知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

循環器;虚血・弁膜症・カテ・先天性・遺伝

★トロポニンが最も重要。

◎この分野は様々な研究がされています。一例を紹介しますが、基本は一緒です。


■基本

・胸痛患者が来たら、まず採血+Xp+ECG
⇒ECGで虚血性変化があればACSを考える
 …ACSはSTEMI, NSTEMI, UAP
 ※NSTEMIとUAPの違いはトロポニンが上がるか上がらないか
(レントゲンでは解離を除外する。わかりにくければCT)

トロポニンの上昇が極めて重要;3時間あけて2回測定することが推奨されている
 …2回目でcut-off値を上回ったら、基本的にAMI=NSTEMIということ
 ⇒STEMIは心電図で診断されているはずなので。

・よって、次のシチュエーションがよく問題となる。
 :ECGで変化なく、トロポニンも上がっていなかった場合
全患者に2回測定する必要があるのか?


■リスク評価の例

 the modified goldman score ⇒ the TRUST accelerated diagnostic protocol(ADP)
●the modified goldman score(それぞれ1点)
・初発の安静時の狭心痛
・前回心筋梗塞の時と同じ痛み
・ニトロ使用しても15分以上痛みがとれない
・60分以上持続する痛み
・だんだん頻度が増加している胸痛
・低血圧(sBP<100))
・急性の呼吸困難感
・MI、PCI、CABG後6週間以内の胸痛

●TRUST ADP

low risk(=帰してよい)以下の3つを満たす
 the modified goldman score=0か1
 虚血を示唆するECG変化なし
 hsTnT<14 (14がcut-off値)

・その他はnot low risk

→予後は問題なかった。


※TIMI risk score(各1点)
・65歳以上
・FHあり, HT, DLP, DM, current smokerの内3つ以上
・50%以上の冠動脈狭窄の既往
・ST changeあり
・24時間以内に2回以上の狭心症症状
・7日以内にアスピリンを服用
・トロポニン陽性

これは有名だが、かなり昔のもの。要点はついているように思える。


■どういう解釈か?
・現状ではACSでUAPが少なくなった=ほぼNSTEMIなので、トロポニンの値にACSの診断を大きく依存しています。トロポニン上がらないけどそれっぽいな、という時、2回目の測定し、それでも上がらない時入院させるか迷います。

・まあ不安であればトロポニンフォローすべきです。20%以上の増減+片方がcut-off値(99percentile)以上によりAMIと診断されます。

・胸痛発症後時間が経って来院された場合は、1回の採血で目処を立てても良いです。


 
参照 Heart 2015;101:1041-1046

★研修医、コメディカル用。

◎分類ごと、アルファベット順にしました。

■解剖

AML (anterior mitral leaflet):僧帽弁前尖
BK (below knee):膝下の動脈
CS (coronary sinus):冠静脈洞
D (diagonal branch):対角枝
FA (femoral artery):大腿動脈
ICA (inaternal carotid artery):内頸動脈
LITA (left internal thoracic artery):左内胸動脈
LMT (left main trunc):左冠動脈主幹部
PML (posterior mitral leaflet):僧帽弁後尖
RITA (right internal thoracic artery):右内胸動脈
SVG (saphenous vein graft):大伏在静脈グラフト


■不整脈
AFL (atrial flutter):心房粗動
APC, PAC (premature atrial contraction):心房性期外収縮
AT (atrial tachycardia):心房頻拍
BTS (bradycardia-tachycardia syndrome):ブラタキ。徐脈頻脈症候群
 …もしくはblue toe syndrome
cAVB (complete atrioventricular block):完全房室ブロック
CLBBB (complete left bundle branch block):完全左脚ブロック
CRT (cardiac resynchronization therapy):心室再同期療法
 …CRT+P:ペースメーカー、CRT-D:除細動器
DC (direct current shock):直流通電(ショック)
IRBBB (incomplete right bundle branch block):不完全右脚ブロック
PAf (paroxysmal atrial fibrillation):パフ。発作性心房細動
PAT (paroxysmal atrial tachycardia):発作性心房頻拍
PMI (pacemaker implantation):ペースメーカー埋め込み
PMR (pacemaker replacement):ペースメーカージェネレーター交換
PSVT (paroxysmal supraventricular tachycardia):発作性上室性頻拍
PVC, VPC (premature ventricular contraction):心室性期外収縮
SR (sinus rhythm):サイナス。洞調律
SSS (sick sinus syndrome):洞不全症候群
VF (ventricular fibllation):心室細動
VT (ventricular tachycardia):心室頻拍


■虚血
AMI (acute myocardial infarction):急性心筋梗塞
AP (angina pectoris):労作性狭心症
CAB (=CABG, coronary artery bypass graft):冠動脈バイパス術
CAD (coronary artery disease):冠動脈疾患
CTO (chronic total occlusion):慢性完全閉塞
IHD (ischemic heart disease):虚血性心疾患
MVD (multivessel disease):多枝病変
OMI (old myocardial infarction):陳旧性心筋梗塞
POBA (percutaneous old balloon angioplasty):古典的経皮的バルーン血管拡張術
AP (stable AP):安定狭心症
UAP (unstable AP):不安定狭心症
VSA (vasospastic angina):冠攣縮性狭心症
 =CSA (coronary spastic angina)


■カテ
DSA (digital subtraction angiography):サブトラクション血管造影
ECMO (extracorporeal membrane oxygenation):体外式膜型人工肺
EVT (endovascular treatment):末梢血管の血管内治療
IABP (intra aortic balloon pumping):大動脈内バルーンパンピング
IVUS (intravascular ultrasound):アイバス。血管内超音波
OCT (optical coherence tomography):光干渉断層法
PCPS (percutaneous cario-pulmonary support):経皮的心肺補助装置
PCWP (pulmonary capillary wedge pressure):肺動脈楔入圧
PTA (percutaneous transluminal angioplasty):末梢血管の経皮的血管内形成術
 ⇒最近はEVTが主流
PTCA (percutaneous transluminal coronary angioplasty):経皮的冠動脈形成術 = PCI
RHC (right heart catheterization):右心カテーテル


■弁膜症
A,M,T,P + S,R(aortic.mitral,tricuspid,pulmonary + stenosis, regurgitation):大動脈弁/僧帽弁/三尖弁/肺動脈弁+狭窄/逆流
ASR:AS + AR
AVA,MVA (aortic,mitral valve area):大動脈弁、僧帽弁弁口面積
AVR,MVR (aortic,mitral valve replacement):大動脈弁、僧帽弁置換術
AVP, MVP (aortic,mitral valve plasty):大動脈弁、僧帽弁形成術
MAC (mitral annular calcification):僧帽弁輪石灰化
MVP (mitral valve prolapse):僧帽弁逸脱症
PTMC (percutaneous transvenous mitral commissurotomy):経皮的僧帽弁交連切開術
SAM (systolic anterior movement):僧帽弁前尖の収縮期前方運動
TAP (tricuspid annuloplasty):三尖弁弁輪形成術
TAVR (transcatheter aortic valve replacement):タブアール。経カテーテル的大動脈弁置換術
 =TAVI (...implantation)


■心不全、心筋症、エコー、シンチ
ASH (assymmetrical septal hypertrophy):アッシュ。非対称性心室中隔肥大
CHF (congestive heart failure):うっ血性心不全
CP (constrictive pericarditis):収縮性心膜炎
 …もしくはcor pulmonale:肺性心
DP (double product):心拍数×収縮期血圧。運動負荷において25000が適度な負荷の目安。
EDP (enddiastolic pressure):拡張末期圧
ICM (idiopathic cardiomyopathy):特発性心筋症
LOS (low output syndrome):ロス。低心拍出量症候群
LVOT (left ventricular outflow tract):左室流出路
SVR (systemic vascular resistance):全身血管抵抗
TEE (transesophageal echocardiography):経食道心エコー
TID (transient ischemic dilatation):負荷時の一過性内腔拡大。
 ⇒LMT病変や3枝病変など重症虚血の際に負荷によって心内腔が拡大すること。
TTE (transthoracic echocardiography):経胸壁心エコー
WOR (wash out ratio):心筋洗い出し率。正常部位では50%程度、40%以下を異常(虚血部位)


■先天性心疾患
CHD (congenital heart disease):先天性心疾患
CoA (coarctation of aorta):大動脈縮窄症
DORV (double outlet right ventricule):両大血管右室起始
ECD (endocardial cushion defect):心内膜床欠損
PAPVC (partial anomalous pulmonary venous connection):部分肺静脈還流異常症
PDA (patent ductus arterious):動脈幹開存
TAPVC (total anomalous pulmonary venous connection):全肺静脈還流異常症
TOF (Tetralogy of Fallot):ファロー四徴症
TGA (transposition of the great arteries):完全大血管転位


