循ガイドライン

★電位依存性Caチャネルが開きにくく、ST部分が延長するため。

■CaとQT
・Caは細胞内濃度<細胞外濃度(約1万分の1)
細胞内外の電解質濃度(mM)

 

細胞内

間質液

Na

5~15

145

K

140

5

Ca

10-4

1~2

Mg

0.5

1~2

H

7×10-5

4×10-5

Cl

5~30

110

HCO3

10

30 

P 

35

1


細胞外液低Ca
電位に影響する(低くなる)
電位依存性Caチャネルが開きづらくなる

●心筋の興奮
…Na流入:脱分極=QRS部分
⇒Ca流入(電位依存性Caチャネル):プラトー相=ST部分
⇒K流出(遅延整流性Kチャネル)=S〜次のpまで

⇒低Ca血症ではプラトー相が延長
ST部分が延長
⇒つまりQT延長


参照 UpToDate
更新 2015/1/10 

★アブレーションやEPS時に出てくる用語の解説。

■map

●主に2種類
voltage map:電位の高さ
activation map:どこかをリファレンスとし、それと比較した「電位の立ち上がりのはやさ」
⇒どのように興奮が伝導しているか、わかる


■○○ブロック、○○時間

S(刺激), A(心房), H(ヒス束), V(心室)の組み合わせ
…HVブロック=ヒス束から心室へ伝わらない、ということ
…S1A1=最初の刺激から最初の心房収縮までの時間


■頻回刺激法

●不応期、ブロックを評価する
accommodation:刺激に対して反応が安定すること
ウェンケ:Wenckebach型ブロックのこと。刺激頻度を増すと房室伝導時間が延長してくる

overdrive suppression
・早い刺激中止後、一過性に自動能が抑制される現象:通常
・早い刺激中止後、一過性に伝導能が悪化する現象:正確にはoverdrive suppression of conductionであり、fatigue現象ともいう。伝導異常を表す。


■房室結節内二重伝導路

●これによる頻脈がAVNRT。二重伝導路があることだけでは病的意義はない。
心室エコー
 心室期外刺激→His束→早い伝導路が不応期のとき、遅い伝導路を介して心房へ伝導
この時早い伝導路が不応期を抜けていれば、早い伝導路を介して順行性伝導→His束、心室へ


■頻脈性不整脈の機序

リエントリー
・二重伝導路が存在する下で、期外収縮
⇒伝導路Aで、不応期のため一方向性ブロックが生じる
⇒伝導路Bは緩徐伝導であり、ゆっくり伝わる
この間に伝導路Aの興奮性が回復
⇒BからAへ、逆行性に伝わる
⇒以降同じようにくるくる回る

異常自動能、撃発活動
参照:Triggered Activity(撃発活動)とは


■頻拍のEPS

reset
・リエントリーで頻拍が持続している時
⇒回路の近くで、良いタイミングで期外収縮を入れる
⇒回路に進入、逆行性伝導+順行性伝導する
逆行性伝導は、もとの頻拍の伝導と衝突して消滅
 順行性伝導は、そのまま回路を回る
⇒見かけ上、人工的に入れた期外収縮が、頻拍の興奮を早めている(advancement)
…これをリセットという
 =リエントリーであり、撃発活動でないことの証明

entrainment
・リセットと同様の刺激を連続刺激で行う
その刺激が回路をのっとった形となる
…これをエントレインメントという


■伝導異常

fragmentation
双極電極で、局所電位をとる
心筋異常がある所は、興奮がジグザグに、ゆっくり進む
⇒電位幅が広くなり、低電位となる
…これをfragmented electrogramといい、電気生理学的に病的心筋であるといえる

double potential
・fragmentationと同様に幅が広い電位だが、間にflatの部分があるもの
電極の位置に伝導ブロックがあり、2つの異なる時相の興奮を見ている、と判断される
※fragmentationでdouble potential様にみえることもあるが、基本的にdouble potentialは伝導ブロックと判断する


■不応期関連

phase 3&4ブロック
・心筋活動電位の3相は再分極期であり、ここに刺激があっても心筋は興奮しない(phase 3ブロック)
正常心筋はphase 3ブロックのみ
病的心筋は、4相である程度時間が経つとNa/Ca電流が不活性化される
もはや興奮できなくなる(phase 4ブロック)
⇒つまり、phase 3ブロックとphase 4ブロックの間に、興奮できる限られた期間がある
…これ(ある範囲でのみ反応がみられること)をphase 3&4ブロックといい、病的心筋であることを示す

gap現象
期外刺激の連結期を短くしていくと、やがて房室ブロックとなる
⇒さらに短くしていくと、再び房室伝導が回復することがある
…これをgap現象という。病的意義はない
説明)
・期外刺激①は、普通に伝導
⇒①より短い期外刺激②は、不応期の長い領域(◇)でブロックされる
⇒さらに短い期外刺激③は、(◇)以前で伝導遅延が起きており、(◇)に来た時には(◇)は不応期を脱している
 =③は伝導する


