知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

消化器

★腸管粘膜からの細菌侵入.

◎最近leaky gutという概念が広まってきております。究極のleaky gutが、バクテリアルトランスロケーションです。


腸からきれいになる、というのは、あながち嘘でないかもしれません。


■機序
●腸は外界とかなり広い面積接しています
 +扁平上皮でなく,一層の円柱上皮からなるのです
⇒これが剥がれただけで、血流感染が起きます。
=皮膚よりも感染の原因となると言われています

動物実験からの仮説だが,支持するエビデンスは多くある
 (人間で以下の現象が実際にあるかは確かめられていない)
<仮説>
①血管内ボリューム↓,低血圧
 ⇒消化管が虚血となる
粘膜が障害,細菌が侵入する
 …死菌,エンドトキシンの移行も無視できないとされる
③局所で炎症を起こす
④交感神経↑
 ⇒血管収縮
 ⇒腸管虚血増悪する
⑤粘膜のバリアを突破した細菌は,腸管網内系へ
 ⇒ここも突破すると,菌血症となる


■防御機構
★胃酸
・無酸症でも消化吸収には影響ないので、
 ⇒胃酸の主目的は,口腔からの菌の除去と言われています!
 …pH<4で殺菌効果でてくる

・つまり、PPI,H2ブロッカーはこれを阻害
⇒感染助長する(少なくともVAPは)
※潰瘍予防と感染リスクに関して,PPIかガスターかスクラルファートのどれを使うか,医者により異なります。例えば、
 ex) 潰瘍は消化器内科医介入の必要があるが,肺炎は抗菌薬で治療できる
   ⇒ガスターやPPI使う
   …PPIの方がpH抑制・持続時間・耐性などの面でH2ブロッカーより優れるが,肺炎発症はPPIの方が多い
 ex) 予防という意味なら,あえて肺炎のリスクが上がるようなことはしたくない
   ⇒スクラルファート使う

★粘膜
・バリア機能
 …高侵襲,虚血,薬物,放射線などで破綻するので、
経腸栄養が重要
⇒超急性期からの経腸栄養が勧められます
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35397922.html

★腸内細菌叢

・腸蠕動低下,腸管内圧上昇により変化,バクテリアルトランスロケーション助長される
※これに対し,選択的口腔内除菌(SOD),選択的消化管殺菌(SDD)のエビデンスあり
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35397922.html


参照 ICU book,intensivist

★マグネシウム→アミティーザ→刺激性下剤頓用。食物繊維と運動とプロバイオティクス。

◎刺激性下剤の頻用は、ハウストラの消失をまねき、刺激性下剤への耐性が進みます。すでに定期的に飲んでいる人は、回数を減らしていきましょう。

寿命の9割は「便」で決まる (SB新書) [ 中島 淳 ]


横浜市立の教授の本。臨床医は一読をおすすめします。


■便秘の分類
1) 弛緩性
・腸が動かない
治療:機械性下剤⇒上皮機能変容薬⇒大腸刺激性下剤

2) 痙攣性

・副交感神経過緊張⇒大腸壁の緊張増加,蠕動運動亢進
IBSでみられ,便が兎糞状になります。
治療:機械製下剤 or 上皮機能変容薬⇒過敏性腸症候群治療薬 or 副交感神経遮断薬
※大腸刺激性下剤は禁忌です。

3) 直腸性
直腸肛門反射の低下
治療:バイオフィードバック療法
※便意があっても排便しない,という生活習慣が原因です。


■便秘薬詳細
<機械性下剤>

酸化Mg、マグミット
・日本ではマグネシウム製剤一択でしょう。海外では薬価の違いから、他の選択肢が出てくるそうです。
 便秘の第一選択薬です。

機序:
・胃内酸性下で塩化マグネシウムとなり、腸管内で炭酸水素マグネシウムとなる
⇒腸管内の浸透圧を上げ、水を引き寄せる
⇒腸内容量増大による腸運動↑ + 腸内容物の軟化
⇒排便促す

※内服なので,効果がでるのに時間かかります。また、多めの水で服用するのが大事です。
PPI内服していると、胃内酸性が緩和されるため、効果がでません


※PPI以外にも、併用に注意する!
他の薬物を吸着,キレート形成して難溶性となります
=小腸から吸収されにくくなる
⇒テトラサイクリン,ニューキノロン,ビスホスホネート,ジギタリス,鉄剤,アレジオンなど