■その他
AAD (acute aortic dissection):急性大動脈解離
ASO (arteriosclerosis obliterans):閉塞性動脈硬化症
CAD (coronary artery disease):冠動脈疾患
CI (cerebral infarction):脳梗塞
CLI (chronic limb-threatening ischemia):重症下肢虚血
IC (intermittent claudication):間歇性跛行
IE (infectious  endocarditis):感染性心内膜炎
INR (=PT-INR, international normalized ratio of prothrombin time):アイエヌアール。
MACE (major adverse cardiac event):メイス。主要な心臓イベント
 ⇒心臓死、心筋梗塞、心不全入院、TVRなど。研究により定義が異なる。
PAD (peripheral artery disease):末梢血管疾患
PFO (patent foramen ovale):卵円孔開存
TAA (thoracic aortic anneurysm):胸部大動脈瘤
TVR (target vessel revascularization):標的血管に対するインターベンション(PCIかCABG)

★Swan-Ganzカテーテル法から分かる事。

◎右心カテで予後変えない、ということだけ知っているレジデントが多いですが、使えるシチュエーションももちろんあります。読み方を知らないのは、単純に勉強不足。


■肺動脈楔入圧 PAOP, PAWP, PCWP
●生理
・2峰性の波;a(山)、x(谷)、v(山)、y(谷)
a(心房収縮)、x(心房圧↓)、v(心室収縮による心房充満)、y(M弁開放)
 ※a波のすぐ後にc波(山)見られうる;僧帽弁閉鎖を意味する
・左室拡張末期圧を推定する(PA〜LVの経路に異常がない前提)
●正常値
a波 (3-15mmHg)、v波 (3-15mmHg)、平均 (2-10mmHg)


●異常
①PAOP高値
 …左心不全、僧帽弁/大動脈弁異常、肥大型心筋症、hypervolemia、右左シャント、
  心タンポナーデ、収縮性心膜炎
②PAOP低値
 …hypovolemia、肺塞栓
③a波大きい:左室充満しにくい、ということ
 …MS、左心不全、volume overload、MI→コンプライアンス↓
④v波大きい:左房容量負荷
 …MR、MIに伴ったVSD


■肺動脈圧 PAP
●正常値

収縮期 (15-25mmHg)、拡張期 (8-15mmHg)、平均 (10-22mmHg)


●PAP高値

・急性疾患
 …肺塞栓、低酸素による肺血管収縮
・亜急性
 …基礎に心/肺疾患を持つ患者の低酸素による肺血管収縮
・慢性
 …肺高血圧症(以下の5分類)
 Group1:肺動脈高血圧(特発性、膠原病、先天性心疾患)
 Group2:左心疾患(左心不全、僧帽弁疾患)
 Group3:慢性肺病変(肺気腫、間質性肺炎)
 Group4:慢性肺塞栓症
 Group5:その他(鎌状赤血球症など)


■右室圧 RVP
●正常値

収縮期 (15-25mmHg)、拡張末期 (3-12mmHg)


●RVP高値

①肺血管/肺動脈弁異常
 …肺高血圧、肺塞栓、肺動脈弁狭窄
②右室疾患
 …心筋症、右室梗塞、心タンポナーデ、収縮性心膜炎、肺高血圧による右心不全
※拡張末期圧↑のうち、拡張早期に圧が落ち込むもの
 =dip and plateau:参照 収縮性心膜炎⇒dip and plateau


■右房圧 RAP
●生理

・2峰性の波;a(山)、x(谷)、v(山)、y(谷)
a(心房収縮)、x(心房圧↓)、v(心室収縮による心房充満)、y(T弁開放)
 ※a波のすぐ後にc波(山)見られうる;三尖弁閉鎖を意味する
…PAOPとほぼ同じ解釈
●正常値
a波 (2-10mmHg)、v波 (2-10mmHg)、平均 (2-8mmHg)

●異常

①RA圧↑
 …右室疾患、肺高血圧、肺塞栓、左右シャント、三尖弁疾患、心タンポナーデ、
  収縮性心膜炎、拘束性心筋症、左心不全、hypervolemia
②RA圧↓
 …hypovolemia
③v波増高
 …基本的にTR
④巨大a波:三尖弁閉じている時に、心房と心室が同時に収縮した場合
 …VT、V pacing、完全房室ブロック、AVNRT、三尖弁狭窄
⑤a波消失
 …Af, AFL


参照 UpToDate、新・心臓診療プラクティス

★穴がふさがるか,ふさがらないか,リスク次第.

◎循環器内科医の若手が心配する事項トップ5に入ります。基本手抑えをしっかりやれば大丈夫なのですが、抑える時間は患者やシースの太さにもよるし、時間に追われて十分にできず直面することも。

■動脈穿刺の合併症の一つ
・動脈採血は穴が開く時間が少なく,すぐふさがります.
 シースでは長い時間穴が開いているので,すぐふさがらない!
押さえないと,血腫が形成されます
⇒①血腫形成の過程で,動脈がふさがれば血腫にとどまりますが、
 ②血腫が動脈内腔と長く交通している場合
  ⇒拍動とともに,瘤内に血流が出入りします
  ⇒仮性瘤となりえます

●仮性動脈瘤のリスクファクター(うまく用手圧迫していないのが前提)
大きいシース,抗血小板薬(術中,術後),65歳以上,肥満,高血圧,PAD,透析,大腿動脈より浅いカニュレーション,複雑な手技 

※仮性瘤:動脈瘤のうち,外壁が血管の外膜か,結合組織からなるものです.
  cf. 真性瘤=外壁が血管内膜
  解離性瘤=外壁が血管中膜

※ちなみに,動脈外膜とは…
 結合組織からなり,動脈に栄養する血管(中~大型血管にみられる),自律神経を含むものです.
 

参照 ハリソン,Gray,UpToDate 

★乱流が起き,熱エネルギーとして喪失されるため.

◎よく考えると少し複雑です。流体力学です。

●「左室➤弁➤大動脈」
としたとき,大動脈弁狭窄症(AS)では弁の所が狭いです。
⇒基本的にはエネルギー保存則が成り立つはずです。
 ※流体ではベルヌーイの定理という

●実際は,狭い所を通過したとき乱流が起きます
 ※Reynolds係数(密度×流速×直径÷粘度)が一定の値を越えたとき,突然乱流になるとされます
 ※狭窄後拡張が大きければ,より助長されます
熱エネルギーへと失われます
⇒つまり、大動脈の時点ではエネルギー量が減っているのです。


●さて、圧には動圧と静圧があります。
⇒その合計は,ベルヌーイの定理が成り立てば一定です。

ex. 流れが早い(動圧高い)時,静圧は低いです
カテーテルで測定するのは静圧です
 +カテーテルを弁直上に留置するのは不可能で,測定するのは弁から数mmの大動脈圧です
弁通過中,静圧は低いですが
 弁通過後,流速が遅くなるので、静圧が上昇します(圧回復現象
⇒完全に回復すれば圧較差(PG:pressure gradient)はないはずですが,
 エネルギー量が減っているため,圧較差が生まれるのです。

※エコーで測定するのは弁直上の静圧です
⇒つまり、圧回復現象を加味していない圧較差です
⇒カテーテルより高く測定されます。


参照 SHDインターベンションハンドブック 

★交感神経活性化が悪い。

◎循環器は冬忙しい診療科とされますが、その理由も調査されています。心理社会的要因から心筋梗塞の発症を考えるというアプローチも面白いです。


■冬の影響

NOVAおすすめ NOVAうさぎNOVAうさぎ 湯たんぽ寒い夜も、これで暖かく!布団のなかで、NOVAうさぎと楽しい時間を!



