知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

循環器;基礎・心不全・高血圧・検査・薬

★研修医、コメディカル用。

◎分類ごと、アルファベット順にしました。

■解剖

AML (anterior mitral leaflet):僧帽弁前尖
BK (below knee):膝下の動脈
CS (coronary sinus):冠静脈洞
D (diagonal branch):対角枝
FA (femoral artery):大腿動脈
ICA (inaternal carotid artery):内頸動脈
LITA (left internal thoracic artery):左内胸動脈
LMT (left main trunc):左冠動脈主幹部
PML (posterior mitral leaflet):僧帽弁後尖
RITA (right internal thoracic artery):右内胸動脈
SVG (saphenous vein graft):大伏在静脈グラフト


■不整脈
AFL (atrial flutter):心房粗動
APC, PAC (premature atrial contraction):心房性期外収縮
AT (atrial tachycardia):心房頻拍
BTS (bradycardia-tachycardia syndrome):ブラタキ。徐脈頻脈症候群
 …もしくはblue toe syndrome
cAVB (complete atrioventricular block):完全房室ブロック
CLBBB (complete left bundle branch block):完全左脚ブロック
CRT (cardiac resynchronization therapy):心室再同期療法
 …CRT+P:ペースメーカー、CRT-D:除細動器
DC (direct current shock):直流通電(ショック)
IRBBB (incomplete right bundle branch block):不完全右脚ブロック
PAf (paroxysmal atrial fibrillation):パフ。発作性心房細動
PAT (paroxysmal atrial tachycardia):発作性心房頻拍
PMI (pacemaker implantation):ペースメーカー埋め込み
PMR (pacemaker replacement):ペースメーカージェネレーター交換
PSVT (paroxysmal supraventricular tachycardia):発作性上室性頻拍
PVC, VPC (premature ventricular contraction):心室性期外収縮
SR (sinus rhythm):サイナス。洞調律
SSS (sick sinus syndrome):洞不全症候群
VF (ventricular fibllation):心室細動
VT (ventricular tachycardia):心室頻拍


■虚血
AMI (acute myocardial infarction):急性心筋梗塞
AP (angina pectoris):労作性狭心症
CAB (=CABG, coronary artery bypass graft):冠動脈バイパス術
CAD (coronary artery disease):冠動脈疾患
CTO (chronic total occlusion):慢性完全閉塞
IHD (ischemic heart disease):虚血性心疾患
MVD (multivessel disease):多枝病変
OMI (old myocardial infarction):陳旧性心筋梗塞
POBA (percutaneous old balloon angioplasty):古典的経皮的バルーン血管拡張術
AP (stable AP):安定狭心症
UAP (unstable AP):不安定狭心症
VSA (vasospastic angina):冠攣縮性狭心症
 =CSA (coronary spastic angina)


■カテ
DSA (digital subtraction angiography):サブトラクション血管造影
ECMO (extracorporeal membrane oxygenation):体外式膜型人工肺
EVT (endovascular treatment):末梢血管の血管内治療
IABP (intra aortic balloon pumping):大動脈内バルーンパンピング
IVUS (intravascular ultrasound):アイバス。血管内超音波
OCT (optical coherence tomography):光干渉断層法
PCPS (percutaneous cario-pulmonary support):経皮的心肺補助装置
PCWP (pulmonary capillary wedge pressure):肺動脈楔入圧
PTA (percutaneous transluminal angioplasty):末梢血管の経皮的血管内形成術
 ⇒最近はEVTが主流
PTCA (percutaneous transluminal coronary angioplasty):経皮的冠動脈形成術 = PCI
RHC (right heart catheterization):右心カテーテル


■弁膜症
A,M,T,P + S,R(aortic.mitral,tricuspid,pulmonary + stenosis, regurgitation):大動脈弁/僧帽弁/三尖弁/肺動脈弁+狭窄/逆流
ASR:AS + AR
AVA,MVA (aortic,mitral valve area):大動脈弁、僧帽弁弁口面積
AVR,MVR (aortic,mitral valve replacement):大動脈弁、僧帽弁置換術
AVP, MVP (aortic,mitral valve plasty):大動脈弁、僧帽弁形成術
MAC (mitral annular calcification):僧帽弁輪石灰化
MVP (mitral valve prolapse):僧帽弁逸脱症
PTMC (percutaneous transvenous mitral commissurotomy):経皮的僧帽弁交連切開術
SAM (systolic anterior movement):僧帽弁前尖の収縮期前方運動
TAP (tricuspid annuloplasty):三尖弁弁輪形成術
TAVR (transcatheter aortic valve replacement):タブアール。経カテーテル的大動脈弁置換術
 =TAVI (...implantation)


■心不全、心筋症、エコー、シンチ
ASH (assymmetrical septal hypertrophy):アッシュ。非対称性心室中隔肥大
CHF (congestive heart failure):うっ血性心不全
CP (constrictive pericarditis):収縮性心膜炎
 …もしくはcor pulmonale:肺性心
DP (double product):心拍数×収縮期血圧。運動負荷において25000が適度な負荷の目安。
EDP (enddiastolic pressure):拡張末期圧
ICM (idiopathic cardiomyopathy):特発性心筋症
LOS (low output syndrome):ロス。低心拍出量症候群
LVOT (left ventricular outflow tract):左室流出路
SVR (systemic vascular resistance):全身血管抵抗
TEE (transesophageal echocardiography):経食道心エコー
TID (transient ischemic dilatation):負荷時の一過性内腔拡大。
 ⇒LMT病変や3枝病変など重症虚血の際に負荷によって心内腔が拡大すること。
TTE (transthoracic echocardiography):経胸壁心エコー
WOR (wash out ratio):心筋洗い出し率。正常部位では50%程度、40%以下を異常(虚血部位)


■先天性心疾患
CHD (congenital heart disease):先天性心疾患
CoA (coarctation of aorta):大動脈縮窄症
DORV (double outlet right ventricule):両大血管右室起始
ECD (endocardial cushion defect):心内膜床欠損
PAPVC (partial anomalous pulmonary venous connection):部分肺静脈還流異常症
PDA (patent ductus arterious):動脈幹開存
TAPVC (total anomalous pulmonary venous connection):全肺静脈還流異常症
TOF (Tetralogy of Fallot):ファロー四徴症
TGA (transposition of the great arteries):完全大血管転位


■その他
AAD (acute aortic dissection):急性大動脈解離
ASO (arteriosclerosis obliterans):閉塞性動脈硬化症
CAD (coronary artery disease):冠動脈疾患
CI (cerebral infarction):脳梗塞
CLI (chronic limb-threatening ischemia):重症下肢虚血
IC (intermittent claudication):間歇性跛行
IE (infectious  endocarditis):感染性心内膜炎
INR (=PT-INR, international normalized ratio of prothrombin time):アイエヌアール。
MACE (major adverse cardiac event):メイス。主要な心臓イベント
 ⇒心臓死、心筋梗塞、心不全入院、TVRなど。研究により定義が異なる。
PAD (peripheral artery disease):末梢血管疾患
PFO (patent foramen ovale):卵円孔開存
TAA (thoracic aortic anneurysm):胸部大動脈瘤
TVR (target vessel revascularization):標的血管に対するインターベンション(PCIかCABG)

★キニン類が蓄積するため。

◎基本的な事ですが、意外に知られていないのでまとめました。

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 ・ACE阻害薬の空咳は、加湿器は効きません。
 ▶︎体内のブラジキニンによる気管支刺激だからです。


■作用機序
①ACE阻害薬
・「Ang(アンジオテンシン)Ⅰ⇒AngⅡ」を阻害
⇒AngⅡ↓
AT1,AT2受容体の両方との結合↓

・「キニン→不活性物質」を阻害(ACEはキニナーゼとも呼ばれます)
キニン↑
⇒「キニン→ブラジキニン」(側副路)
ブラジキニン↑

②ARB
・AngⅡ受容体のうち,AT1受容体を阻害
⇒AngⅡ↑

AT2受容体は刺激されます!
⇒AngⅡ受容体
AT1受容体血管収縮、アルドステロン分泌→ 血圧上昇
間質細胞増殖、心筋細胞肥大→ 心肥大
AT2受容体血管拡張→ 血圧低下
間質細胞増殖抑制、心筋細胞肥大抑制→ 心肥大抑制


■ACE阻害薬の作用

1:低血圧
 RAS系の阻害によります。

2:腎機能低下
 腎動脈狭窄,高血圧性腎症,心不全,慢性腎不全,多嚢胞腎の場合
 ⇒流入血流量が少ないです
 ⇒AngⅡによる輸出細動脈収縮で濾過量維持しています
 ⇒AngⅡの反応↓で濾過量↓
 ⇒腎機能障害

※ACEが減ることで、でAngⅡは急に低下します
しかし、Creは2.3日で上昇です
⇒ACE阻害薬開始後3.5日で腎機能チェックすべき、ということです
⇒また、6~8週以内でCre・Kの上昇抑えられない場合,中止すべきです。
  
※ただ、両側腎動脈狭窄,血管内脱水がなければ,中止になることは稀です.
(そうでないとここまで広まっていません)


3:カリウム上昇
 RAAS系↓によるアルドステロン↓,又は腎機能障害によります。

4:空咳
 ブラジキニンが気管支のC繊維受容体を刺激、空咳を生じます

※ただ特定の患者にしか生じないため、遺伝要因の関与が考えられています。

5:血管性浮腫
 ブラジキニン↑,サブスタンスP↑,Des-Arg9-BK(ブラジキニンの代謝物)↑
 ⇒血管拡張,血管透過性↑による
 ⇒血管拡張
 

■ARBの副作用
1~3は同じ
4:空咳は生じにくいとされる(ブラジキニン増えないため)
 ⇒ただしゼロではないらしいです
 (経験したことはあまりないですが)
5:血管性浮腫
 機序は不明.キニン以外の物質が関与しているとされます。



・歴史的に、海外はACE阻害薬から使われてきてエビデンスがあるため、よく使われています。

・心筋梗塞後のリモデリング予防の際などではACE阻害薬のARBに対する優位性はありません。


参照 J Am Coll Cardiol. 2015 Mar 17;65(10):1029-41.

★詳細は不明だが、利尿作用↑にGFR↑が必要だと考えられている。

◎ANPに関しては新薬開発が進んでいます。ただ現状、ハンプが効果的なのは特にCS1の場合で、CS1はハンプなしでも管理可能なことが多いです。


■ANPの作用
①血管拡張⇒血圧↓

②Na利尿作用

●基本的にNa、水を排泄する方向へ作用する
・髄質の集合管においてNa再吸収を阻害
近位尿細管でのNa再吸収を阻害
 …尿細管の静水圧↑、局所でのドパミン放出による
⇒まず集合管に作用;ここでのNa排泄は軽度
血管内水分量↑によりGFR↑が進むと、近位尿細管にも作用
ANPによるNa排泄は、GFR↑が必要
…心不全への対応ということ。この点において、利尿が生理的といえる。

ANPの血管拡張作用によりGFR↑となるが、腎血流量はほぼ変わらない
…輸入細動脈拡張+輸出細動脈収縮となっているかも

・その他、レニン放出↓、アルドステロン分泌↓、アンギオテンシンⅡによるNa再吸収とアルドステロン分泌↓、集合管のADHへの反応↓など
volume↑によるRAAS系↓は、一部ANPによっている


■生理的意義

腎動脈圧↓によりANPによる利尿作用がかなり悪くなる
ラシックスはほとんど影響を受けない
・心不全や肝硬変だとANP高いが、腎動脈圧が低いとNa利尿作用は低い
ANPは血圧を下げるが、腎動脈圧が下がるとNa排泄作用は悪くなる
⇒生理的意義はよくわかっていない
※但し、これにより利尿が生理的となっている

・しかし、ANPの作用は全体からすれば小さい
…血圧変動の方が作用が大きい 



参照 UpToDate, Guyton生理学(最高の生理学教科書)

Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13e (Guyton Physiology)