陽イオン交換樹脂に吸着される
⇒ケイキサレート,アーガメートのK吸着作用が低下

制酸作用により胃内pHが上昇する
⇒カルシウム製剤からCaが離脱しにくくなります


<腸管上皮機能変容薬>
アミティーザ、リンゼス(IBSのみ)

機序:
・小腸のクロライドチャネルを局所活性化
⇒腸管内への腸液分泌を促進
⇒腸内容量増大による腸運動↑ + 腸内容物の軟化

※これが出てきたため、治療の選択肢が増えました。安全に使えるので、酸化マグネシウムの次に使える薬です。
・分2の内服で、容量も12μgと24μgの2種類があるので、調整の幅があります。

腸管上皮機能改善作用があると言われています
⇒腸管上皮機能は加齢とともに低下していきます。これも、アミティーザ使用する根拠となります。


<大腸刺激性下剤>
・非常に有効ですが、耐性が付きます。必ず頓用で使い、量は減らしていくべきです。

センナ関連薬:プルゼニド、アローゼン
機序:
・腸内細菌によりレインアンスロンとなる
⇒これが腸管運動を刺激
※8~12時間で効くので,翌朝の効果を期待して就寝前に服用させます。


ラキソベロン
機序:
・大腸細菌叢で加水分解
⇒ジフェノール体(一部が吸収され,グルクロン酸抱合)
⇒これが腸管刺激します
※習慣性が少なく,安全性が高いと言われていますが、これも耐性化し、どんどん必要量が増えます。


<坐薬,浣腸>
グリセリン浣腸
・直腸刺激し,すぐ排便
⇒直腸に便が近い時,より有用
 1回10~150mLを注入
 ・左側臥位で,1回に30-120mlで10秒で30mlの速さで注入します

※グリセリンが損傷部位から血液中に吸収されると腎不全を起こし得ます。
⇒直腸診で確認+チューブ先端が直腸前壁に当たらないよう注意


<漢方>
大建中湯
虚証(虚弱)、寒証(冷え)に適応
※イレウスの再発予防に,特に効果的
 15g 分2~3回 食前又は食間 経口


参照 頻用薬の使い分け、講演会等

★それぞれ理由がある.

◎内鼠径か外鼠径か、由来は発生・解剖学によります。

■名前の由来
○鼠径管
... 精索・精巣動静脈が通る管で,「腹腔内→内鼠径輪→外鼠径輪→睾丸」と交通します

○鼠径ヘルニア
... 腹腔内臓器が鼠径管へ飛び出した状態

●「外」か「内」か
... 下腹壁動静脈より外側か内側か,ということに由来
外・内鼠径輪とは関係ないのです!


外鼠径ヘルニア (indirect hernia)
・腹腔内臓器が「腹腔内→内鼠径輪→外鼠径輪→睾丸」
・原因:先天的に内鼠径輪が閉じていないか,後天的に内鼠径輪が開いてきてしまうか
   =腹膜鞘状突起が閉鎖していないことによります。
   参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/30967399.html


■内鼠径ヘルニア
(direct hernia)
・内鼠径輪周囲の体幹正中よりの部分は,腹壁が弱い(ヘーゼルバッハ三角)
 ⇒そこから鼠径管へ突き抜ける
※後天的な原因は,コラーゲン合成不全(特にⅠ型,Ⅲ型)が多くを占めるか,と言われています。


■手術の意義
・医学的には「ヘルニア陥頓の予防」のみ。
 陥頓:脱腸した場合,静脈・リンパ還流が阻害+腸管浮腫発生によります
    (このとき初めて疼痛を伴います。)

※陥頓は発症してすぐに起きやすいです:3ヶ月で2.8%,2年で4.5%
 ⇒時間が経つと穴が広がり,出やすく戻りやすくなるため。


■手術の合併症
感染
・ほとんど起こらない:予防的抗菌薬投与は必要ありません
・メッシュに感染した場合
 ⇒抗菌薬で治り得ます;(取り除く手術が必要ない事もあります)

血腫・水腫
・割と頻度が高いです。
・ヘルニア嚢を取った空間に溜まります。
・大部分は自然消褪する+ドレナージ著効するため,重大な合併症ではないです。
 ⇒但し,ヘルニア再発と紛らわしいことがあります

慢性疼痛
・ある程度太い神経の損傷,オンレイパッチによる圧迫が原因です
 ⇒腸骨鼠径神経,陰部大腿神経が多い
 ⇒ばっさりきちんと切離すれば,慢性疼痛は起きにくいです。

再発
・同側
⇒すぐ(人工物壊れた,動きすぎ)
or 6ヶ月~5年(手技が未熟だった)
or かなり経ってから(自然の変化)

対側
⇒同側へ逃げていたテンションが反対側へかかることによります(広義の再発)


参照 UpToDate
更新2013/12/26

★小腸は通常ガスないため.