・大規模研究にて、MIの発生率が高いことが確かめられています
 ⇒これは、地理、年齢などとは独立な因子です。 
・死亡率も高いです
⇒但し、糖尿病患者β遮断薬かアスピリン内服患者は季節変化がありませんでした
低温による交感神経活性化が原因の可能性が考えられました
(糖尿病患者は自律神経障害されているため)

・ある大規模研究で、心筋梗塞による死亡率上昇因子は以下の通りでした
冬の平均気温、部屋の温度が低い、薄着、あまり活動的でないこと
部屋との温度差はリスクではなかったです!
交感神経刺激されやすい環境、体質が原因か と考察されます。

急性ストレス(ライフイベントなど)、慢性ストレス、type A行動 (怒り/皮肉/敵意)、うつも冠疾患と関連あるとされます
⇒前者3つは交感神経興奮の原因であり、うつは刺激に対して自律神経調節がうまくいかないことと考えられます
交感神経活性化が根底と考えられるのです。

超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド【電子書籍】[ 鈴木祐 ]




■交感神経亢進により心筋梗塞が誘発されることの論拠
①虚血誘発

・交感神経↑
=血圧、脈拍数上昇
心筋酸素需要増加
⇒動脈硬化(基質)と合わせてプラーク破綻

②血小板凝集

・交感神経↑
血小板凝集能↑
(⇒PDGFを介し心筋活動↑)

線溶系も活性化するが、内皮機能が悪いと代償されないです。
=つまり、当たり前ですが心筋梗塞になる基質が存在するということです。

③リスクの増加
・交感神経↑
⇒酸化LDL増加、マクロファージ活性化
コレステロール増加

ストレスが動脈硬化進展の原因となります
・急性ストレスで、一過性の血圧上昇、動脈収縮が生じます
⇒プラーク破綻の原因となります。

プラーク破綻により、心筋障害が起きるほどの血流障害が生まれると心筋梗塞となります
小さい破綻の場合、平滑筋増殖で代償し、血管内腔が狭くなります
 =動脈硬化進展

※精神的ストレスだけで壁運動異常が起きえます
…たこつぼ型心筋症
(これは虚血とは関係ないですが)


参照 UpToDate

★音質ではなかなか区別できない!

◎基本的な事項ですが、意外にできない方が多いです。


■基本的な聞こえ方
●AS(大動脈弁狭窄症)
①最強点は胸骨右縁とあるが,実際は様々です。
⇒前胸部に広範囲な心雑音が聴かれます
⇒最強点を同定できないこともあります

②Ⅱ音が減弱する
(過去記事http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/23895034.html

③頸動脈の触診
細かい振戦を伴い,遅く触れる(かなり特異的な所見)


●MR(僧帽弁閉鎖不全症)
①間違いなく心尖部で強く聞こえます
⇒ASと比べ,他の部位では聞こえても小さい

MR前尖逸脱の場合、背中に放散します!
背骨で雑音が聞こえます
⇒高度の逆流の場合、頭でも聞こえます:top of the head murmur


■期外収縮,AFなどの心拍変動の影響
ASだと増強,MRだと変化なし!

…期外収縮時,収縮が不十分です
⇒次回の心室収縮時,心室容量が増加
⇒拍出量増加
 =拍出に関わるASでは雑音が増加します


参照 週刊医学界新聞,忘我blog, UpToDate

★心室は自発的に収縮するが,大肺動脈圧は血流の多さに依存することによる.

◎実臨床ではまず話題になる事がない話ですが、国家試験では必要な知識です。

■Ⅰ音
・房室弁(基本的には僧帽弁)が閉まる音
音の強さは,拡張期終末の弁の位置と相関する
 …この時開いている程音が大きくなるということです
⇒標準では,拡張期末期に弁がほぼ閉まりかけている
⇒収縮期開始時に完全に閉まる

●僧帽弁狭窄症(MS)の場合
・心房から心室への血流が遅い
拡張期終末に,弁がかなり開いている(☆)
⇒収縮期開始と同時に,弁が急激に閉まる
⇒Ⅰ音増強
というわけです。

※ちなみに、Ⅰ音増強は以下の場合にみられます。
①☆の状況:右左シャント,頻脈により拡張期が短い,PR短縮により収縮期開始が早い
②心室収縮力↑=hyperdynamic states


■Ⅱ音
・大動脈弁,肺動脈弁の閉まる音
⇒拡張期開始時に、大動脈圧,肺動脈圧により閉まる
 
●大動脈弁狭窄症(AS)の場合
・大動脈への血流が減る
拡張期開始時の大動脈圧が低い
 +弁尖が硬くて動きにくい
⇒Ⅱ音減弱
 というわけです。

※逆に,肺高血圧や全身高血圧ではⅡ音増強します。

★はっきりと決まってはいないが、手術のタイミングは遅れる傾向にある。

◎三尖弁閉鎖不全症(TR)の手術適応は、特に他の弁膜症が無い場合、決定が難しいです。


■手術適応
●TR+僧帽弁 or 大動脈弁疾患

・severe TRの場合は同時に手術した方が良い
mild-moderate TRの場合、いずれかに当てはまる時
 ①三尖弁輪径の拡大;TTEで径 >40mm, or 21mm/m2
 ②右心不全の既往

●TRのみ

・TRは右心系の拡大、それによるTRの増悪を来たし、悪循環である
 ⇒medicationは十分な治療となりにくい
・手術によりNYHAが改善したとの研究はあるが、生存率に関してエビデンスが乏しい
indicationははっきりと定まっていない。


■手術のタイミング

●コントロバーシャルである
・ある観察研究によると
症候性TRは、RV end-systolic area>20cm2又はHb≤11.3となる前が望ましい、とのこと
・TRが進行すると、肝うっ血から肝硬変、脾腫、汎血球減少となる
ビリルビンが上昇する前が望ましいという考え方もある

・現在は手術のタイミングが遅れやすい印象。今後より早期の手術適応の判断が求められるようになるかもしれない。
(Euroscore 2, STS score等でリスク層別化を行って決定する。)


■TAPか、TVRか

・僧帽弁形成術が第一選択で、形成術施行ができないときのみ置換術を検討する。
…死亡率が高いため。


参照 UpToDate

★忘備録です。

◎最近では基本的にエコーガイド下での中心静脈穿刺が推奨されていますが、カテーテルアブレーション時など、ランドマークで穿刺せざるを得ない状況は多くあります。ここではそのコツと注意点をまとめました(自分の経験に基づいているので、かなり主観的です)。

●やっぱりこの本。

ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson




■内頚静脈

●基本的にCVの第一選択となります。
●穿刺のコツ
①動脈の外側にあるので、左より右が刺しやすいです。
顔を傾けると、動脈と静脈が離れます。
 ※傾けると動脈が触れづらくなる事があります。
  ⇒この時は、顔を正面に向く様戻し、動脈の位置を確認します。
③左手で軽く動脈をふれ、その外側縁から、同側の乳頭に向かって刺します。
 ※強く触れると、静脈がつぶれます。
 ※かなり立てて刺しても大丈夫です。寝かすと気胸になります
④刺す高さは、胸鎖乳突筋の分かれ目といいます。
 ※胸鎖乳突筋が分かりにくい人はいっぱいいます。
 ※気胸を危惧するあまり、あまり高くなりすぎないようにします。当たりません。
  ⇒気持ち尾側で穿刺するようにします。
⑤引く時に逆血がくるので、さす時は一気に、引く時はゆっくりとします。
⑥当たらなければ、しっかり引いて角度を変えて刺し直します。
 ※試験穿刺の23G針は体内でかなり曲がるので、しっかり引かないとreferenceになりません。
試験穿刺があたれば、それを保持し、平行に本穿刺針を刺します。
 ⇒角度が決まれば、試験穿刺を抜きます。
 ※本穿刺は深くなりがちなので、23Gの針以上深く入れないよう気をつけます。
 ※気胸になるのは本穿刺で肺を刺した時です。
⑧逆血が来たら、少し寝かせて、全体を少し押します。
 ※気持ち少し寝かすだけで、ワイヤーの入りやすさが全然違います。
 ※個人的にはセルジンガー針でなく、鉄針の方がスムーズな印象です。
⑨抵抗が無ければワイヤーを進めます。
 ※抵抗がある場合は、もう一度逆血を確認します。
  ⇒抜けていることが多いので、その場合は、その角度でそのまま押し、また引いてきます。
 ※どうやっても抵抗がある場合は、穿刺点を変えます。
⑩ワイヤーが進んだら、するする動かせることを確認します。
 ※ペースメーカーが入っている場合など、稀にワイヤーがスタックします。
  ⇒そのときは注意して全体を抜いてきます。
 ※ワイヤーを進めてPVCを確認できれば、なお良いです。
⑪ダイレーションをします。
 ※セルジンガー針を使っていれば、外筒でダイレーションできます。
⑫カテーテルを入れます。右内頚なら13-15cmくらい。
 ※レントゲンで気管分岐部に先端がくるくらいが調度良いとされます。
  ⇒穿刺前に計測しておくとよいです。
⑬逆血を確認します。
⑭固定します。
 ※糸は縦にかけると良いです。固定具の尻にもかけるべきです(計3箇所)
 ※カテーテル固定具が穿刺方向にテンションがかかるように糸をかけます。
  …穿刺部からの出血(=固定が緩い)が感染のリスクとなります。