★心不全の予後には様々なものが関わるので、計算ツールがある。

◎まあ、普通はNYHAで十分。


■NYHA (New York Heart Association)機能分類

NYHA

具体的な基準

日常生活動作で症状なし

7Mets以上の運動:屋外での作業、スポーツ

日常生活動作で症状あり
安静にて改善

5Mets以上の運動:性交、ガーデニング、4km/h歩行、ローラースケート

少しの動作で症状あり
生活がかなり制限される
安静にて改善

2Mets以上の運動:シャワー、窓ふき、2.5km/h歩行、着替え、ゴルフ、ベッドメイク

少しでも動くと症状増悪
安静でも改善せず

2Mets以上の運動ができない



■ACC/AHA staging

Stage

対象

45歳以上の有病率

D

難治性の終末期心不全

NYHA
治療しても安静時に症状(+)

0.20%

C

症候性心不全

NYHA -
運動耐用↓、背景の心疾患(+)

12%

B

無症候性心不全

OMIEF低下、無症候性弁膜症

34%

A

心不全ハイリスク

HT、冠動脈疾患、DM、心筋症の家族歴

22%

正常

32%


◎結果

Stage

5年間の死亡数/患者数

D

5/5 (100%)

C

68/239 (28%)

B

33/691 (5.8%)

A

13/454 (2.9%)

正常

10/640 (1.6%)

※死亡はいかなる原因も含めて

・簡便で、予後と良く相関する分類。


■シアトル心不全モデル

https://depts.washington.edu/shfm/


・年齢やNYHAなど+薬剤+ラボデータ、デバイス+インターベンションを入力
⇒かなり正確なベースラインの生存率(1-3年)、インターベンション後の生存率(1-3年)がわかる
・過去の大規模研究の症例を集めて作られた
 …平均EF=22〜35%, 平均NYHA=2.2〜2.9
⇒前向き試験で有用性が確認されている
(特に上記に当てはまる群で信頼性高い)


※心不全はかなりヘテロなので、分類に関してかなりリサーチがなされています。


参照 UpToDate, Brawnwald(一読を)

Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 2-Volume Set, 11e

★急に脳圧を下げたい時はマンニトール使ってもよい。

◎普通、心不全には使わない。脳圧低下させる。


■マンニトール
・吸収されない糖
⇒血管内浸透圧上昇し、間質から血管内に水を引く
⇒体内で代謝されない
 =完全に腎排泄
⇒近位尿細管、ヘンレのループにてNaと水の再吸収を抑制

投与後40〜50分後に脳圧は最低となり、3時間持続する
早く脳圧を下げたい時に使える
 …くも膜下出血、脳出血など
※但し持続しないため、脳圧の変動が大きい

●副作用
血管内volume↑⇒肺水腫、低Na血症
 ⇒特に腎障害ある場合、効果が遷延して危険。心不全には使えない。
・浸透圧↑より、高血糖高浸透圧性脱水の状態⇒高K血症、代謝性アシドーシス
・脳神経の細胞内脱水
リバウンド現象:BBB破綻している場合、脳内にマンニトール移行し脳浮腫が逆に増悪する
・投与量が多い場合、腎障害(可逆的)


■グリセロール
80%程度が肝臓で代謝され、残りが腎排泄
⇒浸透圧利尿が少ない
⇒電解質変化がマイルド
・エネルギー源となり、脳代謝を改善させる
投与後2時間で脳圧最低となり、6時間持続する


■エビデンス、実際
・大きな脳出血の急性期にグリセロール投与が救命に有効であった:エビデンスレベルⅡa
・グリセロールにより有意な変化なし:Ⅰb
・マンニトールにより有意な変化なし:Ⅰb

・実際、脳圧亢進疑われる急性期の患者にはマンニトール使用することが多い。
・長く使う場合はグリセロールとすることが多い。
・併用する人もいる

 
参照 UpToDate、脳卒中ガイドライン2009 

★可能な限りの心不全内服加療、オピオイドが効果的。

◎症状が複雑。病態理解も必要。


①心不全薬物療法
心不全治療の目的が延命でなく緩和ケアであったとしても、心不全治療の最適化は必須
利尿薬塩分/水分制限を用いて肺うっ血のコントロールを試みる
β遮断薬ACEi/ARBアルドステロン拮抗薬は心不全症状緩和作用もあり
 ⇒必ずしも中止すべき薬剤ではない 
 …controversialな所だが、少量で続けるべき、とする専門家が多い。
・持続のカテコラミンは始めた場合、VAD埋め込みや移植をしない限り中止できない
 ⇒容易に開始するべきでない


②呼吸困難感に対する介入
・運動療法はNYHAⅢまでの患者に対しては有効。Ⅳについては明確なエビデンスはないが、有効である可能性あり。
オピオイドは症状/ 運動耐応能改善に有効
 ⇒短時間作用型かつ肝代謝のオキシコドン、フェンタニルが推奨される
 (腎機能悪化のため腎排泄型のモルヒネは避けるべき)


③疼痛に対する介入
40-75%の患者に認められる症状。背部や関節に多く、積極的に疼痛の有無を聞いて介入すべき
 …関節炎が関与している割合は多い
・NSAIDsは禁忌;腎機能低下、体液貯留、心不全増悪を来す
・局所治療が有効であるかもしれない;NSAIDs湿布、冷罨法、温罨法
オピオイドが有効


④嘔気、食欲不振に対する介入

体液ボリュームの最適化、PPIが有効
・嘔吐に対してはロラゼパム(ワイパックス)が推奨される


⑤循環補助の中止
ICDショック中止のプログラミングを、十分なICの上すべき
 ⇒すぐにショック連発を中止させたい場合、備え付きの磁石を置くことで中止可能
・LVAD:家族を含めたチーム全員の合意の下、米国では作動停止することができる
 (作動停止=心停止となるケースが多い)



※使うならオピオイド、という感じ。ただ、使うと、余命が少なくなる印象があります(研究で証明されているかは知りませんが)。


参照 UpToDate

★アルコール性心筋症を考え、かなり積極的に禁酒を指導する。

◎でも禁酒させるのは難しい。


■アルコール性心筋症とは
●臨床像
・moderate drinkであれば、むしろ心血管系に保護的に働くとの報告あり
 (moderate drink; 女性は7杯/週未満、男性は14杯/週未満
moderate drink以上だと、アルコール消費量と心不全発症/死亡率は指数関数的に相関する

 ・アルコール性心筋症は、典型的にはアルコール80g/dayを5年以上でリスクとなる
 (平均で15年間との報告あり)
エタノール消費量のみと関連し、アルコールの種類には関わらない


●機序
・アルコール→アセトアルデヒド
⇒ミトコンドリア機能不全、酸化ストレス、カルシウムイオンの恒常性障害
 エタノールの直接障害;アポトーシス誘導など
⇒心筋障害 
・遺伝要因も関連(DD polymorphism)
アルコール消費に伴う栄養失調(脚気心)とは別の機序
 参照;http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/22664970.html


■診断
●DCM like heartの鑑別診断

・拡張型心筋症、アルコール性心筋症、虚血性心筋症(多枝病変)、サルコイドーシス、ヘモクロマトーシス、アミロイドーシス、ドキソルビシン関連心筋症など
⇒はっきりとしたマーカーがない疾患も複数ある
⇒基本的に、下記の特徴を満たし明らかな他疾患がないものをアルコール性心筋症と診断
経過(アルコール減量に伴うEF改善)で確認する

●アルコール性心筋症の特徴
・心機能低下あり;壁運動のdiffuseに低下、壁厚薄い
 …EFが低下する前にも、アルコール消費によるmild diffuse hypokinesisが認められる
・冠動脈疾患、サルコイドーシスなど、他の原因疾患が除外される
 ※「肝硬変に伴う心不全」という疾患もある
  …これはアルコールとは関連せず、high outputの心不全
・アルコール多飲歴あり(上記)


■予後と治療
●禁酒が最も重要

6ヶ月の禁酒で、EF, LV径がほとんど正常化したとの報告もある
・飲酒量を減らす(60g→20g/day)ことでも心機能改善が見込める
予後は飲酒量と強く関係する!
…禁酒できればDCMより予後はかなり良いが、飲酒を続けるとかなり悪い

●他
・心機能低下に対する基本的な加療は必要
…β遮断薬、ACE阻害薬、利尿薬など
・大量飲酒に伴うビタミン不足に注意する;B6, B12, 葉酸
⇒サプリメントで補うことも考慮
・低カリウム、低マグネシウムにも注意

 
参照 UpToDate 

★右室への還流症を減らす、ということ。

◎意外に循環器で理解されていない、病態生理。


■起坐呼吸のメカニズム

起坐呼吸=ほぼ左心不全
・立位/座位:左心は肺静脈系の中央、右心は体静脈系より高い位置にある
・臥位:左心右心とも、それぞれに対応する静脈系の中央に位置する
立位/座位では右室充満圧が、左心に比べ低い
 =右室拍出量が低下
機能低下した左心系による肺うっ血による呼吸困難は、右室から肺への流入量が減ることで改善

※よって、純粋右心不全では起坐呼吸が無い。また、左心不全に右心不全が合併すると、同じ機序で呼吸不全がやや改善する。


起坐呼吸が肺疾患による場合
両側肺上部に病変がある場合(特にCOPD)
⇒座位により、健常な肺下部に血流が増加
⇒酸素化が改善、呼吸困難感も改善

※この場合、患者は前かがみになる
…腹部を圧迫
腹腔内圧増加、平坦になった横隔膜をよりドーム状に押す
⇒呼吸のピストン運動をより効果的にする



参照 サパイラ(最近は発展しないですが、一度読んでおくべき身体診察の教科書)

サパイラ 身体診察のアートとサイエンス 原書第4版

★そんなに証拠はないが、鉄を補い、Hb7-8以下で輸血を考える。

◎よく経験するシチュエーションです。


■原因
①炎症
・心不全には炎症が関与しているとされる:TNFα、IL-6などの上昇を認める
②希釈
・あり得る。この場合予後悪い;但し希釈と解釈するのは、臨床的に難しい場合が多い
鉄欠乏
実は高頻度で、フェリチンは当てにならない;心不全と貧血の患者に骨髄穿刺を行った研究による
④ACE阻害薬
・Ac-SDKP(赤血球新生を阻害)がACEで分解される
⇒ACEi使用でAc-SDKPが蓄積
・使用後1年で比較した研究で、有意に貧血進行あった
⑤他
・心腎連関、右心不全による栄養失調、骨髄への血流低下など


■治療

●明らかな原因(鉄/葉酸/ビタミンB12欠乏、出血)があれば、それを治療する。但し大抵はそうでなく、以下はそういった場合。
輸血
・あまりエビデンスないが、よく使われる。Hb<7-8に限って使うのと、Hb<10で使うので予後に変わりなかった
鉄剤
・静注(フェジン)で症状改善の効果がみられた
 …エビデンスレベルは低い:基本的には鉄欠乏の証拠がある場合のみ
 ※しかし上述のように、フェリチンは以外と当てにならないかもしれない。
③エリスロポエチン↑
・やらない方が良い;静脈血栓症のリスクが上がるため

※一般には、心不全で、なんとかしたい場合、介入する要因の一つ、という解釈です。


参照 UpToDate

★ATをトレッドミル等の運動負荷で測定し、そのレベルのMETsの運動を推奨する。

◎奥が深い分野です。ここでは、基本の解説。


■運動負荷の実際
準備
・安静時に以下のパラメーターを確認
 …酸素摂取量 3.8ml/min/kg (1.1 METs)、VE 8-10l/min、ガス交換比 0.84

試験終了の目安
・ST変化、重篤な不整脈、血圧高値など
⇒なければ、自覚的最大負荷(ボルグスケールで19-20)まで
※エネルギー代謝の面で最大負荷となるのは、ガス交換比1.2なので、これも参考にする
 (客観的所見)


■重要な基準点
●anaerobic threshold (AT)

・運動強度の増加する過程で、エネルギー産生様式が変化する点
 (有酸素運動から無酸素運動へ移行する所

AT以上の運動をすると乳酸蓄積し、結果的に運動を中断することとなる
 …AT以下の運動であれば持続可能である(筋肉痛などエネルギー以外の因子を除き)
⇒日常の活動レベルを表す指標、心疾患のfunctional capacityを表す指標として用いられる
AT程度の運動を、1日30分以上週3-5日行う事を推奨する
 …AT時のワット数や運動強度を参考にMETs換算することが多い
※高血圧(運動時血圧↑↑)やAf(正確に測定できない)の場合、参考として用いる


