知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

循環器;IE・大動脈・外科・救急・失神

★高Kによる.

◎単純です。心保護液の蘇生を知っておきましょう。

■心保護液の組成と
1.グルコース ⇒エネルギー補給のため。

2.ジュータミン(重炭酸Na) ⇒緩衝液です。

3.マンニトール ⇒膜安定化,心筋浮腫予防
 ・膜安定化=フリーラジカルスカベンジャー
 ・浸透圧をあげ,心筋浮腫予防する

4.KCl ⇒心停止を引き起こします
 ※Na流入し、膜は脱分極した後、
 ⇒再分極過程に入りますが、
 ⇒高カリウムにより静止膜電位が上昇しているので、元の電位まで戻りきりません。
 ⇒この状況では、電位依存性Naチャネルが不活化されているので、
 ⇒次の脱分極がおこらないため、新筋収縮しません。
※参照:http://chishiegg.com/archives/22866675.html

5.インスリン ⇒エネルギー補給
 ・心筋のGlu利用を促進します

6.リンデロン(ステロイド) ⇒膜安定化

7.アルパラギン酸,グルタミン酸 ⇒エネルギー補給
 ・クエン酸回路を促進します

8.ヒスチジン ⇒緩衝液

9.MgCl2 ⇒心保護
 ・高Caに拮抗します。


参照http://nagoya.tokushukai.or.jp/shinryou/masui/shinzoumasui1-5-1.htm
    http://www.teikyo-cvs.com/public/seminar_doc/cvs_seminar01/cvs01_slide.pdf

★遺伝子異常が重要だが,研究段階.

◎非常にマニアックですが、気になりました。

■嚢胞性中膜壊死とは
病理の名前です。
⇒嚢胞性とあるが,実際に嚢胞はなく,それっぽく見えることから名づけられました。
・近位の動脈が侵されることが特徴です.
 …理由は不明


■マルファン症候群は、フィブリン形成の異常が原因
fibrillin-1,2遺伝子:細胞外基質のマイクロフィブリンの構成要素
⇒fibrillin-1の異常
⇒フィブリン形成がうまくいきません

mutant fibrillin-1自体のせいではなく,fibrillin-1遺伝子が足りないことが原因かもしれません
⇒治療の余地かも。                 


■先天性の形成不全というよりは,徐々に進行する

・血管は,弾性板により形が保たれます。
⇒弾性板の結合フィラメントは,fibrillin-1で作られます
⇒fibrillin-1がないと,MMP産生↑,ケモアトラクタント産生↑によりマクロファージの浸潤↑
⇒もともとの血管形成不全というより,徐々に壁のdegenerationが進行するのです。


■TGF-βが重要
・マイクロフィブリンはTGF-βをコントロールします。
 ※TGF-βは,他の炎症性サイトカインと同様,細胞増殖・分化・アポトーシス・マトリックス沈着等に関わります
⇒MarfanではTGF-β活性↑
⇒ARBのロサルタン(TGF-β抑制する)により,大動脈拡大のスピードが遅くなります。

 ※βブロッカーではこの効果ないため,循環動態というよりTGF-β抑制が重要なのです。
…要は,ロサルタンが効いたから重要だと思われています。


参照 Heart. 2007 June; 93(6): 755–760. UpToDate

★倫理的問題だが,いくらかの経験則はある.

◎現場ではなんとなく決まることが多い印象ですが、ACLS-EPという講習のテキストに書かれています。ちなみにACLS-EPとは、ACLSの更新用の1日講習です。非常に勉強になります。

ACLS EPマニュアル・リソーステキスト




■心静止(Asystole),無脈性電気活動(PEA)の定義
・PEA:機械的収縮はあるが,弱すぎて血圧・脈圧とならないものです。
   ⇒治療可能な病態は同定,是正すべき(6H6Tに代表されます)

・Asystole:収縮が全くないもの
     ⇒ECGでフラットラインを示します。

※PEAは戻る可能性がありますが、心原性の場合は非常に厳しいです。少なくともすぐには戻らないのでPCPSを入れます。

AsystoleかPEAの場合に、組成中止というオプションが出てきます。


■Asystole, PEAの治療法
⇒ACLSプロトコルの右側です。
ショック適応(VF)とならない限り,CPR+アドレナリン1mg ivを3~5分おき

※背景
①ショック
・ショックの原理は、一度心臓を止めて、sinusから自動的に洞調律に復すことを期待する手技です。
⇒よって、完全に心臓が止まっているAsystoleに対しては意味がありません。