参照 EPS

★内向きNa電流遮断作用による。

■ブルガダ症候群;ST上昇の機序

・V1-V3は右室流出路領域の電位を反映していると考えられる
心外膜側の細胞は、「第1相に深いノッチ→続いてドーム」を認める(心内膜側にはない)
一過性外向きK電流(Ito)が関与(特に右室流出路に多い)
brugada3













Itoや他の外向きK電流↑、②内向きNa、Ca電流↓ の場合、心外膜側細胞のノッチが深くなる(=QRS後の電位が下がる)
 +脱分極に関与するNa電流が抑制されると、Itoに拮抗することができない
⇒心内膜側はほぼ変わらない
胸壁ECGは、心内膜と外膜電位差を表す
⇒ST上昇となる

●心内膜側は心外膜側細胞と比較し、先に脱分極、後に再分極終了する
⇒活動電位持続時間は心内膜側で長い
・内向き電流↓が大きい程、再分極が遅れる=心外膜細胞再分極が、心内膜細胞に遅れる
⇒saddlebackからcovedへ
brugada2
















■ブルガダ症候群の負荷試験

・Ⅰa群(fast Na遮断):フレカイニド(タンボコール)、ピルシカイニド(サンリズム)
内向きNa電流↓
⇒ST上昇を促進 

 
参照 UpToDate, EPS 

★基本的にはPV isolation。

■pulmonary vein isolation (PVI, 肺静脈隔離術)

①右、左大腿静脈穿刺、食道温モニターを留置
②CS電極、SVC電極を留置、ブロッケンブロー針を卵円孔に
③心房中隔穿刺、左房へシース留置
④左房造影
⑤Lassoカテーテル(リング状10極)で左房内電位をとり、CARTO CTとmerge
⑥アブレーションカテーテルを左房へ留置、LassoをLSPV(左上肺静脈)におく
 ⇒肺静脈電位を確認+CS pacingで左房電位の後に肺静脈電位が続くことを確認(左房と肺静脈が伝導している)
⑦左肺静脈隔離(LSPV, LIPVをまとめて囲う)、右肺静脈隔離;肺静脈電位消失を確認
RSPV焼灼の際はSVC pacingしながら
…SVCと横隔神経は近く、paceするとswitching(しゃっくり)認める
⇒RSPVの前面を横隔神経が通り、横隔神経損傷がないか確認しながら焼灼する

⑧LassoをそれぞれPVにおき、CS pacing
 ⇒Lassoは左房収縮の電位はひろうが、その後に続くPV電位は消失している(左房→肺静脈伝導消失)
⑨Lassoからpacing
 ⇒pacingにより肺静脈電位を認める(pacing直後の電位)が、それに続く心房電位が消失している(肺静脈→左房伝導消失)
…この際再開通認めれば、最も近いLasso電極の部位から再アブレーション、伝導ブロックを確認

※食道温モニターの位置を見て、食道と左房の位置関係を把握
⇒食道と近い位置を焼灼する時、温度に特に注意(心房食道ろう が合併症)


■roof line, botom line作成

・Afは、主にPV起源の期外収縮から、左房内のリエントリーを介するとされる
⇒左房内リエントリー(縦方向)は左房上面か下面を含むことが多い
⇒左房上面 (roof line) or下面 (botom line) の線状焼灼を追加することもある


■CAFEアブレーション

・左房内のcomplex fractionated atrial electrogram (CFAE) 
⇒Af持続に必要だと考えられる
⇒同部位を見つけて消却する(60分以内にする)


■SVC isolation

・期外収縮の起源がSVCであることもある
①SVC造影
②アブレーションカテーテルで電位をとり、map作成
③通電
※twiching(横隔膜と同期)に注意:横隔神経へ通電しており、術後横隔神経麻痺を呈しうるため


参照 EPS, UpToDate

★EPSして初めてわかるものも多い。

■narrow QRS tachycardiaの鑑別

AVNRT(房室結節リエントリー性頻拍)
・房室結節に二重伝導路があり、そこでのリエントリー
⇒slow-fast, fast-slow AVNRTがある
AVRT(房室リエントリー性頻拍)
・副伝導路が関与するリエントリー
⇒房室結節-副伝導路 (正方向性:orthodromic)、副伝導路-房室結節(逆方向性:antidromic)、副伝導路間AVRTがある
・参照:副伝導路はどこにあるか
SANRT(洞結節リエントリー性頻拍)
・洞調律と類似したp波だが、発生と停止が明確なもの
IART(心房内リエントリー性頻拍)/ incisionalリエントリー性心房頻拍
・心筋障害による瘢痕組織でリエントリーを形成したもの
・心房切開後に生じた切開痕が関連したものを、incisionalリエントリー性心房頻拍という
AT(心房頻拍)
・参照:心房頻拍(AT)って何?
自動性房室結合部頻拍
・非リエントリー性で、異常自動能か撃発活動が原因として考えられる
・房室解離を伴うが、発作時は1:1となりやすいので、心電図上ARNRTと鑑別困難
⇒AVNRTアブレーションで治らない場合考える
ST(洞頻脈)
AFL(心房粗動)
・ATとの違いは十二誘導心電図上の話。心房細動はCTI ablationで治せることが重要。
Af(心房細動)