●respiratory compensation (RC)

・運動によるCO2産生が増えると、ある所で代謝性アシドーシスとなる
呼吸性代償が働き、呼吸数増える
⇒この点がRCであり、RC出現後は短時間の内にアシドーシス進行する
 =運動強度が生理学的に最大のレベルに達したと考える


■運動負荷時の呼気ガス変化の原理
●原則、変化の流れ

運動強度は呼気酸素濃度(VO2)と相関するとされる
VO2 maxは、生理学的にその個人がもつ最大運動能力を表す
 ※peak VO2は、試験中に記録された最大のVO2であり、必ずしもmax VO2ではない
 ⇒必ず測れる指標なので、心不全の生命予後や治療効果判定に用いられる

・有気代謝でCO2産生される
 +嫌気代謝も生じると乳酸産生、乳酸が水とCO2に分解される
無酸素運動では呼気CO2濃度(VCO2)がVO2より早く増加
分時換気量(VE)はVCO2と相関するので、VE/ VO2も上昇
 ⇒よって、VE/ VO2の最低値がATを表す

・VCO2が更に増えると、代謝性アシドーシスとなる
⇒呼吸性代償としてVEは更に増加する
 ⇒よって、VE/ VCO2の最低値がRC(呼吸性代償の開始点)を示す
 …この時、終末呼気二酸化炭素分圧(PETCO2)が下降し始める


●AT決定のクライテリア

①ガス交換比(R)/ VO2 の上昇点
②VCO2/ VO2 の上昇点
③VE/ VO2の上昇点(VE/ VCO2が増加しない所で)
④VE/ VO2の上昇点
⑤PETO2 の上昇点(PETCOC2が変化しない所で)
⇒これら総合的にATを判断する
⇒AT時のワット数、運動強度をMETs換算して、指導の参考にする


■ワット数→METs(指導の目安)

METs

運動負荷試験

ワット数

歩く早さ

運動

12

 

 

1-2 km/h

食事、洗面、自動車運転

23

stage 0

 

3 km/h

調理、モップがけ、乗り物に立ち乗り、
ボーリング

34

 

25

4 km/h

シャワー、炊事、洗濯、ふとん敷き、
釣り、ラジオ体操、トラック運転

45

stage 1

50

5 km/h

軽い大工仕事、草むしり、セックス、
入浴、卓球、テニスのダブルス

56

stage 2

75

6 km/h

階段、農作業、アイススケート

67

stage 3

100

4-5 km/h
(ジョギング)

シャベルで掘る、雪かき、水汲み、
テニスのシングルス

78

stage 4

125

8 km/h
(ジョギング)

水泳、エアロビクス、登山、スキー

8

stage 5

150

10 km/h
(ジョギング)

なわとび、各種スポーツ





参考 狭心症・心筋梗塞のリハビリテーション(基本の本)

狭心症・心筋梗塞のリハビリテーション―心不全・血管疾患の運動療法を含めて

★心筋細胞、心筋、左室それぞれのレベルで悪循環が生じること。

◎リモデリング予防こそが、心不全・心筋梗塞二次予防の要点です。


■心筋細胞の変化
細胞肥大
<マクロ>
後負荷=血圧上昇
⇒収縮期の壁ストレス↑ 
心筋が縦に増殖=厚くなる中心性肥大
前負荷=volume overload
⇒拡張期の壁ストレス↑
心筋が横に増殖=内腔が拡張する遠心性肥大

<ミクロ>
●機械的刺激、NE/アンギオテンシンⅡ、炎症性サイトカイン、成長ホルモン、活性酸素
心筋細胞の遺伝書き換え
心筋細胞肥大(ミトコンドリア増殖、筋繊維増殖、最終的に細胞小器官破壊)
⇒胎児性遺伝子発現、通常の遺伝子発現↓(fetal gene program
⇒心筋細胞機能障害


興奮-収縮連関の変化
・不全心筋細胞
⇒細胞内Ca↑+Caがなかなかはけない
 …詳細は複雑なため略
心拍数が多いとき、十分に収縮できない
※通常は、心拍数が多い程心拍出量 (=心拍数×一回拍出量)が増えるが、心不全の場合そうでもないということ。


■心筋変性

心筋
・炎症、虚血、NE↑やRAAS系↑、活性酸素
⇒心筋細胞のネクローシス、アポトーシス、オートファジー
⇒心筋量減少

細胞外基質
・同様のトリガー
⇒小繊維合成/分解↑、cross-linking変化など
 …詳細は複雑なので略
⇒①壁の再配置による左室拡大、菲薄化
 ②左室収縮のdyssynchronyによる収縮不全


■左室構造の変化

・薄くなる+球形に近くなる⇒縦方向への負荷が増大
・LV拡張自体が収縮に必要なエネルギーを多くする
・壁ストレス⇒特定の遺伝子活性化(アンギオテンシンⅡ、TNEαなど)
・拡張末期圧高い⇒心内膜下虚血、活性酸素↑
・拡張により乳頭筋が引っ張られ、僧帽弁閉鎖不全を起こす⇒さらに左室前負荷を増やす
※これらにより悪循環となる



参照 Brawnwald 

Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 2-Volume Set, 11e

★効く薬は決まっていて、それを少量からゆっくり漸増する。

◎当たり前ですが、急に始めると心不全になります。


■β blockerの効果 
・特にACE阻害薬と併用すると、左室リモデリング改善、症状改善、入院率低下、予後改善
・メトプロロール(セロケン):死亡率を34%下げる(MERIT-HF study)
・ビソプロロール(メインテート):死亡率を32%, 入院率を30%下げる(CIBIS Ⅱ study)
・カルベジロール(アーチスト):死亡率/入院率を下げる(様々なstudy)
他のβ遮断薬(プロプラノロールなど)は、予後を悪くするか変えない


■β blockerの使い方

利尿薬の量を調整する
⇒少量から始め、漸増する
ゆっくり(2週間以上かけて)増量する
 …交感神経サポートがなくなるため、体液貯留して心不全増悪する危険性あるため

増悪する場合、開始/増量して3-5日でわかってくる
⇒この場合、利尿薬増量して対応する
※普通ACE阻害薬と併用し、この場合ACE阻害薬は少量で良いとされる
(β遮断薬は多い方が良いかは不明)

 

参照 Brawnwald(一度は読みましょう)

Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 2-Volume Set, 11e

★交感神経↑が悪く、それを抑制するため。

◎これも基本。交感神経と心不全の悪循環。


■心不全⇒交感神経亢進
動脈/心肺の圧受容体反射の抑制が低下
 …通常は、内頸動脈/大動脈弓の圧上昇、心肺の機械受容体の圧低下によって交感神経が抑制され、
  末梢の化学受容体と筋の代謝受容体(末梢循環が悪いと)交感神経が興奮する
交感神経↑、副交感神経↓


■交感神経活性化は悪

・交感神経↑
⇒交感神経終末からのノルアドレナリン(NE)放出上昇により血中へNE漏れ出る
 +NE再取り込み低下
血中NE濃度↑
⇒心臓のNE取り込み量↑
β1刺激:心拍数↑、心収縮力↑
 α1刺激:末梢血管収縮、心収縮力↑
⇒①心筋酸素需要↑、虚血増悪、肥大
 ②催不整脈
 ③RAAS系亢進

・副交感神経不活性化
⇒NO↓、炎症↑、リモデリング↑



参照 Brawnwald

Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 2-Volume Set, 11e

★皆に、少量から使う。

◎使わないのは悪。咳の場合はARBに。


■ACEiの効果
・無症候性心不全が、症候性となる/入院となる のを予防する (SOLVD, SAVE, TRACE study)
・症候性/MI後心不全の死亡率を減らす (CONSENSUS Ⅰ study)
基本的に全員に使った方が良い
 …副作用で使えない場合を除く


■ACEiの使い方

・利尿薬の量を調整
低容量から導入
3-5日に2倍程度で増量
多ければ多い程、再入院率を減らす(普通β遮断薬と併用し、その場合低容量でも大丈夫
⇒1-2週間後、血圧、腎機能、Kをチェック
 …低血圧、高BUNは許容。めまい、Cre上昇ある場合は漸減を検討。咳がつらい時も。
 ※参照:ACE阻害薬とARBは違うの? ★副作用の機序も
⇒中止するときは徐々に減らす


※ただし、どのくらい効いているのか、手応えみたいなものはわかりにくい薬剤です。



参照 Brawnwald(これさえ読めばOK)

Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 2-Volume Set, 11e

★RAAS系亢進が悪だから。

◎基本事項。心不全とRASS系亢進の悪循環の機序を理解しましょう。


■心不全⇒RAAS系亢進
・心不全
交感神経↑腎血流↓遠位尿細管の緻密斑へ届くNa↓
JG細胞からレニンが放出
⇒肝で合成されたアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠへ変換
⇒ACEによりアンギオテンシンⅡへ変換
アンギオテンシンⅡが2種類のAT受容体へ結合
…AT1:血管収縮、細胞成長促進、アルドステロン/カテコラミン分泌
 AT2:血管拡張、細胞成長抑制、Na利尿、ブラジキニン分泌
※血管にはAT1受容体がほとんど、心筋にはAT2が2:1で多く分布


■RAAS系亢進⇒心不全増悪

アンギオテンシンⅡが持続的に発現
心筋/腎臓の繊維化、交感神経からノルアドレナリン放出、副腎からアルドステロン分泌

アルドステロンが持続的に発現
血管と心筋の肥大/繊維化内皮機能障害、化学受容体機能障害、NE取り込み阻害
⇒これら全てが心不全に悪影響を与える


※アンギオテンシンⅡ、アルドステロンの生理的意義
一時的に発現することで、体液量を保って循環サポートすること
持続的発現が悪いため、ACE阻害薬で抑えると良い




参照 Brawnwald(循環器の教科書、これさえ読めばOK)

Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, 2-Volume Set, 11e


★ない.

◎循環器内科医になる前に書いた記事です。なってみると、これはそんなに臨床的に大事でないことがわかります。

■右房の位置の意味
・身体診察でCVP測定するとき,観血的血圧測定のゼロ点校正時に,ゼロ位置=右房とする
静脈圧が0の位置=右房

・動脈圧の場合
⇒位置が30cmずれると血圧が22mmHgずれるとされる
⇒きちんと合わせることが重要

・静脈圧の場合
⇒CVP自体そんなにあてにならないので,誤差として許容できる


■ゼロ位置の合わせ方
いかなる体位でも,胸骨角から5cm下
広まっているが,誤っている
⇒身長に依存するはずだし,立位により心臓の位置はほとんど変わらないだろうから

仰臥位では,平均5.4cm下である
⇒胴の角度を高くすると,胸骨角からの距離も増える;(45°以上傾けた場合,+10cmとすべき)

●他にも色々なゼロ点が考案されてきた
・最も有用と考えられるもの:胸骨からベッドまでの距離の1/3~1/2の部分

 
参照 UpToDate,サパイラ,ICU book 

★リンパ管からの排泄増加による.