しかしAsystoleも幅があります
⇒具体的には、細かいVF(fine VF),隠れたVF(Asystoleだが,電極と90°の方向で心筋が活動していると思われるもの)に対して,ショックが使えるのではないか?との議論がありました
⇒2つの試験で,ショックは有害との結論
⇒よって、大体波形がない場合、ショックは使用しないほうが良いとのことになりました。

②アドレナリン
・実は、生存率改善のエビデンスがありません!
・除細動器より以前に,蘇生プロトコルに組み込まれていました。
・高用量アドレナリン(0.2mg/kg)
⇒心臓の再起動には効果がありそうだが,蘇生後の脳機能は悪い
⇒容認できるが,推奨されません。

※今は、経験的にアドレナリンが使用されています。実際はアドレナリンにより、確かに心臓が動くことを期待することができます。
 

③他の薬剤
・バソプレシン:生存率向上効果はアドレナリンよりも高い可能性
        ⇒推奨するに足るエビデンスはない
・アトロピン:心静止は迷走神経,副交感神経の過剰な緊張によると考えられる
       ⇒アトロピン投与は合理的
       ⇒推奨する十分なエビデンスはないが,
          0.04mg/kgに達するまで1mg×3分ごとの投与はいいかも
ということになっています。なのでガイドラインに乗っています。

※なんとなくバソプレシンが良さそうな場合があります


■いつ蘇生を中止するか
●本題ですが、少なくとも,以下を達成する必要があるとされます。
・ACLSを適切に行った
・気管挿管し,有効な換気を行った
・VFの場合,ショックを施行した
・静脈路確保した
・アドレナリン,アトロピン静注施行した
・治療可能な原因を全て治療or除外した
⇒この後,5~10分以上続く心停止を確認した。

●一方、以下の特殊な状況を除外する必要があります(蘇生を中止しない)
・若年者
・毒物,薬物の過量投与がある
・超低体温,冷水に水没している
・自殺を試みた
・近くにいる家族や友が蘇生中止に反対している

●以上確認された場合,蘇生中止は適切です.
院内まで運ばなければならない,というエビデンスはないのです!現場でのACLSで蘇生できなければ救急部においてもかなり難しいです.


参照 ACLSリソーステキスト

★誤嚥の危険のため.

◎ACLS。

心肺蘇生
※胸骨圧迫をやめない方が良い、ということが根本にあります.
バッグマスク⇒胸骨圧迫:マスク換気=30:2
 ⇒同期している
気管挿管後⇒絶え間ない胸骨圧迫+換気(8~10/min)
 ⇒非同期(独立)

バッグマスクで非同期にした場合
⇒肺から押し出される空気と,口から入り込む空気が衝突
胃へ逃げていく
⇒膨満し,内容物が逆流
⇒誤嚥+嘔吐,換気悪くなる

挿管後なら空気の逃げ場がなく,気管内にカフがあるため誤嚥しない
⇒非同期でオッケー。


ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015 準拠


 ACLSを取っていない人は医療者でありません。


参照 ACLS

★高感度トロポニンで健常者の99パーセンタイルを超えるかが重要。

■高感度トロポニン
●心筋トロポニンI/T

・トロポニンにはTnI, TnT, TnCとあり、心筋に特異的なのはTnITnT
⇒心筋障害(=心筋梗塞)により心筋トロポニンは上昇する
⇒特異的な診断となる

高感度トロポニンキットが開発され、その使用が推奨される
 …high-sensitivity cardiac troponin I/T (hs-cTnI, hs-cTnT)
⇒測定するものはトロポニンであり、従来のキットと同様
キットが優秀になったという話

・重要な事は、高感度トロポニンは「健常者の99パーセンタイル値を数値化できる」点
 …従来のキットでは測定感度以下であった
99パーセンタイル値を超える、ということが心筋梗塞の診断となる
 (下記参照)

※キットにより、同じトロポニンIでもカットオフ値が異なることに注意
 …トロポニンTは一定(99パーセンタイル値=14ng/l)