※PSVT(発作性上室頻拍)

・多くはAVNRTかAVRTだが、AVRTは心室を巻き込んだリエントリーであり、厳密には上室頻拍とはいえない
⇒しかし、AVNRTかAVRTか鑑別困難な時、PSVTは使いやすい用語
⇒厳密には、「房室結節がリエントリー性頻拍の一部として含まれるもの」 

※AVNRTとAVRTの鑑別

通常型AVNRTはQRSとp波がほぼ同時に発生;p波が全く分からない(pseudo S波)か、QRS後半部にノッチがある
AVRTはQRS終末付近にp波ある;p波が明瞭に観察される
⇒但し、AVNRTのfast pathway伝導が遅い場合、明瞭にpが見えることもある


参照 EPS 

★Kent束の場所から興奮が始まることを考える。

■副伝導路の種類

心房と心室を直接結ぶ(Kent束) 
・右房と右脚を結ぶ
・右房と右室を長い距離で結ぶ
・房室結節と心室を結ぶ(nodo-ventricular Mahaim線維)
・房室結節とHis-Purkinje系を結ぶ(node-fascicular Mahaim線維)
・房室結節内(James線維)


■心電図の特徴
●デルタ波

PQ短縮が重要;副伝導路を介した早い伝導により心室が興奮、その後房室結節を介した興奮と合体することによる

●副伝導路の位置

1















・以下、デルタ波が
① Ⅰが± or −か、V1 R>S;右向きの電流左側自由壁
 ⇒aVFが+;総合的に下向き=左側前壁〜側壁
  aVFが−;総合的に上向き=左側後側壁〜後壁
② ①でない、かつⅡが−;心外膜下(CS憩室に関連した副伝導路)
③ ②でない、かつV1が± or −;V1から遠ざかる左向きの電流中隔
 ⇒aVFが−;後中隔
 ⇒aVFが+、かつⅢ R>S;総合的に右下を向く電流=前中隔
 ⇒aVFが+、かつⅢ R<S;総合的に左下を向く電流=中位中隔
④ ③でない=V1が+;V1に近づく左向きの電流右側自由壁
 ⇒aVFが+;右側前壁〜前側壁
 ⇒aVFが−、かつⅡが+;右側側壁
 ⇒aVFが−、かつⅡが−;右側後壁〜後側壁


参照 EPS

★機能は、ペースメーカー<ICD<CRT-D

■ペースメーカー

・主な適応は徐脈の症状をとること
 …様々なmodeがある 参照:ペースメーカーの設定
・SSSにはDDD(2本リード)が推奨される
 …洞結節が悪い状態でも、房室結節が悪くなるリスクが高いため
⇒基本的には、心房▶心室」で収縮することを目指す


■ICD: implantable cardioverter-defibrillator

・主な適応はVF/VTによる突然死を防止すること
「ペースメーカー+除細動機能」と考えられる
・ショックは、①ジェネレーター(本体)とショックコイル(リードの先端)間、②ショックコイル間、の2種類ある
リード2本(dual-chamber ICD)の場合、AF, PSVT, VT, VFの鑑別を高精度に行うことができる
※下記参照
● ICDの機能
抗頻拍ペーシング(ATP:anti-tachycardia pacing)
・特にリエントリー性VTに対する治療
・ショックに比べ苦痛が少ない
・多形成VT/VFにはあまり有効でない
②カルディオバージョン、除細動
・VFと判断されれば除細動行われる
参照:除細動とカルディオバージョンの違い,その原理
③徐脈治療(ペーシング)
・ペースメーカーの機能と同様


■CRT-D:cardiac resynchronization therapy - defibrillator

CRT+ICD機能
リードが3本必要:右房+右室+冠静脈洞
・「左右心室が同時に興奮する」ことを目指す(=CRT)
…dyssynchronyによる心拍出量の減少を改善させる;左脚ブロックや心室内伝導障害
・重症心不全に対する利益が証明されている
…outputを増やす、心室リモデリングを逆転させるなど