◎患者によりますが、聴取されない方もいます。教科書的には、聴取されないということです。

■肺のcoarse crackles
血管内から肺胞へ体液が漏出した結果生じます

慢性心不全
⇒左室充満圧上昇
⇒肺胞液のリンパ管からの排泄が増加
⇒肺胞には水が溜まりづらい
⇒肺雑音が聴取されない


■crackles, rale (rhonci)の原理
間質浮腫
(心不全も基本的にこの病態)
気道が硬くなる
⇒それが開くとき,cracklesを生じます
・これは重力の影響を受けるため,体位によって移動します

・この点で,fineとcoarseは同じ原理です。
⇒断続音として,基本的に区別されない
 
※肺胞内の水分移動による音ではない,と考えられます
⇒但し,不規則に生じるraleは,比較的大きな気道に存在する液体による可能性があります。

 
参照 ハリソン,サパイラ,UpToDate 

★だいたいわかれば、それでよい。

◎循環器内科医がだいたい見るポイントは決まっていて、簡単です。詳細には、かなり奥が深く、理解が必要です。

■だいたいみるポイント
1) EFが良いか
 ... 見た目で5%刻み、つまり50%, 55%, 60%,というくらいの評価。50%以下だと、低いと考える。
  EFが下がる=心筋症。原因は虚血、不整脈、などいろいろ。

2) Asynergyがあるか
 ... 収縮の非対称性があるか。これは基本的には虚血を意味する。
⇒Asynergyがある場合、
 ・その壁は菲薄化/輝度上昇していないか:していれば陳旧性心筋梗塞
 ・所在はどこか:冠動脈の支配領域に合わせて考える
  ⇒支配領域に合わない場合、他のことも考える

3) chamberの拡大はないか
 ... (右房)、右室、左房、左室の大きさの評価。だいたい。
 ⇒右室が大きい:右心系に血液がうっ滞する病態
  左房が大きい:だいたい心房細動。まれにMS
  左室が大きい:心機能が悪い。だいたいlow EF

4) 逆流、狭窄があるか
 ... 逆流は見た目。狭窄は流速。

5) TRPGとIVC
 ... TRPG高かったりIVC拡張していると、右心系の血液うっ滞


■細かいこと
①流速を測る仕組み(これは大事)
PW…一点の流速を測る
CW…線上のどこでも,一番流速が早い所を測る
⇒基本的にPWを使う.流れが速い時(2m/s以上)はCWでないと測れない
TRPGは流れが早いので、CWで測る

②CO(cardiac output, 心拍出量)
・CO=SV(stroke volume, 一回拍出量)×HR
・SV=LVOT area(左室流出路断面積)×LVOT VTI(血流の時間速度積分値)
 ・LVOT area=LVOT(左室流出路直径)/2×3.14
 ・LVOT VTI:左室流出路にPWのサンプルポイントを設定
       ⇒波形をトレース(横軸時間,縦軸が血流速度)
       ⇒このグラフの面積=LVOT VTI 
※あまりやらない

③推定右室圧
推定右室圧≧40→肺高血圧と診断できる
 …収縮期右室圧=肺動脈圧,と仮定している(よってPSでは適応外)

推定右室圧=4×三尖弁逆流最大速度の2乗+右房圧
 ⇒逆流がないと判定できない!
 ⇒CWにし,基線からVpeakまでの距離=逆流最大速度
 ⇒右房圧は推定する:普通なら5~10,IVC虚脱なら0~5,怒張なら10~15
IVC拡張とTRPGのあわせ技。細かいカットオフでなく、大体が大事。

④左室拡張能の評価:E/A
・左室流入血流は二峰性…E波,A波
⇒僧房弁弁尖先端にサンプルポイントを設定 (PW)
⇒EとAの速度の比を求める
正常(E/A>1)→弛緩障害型(E/A<1)→偽正常型(E/A>1)→拘束型(E/A>2)と移行する
※心筋が硬いか、という指標。managementにはそれほど影響しない。

⑤心筋の動く速度:E'
組織ドプラ
⇒サンプルポイントを心室中隔の僧房弁輪部に
⇒E'を測定
 …これが小さいと左室弛緩能が低下している
※これも、あまりみない


参照 心エコーセミナー

★良い.

◎生理的には、左心不全にCPAP用いることで左室貫壁圧↓,心拍出量↑となるからです。臨床研究でも、PEEPにより心源性肺水腫の改善が促進される事が示されています。


■PEEPの原理
・胸腔内圧を上げます
⇒SVC,IVC虚脱
⇒心臓への血液流入↓
前負荷↓
横隔膜が下がることで腹腔内圧↑,胸腔へ静脈血を押し出すため,前負荷が保たれるとの考えもあります
 (ここでは省略)

・胸腔内圧=心臓の周りの圧力が高い
⇒左室拡張が妨げられます
⇒ラプラスの定理より,後負荷↓
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35695947.html


■PEEPによる心臓への影響
●正常心
・前負荷の低下は,心拍出量の低下とほぼ相関します
(後負荷にはあまり影響されません。心臓に余力があるため)
⇒よって,PEEP↑では前負荷↓の影響が強く出る
心拍出量↓

●左心不全
・前負荷がある程度以上増えても,心拍出量は変わりません
 …うまく拍出できていないため
 =逆に、前負荷が低下してもあまり心拍出量は変化しません
・後負荷の低下は心拍出量の上昇とほぼ相関します
⇒よって,PEEP↑では後負荷↓の影響が強く出る
心拍出量↑

血管内volume低下時
…前負荷低下の影響が強く出ます
不全心でも心拍出量が低下します!
・よって,心不全にPEEP用いるとき,適切な血管内volumeの維持が重要です. 
 

参照 ICU book 

★ラプラスの定理による。

◎意外に知られていない、常識です。PEEPかけると後負荷が下がる、という研修医が8割。

■ラプラスの定理
・球のモデルの圧に関する定理。風船とかに当てはまる(と思います)
平均円周方向応力(壁応力)=内圧 × 半径 ÷ (2 × 壁厚)

●この単純なモデルを心臓に応用すると、以下のようになります。
後負荷=駆出期に心臓が打ち勝たなければならない抵抗
    =収縮期の心室壁応力
    =心室内圧 × 心室の半径 ÷ (2 × 心室壁厚)

・よって、以下の場合に後負荷が上がります
⇒心不全:内腔拡大
 高血圧:内圧↑
 PEEP:胸腔内圧↑,心臓壁を挟んで心室内圧↑(圧力のバランス)

※これらによる後負荷の上昇を、心肥大(心室壁厚↑)により代償するのです
 

参照 ハーバードテキスト 

★高拍出性心不全による!

◎この関連性はあまり自覚していない方が多い印象です。慢性貧血に限ります。

■慢性貧血
・血液中の酸素濃度低い
⇒組織が必要とする血流量が増えます
⇒心拍出量が相対的に足りません
高拍出となるが,それでも足りない=心不全

参照(高拍出性心不全の詳細)http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35756879.html


●臓器血流量足りない
交感神経↑,RAAS系↑
⇒Na,水の貯留
浮腫


参照 UpToDate

★平均血圧を見て判断する.
※ここでは橈骨動脈ラインについてです。

◎ICU bookで、それぞれのエラーの原因を理解しておきましょう。

ICUブック 第4版



A-lineのエラー
・動脈が曲がる(先が壁に当たる):手の位置がずれる,動脈が攣縮する
 ※動脈を押さえつけると攣縮してしまいます

0位置が変化する
 体動でも変化します
 ⇒定期的に調整する必要があります

アーチファクト
 ルート内の液体自体が振動することによります(増幅 or 減衰する)
 ⇒フラッシュテストで確認
 ※詳細は略.気泡の除去,チューブの交換が対処法.


血圧計のエラー
・誤ったカフの利用:
 上腕の半分以上が覆われること(大きすぎは問題ない),平行に巻けていない

が一様に動脈を圧迫していない
 …嚢とはカフの中の空気が入る場所.嚢の幅は上腕周の40%を超える必要があります


血圧モニタリングについて
・末梢に行くほど,収縮期血圧が高くなります
 ※末梢からの圧波反射によります:
  血管分岐部と狭小化した血管から,反射波発生する
  ▶動脈硬化で顕著となる(圧波がより速く戻る

⇒但し,平均血圧は変化しません
 …平均血圧は,収縮期・拡張期の時間で平均されます
 ⇒上記の収縮期血圧上昇は,収縮期波形の狭小化を伴うため,平均血圧は変化しないのです。

血圧計,動脈ラインで平均血圧の差は±10程度のはずです
⇒これがずれた時,上記を確認します



●動脈ラインの管理については、本当に病院それぞれです。A lineを(ほとんど)全く使わない所もあります。
私見:集中管理中,基本的に血圧計は信頼できます.a-lineは継続して監視できるのが良い点なので,血圧計の値を参考に適宜調整していきます。


参照 ICU book,UpToDate

★悪循環を理解する.

◎意外に複雑な生理を臨床医が理解するには、ICU bookが最もおすすめです。

ICUブック 第4版



■流体力学
Q=⊿P×(πr4/ 8μL)

 R8μL/πr4

…固い管において成り立ちます
Q:流速,r:半径 ,μ:粘調度,L:長さ,R:血管抵抗

●血液の粘調度
赤血球と,血漿中のフィブリノゲンの相互作用で決まります
 ⇒赤血球の濃度が最も重要、つまり
 ⇒Ht(ヘマトクリット)        
※Htと粘調度はほぼ相関します。


■貧血による高拍出の原理

・貧血
⇒Ht低い=μ低下
⇒R低下
⇒Q(流速)上昇
血漿の速さの方が,血球の速さよりも増幅しやすい!
⇒末梢で血漿成分が相対的に増えます
⇒血液薄くなります
 =Ht低下
 (悪循環)
⇒心拍出量↑
 

参照 ICU book 

★意外に知らない.

Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13e (Guyton Physiology)


 Guytonが答えてくれました。


・発熱
洞結節の代謝↑
⇒興奮性↑
⇒心拍数↑

※発熱⇒脱水⇒心拍数↑
の影響もありうるが,メインではないです.

※また、このメカニズムのため、洞不全症候群では頻脈となりません。


参照 Guyton生理学

★血のめぐりが遅いから.

◎心不全で呼吸様式が悪い人がいます。その機序。

※チェーンストークス呼吸(CSB)
=無呼吸と頻呼吸の繰り返し(ランダム)

●慢性心不全(CHF)
⇒酸素化悪い
⇒呼吸数が多い
⇒慢性的に低CO2血症
下がりすぎると無呼吸となります:CO2ナルコーシスと同じ
⇒無呼吸でPaCO2上がれば呼吸再開ですが、
 心不全は循環に時間がかかるため,
 呼吸中枢(脳)へCO2の高い血流が行くまで時間かかる!(★)

⇒感知が遅れます!
無呼吸遅延
⇒呼吸中枢やっと気づく:この時はすでにPaCO2が高い
早く戻そうと頑張る
⇒呼吸早くする
※これが繰り返されるのです。


●健康人でもこの機序は考えられるが,実際は生じません。
⇒呼吸中枢/血液には溶解しているO2,CO2があり,これにより対応可能だからです。
⇒よって,(★)がこの病態に重要です。


参考 Guyton physiology

Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13e (Guyton Physiology)


ガイトンはなんでも解決します。

★循環血漿量減少による。

◎ボルタレンを処方すると血圧低下を気にする看護師さんがよくいますが、機序を理解すれば全然怖くない。

■NSAIDsによる解熱の作用機序
●まず、発熱の機序は以下の通り。
サイトカインや細菌・ウイルス自体が原因となり、
⇒視床下部の体温調節中枢でPG(プロスタグランジン)合成
サーモスタットの接点↑
 (防御機構です)
⇨よって自分の体内が高い熱の状態を維持しようとするのです。

●一方、NSAIDsの機序は以下の通り。
①NSAIDsはPG合成を阻害
サーモスタットの接点↓
これだけでは,体温が下がりません:36度が適切な体温だ、と体が認識しなおすだけ。

血管拡張作用があり、
熱放散により、体温が下がります。


■血圧低下の機序
・短時間作用型NSAIDs(特にボルタレン坐薬)

①解熱時に発汗
循環血漿量↓(★)
⇒血圧↓

血管拡張
⇒血圧↓

※なので、この機序による血圧低下に対しては、輸液をすれば是正されます
+かつ、時間たてば戻ります(熱も戻りますが)


③肛門に挿入の際,迷走神経反射
⇒低血圧

※これは全然ちがいますが、稀です。この時はアトロピン。


■NSAIDsにより腎障害に至る機序
・★により腎血流量↓
.....NSAIDsによる輸出/輸入細動脈拡張 
⇒腎血流量↓
⇒腎障害
となるのです。

特に、この合併症は脱水の患者に注意します。
 

参照 ボルタレンHP

★dip(下がる) and plateau(変わらない)

◎なぜdip and plateauとなるかです。

■右室圧曲線のはなしです。
●収縮性心膜炎
⇒拡張期に右室圧が急激に下降する(dip
⇒いったん右室圧は上昇する
⇒硬い心膜が障害となり,ある時点以降は上昇がみられなくなる(plateau
⇒収縮期に圧が上昇する

結構大事な初見で、実臨床で使います。右室に拡張障害があるかの判断に使います。

※見た目が平方根みたいなことから名づけられました.

syuusyuku2














参照 UpToDate

★右室の拡張障害を意味します。

◎すぐ心エコーあてるので大病院にいると意識しませんが、primary careの現場では重要なのかもしれません。

■奇脈とは

吸気時に血圧が10以上低下することを言います。
右室拡張不全の疾患を示唆します
 ⇒心タンポナーデ,収縮性心膜炎


■奇脈の機序

吸気により静脈還流量が増えます(生理的現象)
 …これは非常に重要なことです。
  腹圧・胸腔圧上昇で大静脈が圧迫され右房への血流量が増加します。
⇒右室が張ります
右室拡張ができず、心室中隔が左室へ偏位します(圧力が中隔にかかるため)
⇒左室容量が低下
⇒拍出量が低下
⇒体血圧↓

②吸気により肺が膨らみます
肺血管床拡張
=肺にプールされる血流量が増えます
⇒左室への血液が低下します
⇒拍出量が低下
(これは生理的現象です)

合わせ技で血圧が10以上低下するということです。何故10mmHgなのかは不明です。

★様々な要因による.