■急性心筋梗塞の診断(universal definition 3rd)

虚血の証明(心電図、エコー、症状)に加え、以下の基準(心筋障害の証明)を満たす
ベースラインが99パーセンタイル未満の場合
トロポニン値が99パーセンタイルを超えている
 (+ベースライン値から50%以上の上昇がある)
継時的に20%以上の増加 or 減少がある

ベースラインが99パーセンタイル以上の場合
継時的に20%以上の増加 or 減少がある

※「増加 or 減少」とあるのは、アタックの時期により異なるため
⇒継時的な評価をするため、3時間以上時間をあけてトロポニンを測定する必要あり


■ベースラインのトロポニン値が上昇しうる場合
①冠動脈内プラーク破裂 (MIの原因の60%といわれる)

・ST上昇型/非ST上昇型急性心筋梗塞
 ※不安定狭心症の定義はトロポニンの上昇がないACS
  ACSの定義:参照  http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/43477854.html

②supply-demand mismatch (type2 MI)
・不整脈(特に心房細動)、大動脈弁狭窄症、大動脈解離、肥大型心筋症、脱水、敗血症、重症呼吸不全、重症貧血、高血圧、冠動脈攣縮、冠動脈塞栓、血管炎、erosion (MIの原因の30%といわれる)

③虚血と関係ない原因
・心臓手術、ペーシング、ショック、横紋筋融解症、心筋炎、薬剤性心筋障害

④複雑な原因
・心不全、たこつぼ心筋症、肺塞栓、肺高血圧、腎障害、全身状態不良、脳梗塞、くも膜下出血、出血、サルコイドーシス、アミロイドーシス、激しい運動


参照 EHJ 2012;33:2551-67, EHJ 2012;33(18):2252-7, BMJ 2013;347:f4222

★非心臓手術を控えていて、心疾患がある場合。

■冠動脈狭窄+心筋虚血

●一般的に、術前の冠動脈治療により予後は変わらない
 ⇒但し、重要な冠動脈病変がある場合、個々に対応する
  …LMT病変、低心機能の多枝病変など
・METs<4(アルゴリズムに従う)
+非侵襲的検査で大きな虚血が疑われる場合
手術を数ヶ月延期する事が出来る場合
⇒冠動脈造影をやってもよい
⇒治療適応の冠動脈病変があった場合
 ・治療により生命予後改善する場合、手術前に治療することを検討
  …LMT病変は先行治療すると良いかも、というデータもある
 ・治療により予後変わらない場合、手術を先行させる
※治療するにしても、CABGかPCI(DAPT必要)かを考えること


■AS

・重症じゃなくても、術後の予後は悪い
AVR適応の場合
severe ASで有症候性 or 心機能低下している場合
⇒控えている手術を遅らせ、ASの治療を優先する
 …AVR or TAVI;BAVは予後改善させるデータが少なく、勧められない

無症候性AS+冠動脈病変ある場合
⇒心臓治療を優先させた方が良いかも(個々に対応)

無症候性ASで冠動脈病変なし
周術期に血行動態を慎重にモニターすれば、手術可能
 …術前半日〜1日、術後1日〜2日
⇒具体的には、
 ・volume管理;特にhypovolemiaを回避する(虚血になりやすいため)
  ⇒特に麻酔導入の際に注意
 ・洞調律を維持し、心拍数を適正化する;左室を充満させる


■心不全

●急性心不全
⇒心不全治療を優先し、落ち着いてから手術とする

ルーチンにエコーで心機能を評価する必要ない
 …EF<40だと予後悪いが、心エコーは管理に影響しない
 ⇒原因不明の息切れ、慢性心不全患者の症状増悪時のみエコーの適応

現行の心不全治療薬は継続した方が良い
手術前より新たに何かを始めた方が良い、とのエビデンスはない
(特に、β遮断薬をルーチンで始めるのは良くない)


参照 UpToDate

★非心臓手術の術前評価の話。

■アルゴリズム

 ①緊急手術が必要なら、施行する
⇒②超ハイリスク患者は、落ち着くまで心臓の治療を優先
  …最近のMI/UAP/AHF、重要な弁膜症(特にAS)
  ⇒参照;術前の心臓リスクへの対応
⇒③RCRIでno riskの場合、手術へ
  …下記参照
⇒④METs≧4の場合、手術へ
  …下記参照
⇒⑤以降の対応は下記参照