■鎖骨下静脈

固定がいいので、重宝します。特に下大静脈フィルター留置時など。
①鎖骨が少し曲がる所を確認します。
 ⇒曲がる所の外側より穿刺します。
左手の親指で皮膚を押し、なるべく鎖骨の走行と平行に針が進めるようにします。
左手親指の上から、鎖骨と平行に穿刺します。22Gのカテラン針で。
 ⇒まずは気持ち上向き(身体の前向き)に穿刺し、鎖骨に当てます。
 ⇒少しずつ下に向けていきます。
④これで当たらない場合は、穿刺点をやや身体の下向きに変え、鎖骨に当てる所から穿刺を同じように繰り返します。
⑤逆血がくれば、後は内頚静脈と同じです。
 …カテーテルは10-12cmくらいで固定します。


■大腿静脈

●アブレーション時には4つくらいシースを入れます。させる位置の幅が広い。
上前胸骨棘と恥骨を確認します。
 ⇒これらをつないだ線は超えないようにします。
②安全なのは、この線から3横指下辺りで穿刺することです。
 ※あまりdistalすぎると、動静脈婁となることがあり、手術です。まあ大丈夫ですが。
③動脈の内側にあるので、動脈を軽くふれながら、そのすぐ隣を穿刺します。
結構深い人がいるので、あまり寝かせずに穿刺します。
⑤上と同じく、陰圧をかけて針を引いてきたときに逆血がくることが多いです。
 ⇒特に本穿刺で深くなりすぎないように気をつけます。
⑥あとは同じです。カテーテルは30-40cmくらい入れます。

 

★基本的に対応は非透析患者と同様。

◎透析患者は、血液透析導入時に心エコーが施行されることが少なくありません。どの程度の異常で異常と判断し、循環器内科へコンサルトすべきでしょうか。ここではASとMRについて見てみます。


■大動脈弁狭窄症 
●石灰化が病態であり、透析により進行します
・透析患者ではcommonであり、透析患者の3-9%がsevere ASを合併しているとの報告もあります。

●基本的な手術適応が検討される基準は、非透析患者と同様です。
 …症候性AS, もしくは無症候性severe AS+他所見の組み合わせ
 (無症候性のmoderate以下のASは手術適応となりません)
⇒透析患者では、AVA<1.0の無症候患者(moderate AS)は1年おきのエコーフォローが推奨されています。

透析低血圧に伴う胸痛は、狭心症もしくはASが原因の可能性があり、精査が必要となります。即ち、これがASの症候である可能性もあるということです。

●手術時、生体弁より機械弁が好まれる傾向にありますが、controversialな所です。

follow upの間隔は以下の通り推奨されます(簡略化しています)。
mild AS (Vmax=2-2.9 m/s): 3-5年おき
moderate AS (Vmax=3-3.9 m/s): 1-2年おき
severe AS (Vmax>4 m/s): 6-12ヶ月おき


!恋する心エコー

恋する心エコー ―心機能は4つの線で理解できる― 《メルクマール編》




■僧帽弁閉鎖不全症

●基本的に偶発的な合併で、対応は非透析患者と同様です。
・手術適応が検討されるのは、症候性MR, もしくは無症候性MR+他所見の組み合わせです。
 (ASと同様、無症候性のmoderate以下MRは手術適応となりません)

●透析患者では特に、体液量に応じて逆流量が変化することに注意すべきです。
 …当然、透析前のovervolumeでは逆流量は増悪しています。
⇒逆に、しっかりとした体液/血圧管理で良好なコントロールを得ることが可能となります。
 …アグレッシブなDry weight引き下げが検討されます。

follow upの間隔、AHA guideline上以下のようになっています。
mild MR: 3-5年おき(実際はあまり実施されません)
moderate MR: 1-2年おき
severe MR: 6-12ヶ月おき


※あと別件ですが、透析患者では感染性心内膜炎のhigh riskであることを知っておきます。

 
参照 UpToDate 

★必須。

●日本では基本的に低分子ヘパリンを使用しており、ここではその使用法について。
※他国では、その他の抗凝固薬の使い分けが重要でトピックとなっている

■救急外来、診察時

●急性冠症候群がSTEMI, NSTEMI, UAPのどれであっても、抗凝固薬の対応はほぼ同様
診断後なるべく早くボーラス投与する
 …60-100U/kg, 5000Uまで


■primary PCI

PCI施行中は、血栓によるacute closureの予防のため投与する
⇒基本的にACT 250-350を目標とする
 ※エフィエント投与時はACT 200-250とすることが望ましい

PCIが特に問題なく終了した場合、ヘパリン投与は推奨されない!
 =ヘパリン投与は、PCI手技終了までとすることが推奨される
・利益が少なく、出血性合併症の頻度が増えるため
・シース抜去はACT 150-180となってからが望ましい(特にfemoral sheath)
※以下の場合は、ヘパリン投与の継続を考慮する
①PCIが複雑で、再度虚血となりうる場合
②血栓合併症のリスクが高い場合;ant STEMI, low EF, 心不全、肺塞栓の既往、左室内血栓
③抗凝固が必要な併存疾患:機械弁、心房細動など

PCI施行しない患者:血栓溶解、又は経過観察
基本的にヘパリン投与とする
⇒最低2日、最大8日もしくは退院まで投与継続する
 

参照 UpToDate 

★高感度トロポニンで健常者の99パーセンタイルを超えるかが重要。

■高感度トロポニン
●心筋トロポニンI/T

・トロポニンにはTnI, TnT, TnCとあり、心筋に特異的なのはTnITnT
⇒心筋障害(=心筋梗塞)により心筋トロポニンは上昇する
⇒特異的な診断となる

高感度トロポニンキットが開発され、その使用が推奨される
 …high-sensitivity cardiac troponin I/T (hs-cTnI, hs-cTnT)
⇒測定するものはトロポニンであり、従来のキットと同様
キットが優秀になったという話

・重要な事は、高感度トロポニンは「健常者の99パーセンタイル値を数値化できる」点
 …従来のキットでは測定感度以下であった
99パーセンタイル値を超える、ということが心筋梗塞の診断となる
 (下記参照)

※キットにより、同じトロポニンIでもカットオフ値が異なることに注意
 …トロポニンTは一定(99パーセンタイル値=14ng/l)


■急性心筋梗塞の診断(universal definition 3rd)

虚血の証明(心電図、エコー、症状)に加え、以下の基準(心筋障害の証明)を満たす
ベースラインが99パーセンタイル未満の場合
トロポニン値が99パーセンタイルを超えている
 (+ベースライン値から50%以上の上昇がある)
継時的に20%以上の増加 or 減少がある

ベースラインが99パーセンタイル以上の場合
継時的に20%以上の増加 or 減少がある

※「増加 or 減少」とあるのは、アタックの時期により異なるため
⇒継時的な評価をするため、3時間以上時間をあけてトロポニンを測定する必要あり


■ベースラインのトロポニン値が上昇しうる場合
①冠動脈内プラーク破裂 (MIの原因の60%といわれる)

・ST上昇型/非ST上昇型急性心筋梗塞
 ※不安定狭心症の定義はトロポニンの上昇がないACS
  ACSの定義:参照  http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/43477854.html

②supply-demand mismatch (type2 MI)
・不整脈(特に心房細動)、大動脈弁狭窄症、大動脈解離、肥大型心筋症、脱水、敗血症、重症呼吸不全、重症貧血、高血圧、冠動脈攣縮、冠動脈塞栓、血管炎、erosion (MIの原因の30%といわれる)

③虚血と関係ない原因
・心臓手術、ペーシング、ショック、横紋筋融解症、心筋炎、薬剤性心筋障害

④複雑な原因
・心不全、たこつぼ心筋症、肺塞栓、肺高血圧、腎障害、全身状態不良、脳梗塞、くも膜下出血、出血、サルコイドーシス、アミロイドーシス、激しい運動


参照 EHJ 2012;33:2551-67, EHJ 2012;33(18):2252-7, BMJ 2013;347:f4222

★予後は悪いので、理想的な薬物治療でも虚血が誘発される場合、インターベンションを検討すべき。

■無症候性心筋虚血の予後

・負荷心電図でのST変化、シンチでの誘発虚血があるが、狭心症状がない患者
 (安定狭心症患者の内、症状がないもの)
死亡率、ACS発症ともに悪い;心臓死は3〜6倍
 …症状がある患者よりは予後良いかも

なぜ予後が悪いか(動物実験からの推測)
①虚血を繰り返すと、少量ながら心筋が壊死する
②繊維化、心筋肥大など心筋の異常へつながる
③虚血にさらされている時間が長いと、致死的不整脈を誘発し得る