◎これは意外に知っている人が少ない話です。

血圧波形の構成
・血圧変化の波
大動脈の根元から始まる波と,端に行き,反射してくる波の重ね合わせにより形成される
⇒よって,体の端に行くほど血圧波形は尖る
 …もとの波と反射波がより重なるため
⇒ピークが高くなる
=末梢ほど最大血圧が高くなる

血管の硬さ
・中枢の血管は、弾性繊維を多く含みやわらかい
 …末梢にいくほど平滑筋層の割合が多くなり,硬いのです
+加え,末梢へ行くほど「血管壁の厚さ÷血管径」が大きくなる
 …血管壁の割合が多い、即ち硬くなる要素が多いのです
末梢ほど血管は硬くなる
⇒末梢ほど脈波が早くなる
 …血流の速度とは異なります。脈の立ち上がりの早さで、つまりピークが高くなるということです
⇒末梢ほど血圧が高くなる

血流速度
・血管の分岐,そこでの径の減少により速度が減衰する
上肢へ行く血管の角度が大きく、そこでの速度減衰が大きい
⇒上肢へ行く血流の方が遅くなる
⇒上肢の方が血圧が低くなる

★音質ではなかなか区別できない!

◎基本的な事項ですが、意外にできない方が多いです。


■基本的な聞こえ方
●AS(大動脈弁狭窄症)
①最強点は胸骨右縁とあるが,実際は様々です。
⇒前胸部に広範囲な心雑音が聴かれます
⇒最強点を同定できないこともあります

②Ⅱ音が減弱する
(過去記事http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/23895034.html

③頸動脈の触診
細かい振戦を伴い,遅く触れる(かなり特異的な所見)


●MR(僧帽弁閉鎖不全症)
①間違いなく心尖部で強く聞こえます
⇒ASと比べ,他の部位では聞こえても小さい

MR前尖逸脱の場合、背中に放散します!
背骨で雑音が聞こえます
⇒高度の逆流の場合、頭でも聞こえます:top of the head murmur


■期外収縮,AFなどの心拍変動の影響
ASだと増強,MRだと変化なし!

…期外収縮時,収縮が不十分です
⇒次回の心室収縮時,心室容量が増加
⇒拍出量増加
 =拍出に関わるASでは雑音が増加します


参照 週刊医学界新聞,忘我blog, UpToDate

★心室は自発的に収縮するが,大肺動脈圧は血流の多さに依存することによる.

◎実臨床ではまず話題になる事がない話ですが、国家試験では必要な知識です。

■Ⅰ音
・房室弁(基本的には僧帽弁)が閉まる音
音の強さは,拡張期終末の弁の位置と相関する
 …この時開いている程音が大きくなるということです
⇒標準では,拡張期末期に弁がほぼ閉まりかけている
⇒収縮期開始時に完全に閉まる

●僧帽弁狭窄症(MS)の場合
・心房から心室への血流が遅い
拡張期終末に,弁がかなり開いている(☆)
⇒収縮期開始と同時に,弁が急激に閉まる
⇒Ⅰ音増強
というわけです。

※ちなみに、Ⅰ音増強は以下の場合にみられます。
①☆の状況:右左シャント,頻脈により拡張期が短い,PR短縮により収縮期開始が早い
②心室収縮力↑=hyperdynamic states


■Ⅱ音
・大動脈弁,肺動脈弁の閉まる音
⇒拡張期開始時に、大動脈圧,肺動脈圧により閉まる
 
●大動脈弁狭窄症(AS)の場合
・大動脈への血流が減る
拡張期開始時の大動脈圧が低い
 +弁尖が硬くて動きにくい
⇒Ⅱ音減弱
 というわけです。

※逆に,肺高血圧や全身高血圧ではⅡ音増強します。

★輸血は濃くて、様々な抗原が含まれている。

◎輸血の副作用をまとめています。

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 ↑こんなものまで売っています。

①Volume overload
・濃厚赤血球(RCC, MAP)輸血
Hb高い+Na多く含むため、高張である
⇒輸血により水を血管内に引き寄せる
⇒血管内volume↑
⇒①心不全悪化(TACO),  ②希釈による血小板減少

●Transfusion associated circulatory overload (TACO)

overvolumeによる心不全
・0.9ml/minでも生じうる
⇒但し、TACO予防に輸血速度の制限が有用!
 …具体的には2-2.5ml/kg/h(1パック1.5-2時間の速度)、また1日2単位以内の輸血
※心不全患者に輸血速度の制限を行う理由。


②Transfusion related acute lung injury (TRALI)
・輸血による急速な肺障害(ARDS
・リスク:肝臓移植、慢性アルコール中毒、ショック、呼吸器管理、喫煙、高IL-8、水分貯留状態
・血液製剤中の白血球抗体(HLA抗体,HNA抗体)によるものと考えられている
…好中球のsequestration and priming▶︎活性化 という病態

●診断基準(下記全て満たす)
・輸血開始6時間以内の急速発症、低酸素、バタフライシャドウ、volume overloadの所見なし、輸血前にALI/ARDSの所見無し
⇒これに加え、ARDSの危険因子がなければTRALI, あればpossible TRALI
…誤嚥、中毒、肺炎、溺水、ショック、敗血症、多発外傷、熱傷、膵炎、CABG後、overdose


③凝固系阻害

・輸血中にクエン酸⇒アシドーシス助長
・輸液(冷たい)⇒低体温
 ※凝固↓,低体温,アシドーシスは互いに助長し合う;参照 外傷死の3徴
凝固因子の希釈


④アレルギー

・輸液製剤中の何らかの抗原による
 ⇒ほとんど原因不明

●Urticarial transfusion reaction
・蕁麻疹、痒みが出現するが、その他のアレルギー症状はでない状態
・最も高頻度。抗ヒスタミン薬にて対応。
●アナフィラキシー
・特にIgA欠損症の患者で抗IgA抗体を持つ人では起き得ることに注意
●Acute hemolytic transfusion reaction (AHTR)
・血液型の不一致による
・急速補液、利尿により治療する


■実際の対応
・呼吸困難が生じた場合,TRALI/ TACOとの鑑別が必要
胸部Xp;アレルギーは変化なし,TRALI/ TACOは両側肺野浸潤影(+)
・TRALIはsupportive careが主体。TACOは心不全管理
⇒volumeを評価しつつ全身管理を行うという点で治療方針は同じ。
 
※TACOとTRALIとの鑑別

・TACOは心不全の症状
⇒心不全患者の場合,鑑別が難しい
 a. 血圧:上昇:TACO,低下:TRALI
 b. TACOは利尿剤が有効
 c. TACOはEFが著明低下しうる

・輸血後発熱することはよく経験される。ほとんどはFebrile non-hemolytic transfusion reaction (FNHTR)であるが、感染症やTRALI、アレルギーをrule outすることが重要。FNHTRの場合は対症療法のみでよい。

●頻度
Urticarial transfusion reaction: 1-3%
FNHTR: 0.1-1%
TACO: <1%
TRALI: <0.01%
Anaphylaxis: 1/20000 - 1/50000
AHTR: 1/76000


参考 輸液副作用対応ガイド, UpToDate

★心臓MRIで肝になるところ。

■メカニズム

・ガドリニウム造影剤は正常細胞に取り込まれない
 =間質が染まる
 (正常の間質は30%程度の体積ある)

・心筋細胞が死ぬと、①間質の体積が大きくなり、②細胞膜による取り込みブロックがなくなる
⇒生きている心筋細胞以外の所が染まる
・更に、造影剤をwashoutする毛細血管も減る
⇒遅延造影となる


■染まり方の特徴
●置換性線維化

・局所の心筋がごそっとなくなり、線維化する
局所に集積するLGEとして判別される
⇒分かりやすい、定量化しやすい(計測が簡単)
心筋梗塞やサルコイドーシスでみられるパターン。

※心筋梗塞急性期には梗塞心筋が浮腫状となる
⇒浮腫=間質の増加である
⇒死んでいる心筋の箇所以外にも造影剤が蓄積する
 =LGEが過大評価となる
⇒これは、慢性期にはなくなる

●びまん性間質性線維化
心筋全体に、びまん性に広がるLGE
分かりにくいし、計測しにくい
⇒そもそもLGEとして認識できないこともある
・拡張型心筋症やFabry病で認められる
※拡張型心筋症でLGEが認められるのは20-70%と言われる。心筋中層に筋のように入るLGEが典型的とされるが、そうでもないことも多い。

★いつも調べるのが大変なのでまとめました。2017/10/30現在。
AF:心房細動
PE:肺塞栓症
DVT:深部下肢静脈血栓症
CLcr:クレアチニンクリアランス(※リンク▶︎eGFRとの違い
※アレルギーや出血、凝固異常が禁忌なのは当たり前なので省いてます。また、硬膜外カテーテル使用中には普通使いません。

■エリキュース(アピキサバン)

●AFは5mg*2回の投与、PE/DVTは10mg*2回を7日間⇒5mg*2回。
以下の2つ以上に該当する場合、2.5mg*2回へ減量する
 ・80歳以上
 ・体重60kg以下
 ・Cre>1.5mg/dl
●禁忌
 ・AFでの使用⇒CLcr<15
 ・PE/DVT⇒CLcr<30


■イグザレルト(リバロキサバン)

●AFは15mg*1回の投与、PE/DVTは15mg*2回を3週間+以降15mg*1回
AFでの減量基準は腎機能のみ、引っかかると10mg*1回
 ⇒CLcr<50(CLcr<30は注意して使用可能)
※PE/DVTでの減量基準は記載無し
●禁忌
 ・肝障害(Child/Pugh BかC)
 ・妊娠の可能性
 ・HIVプロテアーゼ阻害薬、アゾール系抗真菌薬、コビシスタット含有薬
 ・感染性心内膜炎の急性期
 ・AFでの使用⇒CLcr<15
 ・PE/DVT⇒CLcr<30


■リクシアナ(エドキサバン)

●AF/PE/DVT⇒60mg, 整形外科術後のDVT予防⇒30mg
●減量規定:どれかに引っかかると30mgの投与
 ・体重60kg以下
 ・CLcr 50 ml/min 以下
 ・P糖蛋白阻害作用を有する薬(キニジン、ベラパミル、エリスロマイシン、シクロスポリンなど)との併用
●禁忌
 ・感染性心内膜炎の急性期
 ・AF/PE/DVT⇒CLcr<15、凝固異常を伴う肝疾患
 ・DVT予防⇒CLcr<30


■プラザキサ(ダビガドラン)

AFに対する血栓予防のみが適応。150mg*2回。
●減量基準のどれかに当てはまると110mg*2回へ減量
 ・70歳以上
 ・消化管出血の既往
 ・CLcr<50
 ・P糖蛋白阻害作用を有する薬との併用
●禁忌
 ・CLcr<30
 ・イトラコナゾール服用