■Revised Cardiac Risk Index (RCRI)

●6項目

①高リスク手術:血管手術、開腹/開胸手術

②虚血性心疾患の既往:OMI、誘発虚血(+)、異常Q(+)

③慢性心不全

④脳血管疾患の既往

⑤糖尿病でインスリン治療中

Cre2 mg/dl


●MI、心停止、それによる死亡のリスク
0項目:0.4%(no risk)
1項目:1%
2項目:2.4%
3項目以上:5.4%

Af肥満もリスクとされる
どのように扱えば良いか、答えは出ていない


■metabolic equivalent (MET)
●1 Met = 1 kcal/ (kg × h)

1-2 Met:食う、着る、トイレ
4 Met程度:上り坂や階段を登る、平地を3-4km/hで歩く、自転車
それ以上:セックス(5.8 Met)、ジョギング(7 Met)、縄跳び(10 Met)


■RCRIでリスクあり+MET<4の場合

心筋負荷イメージング
・心筋虚血の程度と予後は相関する
⇒但し、術前の冠動脈治療により予後改善するというエビデンスはない
⇒しかし、病変によっては治療を考慮する
 …参照;術前の心臓リスクへの対応

心エコー
・診断されていない弁膜症(特にAS)が聴診で疑われる場合に適応
基本的に適応ない


略語)MI:心筋梗塞、UAP:不安定狭心症、AHF:急性心不全、AS:大動脈弁狭窄

参照 AHA guidline、UpToDate

★動脈瘤は破裂を疑えば緊急手術、適応があれば選択的手術、なければ外来フォロー。

■胸部大動脈瘤(TAA)

・以下の場合、選択的手術を
①有症候性(少ない)
拡張後期径が、上行で50-60mm以上、下行で60-70mmm以上
 ※女性の場合、正常大動脈径の2倍以上で選択的手術を検討手術
 ※上行の場合、大動脈径index: 大動脈径÷体表面積<2.75 の内に手術を
③50mm以下の動脈瘤で、10mm/1年で拡大
④解離あり
⑤大動脈弁手術を施行する場合、45mm以上のとき

●手術適応がない場合、β遮断薬を導入し、sBP105-120mmHgを目標に降圧する
…左室収縮↓、share stress↓により進行を予防する
⇒最初は6ヶ月、以降1年おきにCTかMRIでフォローする


■腹部大動脈瘤(AAA)

①破裂、有症候性
 ⇒緊急手術
②0.5mm/6ヶ月、10mm/1年で拡大
 ⇒選択的手術
無症候性で55mm以上
 ⇒選択的手術
※無症候性で60mm以上の場合、入院、可及的に手術とする
④55mm以下でも、以下の場合は個々に手術を検討
 …女性(破裂率高い。50mm以上で適応)
  若年(いつかは手術する可能性が高い)
  腸骨動脈瘤や有症候性のPADを合併(一緒に治療できるから)

●以上でない場合、6-12ヶ月おきにCTフォローとする。
●全ての場合において、心血管系リスクに対する介入を開始。
禁煙、適度な運動が進行予防に最もエビデンス高い。
 薬剤は、どれも進行予防のエビデンス低い
 …AAAは冠動脈疾患との合併多く、その意味でスタチンとアスピリン投与は良いかも


■腸骨動脈瘤(FAA)

①破裂
 ⇒緊急手術
②有症候性
 ⇒破裂のリスクが高いため、準緊急で手術
③7mm/6ヶ月、もしくは10mm/1年で拡大
 ⇒エビデンスは乏しいが、手術適応としてよい
無症候性で30~35mm以上
 ⇒手術を検討。伝統的に30mmだったが、最近は35mmまで待てるとされる
手術適応の腹部大動脈瘤を合併し、25mm以上

●以上でない場合、、6-12ヶ月おきにCTフォローとする
●全ての場合、心血管系リスクに対する介入を開始。
 

■膝窩動脈瘤

・末梢動脈瘤で最も頻度が高い
①有症候性、遠位の虚血症状のある場合
 ⇒緊急手術。抗凝固、カテーテルからの血栓溶解も適応
20mm以上
 ⇒手術適応;30-40%で急性虚血を起こすリスクあるため
瘤内に血栓がある場合
 ⇒進行するリスク高く、小さくても手術を検討
 …抗血栓療法で保存的にみれるかはcontroversial