■治療
●薬物治療

・心筋酸素需要を減らしたい
⇒①β遮断薬、②心拍数を落とすCa拮抗薬 が選択肢となる
虚血が減れば予後が良くなる、といったデータあり
 …ASIST trial, TIBBSなど(β遮断薬が特に有効)
・動脈硬化進展を予防するため、スタチンも有用
⇒通常アスピリン含む複数の薬剤を併用して虚血を防ぐ(optimal medical therapy

●ストレス軽減
・冠動脈疾患があると、ストレスによって虚血が誘発されうる
⇒行動療法や運動などでストレスをなくすことで予後が良くなる
 ※薬物の効果もあるかもしれない

●血行再建
・PCIでもCABGでも、血行再建により予後が改善しうる
⇒但しoptimal medical therapyと同等と考えられている(COURAGE trial)
 …他の研究ではインターベンションの方が予後が良いなど、議論の分かれる所
現状では、optimal medical therapyで誘発虚血が収まらない時、血行再建を検討するべき
 ※optimal medical therapyでない薬物療法は、血行再建より予後悪い
・治療後の虚血フォロー(シンチ、follow up CAG等)の是非についてはcontroversial
 …5.7年でフォローの有無で予後に差が無かったとの報告あり
⇒但し日本ではルーチンに行われている

心筋梗塞後狭心症(PIA)は予後が悪い
⇒culpritの他に病変がある患者は、虚血があれば基本的に血行再建した方が良い
⇒mild ischemiaであれば薬物療法も可能だが、患者の選択に任せるべき


参照 UpToDate

★ほとんど起きないが、2週間以内なら起き得る。

■左室の自由壁破裂

●頻度 
 1%以下(2001-2006年で2%、どんどん低下傾向)
●特徴
・半数が5日以内、90%が2週間以内に発症する
・完全破裂:心タンポナーデによる突然のショックPEAが特徴
・不完全破裂:血栓か心外膜で塞がれる。胸痛や嘔気、低血圧などを呈する


■心室中隔破裂
●頻度

 自由壁破裂の半分程度の頻度
●特徴
・多くは3-5日、ほとんどが2週間以内に発症する
LAD梗塞では心尖部、RCA梗塞では心基部で生じる
急性心不全か低血圧で発症し、holo systric murmurが広い範囲で聴取されて疑われる


乳頭筋断裂
●特徴

後内側乳頭筋は#4PDから、前外側乳頭筋はLADとLCxから血液供給される
⇒後内側乳頭筋が断裂しやすい
中隔破裂と同様のpresentation⇒エコーで診断する


参照 UpToDate

★ACSが疑われる場合で、緊急と準緊急に分ける。
※ACS=STEMI or NSTEMI or UAP
 ⇒定義:NSTEMIと不安定狭心症の違い

■実地での適応
●緊急 (immediate)カテーテル

・STEMI
・血行動態が破綻している時
・左心不全を来した時
・強力な内科治療をしても、安静 or 持続性狭心痛が生じる場合
・MI合併症を来している場合;MR、VSDなど
・持続性VTを来した場合
・ダイナミックなST-T変化がある場合

●準緊急 (early)カテーテル;24〜48時間以内
⇒上に当てはまらない上での話
・CABG後、若しくは最近6ヶ月以内にPCI施行した
・新規と考えられるST低下
・トロポニン上昇(=NSTEMI)
・強力な内科治療をしても、軽度労作で狭心痛が持続する場合
・EF<40%
・TIMIリスクスコア>2 or GRACEリスクスコア>108
 …参照:

※NSTEMI、UAにいつカテーテルをすべきかは色々研究されている
⇒少なくとも60時間以内にした方が良いのは間違いない
⇒しかし早ければ早い方が良いので、可能なら4-24時間以内にすべき
 (特にTIMIリスクスコア>4 or GRACEリスクスコア>140の場合)


■AHAガイドライン
●STEMI

Class 1

緊急カテ:primary PCIの良い適応

緊急カテ:重症心不全 or 心原性ショックで、血行再建適応あり

Class 2a

緊急カテ:中等度以上の範囲の心筋に障害が起きるリスクが高い

Class 2b

待機的カテ:発症後24時間以内に心カテが行われなかった患者

Class 3

血行再建:リスクがベネフィットより高い、侵襲的処置を希望しない患者


●UA/ NSTEMI

Class 1

準緊急カテ:薬剤抵抗性 or 血行動態不安定な、重篤な基礎疾患/禁忌がない患者

準緊急カテ:状態落ち着いたがリスクの高い、重篤な基礎疾患/禁忌がない患者

血行再建法:SIHDと同様に、PCICABGか適応を判断すべき

Class 3

準緊急カテ:重篤な基礎疾患(肝不全、肺不全、癌など)があり、かつ以下の場合

 ・血行再建によるリスクがベネフィットより大きい

 ・胸痛はあるがACSである可能性が低い

 ・同意が得られない


※用語
●エビデンスレベル
Class1:その治療をすべき
Class2a:その治療をするのは合理的
Class2b:その治療を考えてよい
Class3:その治療をすべきでない

●略語

SIHD(stable ischemic heart disease):安定している虚血性心疾患
STEMI:ST上昇型心筋梗塞
UAP:不安定狭心症


参照 UpToDate, Braunwald, ACCF/AHA/SCAI Practice Guideline 2011

★血行再建の目的は、予後改善と症状改善の2目的あり、適応が異なる。


■生命予後改善を目的とする血行再建の適応
●LMT病変(50%以上の狭窄)

Class 1

CABG

Class 2a

PCI:SIHDで、PCIリスク少なく、CABGリスク大きい場合

 ⇒SYNTAX22、病変がosか本幹、STS5%など

PCIUA/ NSTEMICABGの適応でない場合

PCISTEMITIMI gade3未満であり、すぐにできる場合

Class 2b

PCI:SIHDで、PCIリスク中等度、CABGリスク中等度の場合

 ⇒SYNTAX33、病変がbifurcationSTS>2%など

Class 3

PCICABGのよい適応、PCIが解剖的に難しい場合


●LMT以外の病変

Class 1

CABG:主要3枝すべての70%以上狭窄、LAD近位部+1枝病変

CABGPCI1枝の虚血によるCPA蘇生後

Class 2a

CABG:主要2枝の70%以上狭窄に加え、以下のいずれか

 ・重度虚血所見:負荷試験で高リスク or 心筋20%以上のdefectなど

 ・責任血管が、広範囲の生存心筋を栄養している

CABGEF35-50%で主要2 or LAD近位部病変

CABGLAD近位部病変で内胸動脈グラフト使用可能な場合

CABG:複雑な3枝病変でCABGの良い適応(SYNTAX>22など)

CABG:糖尿病患者の多枝病変で左内胸動脈グラフトをLADに使える場合

Class 2b

CABGLAD近位部を除く主要2枝病変で重度の虚血所見がない場合

CABGSIHDEF<35%の場合

PCI2-3枝病変、もしくはLAD近位部の1枝病変

PCI or CABGCABG既往があり広汎前壁虚血が疑われる場合

Class 3

PCI or CABG:以下の場合

 ・狭窄が有意でない:狭窄70%以下、FFR>0.8、虚血所見が軽度

 ・LCxまたはRCAのみの病変



■症状改善を目的とする血行再建の適応

Class 1

PCI or CABG1枝以上の有意狭窄で、内服薬で症状control不良の場合

Class 2a

PCI or CABG1枝以上の有意狭窄で、内服薬使用が難しい場合

PCICABG既往のある1枝以上の有意狭窄で、内服薬で症状control不良の場合

CABG3枝病変かつCABGの良い適応(SYNTAX>22など)

Class 2b

PCICABG既往のある1枝以上の有意狭窄で、PCI不適で、内服薬で症状control不良

CABG時に経心筋的レーザー血行再建を併用:graftしても還流不良の心筋ある場合

Class 3

PCI or CABG:狭窄が解剖的、又は生理的基準を満たさない場合

 ・50%以上(LMT70%以上)の狭窄

 ・FFR0.8



■用語
●エビデンスレベル
Class1:その治療をすべき
Class2a:その治療をするのは合理的
Class2b:その治療を考えてよい
Class3:その治療をすべきでない

●略語

SIHD(stable ischemic heart disease):安定している虚血性心疾患
STEMI:ST上昇型心筋梗塞
UA:不安定狭心症
NSTEMI:非ST上昇型心筋梗塞

●スコア、検査

SYNTAX score:冠動脈病変の複雑性を表すスコア
 ⇒http://www.syntaxscore.com/
STS score:開胸手術のリスクを表すスコア
 ⇒http://riskcalc.sts.org/stswebriskcalc/#/
TIMI flow grade:冠動脈の血流の良さのgrade
 ⇒PCI中のslow flow;機序、予後、治療、予防法
FFR(functional flow reserve):冠動脈内の圧力の比