■リードの構造

●上の機械は全て、ジェネレーター+リード、という構成
①先端
固定がpassiveかactiveか
…passive:羽のような構造で、肉柱に埋まる
 active:スクリューを出して埋める(心臓のどこにでも配置可能)
※現在はほとんどactive
②導線
unipolarかbipolarか
⇒一重だとアーチファクトが多い
ショックコイル
・ICD機能を使う場合必要:ここから電気が出力される
ショックコイル2本がついているリードが多い(RVとSVCなど)
…dual chamber ICDの場合、「ショックコイル2本付きリード+ショックコイルないリード」
⇒ショックコイルとジェネレーター間だけでなく、ショックコイル間で通電できる
⇒必要電力がへり、除細動閾値(DFT:defibrillation threshold)が下がる
※ショックコイル付きのリードは、sensing, pacing, shockの全てが可能。


参照 UpToDate, Brawnwald, ペースメーカー友の会

★脚ブロックの病態は伝導遅延なので、3脚とも伝導障害が起きるとPQ延長するため。

■脚ブロック

・右脚、左脚前枝、左脚後枝のどれかの伝導が落ちる、という病態
伝導遅延 or 伝導しない
他の脚により、心房と心室は正常に伝導する
⇒房室間の伝導時間を示すPQ間隔は延長しない

●2脚ブロック(2枝ブロック、2束ブロック)
…2脚の伝導が落ちている状態
⇒心電図で診断できる
 ①右脚+左脚前枝;RBBBパターン+軸が-45度以下
 ②右脚+左脚後枝;RBBBパターン+軸が120度以上
 ③左脚前枝+左脚後枝;LBBBパターン
…残りの脚は正常伝導するため、PQ延長はない

●3枝ブロック(3束ブロック)

…右脚、左脚前枝、左脚後枝の全ての伝導が落ちている
心房から心室へ伝わる時間が長くかかる
PQ間隔が延長する
3脚とも完全に伝導しない場合、完全房室ブロック(3度房室ブロック、房室解離)となる


■1度房室ブロック

心電図上PQ間隔が延長している状態をいう
原因として心房、房室結節、His束のどこに伝導障害が起きていても良い
ほとんどは房室結節の伝導遅延
※2度房室ブロック、3度房室ブロックの原因も、房室結節の伝導障害であることが多い


■混乱する用語

・3枝ブロックは「3脚とも伝導遅延している」という病態を表すが、1度房室ブロックとは「PQ延長」という心電図上の診断
⇒3枝ブロックは心電図上、「2脚ブロックのどれかのパターン+PQ延長」か「完全房室ブロック」となる
⇒よって、2脚ブロック+1度房室ブロックをみたら3脚ブロックといえる

・左脚前枝+後枝ブロック=左脚ブロックなのに、これが2脚ブロックのカテゴリーに入るのはおかしい

●1つの脚ブロックは、心電図でほぼ確実に診断できるが、2つ以上になるとやや複雑になることが問題
⇒AHAは2脚 or 3枝ブロックの用語を避けるよう勧告している


参照 UpToDate、Braunwald's heart disease

★VVIとVVTの違い、DDIとDDDの違いを理解する。

■国際ペースメーカーコード

1文字目刺激電極の位置
 …A(心房)、V(心室)、D(両方)
2文字目感知電極の位置
 …A(心房)、V(心室)、D(両方) 

3文字目自己心拍を感知した際の応答(★)
 …T(Trigger 同期):その時点で刺激を与える
  I(Inhibition 抑制):次の刺激を取り消す
  D(両方)
自己心拍が感知されなければ、設定通り刺激される 
…自己心拍の上に刺激してしまうと危険
⇒★の機能をデマンド機能という

tracking機能心房、心室間で同期する
…心房収縮 or 心房ペーシング
⇒設定された房室 delay:AV delay
⇒刺激(AV delayの間に心室の自己心拍が感知されると、心室刺激を抑制)
これがあるかないかが、DDIとDDDの違い
 

■主なモードの特徴

①VVI
設定した回数より心室の自己心拍が少ないときのみペーシング、そうでなければペーシングしない
・右心室に1本のリードのみ
※VVIとVVTの違い
⇒自己心拍をセンシングした時、VVIはトリガーなし、VVTはトリガーあり
⇒しかし、VVTのトリガーは心室絶対不応期と重なり、結果的に自己収縮のみとなる
⇒つまり、VVIとVVTの働き方は同じ
⇒しかしVVTは電力消費が多いため、現在使われない

②DDI
・VVI + AAI

⇒心房か心室のどちらか収縮すれば、刺激はお休み
・右心房、右心室に1本ずつのリード

③VDD

・センシングはAとVだが、刺激はVのみ
⇒これでも右心室に1本のリードで済む
心房の自己脈がある前提のtracking機能
 =洞結節が正常の場合、DDDと同じ
⇒しかし、Aをセンシングしない(アンダーセンシング)と、VVIと同じになってしまう
⇒2本のリードも入れたくない高齢者に適応。