●それ以外だが有症候性の場合、運動療法+シロスタゾール投与を開始。
 6-12ヶ月おきにフォロー。
●閉鎖した動脈瘤は放置してよい


参照 UpToDate、日循ガイドライン

★分類、すぐにβ遮断薬で循環管理。

■まず、すぐに分類する

●Stanford分類
・A型:上行大動脈に病変があるもの
・B型:A型でないもの

●似ている他の病態

壁内血腫
 …大動脈を栄養する血管の損傷。解離に準じて治療する。
・血腫を認めない内膜のみの損傷
 …現状では画像で解離と区別つかない。手術してみたらそうだった、という類。

※DeBakey分類(内科診断/加療には寄与しない外科目線の分類)
・Ⅰ型:上行から解離し、少なくとも弓部を巻き込むもの
・Ⅱ型:上行から解離し、上行に限局するもの(3分枝を巻き込まない)
・Ⅲ型:下行から解離するもの(稀に弓部に解離が及ぶ)


■急性期治療
●ICU入室
●疼痛コントロール;モルヒネがよい
●血行動態不安定、気道×の場合、挿管

循環管理
HR60以下に;β遮断薬(インデラル)、1-10mgボーラス+3mg/hで開始
sBP100-120に;β遮断薬で不十分な場合、ニトロプルシド 0.25-0.5μg/kg/minで開始
 …ニカルジピン、ジルチアゼム(ヘルベッサー)でもよい
必ずβ遮断薬から投与する;血圧↓に伴う交感神経↑を防ぐため

低血圧の場合
⇒原因を探す;出血、タンポナーデ、急性弁膜症(AR)、心筋梗塞
※陽性変力作用を持つ薬剤はダメ;share stress↑で解離を助長する
※心タンポナーデに対する心嚢穿刺も微妙;出血、ショックを助長する


■根治療法
①短期リハビリコース(15-16日)の適応

●以下全てを満たす場合
Stanford B型
・偽腔閉塞型でULPがない、または偽腔開存型で真腔が1/4以上
・DIC合併なし(FDP≦40)
・他、重篤な合併症なし

②標準リハビリコース(19-22日)の適応

●以下全てを満たす場合
Stanford A型の偽腔閉塞型、もしくはStanford B型
・大動脈の最大径≦50mm
・臓器虚血がない
・DIC合併なし(FDP≦40)
・他、重篤な合併症、不穏、縦隔血腫、タンポナーデ、右側優位の胸水がない場合

③緊急手術の適応

●以下のいずれかを満たす場合
Stanford B型
・臓器虚血あり
・コントロール不良の高血圧、疼痛
・解離の進行;ふつう疼痛再発でわかる
・瘤化、破裂
・Marfan症候群
Stanford A型
・進行性の解離に伴う脳梗塞がない場合
…脳出血のリスクが高いため

※その他の場合、個々に対応。


■慢性期の治療
偶発的に見つかった、無症候性の解離もこのカテゴリーとなる

●2週間以上経過し、安定しているもの
A型、B型に問わず内科管理の適応
●外科治療が推奨されるのは、以下の場合
・破裂
・大動脈径の急速な拡大;5mm/6ヶ月
・径55-60mm以上
・径50mm以上のMarfan症候群
・偽腔開存型解離+薬物でコントロール不良の高血圧


参照 日循ガイドライン、UpToDate

★使わない方が良い。

■機序

感覚刺激+立位や脱水などで起こる
参照:反射性失神の仕組み


■診断

まず他の疾患を除外する。その後↓
head up tilt試験
・Type1(混合型):Type2と3に当てはまらないが、血圧低下+心拍数低下により症状が誘発される
・Type2(心臓抑制型):HR<40が10秒以上、又は3秒以上の心停止
 ⇒2A:血圧低下が心拍数低下に先行、2B:同時に低下
・Type3(血管抑制型):血圧低下による失神で、心拍数低下は10%以下