こう並べると、エリキュースがやはり使いやすい気がしてしまいます。

★基本的には精密なEF/LVDd測定と心筋バイアビリティ評価。

■cine-MRI

シネ画像により、心筋収縮を3次元に捉える事ができます
⇒特に短軸像を重ねあわせる事で、EF, LVDd, LVDs等を定量化できます
⇒MRIによる定量化は最も正確とされます(特にエコーと比較して)
EFの低下、LVDdの拡大は、悪い予後と関連します

・弁口面積の評価にも用いられるそうです。


■ガドリニウム遅延造影(LGE; late gadolinium enhancement)

心筋の線維化、不可逆性の障害を示します
 ⇒CMRで黒い心筋の中に白く染まる箇所です
 …そういう箇所は造影剤の取り込みが遅くなるからです。
※LGEはAMI, OMIどちらも反映します。
・LGEがあると、将来の心血管イベントのリスクが増加します。
・LGEは定量化も可能です(測定は少し面倒くさいです)。
 ⇒LGEの定量化は再現性が非常に高いといわれます。

LGEは収縮機能低下と関連あります
・貫壁性のLGEは心筋のviabilityは少ないと考えられます。
・非貫壁性のLGE(25-50%程度)はviability残存が見込まれます
 =つまり、心筋の収縮力が保たれる可能性が示唆されます
・また、心筋梗塞後すぐのLGEは、時間経過と共に改善する可能性があります
⇒これらの所見は、以下のMVOやIMHにはみられません。

非虚血性心筋症
心筋症による心筋線維化は、斑状のLGEや心筋内LGEとしてあらわれます
 …虚血性のLGEは心内腔側からLGEが進展します
・心筋症でのLGE陽性は、悪い予後と関連します
⇒例えば肥大型心筋症でLGE陽性の場合、突然死のリスクが高いとされます
 ⇒ICD埋め込みの閾値が下がります


■microvascular obstruction (MVO)

・epicardialの血管は問題ないが、その先のmicrovascularが障害された状態
 …CMRで最もよく評価できるとされます
 ⇒LGE(白)の内腔側に黒く抜ける箇所です
Intramyocardial Hemorrhage (IMH)は、MVOが重症化したものと考えられます
 ⇒LGEの心筋内で黒く抜ける箇所です
・MVOやIMHと予後との関連は調べられてきている所です(悪いという事です)。


■その他

・T2 starにより鉄のoverloadを評価できます
・flow encodingにより、その箇所の血流量を定量化できます
 ⇒シャント、弁逆流の定量化や絶対心筋血流量・CFR測定が可能です


参照 UpToDate

★バルーンの体積分の血流の動き。

◎IABP(intraaortic balloon pumping=大動脈内バルーンパンピング)とは、下行大動脈に大きなバルーンを留置し、拡張期に膨らませ,収縮期にしぼませる方法です。
重要な事は、表示されるIABP先端圧は、拡張気圧/収縮気圧 となっていることです。

■収縮期に後負荷が減る機序

●拡張期は大動脈内の圧が高い
⇒バルーンを、収縮期のちょっと前に急速にしぼませる
⇒大動脈内の圧が急速に減る
⇒血液が末梢へ流れやすくなる
  =心臓への後負荷は減る

■拡張期に冠動脈血流が増える機序

●拡張期のちょっと前に膨らませる
バルーンの体積分の血流が余る
⇒余った血流が逆流=大動脈弓へ(★)
⇒冠動脈,内頚動脈血流↑

※冠動脈は拡張期に血流が流れます。
 …収縮期には心臓が押しつぶされるため,血流が流れないのです

●ARでは,★のため,逆流が増える⇒禁忌です。


参照 UpToDate

★ほんと聞こえないものもあるので注意。UpDateしました。

◎聴診器はよく選んで買いましょう。聴診を楽しめないとだんだんやらなくなってしまいます。良いものは高いです。

■おすすめ
①ステレオフォネット No.171

ケンツメディコ 聴診器 ステレオフォネットNo.171 ブラック【送料無料】[KENZMEDICO 医療用]



・やはり最強の聴診器。音が立体的に聞こえる。
・音の質のレベルが違う。チェストピースが良いのでしょう。
・音量、聞こえる幅が申し分無く、もちろんⅢ音と拡張期雑音も聞こえます。
・呼吸音もかなりクリア。
・日本製。これを超えるものは、おそらく無い。
・6万円とちょっと高い。
・無くしたので、相当ショックでした。

②リットマン トラディショナル

3M リットマン ステソスコープ トラディショナル 3143 バーガンディー

・チェストピースが深い。
Ⅲ音、拡張期雑音が聞こえる。音量も良い。
・そこまで重くなく、非常に使い勝手が良い。
・昔は3〜4万円くらいで、リットマンで買うならこれしかないと思っていました。今愛用しています。
 この記事を更新したのは、研修医からトラディショナルが発売中止された!と聞いたからです。
 探してみると、amazonに7万で出品されていました(上リンク)が、それだけでした。残念です。

③リットマン カーディオロジーⅣ

リットマン 聴診器 Cardiology IV ブラック/ブラス・エディション 6164 Littmann カーディオロジー4 ステート


・今売っているリットマンの中ではこれかと思います。
・片側の膜は小児対応、この部分をベルにすることもできるようです(かなり硬くて私には難しかったですが)。
・よく聞こえます。最近の研修医は皆使っています。
・個人的にはトラディショナルのベル型が好きなので、ちょっと物足りない感がありますが、まあ十分です。


■おすすめしない
①リットマン クラシック

リットマン 聴診器 クラシックIII 5622(ネイビーブルー)



・一番普及しています。
Ⅲ音は絶対聞こえない。拡張期雑音もぎりぎり。
・呼吸音もかなり遠い。かなり厳しい。
・1〜2万円くらい。安いだけです。
・使っても勉強にはならない。


②リットマン マスターカーディオロジー

リットマン 聴診器 マスターカーディオロジー2161(ブラックエディション)



・リットマンの最高級品。でも3万くらいなので、意外に使っている人は多いです。
・チェストピースの押し付け方の強弱で、膜型とベル型が使い分けられます。
・Ⅲ音は聞こえるが、やや呼吸音が聞こえづらい
・昔は膜型の音量が小さいと思っていたが、刷新されたのか今のはそれなりの音量がありました。
・個人的には、ベル型で聞く時、径が小さい方が効きやすいと思います。つまり、膜+ベルの一体型ではなく、従来の別々となったものが良いのかと。
・また、COPDの胸壁脂肪がない方の聴診は難しいです(面が広くて圧着しないから)。


③ステレオフォネット No.178

(全6色)ステレオフォネット SX178 【ケンツメディコ社製】 (ダークネイビー)



・音が立体的に聞こえる聴診器ですが、No.171と比較するとかなり劣ります。
・具体的には、音がかなり小さいです。特に膜型、密着していないと全然聞こえません。
・長く使っていましたが、あまりお勧めできないという結論になりました。
 ・3万円くらいです。


④リットマン エレクトロニック

リットマン エレクトロニック ステソスコープ 3100BU バーガンディー 3M スリーエムヘルスケア【正規品】【電子聴診器】

・電気聴診器です。
・音量調節できて、音量は申し分ないですが、音に何かちょっと違和感ある。
・チェストピースが片面ですしでかいです。
・重いです。
・5万〜と高い。これを買うなら、ステレオフォネットNo.171の方が良いです。


更新 2017/7/5

★重要なのはD-shapeとなるタイミングとTAPSEやMPI, 拡張能計測は左室と同様。

◎右室機能は最近注目されている指標です。右室解剖・機能評価法について、簡単にまとめます。

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■チャンバーのサイズ、動き
右心房;様々な心筋症で予後のindicatorである
・RA area:≤18cm2
・長軸のRA径(/体表面積):男性 ≤3cm/m2, 女性 ≤3.1cm/m2
・RA volume(/体表面積):≤39ml/m2

右心室;volume overloadを意味する。予後予測はRA程優れていない
・RV end-diastolic area:男性 ≤24cm2, 女性 <20cm2
・長軸のRV径:basal ≤4.1cm, mid ≤3.5cm
・長軸のRVOT径:≤3.3cm
・RV end-diastolic volue(/体表面積):男性 ≤87ml/m2, 女性 ≤74ml/m2

●D-shape
収縮期の右室D-shape:RV pressure overloadを示唆する
拡張期(特にend-diastolic)の右室D-shape:RV volume overloadを示唆する
left ventricular eccentricity indexを用いて鑑別できる
 …短軸で中隔を2分する場所での心筋厚の、end-diastolicとend-systolicの比


■右室機能の指標
◎右室の動きは、①長軸方向の収縮(右室基部の自由壁がapex方向へ移動する動き)▶︎②放射状収縮(右室壁が肥厚する動き)からなります。左室と異なり、円周状に収縮する動きはほとんどありません(その向きの繊維がないため)。

●RVEF
・右室収縮能の指標。3Dにて測定する。
…計算はLVEFと同様;(end-diastolic volume - end-systolic volume)/ end-diastolic volume * 100
⇒正常値は ≥45%

●TAPSE (tricuspid annular plane systolic excursion) = TAM (tricuspid annular motion)

長軸方向の収縮機能の指標です
 …四腔像で、基部の自由壁にM modeのカーソルを合わせ、最大距離を計測します
⇒正常値は ≥1.7cmです
・色々な有用性が報告されています
⇒MRIのRVEFとの相関、下壁のAMIで右室梗塞の早期発見、予後との関連

●S' (tricuspid annular velocity)
収縮期の三尖弁輪の動く速度です
 …TAPSEの位置で、tissue dopplerを用いて収縮期のpeak velocityを測定します。
⇒正常値は ≥9.5cm/sです

●FAC (fractional area change)
RV areaから求める右室収縮能
 …RAC = (end-diastolic RV area - end-systolic RV area)/ end-diastolic RV area * 100
⇒正常値は ≥35%です

●MPI (myocardial performance index)
=RIMP (right ventricular index of myocardial performance)
=right ventricular Tei index


・非常に感度の高い指標であり、かなり早期にRV dysfunctionを同定しうる。
時間を元に算出される点が、他の指標と異なる。
⇒描出不良の場合、RVの形が正常でない場合も、用いる事ができる。
 …MPI = (isovolumetric relaxation time + isovolumetric contraction time) / ejection time
    = (tricuspid closure-to-opening time – ejection time) 
/ ejection time
・2通りの測定方法がある。
⇒pulse doppler法:正常値 ≤0.43
 tissue doppler法:正常値 ≤0.54

●右室拡張能の指標
左室拡張能と同様の指標が用いられる(右室流入波形から計測する)
⇒E/A:正常値 <0.8, >2.1
 E/E':正常値 >6
 deceleration time:正常値 <120msec


参照 JASE April 2017Volume 30, Issue 4, Pages 372–392

★心臓の前は、体の前とは違う!