④DDD

・完全なtracking機能
…心房収縮あり、その後心室収縮無ければ、心室収縮をトリガー
 心房収縮無ければ、それもトリガー
・右心房と右心室に1本ずつのリード
最近は基本的にDDD
⇒但しAfの場合DDIにする;AセンシングVトリガーすると大変なことになるため

 
参照 各種サイト 

★脂肪が動脈系につまるだけでない。

■臨床症状

三徴低酸素、点状出血、神経障害
 …これらを受傷から24〜72時間で呈す
・低酸素:約半数で呈する。人口呼吸が必要なことあり。
・点状出血:20〜50%で認める。5〜7日で治る。
・神経障害:だいたい認める。意識障害、けいれん、巣症状等認める。一過性。


■機序
1.物理的な塞栓

・骨折など
細静脈が破壊
⇒骨髄に解放する
骨髄が静脈系に侵入、肺へ
※整形外科手術中に、エコーで右心に何か飛んでいる様子が見られることから。

・その後

肺に沢山つまる
 ⇒肺動脈、右心圧↑
 ⇒卵円孔開く
 ⇒動脈系へ
塞栓が小さい
 ⇒肺をパスして動脈系へ
 ※卵円孔ない患者でもみられることから。 
⇒脳梗塞(神経障害)、点状出血
●しかし、侵襲から24〜72時間で症状見られることと合致しない。


2.害のある中間物ができる

①骨折など
血中脂肪濃度↑
⇒加水分解
遊離脂肪酸↑
⇒肺障害、心障害

CRP↑
脂肪凝集↑
⇒微小血管にて血流障害

※これらは、症状出現しやすい時間の説明になる。


参照 UpToDate 

★Naチャネルとの結合速度が違う。

■分類

●Ⅰ群をNaチャネル遮断薬と分類
活動電位持続時間(APD)を延長させるものをⅠa、短縮させるものをⅠbとした
⇒その後でてきた、APDに影響を与えないものをⅠcとした
(大雑把だが、臨床的に使いやすい分類)

Naチャネルとの結合、分離の速さで分けられる
 速い:Ⅰb > Ⅰa > Ⅰc:遅い


■Naチャネル遮断の意義(1群共通の機序)

①薬はプラスに帯電している
⇒Naチャネルのアミノ酸残基と相互作用する
⇒Naチャネル遮断
心筋活動電位0相の脱分極の立ち上がりを抑制
伝導速度を低下
⇒異常な伝導、異常興奮している細胞を抑制
⇒不整脈を止める

※use-dependance
・速い心拍数
薬が分離する時間が少ない
⇒ブロックされるチャネルが増える
刺激伝導速度↓
Ⅰc > Ⅰa > Ⅰb の順にみられる

洞房結節細胞の閾値電位を上昇させる
 +自動能を抑制


■Ⅰc群

・Naチャネルとの分離がかなり遅い
⇒活動電位の立ち上がり速度(0相脱分極)を顕著に抑制(=伝導速度↓)
活動電位の持続時間にはほとんど影響しない

①ピルジカイニド(サンリズム
・使いやすく、心房細動によく使われる
・半減期4時間と短い
②フレカイニド(タンボコール
・CAST study(抗不整脈薬で生存率低下)で使われた
・陰性変力作用が強い
器質的心疾患あると使えない。ないAfとPSVTに
③プロパフェノン(プロノン)
・β遮断作用あり


■Ⅰa群

Kチャネル遮断の性質ももつ。一部抗コリン作用も。
・活動電位の立ち上がり速度を抑制
+活動電位の持続時間を延長(=QRS wide):Kチャネル遮断による
 ⇒心室不応期を延長

①プロカインアミド(アミサリン
静注でつかいやすい:上室性だけでなく、VTにも効果あり
②ジソピラミド(リスモダン
抗コリン作用が強い。陰性変力作用もある
③シベンゾリン(シベノール
・リスモダンに似ている


■Ⅰb群

・再分極の時間を短くする;脱分極した組織において、特に効果を発揮するため
活動電位の持続時間を減少
・基本的に心室不整脈に適応

①リドカイン(キシロカイン
・半減期1〜2時間と短い
・安全域が広い
②メキシレチン(メキシチール)
・リドカインと似ている
③アプリンジン(アスペノン)
・心房不整脈にも有効
 

参照 UpToDate、循環器治療薬ファイル、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/32/3/32_428/_pdf 

★ビタミンKは、凝固因子やプロテインC,S活性のための補酵素。

■ワーファリン

①ビタミンK依存性のγカルボキシル化(下述)を阻害;Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ
⇒活性していないこれらの蛋白ができる
⇒抗凝固

②ビタミンK依存性のγカルボキシル化を阻害;プロテインC, S
 …これらは活性化Ⅷ, Ⅴを抑制する(下述)
 =抗凝固活性をもつ
⇒凝固↑
※①、②といった相反する作用をもつ