■治療

失神を繰り返す時のみ適応
●生活指導
・排尿や脱水に注意し、長時間の立位を避ける
足組み、手をぐっと握る、腕をのばす (physical counterpressure)
⇒静脈還流量を増やすことで失神を予防する
 …十分なエビデンスのある治療はこれだけ
●Tiltトレーニング
・踵を上げて立位を10-50分保つトレーニングを、毎日行う
 ⇒効果がない、とするエビデンスも多い
●β遮断薬
・Bezold-Jarisch反射の求心性繊維、心臓の機械/化学受容体から出るC fiberを阻害すると考えられている
・よく使われるが、エビデンスない+若年者には有害かもしれない
プラセボ効果が強く、複数の大規模試験で効果なしとされた
基本的に使用を推奨されない
●ペースメーカー
・薬剤抵抗性で心停止を伴うType1か2で考慮される(心臓抑制された証明がないと適応外)
 …小規模研究にて、A-systole>3secで失神ある例、A-systole>6secで失神ない例のみ有効
※UpToDateでは、40歳以上の心臓抑制型で、年5回以上失神がある場合にのみ推奨される


参照 UpToDate, EPS

★Dukeは感度が高い。

■Duke criteriaについての研究

①405例の内69例が病理的にIE
・Dukeでdefiniteだったものが80%
・IEの内、Dukeでrejectedだったものはない
②63例の内10例がIE
・全てDukeでdifiniteだった
③115例の内27例がIE
・22例がDukeでdefinite
⇒Duke基準でrejectedなら否定的(感度高い)
 …一方特異度はそこまで高くない
⇒臨床的によく遭遇するシチュエーション
Dukeでpossibleの例、心臓疾患があり血液培養陽性例をIEとして扱うか


■心エコー

●TTE
・疣贅検出の感度79%、特異度95-100%
●TEE
・疣贅検出の感度92-94%、特異度95-100%
⇒人工弁の場合、検出感度は落ちる
※エコーで疣贅を認めなければほぼないということだが、小さい場合など偽陰性もありうる
 ⇒再検が重要;適正なタイミングは検証されていない
つまりTEE陰性であった症例の場合、一定の考え方はない!
 (総合的に考える)


■血液培養
●典型的な菌で無い場合

A-C群溶連菌IEにほとんど関連しない
・G群溶連菌;IEの可能性ある
・Enterococcusの中でもfaecalisはIEに関連する
コンタミネーションと区別難しいPropionibacterium acnes, Corynebacterium spp, Bacillus spp, CNS
⇒培養繰り返すことが重要
⇒このために、大項目に培養陽性の基準ある

●培養陰性のIE
・IEの2-7%
・抗菌薬投与後(特にStreptococcus)、手技の問題はよくある
①感染症:Q熱、バルトネラ、Whipple病、真菌、フィネゴルディア
②非感染症:衰弱性、SLE、RA、Bechet病


■(おまけ)正確なDuke criteria

●表1

definite

病理基準

①疣贅(心内か塞栓)、心内膿瘍に培養で菌が検出

②疣贅(心内か塞栓)、心内膿瘍の病理で心内膜炎の所見

臨床基準

2大項目か、②1+3小項目か、③5小項目

possible

1+1小項目か、②3小項目

rejected

①他の確定した診断

②抗菌薬開始後4日以内の心内膜炎再燃、

③抗菌薬開始後4日以内で病理的にIEが証明されない

④上の基準に当てはまらない


●表2

大項目

1.培養陽性

2回以上の血液培養で、以下の典型的な病原菌

Strept. viridans, gallolyticus (bovis)

HACEK; Haemophilus, Aggregatibacter, Cardiobacterium hominis, Eikenella spp, Kingella kingae
 ※これらは、培養陽性となるまで時間かかる 

Staph. aureusかEnterococcus;心臓の他に感染源が特定されない場合

②血液培養が12時間おいて2 回以上陽性 or 3回以上(最初と最後は1時間以上あけて)の陽性

Coxiella burnetti陽性 or antiphaseIgG >1800

2.心内膜炎

①エコー所見

・振動性の腫瘤;弁か弁支持組織の上、逆流ジェットの中、人工物の上

・膿瘍

・人工弁の新たな部分離解

②新たな弁逆流

小項目

①心臓の基礎疾患、静注薬物使用

38℃の熱

③血管現象;動脈塞栓,肺梗塞,感染性動脈瘤,頭蓋内出血,眼球結膜出血,Janeway発疹

④免疫現象;糸球体腎炎,Osler結節,Roth斑,リウマチ因子

⑤血液培養陽性だが大基準を満たさない or 血清学的な活動性の炎症








 