◎前か後ろか?左か右か?初学者には非常にわかりにくい所です。しかも、はっきりと中々教えてもらえず、モヤモヤします。ここでは、指導医に教えてもらったことを、噛み砕いて説明します。

Anatomy for Cardiac Electrophysiologists: A Practical Handbook

 ↑少し高いですが、やはりこの本が良いと先輩方は言います。


■心臓の解剖で電気生理学的検査の際に重要なこと
●前と後ろ

・これが極めて間違えやすいのですが、「心臓の前」は「体の前(おへその方)」とは異なります
・心臓は斜めに位置しています。
心臓の前は、RAOで右向きの方です。
⇒つまり、体の左前方向が「心臓の前」なのです。

※これを理解していないと、非常に混乱します。しかし、このように明記してある本はなかなかありませんので、注意してください。


●左と右

・これも体の左右とは異なります。
「心臓の左」は左心系(左房と左室)側を意味します。


●上と下

頭側が上、尾側が下です。
心臓の上側には、右室流出路と左室流出路、肺動脈弁と大動脈弁があります
・心臓の下側には、右室と左室の心筋があります。


●中隔側

・心室中隔は、右室と左室を分け隔てる心筋です。
⇒これは、カテーテルが右室にある時、LAOで右方向です。
⇒つまり中隔は、体の左後ろに位置しています。
・中隔と反対方向を、自由壁(free wall)側と言います。


●弁下と弁上

・文字通り弁の上か下かですが、
大動脈弁の弁下は心室側僧帽弁の弁下も心室側です。
⇒アブレーションカテーテルのA波とV波の大きさの違いで区別できます。
・重要なことは、状況によって何の弁の上下なのか変わってくることです。

「弁上を焼く」とは、弁自体に通電しているわけではありません。
弁の外周(の心筋)に通電しているのです。
⇒「弁下を焼く」際も同様です。


●右心室の形態

・左心室は楕円球ですが、右心室は左心室を片側から覆うような形態をしています。
 
↑イメージです。三日月が右心室、黒い円が左心室内腔、その間の(何もない)白い部分が心筋(中隔)です。
・この図の右室の、前側の右室と左室の接合部をanterior attachment, 後ろ側の接合部をposterior attachmentと言います。


●右室流出路、大動脈弁の位置

これらが接していることを理解することが大事です。
⇒詳細には、右室流出路に接しているのは右冠尖(RCC)です。

大動脈弁で、心臓の前側にあるのは左冠尖(LCC)です。
※「あれ?RCCじゃないの?」と思った方は、体の前と心臓の前とを混同しています。
⇒CTで見ると、体の前側にあるのは、もちろんRCCです。
⇒しかし、心臓の前と体の前は意味合いが異なります。
⇒このページの最初からお読み下さい。

★基本的には、内皮細胞間のタイトジャンクションと細胞の特殊機能。

◎血液脳関門(脳血管関門)は、脳の神経細胞を有害物質から守るために大事です。もとは染料を動物の脊柱に入れても、末梢組織が染色されなかったことが発見のきっかけでした。バリアとは、具体的には何なのでしょう?

■Blood Brain Barrier(BBB)とは
●定義脳と脳脊髄液(CSF)への、血液からの単純拡散を防ぐもの
 …上のとおりです。
⇒具体的には、以下の通りに選択します。
通す:水、CO2、酸素、脂溶性物質(アルコール、麻酔)、電解質(少しだけ)
通さない:血漿蛋白、水溶性物質

※アルコールや麻酔が効くのは、血行性にBBBを通過して脳組織まで届くからです。一方、蛋白は基本的には通りませんが、間違って細菌がBBBを通過してしまうと髄膜炎となります。髄膜炎は、基本的には血液を介して罹患するのです(菌自体は飛沫感染などで体内に侵入します)。

ちなみに、肺炎球菌はそれこそ高齢者の髄膜炎の重要な起因菌です。必ずワクチン接種しましょう。
ワクチンを有害なんて考える人は、非科学的かつ視野が狭いです。ワクチンを打たないのは勝手ですが、打たないよう煽動するのは悪です。

効果がないどころか超有害! ワクチンの罠


何の薬でもそうですが、メリットと副作用を集団の中で比較して、有用性が決まります。不幸にも副作用が起きてしまった人だけに注目するのは、jounalistが得意とする非常にbiasのかかった見方です。また、ワクチン供給の社会的構造を考えて「受けるな」というのはnonsenseで、あくまでcost-performanceで受けるか判断されるべき。

逸れました。

・細かい事をいうと、2種類のBBBがあります。
脳-血液関門:CNSの毛細血管の内皮細胞やアストロサイト間
 脳脊髄液-血液関門:くも膜の細胞と脈絡叢の内皮細胞間


●構造
 =血管内皮細胞間のタイトジャンクション血管内皮細胞の特殊機能
1) タイトジャンクションとは、細胞間結合のひとつ。密接結合=物理的バリア
 ⇒電子顕微鏡で確認できます。最初はこれだけかと考えられていました。

2) 脳神経の血管内皮細胞の特殊機能
 ⇒これは、細胞自体が特殊で、積極的に異物を除去しているということです。後に判明しました。
 …炎症性サイトカイン (TNF, IL)を出したり、
  グルコースを用いた能動輸送で異物を除去したり、
  アストロサイトという細胞が抗原提示細胞となったりすることで、
 ⇒感染や炎症の制御に関わります。


●どこにあるの?
・ほとんどの脳実質をカバーしますが、視床下部、松果腺、最後野の一部を除きます
 …ここは、上のBBBが通さない物質が、拡散しやすい。
⇒なぜなら、ここには感覚受容体があり、全身の調整に必要なのです。
 …具体的には、
 ・血糖(水溶性物質)を通過させる>全身調節(喉乾くなど)
 ・レプチン(蛋白)を通過させる>食欲を制御する 
 など。

以上、BBBってなんですか?という質問の回答でした。


参照 UpToDate, Guyton生理学

★四肢の筋収縮、呼吸と動脈により押し出される。

◎動脈は心臓のポンプで血液が押し出されて流れます。動脈から組織へ血液は流れ、栄養分を送った後、血液は静脈へ行きます。この血液はどのように流れるのでしょう?


①筋肉の収縮
・静脈の血流は遅いので、四肢の末梢に溜まってしまいます。だから立ち仕事を長くしていると、足がむくんできます。
・この血液を押し戻そうとするのが、実は筋肉です。手足の筋肉が収縮すると、深部静脈系(身体の中の方にある静脈)が筋肉に押しつぶされ、血液が表在静脈(身体の表面にある静脈)へ流れます
⇒四肢の色々な筋肉の場所でこれが起こり、静脈が流れます。

※しかし、寝ている間も全身の循環は保たれているので、これだけではありません。


②呼吸

!呼吸で静脈血がどう変化するかは非常に大事で、かつ勘違いしている方が多いところです。

息を吸う(吸気)と、以下の2つの変化が起きます
1) 胸郭が広がります
…大事なことは、胸郭が広がる事で肺に空気が入るということです。そういうメカニズムなのです。肺を広げて胸郭が押し広がる訳ではありません。
胸腔圧↓
⇒上大静脈と下大静脈が拡張します
 …圧が下がる=周りから圧迫されない、ということ。イメージはCoolishを飲む時(出口が静脈)。
心臓へ流れます

2) 横隔膜が下がります
⇒腹腔内圧(おなかの中の圧力)が上がります
 …圧力が腹腔>胸腔となるということ
⇒腹腔内の下大静脈が圧迫されます
血液が、腹腔内から胸腔内の下大静脈へ押し出されます

※上・下大静脈から心臓へ血液が流れることで、末梢の血液も引っ張られます
 

③動脈

動脈血がどんどん後押しすることでも、静脈血は押し出されます。
…健常な方は、心臓へ還流する量と拍出する量は同じです。これは当然なのですが、左心室による拍出が激しいイメージなので、意外の方もいると思います。

動脈の影響は、採血する時にわかります。
駆血すると、静脈が浮いてきますね?これは動脈により静脈血が押し出されますが、駆血で静脈だけがつぶれる(動脈はつぶれない)ので、静脈が大きくなるのです。
※ちなみにグッパーしてもらうのは、①のメカニズムを利用しています。つまり、深部から表在静脈への還流を促しています。
ペンペンはたくのも同様です。でもメカニズムを考えればグッパーしてもらう方がbetterだと思っています。
※採血しにくいときは、末梢から中枢側(狙う場所)へマッサージして、静脈血を中枢側に集めることが、機序を考えると合理的です。

>採血法など基本的な手技の方法は、この本が1番です。研修医だけでなく、コメディカルの方も。

ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson




④静脈弁

・逆流を防止する機能があります。


以上①〜④のメカニズムで、静脈血は流れます。


参照 Guyton生理学、静脈学

★microvascularの異常か。

■特徴

閉経後女性に多く、多くの場合ストレスが引き金となる
・多くは左室中部〜心尖部の壁運動低下が生じる
 …1つの血管支配領域で説明できない


■機序(仮説)

・身体的、精神的ストレス
カテコラミン誘発性の微小血管攣縮/障害
 …微小血管とは、CAGで写らない心筋内の血管
 ⇒心筋気絶
カテコラミンによる直接の心毒性
β刺激薬やカテコラミン増量が引き金となり発症することもある
●最近の研究
・微小血管がやられやすい遺伝的素因があり、血圧上昇が引き金となって発症する
 (マウスでたこつぼのモデルが出来たとのこと)


■診断
●Mayo Clinic診断基準(4つを全て満たす)

①一過性の壁運動異常
 …apical (81.7%), mid-ventricular (14.6%), basal (2.2%), focal (1.5%), global (rare)
②アンギオ上冠動脈病変やplaque ruptureの痕なし
 ⇒あっても、壁運動異常の支配領域と齟齬があればOK
③新規の心電図変化(ST上昇 or T陰転化)又はトロポニン上昇
④褐色細胞腫、心筋炎なし


参照 UpToDate, BRAUNWALD, AHA2015

★基本的に心筋症で、治療や予後はそれほどはっきり研究されていない。

■薬剤の種類

○アントラサイクリン系
ドキソルビシンアドリアマイシン(アドリアシン)
ダウノルビシン(ダウノマイシン)
・エピルビシン(ファモルビシン)
・イダルビシン(イダマイシン)
・ミトキサントロン(ノバントロン)

機序:トポイソメラーゼ2とDNAに結合、アポトーシスを促す。
   また、活性酸素産生する。
※トポイソメラーゼ2にはαとβが存在;癌細胞は主にαが過剰発現している


■副作用(心毒性)の機序

心筋はトポイソメラーゼ2βを発現している
⇒薬剤の作用機序から、アポトーシス誘導される
⇒心筋障害
コードする遺伝子をノックアウトすると、薬剤性心筋障害が起きにくい、という研究あり

 ・活性酸素↑
⇒細胞膜の脂質過酸化
⇒空胞形成、不可逆性障害
⇒線維組織への置換 
※但し、free radical scavenger用いても予防/治療できないことから、否定的


■臨床的特徴
●発症時期

・基本は、最後の薬剤使用から1年以内(平均3か月)
⇒但し、5年以上経ってから発症する例もある
※急性の心筋障害はあるが、まれ
 臨床的に問題となりやすいのは、遅い発症のもの;etiologyとして鑑別に挙げる必要あり

●心筋障害の特徴

収縮能(EF)、拡張能の低下
⇒致死的となりうる

●危険因子
総投与量が多い
…550mg/m2で26%が心不全となった
⇒一般的に投与量を450-500mg/m2としている
⇒ただ影響は個人差があり、300mg/m2以下でも発症しうる
・小児
・放射線治療
・同時期の化学療法:パクリタキセル、ドセタキセル、トラスズマブ
・造血幹細胞移植

●治療、経過、予後

ACE阻害薬が第一選択薬
…基本的に一般的な心不全加療をすべき;+β遮断薬
⇒予防的投与のはっきりとしたエビデンスはない

・心不全症状あると予後が悪いことは分かっている
⇒しかし、具体的な予後は不明

※現在は心機能により投与中止としたり、投与プロトコルも定めている
⇒重症な心不全をきたす症例は少ない


参照 UpToDate 

★褐色細胞腫を否定すれば、交感神経抑制と精神科的管理が効果的。

■鑑別診断
褐色細胞腫
 …必ず1回はスクリーニングすべき;血中カテコラミンか蓄尿カテコラミン
動揺性高血圧症
 …ストレスを原因とするもの;但し自覚していない患者が多い
パニック障害
 …抗不安薬が著効する。発作性高血圧をpresentationとすることもある
※後2者を偽褐色細胞腫という


■偽褐色細胞腫の管理、治療
①薬物

●急性期管理(有症候性の場合)
・降圧薬が必要;ラベタロールiv、クロニジンpo
 +抗不安薬(アルプラゾラムなど) も効果的

●慢性期管理
β遮断薬が効果的;基本的に交感神経↑が原因だから
 +α遮断薬(ドキサゾシン)もかなり良い
・精神安定剤を加えると、非常にコントロール良好となる
 …SSRI(パロキセチン、シタロプラム):抗不安薬(クラナゼパム)を加えてもよい

②他
●薬物療法でコントロール不良の場合、精神科的介入が非常に効果的
⇒ただし、患者の協力が得られている場合のみ有効
 …拒否しているときは、無理に勧めてはいけない
・発作性高血圧でかなりADL低下している場合、最終的に受け入れることは多い