プロテインCが最も早く活性無くなる(半減期が短い)
⇒投与後1日程度、一過性の過凝固状態となる
Ⅱ因子の半減期が最も長く、約3日
⇒ワーファリンの十分な効果発現まで3日程度かかる 
⇒平衡に達するのは7日程度必要。
Ⅶ因子の半減期は4-6時間
⇒投与開始後すぐにPT延長するが、それはⅦ因子の分。


■詳細な反応;γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)生成

●ビタミンKを補酵素として必要とする反応
・活性化ビタミンK(ビタミンKアルカロイド
グルタミン酸のγ-炭素基から、水素イオンをもらう
 …これにより、ビタミンKアルカロイド→ビタミンKエポキシド
⇒グルタミン酸のγ-炭素基に、CO2付加
Gla

・ビタミンKエポキシドは、ビタミンKレダクターゼにより、ビタミンKH2(非活性体)
これにO2付加されビタミンKアルカロイドに
ワーファリンは、ビタミンKレダクターゼを阻害
=ビタミンKのリサイクルを阻害

Glaドメイン:ビタミンK依存性凝固因子、プロテインC,Sに10-12個存在
⇒Caイオンと結合することで構造変化
リン脂質結合部分が露出
血小板のリン脂質と結合、それぞれの作用発現


■プロテインC, S

・凝固カスケードにて、Ⅱa(トロンビン)がトロンボモジュリンと結合
⇒トロンビンの構造変化
プロテインC活性化;activated protein C(APC)
リン脂質表面のプロテインSと作用
Ⅴa, Ⅷaを不活性化
⇒抗凝固作用

 ●プロテインS

・2パターンで存在
 ①フリー:上記の抗凝固作用をもつ
 ②補体のC4bと複合体形成して存在:不活性体
  ⇒急性期炎症蛋白で、炎症部位に多く発現
  ⇒炎症部位で①の割合低く、凝固優位となる

 
参照 UpToDate 

★右脚ブロックに特徴的なST変化があり、それ以上のずれでST変化を判断する。

■右脚
・右脚の中身
 …結合組織に覆われたプルキンエ細胞(伝導速度が速い)
・右脚の血流:LADの中隔枝から。RCAやLCxからのコラテがあることも。
・右脚の走行
 ①上1/3:室間中隔の右側、内膜寄り
 ②中1/3:中隔の心筋内
 ③下1/3:中隔の内膜寄り
 ⇒ほとんど枝分かれせずのびる
 ⇒右後乳頭筋あたりで枝分かれ
※ほとんどは近位で右脚ブロックが生じるが、心臓手術後など中~遠位で切れることもある


■右脚ブロック(RBBB)の原因
・たいていは機能性(特に原因無し、人口の1%程度に認める)
・心臓の構造異常:右室肥大、肺塞栓、虚血、心筋炎
・医原性:右心カテーテル、PTSMA


■RBBBとST変化
・脚ブロックの場合、QRSと逆向きのST変化が生じる
QRSと同じ向きのST変化の場合、QRSと逆向きだが変化が大きい場合(5mm以上)、有意ととらえる
Q波、R波の異常は、通常心電図と同じく診断できる
⇒右脚ブロックでは、最初の0.04秒間に伝導障害認めないため
 …右室肥大では後壁・下壁誘導にq波が認められ、MIと心電図が似てしまう場合あり

■Brugada症候群
・RBBBは予後の良い疾患として知られていた
⇒しかしRBBBにST変化がある例の一部は、突然死のリスクがあることが証明された
⇒Brugada症候群
 ※右脚ブロックと区別が難しい場合がある、ということ。
・ST上昇のパターンがCovedとSaddlebackとある
⇒CovedがVFを誘発するため、ICD埋め込みを
⇒Saddlebackの場合、危険因子があったりCovedへの変化が認められればICD埋め込みを


参照 UpToDate、週刊医学会新聞

★アミオダロンの半減期は100日なので,副作用も遷延する.

■甲状腺機能異常
亢進も低下も起こる.
①アミオダロンはヨウ素を含む
⇒アミオダロン200mg/dayにつき,6mgのヨウ素が吸収される
 …成人1日の摂取量は0.3mg
⇒正常ならヨウ素を多量に摂取しても,甲状腺ホルモンの合成は亢進しない
 (Wolff-Chaikoff effect)
結節性甲状腺腫,自己免疫性甲状腺疾患などもつ人は,Wolff-Chaikoff effectがうまく働かない
甲状腺機能亢進

②アミオダロンは甲状腺ホルモンを阻害する
 ・「T4→T3」の5'-脱ヨードを阻害する
 ⇒T3産生↓,revearse T3産生↑
 ・T3受容体の核受容体への結合を阻害する
甲状腺機能低下

③甲状腺濾胞細胞を直性攻撃する
壊性甲状腺炎を起こす
⇒甲状腺機能亢進(→低下)