 


















参照 UpToDate

★形成術可能ならやった方がいいかも。

■手術をするべき状況

強い症状(NYHA Ⅲ°以上)
・心機能低下(EF < 60%
…これらがあると、早期から死亡率が高い。しかし手術しても生命予後不良。

●エコー所見
・僧帽弁逆流量(ERO)≧ 40
…生命予後不良。手術なしで心イベント回避できるのは16%のみ。
・左室収縮末期径(Ds) ≧ 40
…生命予後不良。但し手術しても不良。
左房容積 ≧ 60
…生命予後不良。手術すると元通り。
運動負荷エコーにてEROが10以上増加
…症状ない期間が短い。

BNP ≧ 31
…生命予後不良。手術についてはデータなし。


■上に当てはまらない無症候性MRをいつ手術するか

①すぐやる
・そもそも僧帽弁手術はリスクが低い
・手術した群が生命予後よいという研究あり
⇒置換術でなく、形成術ならなお良い
②待つ
・症状出現、心機能低下みられるまで待つ
手術回避率が8年で55%、生命予後は一般人口と変わらない、とした研究あり


■日循ガイドライン

●クラスⅠ
・症状あり+EF>30, Ds≦55
・症状なし+EF<60, Ds>40
症状あるか、なくても心機能低下ある場合
●クラスⅡa
・症状あり+EF<0.3, Ds>55
・症状なし+EF>0.6, Ds<40で、
 ①新たなAf or 肺高血圧出現
 ②弁形成術が可能
心臓かなり悪い場合、MRにより合併症起きた場合、弁形成ができる場合。


参照 日循ガイドライン、UpToDate
▶︎僧帽弁逆流、手術適応

★だいたい血管迷走神経反射.

■迷走神経反射
感覚刺激
⇒迷走神経上行路,疼痛刺激伝導路,中枢神経入力路(視覚など)
孤束核を刺激
副交感神経賦活化:心抑制反射:除脈,A-systole,房室ブロック
 交感神経抑制:血管拡張反射:低血圧


Bezold-Jarisch反射
交感神経刺激による血管内圧↑
 or 血管内volume↑
⇒左室過剰収縮、心拍数増加
心房か大血管:伸展刺激受容器の活性化
 左心室:機械受容体の活性化
迷走神経求心路を介する、中枢性の交感神経抑制+副交感神経刺激
⇒末梢血管拡張、徐脈

●このトリガーとして、立位やTilt試験がある
…下肢血液貯留
⇒静脈還流量↓
⇒左室容積↓
⇒交感神経↑

※よく、迷走神経反射に含まれる。


■頸動脈洞反射
頸動脈や大動脈弓の血管内圧↑、又は外部からの頸動脈圧迫
⇒血管壁伸展
頸動脈,大動脈弓にある圧受容器活性化
舌咽神経を介し、延髄の孤束核/ 迷走神経背側核、疑核、延髄橋網様体へ
⇒遠心性神経繊維へ作用
 …洞結節や房室結節に分布する迷走神経↑、心室筋や全身血管に分布する交感神経↓
⇒除脈,低血圧

セロトニン伝導路が関与しているかも
 …SSRIや三環系抗うつ薬が,発症予防に有効であるから
 
アデノシンが関与しているかも
 …アデノシン投与により誘発+tilt試験でアデノシン濃度上昇
 ⇒アデノシンは血管拡張は心抑制作用有り

 
参照 UpToDate 
更新 2015/1/22

・排尿や排便
胸腔内圧↑
⇒心臓への血液還流↓
⇒脳血液量↓
⇒失神
 


・長い咳

⇒胸腔内圧↑
⇒大動脈を経由し,頭蓋内圧↑
⇒脳血流量足りない
⇒失神
※排尿や排便と同じ機序も考えられるが,長い咳の場合,平均動脈圧が変化しない,との報告がある.

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