参照 UpToDate

★基本的には130/80未満が良いが、予後が有意に変わるのは糖尿病患者だけなので、基本的に140/90未満を目指す。

■定義

正常130/85以下
・正常高値血圧:130/85〜139/89
・Ⅰ度高血圧:140/90〜159/99
・Ⅱ度高血圧:160/100〜179/109
・Ⅲ度高血圧:180/110以上


■数値の意味

①収縮期圧が高い
・加齢により血管壁弾性が低下するため、収縮期血圧が上昇する
⇒特に脳卒中、瘤破裂のリスク;かかる圧力の絶対値が重要なため

②拡張期圧が高い
・原発性アルドステロン症など、一部の疾患を疑う手がかりとなる

③どれくらいの数値が良いか
血圧は高ければ高いほど心血管リスクが増える
 +正常高値血圧でも、将来腎不全発症のリスクとなる
115/75までは血圧が低いほどリスクが減る
・但しエビデンスや医療経済を鑑み、下記の降圧目標が設定されている


■降圧目標
①安定している患者

基本的に140/90未満で、低い方が良い
糖尿病患者は130//80未満
⇒後期高齢者で忍容性がなければ150/90未満
上記は診察室血圧。家庭血圧は、収縮期拡張期とも5ずつ低い値

②脳血管疾患合併あり

・降圧で脳還流量低下する
=脳梗塞のリスク
時期により、降圧目標が違う
●脳梗塞

発症24時間以内

tPA施行する

180/105未満

tPA施行しない

220/120以上の場合、前値の85-90%程度に(★)

2週間以内

(★)

3-4週

(★)

sBPが180-220でも、脳主幹動脈に有意狭窄(-)なら、前値の85-90%に


●脳出血

発症〜4週

sBP>180 or meanBP>130の場合、前値の80%に

sBPが150-180の場合、sBP140程度に


慢性期(4週以降)は基本通り140/90未満、それ以上の降圧は慎重に


③冠動脈疾患あり

・冠動脈血流は拡張期に流れる
⇒拡張期血圧を保つ方が良い、という意見もあった
⇒エビデンス不十分のため、目標は基本通り。それ以上の降圧は慎重に

※基本的なスタンスは、正常血圧(130/80未満)まで下げた方が良い
⇒厳格にやっても結果がついてこなかった
⇒今は、糖尿病患者のみ正常血圧が目標
+他の患者も下げて良いが、②と③(虚血のリスクあり)の場合慎重にする


参照 高血圧ガイドライン2014、日内誌

★E/A, E/e', SFFの値とパターンで認識する。

◎循環器以外はそんなに触れないが、循環器の中ではwell-knownなトピック。

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■E波とA波(左室流入血流速度波形)
E波:左室急速流入血流速度(最初に心室が拡張する事で左室流入する血流)
A波:心房収縮期流入血流速度(次に心房が収縮する事で左室流入する血流)

正常だと、E波>A波:E/A>1
⇒拡張障害あると、拡張による血液流入↓:拘束パターン
 →E波↓、Deceleration time(DecT)延長(>220ms)
 →代償性にA波が高くなる:E/A<1
 →拡張に時間がかかる:E波とA波の間の時間(IVRT)延長(>90ms)
更に進行すると、左房圧↑
 →E波↑:E/A>1, DecT↓(偽正常化  pseudo-normalization
⇒更に進行すると、もっと極端になる
 …E/A>2, DecT<150, IVRT<70


■E波とe'波(組織ドップラー)

e'波僧帽弁輪部の拡張早期最大速度
 …E波と比較し前負荷の影響を受けにくく、左室拡張能の低下に従い低下する
 (偽正常化しない)
※記録部位が動く事が前提;心筋梗塞でasynergyだと全く当てにならない
 また、僧帽弁疾患、心膜炎だと当てにならない

E/e'は拡張末期圧とよく相関:エコー検査で一番信頼性高い
…8以下が正常、12-15以上が圧上昇

 
■肺静脈波

・4腔断面像で右上肺静脈血流がわかる;3相性
…S波:収縮期に、左房へ流入する血流
 D波:拡張早期に、左房へ流入する血流(E波に相当)
 Ar波:拡張期の心房収縮期に、左房から逆流する血流
⇒それぞれのTVIを測る (時間-流速グラフの体積)
収縮充満率 (SFF:systolic filling fraction)
 SFF = S ÷ (S + D)
⇒EF低下している人でSFF<40の場合、左房圧上昇しているサイン
※ブロック、頻脈、僧帽弁疾患、心膜炎で当てにならない
・Ar波の持続時間も参考にする


■左室拡張不全の診断
●EF保たれている場合

・E/e'<8は正常
E/e'>13は拡張期圧上昇している拡張不全
・この間の場合、以下があれば拡張不全
…LA容量>34ml/m2、Ar持続時間>30ms、PA収縮期圧>35 (肺疾患ない前提)

●EF低下している人場合

・E/A<1で正常パターンなら問題なし
E/Aが拘束パターン:SFF<40なら拡張不全
E/Aが偽正常化なら、ほぼ拡張不全
 …E/e'>15, PA収縮期圧>35、Valsalva法でE/A変化する、などで確認する


■拡張不全の重症度分類

●Grade 1:E/A<0.8, S>D, e'<0.08m/s, E/e'<8
…高齢の場合、正常範囲内とする
●Grade 2:E/A>1, E/e'>10, Ar波持続時間>30ms
●Grade 3:E/A>2, DecT<160ms, IVRT<70ms, SFF<40, E/e'>13
…心不全治療で改善しうる。しない場合、予後が悪い。

 
参照 UpToDate, 心機能指標の標準的計測法とその解説 

★国際的にはEF。

■左室駆出分画 EF: ejection fraction

基本的に収縮能はEFで評価する
⇒エコー、造影、MRIなど
⇒ここではエコーの話

●EF = (拡張末期体積 - 収縮末期体積) ÷ 拡張末期体積

①Teichholz法
・Mモード:短軸 or 長軸
左室最大短径でLVDdとLVDsを測る
左室を回転楕円体と仮定
収縮末期体積 = {7 ÷ (2.4 + LVDd)} × LVDd3

⇒拡張末期体積も同様、上の式でEFを求める

※適応外:左室が回転楕円体から外れる場合(左室瘤など)、asynergyがある場合

②Modified Simpson法

4腔像で左室収縮期/ 拡張期をトレース
⇒20等分し、円柱が20個と仮定する
⇒それぞれの区画で短径を求める
2腔像でも同様に短径求める
⇒この短径×短径×πで断面積となる
体積 = (短径×短径×π) × (長径 ÷ 20) の、それぞれの区画の和
※簡易的に、4腔像の短径を2乗することもある

※回転楕円体でない例にも適応可能
⇒但し肉柱などで過小評価しがち
⇒収縮能の大雑把な把握に適している;わずかな変化は捉えられない


■左室内径短縮率 FS: fractional shortening

●FS = (LVDs - LVDd) ÷ LVDd
・正常値は30-50%程度
※参考程度。国際的にはほとんど使われない。

 
参照 日本超音波医学会 

★逆流は見た目が大事。

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■大動脈弁逆流

・見た目の評価
mild:僧帽弁前尖先端まで、moderate:左室乳頭筋まで、severe:心尖部まで


・重症AR
①逆流ジェット幅÷左室流出路径≧60%
②逆流ジェット面積÷左室流出路面積≧60%
逆流ジェット幅:vena contracta(カラードップラーで逆流ジェットの幅が最小になる所)で測定する
③PHT(pressure half time)<200msec
逆流量≧60ml/beat
⑤逆流分画≧55%
逆流量=左室流入量−左室流出量
 左室流入量={僧帽弁輪径×僧帽弁輪径×3.14}×TVI
長軸で僧帽弁輪径、左室流出路径を測り、PWで左室流入、流出波形からTVIを測る


■僧帽弁逆流
・重症MR

 ①effective regurgitant orifice(ERO)≧0.4㎠
 ②逆流量≧60ml/beat
 ③逆流分画≧55%
 ④収縮期に肺静脈が逆流する
 ⑤僧帽弁逆流ジェットが左房底に達する
ERO(逆流弁口の有効面積)
・複雑なため略


■収縮能評価

EF:(拡張末期容積-収縮末期容積)÷拡張末期容積
 ⇒前負荷・後負荷により影響される
①逆流
・MR:逆流しているので、EFが過大評価となる
・AR:有効な拍出量は、EFでは過小評価となる
⇒これらは、収縮末期容積を指標とする
 …前負荷、後負荷に影響うけないため
手術を考慮:MRでは収縮末期径≧45mm、ARでは≧50~55mm
②狭窄
・ASにおいて、心機能が低下していてもLVEFは正常でありうる
midwall FS(壁厚に依存しない円周方向心筋繊維収縮)を用いるとよい
※ただし計算式が複雑なため、市販のエコーに組み込まれていない可能性あり


■拡張能評価

E/Aの上昇、E波のdeceleration time(ピーク波形から0に減速するまでの時間)の短縮
 …心室が固く、心房のキックが大きくなるイメージ
 ⇒左室収縮能が正常な場合、ばらつきが大きい
 参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/33262679.html
Tei index
・組織ドップラーにて、心室中隔の壁を動きをMモードで見る
⇒僧帽弁流入が終了してから再開するまでの時間:a
 大動脈への駆出血流が持続する時間:b
⇒(a-b)÷b
 …収縮期の内、大動脈弁が閉じている時間の割合
⇒0.5より大きいと拡張障害
E/E'
・僧帽弁付近の最大流速=E
  組織ドップラーにて、心房尖部の心房方向への最大速度=E'
⇒11以上で拡張障害
E'/A'
組織ドップラーの波形も2相性
⇒心房キックがA'で表される
⇒特に基準値ないが、拡張能を表す
 

★最もよく研究されてきたから。

■背景

・心肺機能の指標が欲しい
⇒患者さんからの話だと客観性に欠ける
最初に12分間歩行試験が提案された(1960年代)
 …12分でどれくらいの距離を歩行できるか
⇒試験時間が長いと考え、2分、6分、12分で比較した(1982年)
 ⇒距離と時間はよく相関するが、2分だと結果にあまり差がでない
 +時間が長い方が距離の差は大きいが、6分間でも問題なく差を判定できる
⇒移行6分間テストがよく研究され、心肺機能や薬物反応性の測定に有用な検査であることが証明されてきた
⇒細かいやり方も設定され、標準的な試験となった


■解釈

・病気によって異なるが、改善したと判定できる最低基準は30m以上の改善
・酸素投与の必要性や量の判断としては使えない


参照 UpToDate, Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(1):111., Respir Care. 2003;48(8):783.,  BMJ 1982; 284:1607–1608

★ほぼ乱流。

■定義

・乱流:不規則性、三次元性、活発な混合、渦構造を特徴とする複雑な流れ

・層流:整然とした規則的な流れ

 

 

■レイノルズ数 (Re)

Re = ρvL÷μ (◇)

ρ: 密度 (kg/m3), v: 平均速度 (v/m), L: 長さ=流れた距離など (m), μ: 粘性係数 (kg/ms)

 

分母が粘性力(周りと同様に動く力)、分子が慣性力(周りと別に動く力)を表す

大きくなると乱流になることを意味する

 

・円柱内では、Re が 20004000以上となると乱流になることが知られている
⇒ほぼ乱流である 

 

 

■レイノルズ数の導出

流体の運動量の流れを示す方程式:ネビエ−ストークス方程式

⇒特定のパラメータを両辺にかけ、方程式を無次元化する

唯一でてくるパラメータが、(◇の右辺)

⇒これをReとした

 

・よって、レイノルズ数が等しく、境界条件も同じ場合、流れは相似であると言える

(厳密にはマッハ数が等しい必要がある;マッハ数の分母は音速であり、ほぼ0となる)
 

・流体運動をシュミレートする時、乱流は複雑でスーパーコンピューターが必要

⇒一般的には、平均化したモデルを用いる

流体の特性としてはレイノルズ数のみ変化させれば良く、実用的。



参照 wiki、cybernet解析講座 

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