参照 ACCF/AHA/SCAI Guideline for Percutaneous Coronary Intervention: Executive Summary 2011

★機序は遺伝子多形が最も重要、ただスクリーニングは推奨されない。

■定義

・クロピドグレル(プラビックス)耐性、無効
⇒ADPによる血液凝集が、非治療時と比較して10%以下しかない事

抗血小板薬内服時の血小板反応性亢進HPR;heightened platelet reactivity)
⇒治療時にも、ADPに対してP2Y12受容体の反応があること
 (P2Y12受容体はクロピドグレルのターゲット)
⇒アッセイがいくつか開発されている
…治療を受けている患者の16-50%が該当する;但しアッセイのカットオフ値による

・クロピドグレル治療失敗
⇒HPRの患者に、クロピドグレルによる治療中に血栓性/虚血イベントが起こること


■クロピドグレル治療失敗の原因、機序
クロピドグレル代謝の多様性poor metabolizer
・クロピドグレルはプロドラッグ;代謝されて活性体となる
⇒15%:シトクロムP450(CYP)により活性代謝物(R-130964)
 …CYP2C19が最も重要な酵素
 85%:ヒト-カルボキシルエラスターゼ-1により不活性化カルボン酸代謝物
・よって、CYP2C19遺伝子多形(loss of function)が、薬剤耐性にクリティカル
⇒CYP2C19*2:エキソン5のG681A変異により、機能消失した蛋白となる
 CYP2C19*3:エキソン4のG636A変異により、停止コドンが早くなる
※特にアジア人にpoor metabolizerが多い(20%)
 ⇒ただし、poor metabolizarでも薬が効く人もいる

他の薬剤との相互作用
・CYP活性を阻害する薬剤により影響される(理論的には)
但し、クロピドグレルを選択しないほうが良い、とはっきり示された薬剤はない
 (中では、PPIがcontroversial)
※今の所、抗血小板薬2剤内服の場合PPIの併用が推奨されているが、これもcontroversial

③糖尿病
DM患者はHPRである
⇒増量もしくは薬剤併用して対応する必要があるかも(一定した見解はでていない)

④服薬コンプライアンスが悪い

喫煙していない
・禁煙患者はクロピドグレルの効果が少ない
+喫煙患者が禁煙しても、効果が少なくなる
(MI後死亡率:喫煙では25%減 vs 禁煙では8%減)


■対応
・ルーチンでクロピドグレル耐性をスクリーニングすることは推奨されない
・血栓によるMIを繰り返す人にスクリーニングすることの是非は不明
どんな状況でも、クロピドグレルが良くなさそうなら、他の薬剤へ変えるべき
そもそもプラスグレル(エフィエント)の方が良い:値段は高いけど


参照 UpToDate

★末梢がつまる事で生じ、有効な治療がなく予後が悪いため、予防法がいつくも考案されている。

■slow flow, no flowの定義

PCIでメインの狭窄が解除されたにもかかわらず、造影剤の流れが遅い事
 …具体的には、本幹狭窄やスパズムないがTIMI flow grade≦2の時
・糖尿病患者で多く見られ、予後が悪くなる

□TIMI flow grade

Grade 0 – 全く流れない

Grade 1 – 遠位血管床までは流れない

Grade 2 – 遠位血管床まで流れるが、やや遅れる

Grade 3 – 普通に流れる











■slow flowの機序

・PCIサイトより遠位の冠動脈枝閉塞;プラークか血栓
 ⇒PCI以前に認めていた遠位の枝が、slow flow時見られなくなることがある
微小血管障害
・心筋壊死か気絶心筋
・再還流障害;活性酸素、組織因子
・血管収縮;αアドレナリン↑、トロンボキサンA2、セロトニン


■slow flowの臨床への影響、予後

●TIMI≦2 vs TIMI 3
入院中死亡率: 15% vs 2%, 入院中心イベント: 20% vs 6% (PAMI試験)
遠隔期死亡率も、TIMI≦2で上昇する
※no flowだと更にリスクが上昇する
●TIMI myocardial perfusion grade (TMPG)は心筋組織への還流量の指標
⇒予後と密接に関わる

●治療法は確立されていない

⇒還流低下がある場合、以下を検討(確固としたエビデンスなし)
 ①血管収縮薬、強心薬、GPⅡb/Ⅲa阻害薬の全身投与
 ②ベラパミル、又はニトロプルシド冠注
 ③IABP

★slow flowは予後悪いため、それを予防する手段がいくつも考案されている
direct stenting、血栓吸引、遠位保護デバイス、レーザー(蒸散)、GPⅡb/Ⅲa阻害薬など
 

参照 UpToDate, WikiDoc 

★IVUSでよく確認される。

■合併症発生率

・1998-2000年のデータ;MI 0.4%, 緊急CABG 1.9%, 死亡 1.4%
⇒今はほとんど見られなくなった


■冠動脈解離、閉塞

・PTCA後、50%程度に認められたとの報告
⇒軽い解離なら、早くて6週間で完全に治る(Type A or B)
大きい解離だと、急性冠動脈閉塞を来しうる(Type C-F)
⇒そのため、ほぼ必ずステントが使われるようになった
●分類
Type A:管腔の陰影
Type B:線形の解離
Type C:管腔外の造影あり
Type D:らせん形の解離
Type E:flow低下を伴う解離
Type F:完全閉塞を伴う解離


■壁内血栓

中膜に血液が溜まり、内膜と外膜を押している状態
・IVUSで6.7%に認められたとの報告
・PCI後のACS頻度は変わらないが、1ヶ月以内のPCI再施行率は高くなる


■穿孔

・0.2-0.6%に認められたとの報告
●分類
ClassⅠ:壁内の孔、extravasationなし
 ⇒MI 0%, タンポナーデ 8%, 死亡率 0%
ClassⅡ:心膜、心筋が染まる
 ⇒MI 14%, タンポナーデ 13%, 死亡率 0%
ClassⅢ1mm以上の穿孔で、噴いているのが分かる
 ⇒MI 50%, タンポナーデ 63%, 死亡率 19%
●対応
まずPCI用のバルーンで15分間閉塞させる
⇒だめな場合、カバードステントを考慮する
・遠位が穿孔している場合、コイル塞栓も考慮する
・心嚢水著明な場合、心嚢穿刺
⇒それから凝固をリバースする
⇒心嚢穿刺をしてもバイタル変動する場合、緊急CABGの適応


■病変より遠位の冠動脈閉塞

・非常によくある
・造影でslow flowとして確認される
・別記事参照


■側枝閉塞、ジェイル

側枝の分岐部をステントで塞いでしまう事;stent jail
⇒ワイヤーを残しておき、jail部位をバルーン拡張することもある
⇒しかし、jailのままで普通問題ない
・また、jail後、高圧でバルーンをかけた際に閉塞しうる
⇒しかし皆気をつけるので、あまり問題になる事はない


参照 UpToDate

★エコー所見で4型に分類される.

僧房弁の解剖
プレゼンテーション1












・乳頭筋-腱索は前・後交連の下あたりにある
弁輪という解剖学的構造は無い
 ⇒心房・弁尖・心室で囲われた部分であり,弁尖の位置が固定される所


僧房弁逆流(MR)の原因疾患
①リウマチ性弁膜症
 ・弁尖,腱索の肥厚
②感染性心内膜炎
 ・疣贅部分(肥厚)or 弁尖に穴あく/ 腱索ちぎれる
③Marfan症候群
 ・腱索の菲薄化/ ちぎれる(弁尖は軽度肥厚する)
④コラーゲン欠乏症
 ・弁尖/ 腱索の菲薄化,ちぎれる
⑤弁輪の石灰化
⑥虚血
  ・乳頭筋付着部の心筋が菲薄化
  ⇒下方へ偏移,のばされる
  ⇒のばされすぎると乳頭筋断裂(特にP2,P3)
⑦心筋症
 ・心室の拡大(⑥とほぼ同様)
    

画像での分類 
●上記分類は複雑なので,エコーにより以下のように分類される
・Ⅰ型:通常の弁尖の動き
 ⇒虚血、DCM、IE、先天性

・Ⅱ型:弁尖逸脱=prolapse(弁尖の可動性↑)

 ⇒逸脱 (原発性=変性と考える)、IE、リウマチ性、外傷、虚血、Ehlers-Danlos症候群

・Ⅲa型:弁尖の開く動きが制限される(拡張期)

 …MSを伴う
 ⇒リウマチ性、カルチノイド、放射線、SLE、エルゴタミン使用、好酸球増加症

・Ⅲb型:弁尖の閉じる動きが制限される(収縮期)