■肺毒性
●間質性肺炎,ARDS,肺胞出血など多彩.
肺を直接傷害する
 ・肺に親和性が高い
 ・アミオダロン-リン脂質複合体が細胞内に蓄積
  ⇒代謝経路を阻害
  ⇒アポトーシス,ネクローシス
 ・活性酸素を生成
 ・慢性炎症を惹起
アレルギー
 ・リンパ球浸潤(CD8優位)
 ・免疫染色で,肺にIgG陽性となる


■心毒性
①洞除脈.房室ブロック
 ・その部位のCaチャネル阻害による

②QT延長
 ・Kチャネル阻害による
 ⇒しかしTorsade de pointesは起こらない
 …早期後脱分極によるtriggared activityが起きづらいため


■肝毒性

●機序
リン脂質とアミオダロンが複合体形成
 ⇒リン脂質の分解できない
代謝の過程で毒物を産生しやすい体質がある
 ⇒特に肝細胞
⇒肝障害
※組織的にはアルコール性肝硬変と似る
●症状
一過性AST,ALT上昇は25-50%に認める
肝内胆管胆汁うっ滞も認める⇒Bil上昇


参照 UpToDate

★ACLSアルゴリズムではそうだが,実臨床では重症度に応じる.

■緊急カルディオバージョンの適応
①虚血症状・ECG
②臓器虚血の所見
③急性心不全の所見
④副伝導路があり,心室レートがかなり速くなる,と見込まれる
※他,重症と判断された時.

・常に塞栓のリスクを考慮にいれる
発症後48時間以内の場合,リスクは低い(ゼロではない)
 …抗凝固薬をするかどうか,コンセンサスはない(がやることが多い)
 ⇒ほとんどの患者は,緊急カルディオバージョンの適応とならない
 ⇒様子を見るか,薬物を用いる(下記参照)
※自然に消失:72時間以内のAfのうち68%

●カルディオバージョンの適応外
①全く症状がない
②80歳以上で色々な合併症ある
③サイナスに戻す事より,薬剤やカルディオバージョンのリスクが高い
④CHADS2 scoreが高い


■薬剤

○心室レートを下げる(110bpm以下)ことが重要
 =レートコントロール
サイナスに戻らなくても,症状消失することがある
β遮断薬
Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)
心不全ない場合に推奨
・この使い分けは医師と患者の好み,状況に応じる
⇒β遮断薬が有用:MI,労作性狭心症がある場合,心臓手術後
           …レートを下げる作用が強い
  Ca拮抗薬が有用:慢性肺疾患がある場合

ジゴキシン心不全によるAfと分かっているときのみ推奨
        ⇒交感神経↓による洞結節の興奮↓だけでなく,
         心拍出量↑による循環改善から,交感神経↓(興奮の必要なくなる)の作用もあり
        ⇒更に,循環が改善すると不整脈が止まることもままある
        ※①,②に追加することで作用増強する-この使い方もある
④プロカインアミド
・副伝導路による早期興奮ある場合に適応
⇒洞結節を抑えるベラパミル,ジゴキシンなど禁忌のため

アミオダロン:心機能悪い場合,他の薬剤が効かない場合


■基礎疾患の検索・検査
・TSH,fT4
 ※参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/34629070.html
・CBC,電解質,腎機能
・胸部X線(心不全),心エコー(僧房弁疾患)
※トロポニンTなどMIの検索は,心電図でひっかかった場合のみで良い
 …心筋梗塞の症状がAfのみであることは,極めてまれだから.


参照 UpToDate
➤心房細動, 心電図,抗不整脈薬,甲状腺機能,除細動

★高血圧が遷延し,内膜肥厚したことによる脳梗塞.

■ラクナ梗塞
穿通枝、小動脈の散在性閉塞のこと
●メカニズム
穿通動脈(3-7mm)の脂肪硝子変性
 ⇒穿通動脈:脳幹や脳の深部灰白質に栄養する
穿通動脈基部の動脈硬化,肥厚
 …中大脳動脈幹,ウィリスの動脈輪,脳底動脈,椎骨動脈
※この2つは病理学的に証明されている

塞栓による小動脈の梗塞

●症状
片麻痺:内包後脚,橋底部
・純粋感覚型脳卒中:視床腹側
・失調性片麻痺:橋腹側,内包
構音障害:橋腹側,内包膝部
・認知症
梗塞巣は小さいが、はっきりとした症状を呈する


■BAD:Branch Atheromatous Disease

穿通枝入口部が閉塞し、穿通枝まるまる1本が閉塞したもの
 …もとは病理学的な概念であり、臨床的な定義はされていない
 +現状では、画像検査で穿通枝の閉塞を示すことは困難
 ⇒梗塞巣で判断する

●臨床的には、橋正中動脈、レンズ核線条体動脈の閉塞が原因として多い
以下の条件で、主幹動脈の狭窄・心原性の要素がないもの
橋正中動脈(paramedian pontine artery:PPA)
・橋腹側の梗塞巣
・橋のみの梗塞の32-57%
レンズ核線条体動脈(lenticulostriae artery:LSA)
・基底核の梗塞で病変が水平断で3スライス以上に及ぶもの

●BADという概念が重要なのは、急性期に症状の増悪を認めるため
 …BADで51%, 非BADで22%


参照 ハリソン,UpToDate, KNI activities 2008-2009
更新 2014/7/23 

★半減期が短いため,抗凝固の中止期間が短くて済む.