 ⇒虚血、DCM

※MVP;これに応じて作戦を立て,術中弁を実際に見て,問題のある個所を修復する
 

■僧帽弁逸脱の分類

①僧帽弁逸脱症候群
・20-50歳の女性に多い
・エコー:弁葉が薄く、収縮期に逸脱する
・低血圧、起立性低血圧、動悸を伴う
・良好に経過し、手術が必要ないことが多い

②粘液種様僧帽弁疾患
・40-70歳の男性に多い
・エコー:弁葉が厚ぼったい
・進行性で、手術が必要となる事が多い

③二次性僧帽弁逸脱症
・Marfan症候群、肥大型心筋症、Ehlers-Danlos症候群、その他結合織疾患


参照 Carpentier's reconstructive valve surgery, Braunwald 

★シンドロームXとは症候で、その原因として微小血管の狭心症がある。

■シンドロームXとは

狭心痛のようなエピソードがあり、負荷テストが陽性だが、冠動脈造影で狭窄がないもの
⇒この原因として、微小血管狭窄による循環障害がある。
・中年女性に多い


■シンドロームXの病態(仮説)

心内膜下に限局した虚血
・この機序は3つ考えられる:内皮障害、心臓の自律神経不全、微小血管の狭窄
⇒微小血管狭窄で内皮障害あらわれる事から、これが主体とする考え方もある
疼痛過敏性
負荷テストで虚血が証明されなくても狭心痛を訴える患者いる
 +カテーテルの心内移動で疼痛を訴える患者いる
…交感神経のインバランス、オピオイド系の活性↓が原因か 


■診断

狭心痛があり、CAGで30%以上の狭窄なく、以下の鑑別が除外されればOK
(虚血の証明は必須でない)
※鑑別疾患
・冠攣縮
・微小血管狭窄を呈する疾患:左室肥大、右室肥大(肺高血圧)、タコツボ心筋症、全身性アミロイドーシス、糖尿病

●シンドロームXで、血管運動障害(アデノシンによる血管拡張、アセチルコリンによる収縮など)が証明されれば、微小血管の狭心症と診断される
 
●他、参考となる検査

CFR:coronary flow reserve
・安静時と負荷時(アデノシンかジピリダモール)の冠動脈最大血流量の比。ドップラーガイドワイヤーを用いて測定する。
・普通2.5〜5。CAGで有意狭窄内とき、CFRは微小循環の血管抵抗をあらわす
心臓MRI
・研究段階。ガドリニウム造影にて心筋還流欠損を認める。


参照 UpToDate

★色々起きて、だいたいが死亡率を上げる原因となる。

■心臓合併症

周術期心筋梗塞
・術後は心筋逸脱酵素上昇/ 心電図変化あり、診断が難しい
新たなQ波、トロポニン上昇度合いなどから疑う
グラフト閉塞
・静脈グラフトの5-10%:主に血栓閉塞で、縫合のミスが原因 
⇒PCI施行する
EF低下
・多くの原因による
…手術侵襲による虚血と心筋気絶、前負荷↓(交感神経↓、出血、血管透過性↑、低体温による尿量↑)、後負荷↑(高血圧)、不整脈、心筋梗塞、
 ④神経原性ショック
・交感神経↓により、末梢血管抵抗↓
少量のノルアドで対応
不整脈
・Af:15-40%におきる。通常自然に治る。β遮断薬使って良い
・non-sustained VT:17-97%に起こる。再還流が原因と考えられ、予後良好
・sustained VT, VF:1-3%に起こる。
・徐脈性不整脈:0.8-4%に起きる。伝導路を障害することによる
心嚢液貯留
・皆に起きてほとんど無症候性。時々タンポナーデになる


■心臓外合併症

①出血
・安易な輸血はしない:でも30%にされている
②感染
縦隔炎になると洗浄を繰り返す必要あり。足傷の感染、繰り返す蜂窩織炎など

●肺

③胸水
・これ自体は問題なし。90%に認める。原因疾患があるか確認する
④肺炎
術後胸が痛いので深呼吸、咳ができないため、リスクが上がる。3-5%。
⑤他、ARDS、無気肺、肺コンプライアンス低下など

●神経

⑥脳梗塞
・0.4-14%。リスクに応じる。
・機序:低血圧による脳還流↓、プラークが剥がれてとぶ、空気が入る
⑦脳症
・痙攣から認知機能低下、昏睡まで多彩
・原因はマイクロエンボリと考えられているが、正確には不明。「ポンプ後症候群」などと呼ばれる
⑧末梢神経症
・四肢:腕神経叢損傷、内胸動脈剥離時の神経損傷、低体温
・横隔膜:心臓を冷やす際に障害

●血管

⑨DVT
⑩大動脈解離

●腎

⑪急性腎障害
・塞栓や低還流による
⇒透析が必要になるのは0.9-1.7%程度

●消化器

⑫膿瘍、イレウス、潰瘍、出血など
・4.1%にみられる

●薬剤

プロタミンアレルギー
・2.6%に認める。ほとんどは投与後10分以内。
⑭血球減少
・HITによることが多い。診断は難しい。
 

参照 UpToDate 

★簡単にまとめました。

■貫壁性梗塞(MI)の場合

●電気的拡張期、収縮期に分けて考える
拡張期はTQ部分収縮期はQT部分

<拡張期>

・虚血の心筋
K+が流出することで部分的に脱分極している(+)
・正常心筋は過分極している(+++)
電流(e-)は虚血心筋から正常心筋へ流れる
⇒虚血範囲を含む誘導において、その誘導から離れる方向
TQ電位が低下する
ベースラインを低下したTQ部分としたとき、ST上昇したようにみえる

<収縮期>

・正常心筋は脱分極している(---)
・虚血心筋は脱分極するが、すぐに過分極してしまう脱分極する電位が低い(-)
電流は正常心筋から虚血心筋へ流れる
⇒虚血領域において、QT電位が上昇する
⇒ST上昇として認める


■内膜に限局する虚血(狭心症)の場合

隣の誘導の心筋との関係でなくなる
…例えば、MIでV5領域虚血の場合:収縮期において、隣領域から、電流がV5虚血領域に流れる
 狭心症の場合:収縮期において、隣領域+V5の外膜側から、電流がV5内膜虚血領域に流れる
V5において、電極から離れる向きの電流
⇒ST低下として認める
・拡張期も同じ原理


参照 Brawnwald

★コレステロールが標準範囲内でも基本的に使う。

■機序

動脈硬化改善
・1年〜4年後に冠動脈径が広くなったという報告あり
・6ヶ月だと変わらない
プラークを安定化する
・心筋梗塞の患者は、不安定プラークを多数持っている
・マクロファージ増殖、MMP↓によりfibrous capを安定化させる
⇒プラーク破綻しにくくなる
炎症↓
・炎症は動脈硬化、プラーク破綻のトリガー
・実際にCRPの基礎値が減る
・機序は不明
内皮機能不全の改善
・冠動脈を広げる;6週間以内に効果でる
・NO働き↑による
血栓形成↓
⑥心室不整脈↓


■使い方

・目標は緒論ある
…LDL<70を目指す、リスクにより目標値をわけるなど
⇒但し必ず使う
・スタチン以外の薬で良い効果は証明されていない


参照 UpToDate

★冠動脈拡張でない。

■メインの薬理作用

全身血管拡張
⇒心臓の前負荷↓
⇒心臓運動量、酸素需要量↓

※カテーテル中に、冠動脈直接注入しても改善得られなかったものが、舌下投与で改善したとの報告ある。

●血管拡張作用の機序

ニトロプルシド、ニトログリセリン
⇒平滑筋細胞内で、ミトコンドリアALDHという酵素にて、亜硝酸塩に変換
NO、S-ニトロソチオールへ変換
⇒グアニル酸シクラーゼ↑
cGMP↑
⇒平滑筋弛緩


■血管拡張による副作用

顔面血管拡張⇒顔面紅潮
硬膜動脈拡張⇒頭痛
・静脈系の拡張⇒低血圧⇒反射性頻脈おこるが、時々迷走神経反射から徐脈となる


■冠動脈盗血症候群 coronary steal

・心筋虚血の際、虚血部位の冠動脈末梢(心内膜側)は、自己調節能にて最大限拡張している
①ジピリダモール、イソフルレン、ニトロプルシド
 ⇒細い動脈を一様に拡張
 ⇒正常血管拡張、虚血部位への血流↓
  =coronary steal
ニトログリセリン
 ⇒太い血管(心外膜側)を拡張
 ⇒虚血部位にも血流保たれる
 ⇒coronary steal生じない