抗凝固薬を中止しないと…
明らかに出血リスクが高まる
・ヘパリン置換後,4時間休薬して手術に臨めば,出血リスクとならない
※ワーファリン休薬後,INR正常化するまでは4-6日かかる

抗凝固薬を中止すると…
・脳梗塞,塞栓は0.5%に,術前のmajorな出血イベントは3.8~5.1%に見られた
(ヘパリン置換はこの内15~28%に行われていた)
⇒ヘパリン置換の意義の是非が問われた(RE-LY trial)
・但しランダム化試験がなく,ヘパリン置換の是非は不明
⇒コホートでは,塞栓の高リスク患者(prior stroke, CHADS2 score ≥4)のみヘパリン化が有用,とするものも.
結局、ヘパリン置換の是非は不明だが、現状行われている所が多い。


■ダビガドラン(プラザキサ)の場合
・半減期が12-14時間
ヘパリン置換は必要ないとされる


参照 UpToDate

★心停止=pulseless VT or VF

◎VT(心室頻拍)
⇒3回以上連発する,心室起源の頻拍(>100bpm)
・単形性VT:QRSがだいたい同じ
・多形性VT:QRS違い,RR間隔も異なる 

◎VF(心室細動)
⇒正常なQRSなく,P波も見られない
⇒絶対意識消失する

◎Torsade de pointes
QT延長による
⇒定義が2通りある
 ・Torsade de pointesを多形性VTとするもの
 ・QT延長の有無で多形性VTとTorsade de pointesを分けるもの
・サインカーブ状の振幅変化のある,VF様波形

★VTとVFの鑑別
・wide QRS頻拍
意識消失あり: VF or 無脈性VT(規則的)
⇒意識消失なし: VT or 脚ブロック+上室性頻拍(心房起源)
 ※p波あれば上室性頻拍

★VFとTorsade de pointesの鑑別
・Torsade de pointesの古典的な波形がはっきりすることは少ない
⇒①Torsade de pointesは,多形性VTのうち間欠期にQT延長を伴うもの
  ⇒発症直前,若しくは止まった直後の波形
  ②Torsade de pointesは非持続性のVTなので,30秒以内に大抵止まる



治療の観点(ACLS2010に準拠)
・VF,無脈性VT
心停止アルゴリズムに準拠する
・脈のあるVT
脈拍のある頻拍アルゴリズムに準拠する
⇒不安定な;電気ショック
      ※規則的:同期電気ショック100J,不規則:同期電気ショック200J(wide), 除細動(narrow)
⇒状態安定な患者;迷走神経刺激(regularの時)
                   ⇒irregular=AFだが,AFは房室結節を介したリエントリーを持たないため
            薬物療法

※治療が異なってくるポイント
 心停止がTorsade de pointesによると疑われる場合⇒硫酸Mg投与推奨
 Torsade de pointesによる安定した頻拍の場合⇒硫酸Mg,リドカイン使用できる
 Torsade de pointesの場合,QT延長に対する精査が必要
⇒一次救命(心停止)の段階では,鑑別は重要でない;アドレナリン,アミオダロンしか使わない
⇒洞調律に戻った後,QT延長の原因検索をするかがポイント.


★心臓の動きを止め,サイナスになるかは自動能に任せる!

1.違い
除細動:心室細動(VF)か無脈性心室頻拍(pulseless VT)にのみ用いる
    ⇒でかいショックを与え,心筋全部を一気に停止させる
カルディオバージョン:VF,pulseless VT以外の頻脈性不整脈に用いる
            ⇒心拍と同期し,R on Tにならない時にショックを与える

2.原理

・細動(AF,VF)以外の頻脈
⇒大きなリエントリーサイトが原因となっている
⇒電気ショック
心筋細胞が脱分極する
⇒心筋組織が,刺激に不応となる
⇒リエントリーが成立しなくなる
⇒頻脈が止まる

・AFとVF
(※依然としてcontroversialである:persistent micro reentryが心筋全体で起こっているため)
●一定の電気密度になると除細動されることは分かっている
⇒電力が足りていないか,電気が心臓全体に届いていないか(仮説).

頻脈が止まった後は,洞結節の自動能に任せる!
⇒また変なところ(肺静脈口など)から刺激が出ると,不整脈が再発する.


参考:up to date

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