参照 UpToDate、http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/files/anesth/book/35/8.pdf?1369010084
   Dr. 讃井の集中治療のススメ

★一次孔、二次孔とも一次中隔のもの。

■房室中隔の形成
・共通心房に総幹動脈が貫入、ができる
⇒稜が心内膜床に向かって発達する
 …これを一次中隔という
 …一次中隔で覆われていない隙間一次孔という
⇒完全に塞ぐ(=一次孔が閉鎖する)(◇)
一次中隔に穴がたくさんでき、癒合する(◎)
 …これを二次孔という
 ※右左シャントを保つため、一次孔が閉鎖する前に二次孔が発生し始める

・一次中隔の右に二次中隔が発生する
二次中隔が二次孔を完全に覆う(●)

・二次中隔に卵円孔が形成される
 …胎児期は右房圧>左房圧なので、卵円孔→二次孔を通って右左シャントが形成される
  ※一次中隔が可動である
 ⇒出生後、肺血管抵抗↓+左房への還流量↑より右房圧<左房圧
 ⇒一次中隔が二次中隔に押し付けられ、癒合する(★)


■発生の不備

①卵円孔開存(PFO)
一次中隔と二次中隔の癒合不全(★の不全)
⇒一時的に右房圧>左房圧となると、血液が卵円孔→二次孔を通る
 =右左シャント
  …収縮期早期で右房圧>左房圧となる
・成人の30%程度
心房拡大に伴うPFOもある
⇒この場合、心房間が常に交通しているため、左右シャントとなる

②房室中隔欠損(ASD)
・中隔に穴があいている
拡張期に左右シャント
⑴一次孔欠損
一次孔が発達しきらない(◇の不全)
⇒二次中隔も、欠損している穴の箇所は塞がない
⇒出生後も一次孔の箇所が塞がっていない
・ASDの15〜20%

⑵二次孔欠損
二次中隔が発育不良で二次孔を防ぎきらない(●の障害)
一次中隔の吸収過多(◎の障害)
二次孔が大きすぎて、二次中隔で覆いきれず、一部卵円孔とかぶる
・ASDの70%

⑶冠静脈洞欠損
・二次孔欠損と機序は同じ
・ASDの1%

 
参照 UpToDate 

★FIckの原理とLa Fargeの表。

■肺血流量(Qp)
◎酸素消費量と、血液中の酸素量減少が同じこと(Fickの原理)を用いる

①酸素消費量 (χ)[ml/min]

La Fargeの表統計より、年齢と心拍数から、体表面積単位での酸素消費量 [ml/min/m2]を推定する
参照:http://www.cardioiap.org/PDF/oxygen_consumption_chart.pdf

②血液中の酸素量減少

肺に流入する血液に含まれる酸素量 A [酸素ml/血液L]
 肺動脈酸素飽和度 PASpO2を用いて、
A=PASpO2[%] × 0.01 ×Hb[g/dl] × 1.34[酸素ml/g] ×10
※1gのHbに、1.34mlの酸素が結合するため
※『×10』は[酸素ml/血液dl]⇒[酸素ml/血液L] の単位補正のため
※本当は、『血中に溶解している酸素=0.003×PO2』も考える必要あるが、微量のため省略。

1分間に肺に流入する酸素量 B [酸素ml/min]
B=A × 肺血流量Qp [血液L/min]
  =PASpO2 × Hb × Qp × 0.134

肺から流出する酸素量も同様なので、
血液中の酸素量減少 = (PVSpO2−PASpO2) × Hb × Qp × 0.134

③Qp算出

・①=②より、
 Qp=χ ÷ [(PVSpO2−PASpO2) × Hb × 0.136]
・同様に、
 体血流量 (Qs)=χ ÷ [(SpO2−SvO2) × Hb × 0.136]

※熱希釈法を用いてCO測定、Qs求めることもできる。
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35730801.html


■肺血管抵抗(Rp)
・オームの法則より、
 肺血管圧=Qp × Rp
・肺血管圧=肺動脈平均圧 − 左房圧
     =肺動脈平均圧 − 肺動脈楔入圧 より、
 Rp [L/min]=(肺動脈平均圧 − 肺動脈楔入圧)÷ Qp

※Fickの原理:ある器官による物質の取り込み or 放出の全量
      =その器官への血流量 × その物質の動静脈濃度較差
 

■Qp/Qs(肺・体血流比)
・上記③より
 Qp=χ ÷ [(PVSpO2−PASpO2) × Hb × 0.136]
Qsも考え方は同様なので、
Qp/Qs=(SpO2−ScvO2)÷(PVSpO2−PASpO2)

※これは左右短絡量の指標となる(2以上で手術適応など)
⇒臨床的に、チアノーゼ無い場合、
 SpO2、ScvO2、PASpO2 はほぼ決まっている
PASpO2の値にほとんど依存する


参照 ICU book, グロスマン心臓カテーテル検査・造影・治療法 
更新 2014/6/14 

★図にしてみました.

■右冠動脈 RCA:right coronary artery

スライド2



●この見え方はLAO 50° 


#1はRVBまで

#2はAMまで

#3は#4 PDまで
※PDは#4と#15があります.






■左冠動脈 LCA:left coronary artery
■前下行枝 LAD:left anterior descending artery

スライド3 


●この見え方はLAO cranial


#6は1st SBまで

#7の範囲は様々な決め方があるが,
ここでは#10(D2)まで









■回旋枝 LCx:left circumflex artery
スライド4 



●この見え方はRAO caudal 


#11は#12(OM)まで

#13は#15まで 

★硝酸薬はACLSアルゴリズムで上位に出てくる.
⇒しかしルーチンの使用を支持するエビデンスはない!


PDE阻害薬の最近の使用
http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/26614162.html
右室梗塞
http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/29270843.html
ACSが疑われている状況で
低血圧(=心原性ショック)
頻脈(>100):循環不全を代償してギリギリもっている状況.
除脈(<50):頻脈で代償したいけどできない状況
        ⇒右冠動脈閉塞による洞房ブロック,迷走神経過緊張など
⇒ニトロ投与によりショック助長されるため,禁忌.
 

※アルゴリズムにのる最初のステップは「虚血を示唆する胸部不快感」
=心筋梗塞による胸部症状
狭心痛は含まれない!(狭心痛の場合,アルゴリズムにのせない)


参照 ACLS-EP,ACLSリソーステキスト
 

★ACLSフローチャートから外れる.
(ACLS-EPの領域)

●右室梗塞
⇒左室へ血流を送り出せない
最適な前負荷が必要
・硝酸薬,モルヒネ,利尿薬,ACE阻害薬
⇒前負荷を軽減する
⇒血圧低下し,心原性ショック助長されるため使わない

●右室梗塞の初期治療
・MONAの内,酸素・アスピリン投与は行う
・最適な前負荷を達成したい
外液による容量負荷
「250~500mlのボーラス投与→臨床評価」を繰り返す
※大量輸液,高い圧は右室の機能を損なう可能性があることにも留意する
輸液で血行動態が改善しない場合,ドブタミンによる右室補助を行う


参照 ACLSリソーステキスト

★右室梗塞の場合ニトロが禁忌となるので,重要.

◆右室梗塞の所見
三徴:低血圧,頸静脈怒張,肺うっ血なし
三徴が揃うのは25%


●右冠動脈梗塞
・遠位部のみ:下壁のみ壊死
・近位部から:下壁+右室の壊死
⇒少なくとも下壁梗塞はある

●下壁梗塞は右冠動脈,回旋枝のどちらによるか
①右冠動脈梗塞
⇒洞房結節枝の梗塞を含むことが多い(55%)
⇒この場合除脈となる
②右冠動脈は右下,回旋枝は左へのベクトル
ST changeがⅢ>Ⅱの場合,右冠動脈の影響が大きいと考える
※Ⅱ>Ⅲの場合は判断しづらい

●右冠動脈梗塞を疑った時,近位部か遠位部か
⇒右側胸部誘導で判断する
V4RのST上昇が最も感度よい
⇒88%の感度で右室梗塞


参照 ACLSリソーステキスト,ACLS-EP講習

★炎症が引き金となり,細胞増殖が促されるため.

・PCIによる冠動脈障害
=内皮障害
⇒①炎症
  (局所の炎症,骨髄から炎症細胞がやってくる)
  ⇒中膜平滑筋層増殖,遊走
  ②血栓形成
  (内皮細胞の抗血栓作用がなくなるため)
動脈狭窄
 
 
詳細なメカニズムは現在研究対象である.
※現在使われているDESは,①炎症を抑えるが,内皮細胞増殖も抑制するため②血栓形成を助長することが問題となっている.
 

↑このページのトップヘ