◎小腸ガスでイレウスを疑いますが、医学的介入の判断は必ずしもstraight forwardではありません。


■小腸ガスとは
・腹部Xpを臥位で見ます
・小腸の部分にひだが見えます。これが小腸ガス。
 ⇒大腸ガスは通常でも存在し,ひだが見えません。

※立位では二ボーが見えます.


■小腸閉塞(イレウス)の病態
・閉塞の近位に、
 ⇒小腸の分泌物が蓄積するため,拡張します。

・小腸はほぼ無菌のため、
 ⇒細菌増殖+飲みこんだ空気の蓄積 により、
 ⇒拡張を助長されます。

・状態が続くと小腸壁が浮腫し、
 ⇒本来の吸収能が阻害され、
 ⇒更に拡張,脱水となります。


■小腸ガスはどのような時に見られるか

①機械性イレウス…特に小腸閉塞
②急性腸炎
③麻痺性イレウス…虫垂炎,膵炎など
病歴で②は除外でき,①と③の鑑別が重要となります.
⇒治療が全く異なってくる+イレウスならこれ以上の検査は必要ないからです。
※②は様々な腹部レントゲン像を呈す

鑑別…
 ・有意に拡張しているか=3cm以上の拡大
 ・閉塞部位の前後で口径差があるか
  ⇒拡張していない小腸は見えないから,評価難しいです。
  ⇒大腸ガスの無い事で判断します。
   …病変が小腸だけなら,それより尾側は中身ないはずです。
 ・立位で液面が揃っていないか
  ⇒麻痺性イレウスは腸蠕動↓により内容の移動なくなります
  ⇒体位の変動によって液面が大体均一になります。

closed loop obstructionには注意する
⇒小腸ガスがはっきりしないことがあります
 …closed loop内は液体貯留となるため,ガスが見えない
⇒ループ状,少量の小腸ガスから疑ってかかります


◎一方、小腸ガスがあるからと言って、イレウスの診断とは必ずしもなりません。
 教科書と異なるところですが、CTを取って狭窄起点等評価します。
 実際、ウイルス性腸炎でも小腸ガスを呈し得ます。


参照 UpToDate,臨床研修のための一般外科指南書

★精巣下降と鼠径管形成は別の事なので,女性でも鼠径ヘルニアは起こる.

◎解剖の話です。

■発生の流れ
・精巣導帯を先頭に精巣が下降
⇒精巣導帯の経路に従い鞘状突起が発生,鼠径管を形成
⇒鼠径管内を通り,精巣が陰嚢内まで下降


■精巣の下降
・精巣は尿生殖間膜により,後腹壁に付着しています
⇒付着した膜が帯状になり,下生殖靭帯・精巣導帯となります(尾側へのびるよう付着)
 ※この時点では,精巣導帯は内・外腹斜筋の間で終わっています(腹腔外に出ていない)
⇒精巣が鼠径輪に向かい下降し始める!
精巣導帯の腹腔外部が形成,陰嚢隆起へ向かって成長します

 ※精巣下降を制御する因子
  ①臓器の成長による腹腔内圧↑
  ②精巣靭帯の腹腔外部の発達→腹腔内部での移動↑
  ③精巣靭帯の腹腔外部の退行→腹腔外部での移動↑
 

■鼠径管の形成
精巣下降とは別です.
・体腔の腹膜から、
⇒正中線の両側で前腹壁に向かって膨出します
⇒この膨出が,精巣導帯の経路に従って陰嚢隆起に入ります鞘状突起
 ※膨出内は腹腔内です。
⇒鞘状突起は体壁の筋・筋膜を伴って陰嚢隆起に膨出します
⇒これが鼠径管です。


■女性の場合
・尿生殖間膜⇒子宮円索,導帯となるが,導帯は未発達の状態に留まります
・卵巣下降は起きますが,移動距離は少ないです

一方、鼠径管の形成は起きます(卵巣下降とは別だから)
※この際,鼠径管内に子宮円索が入りえます。
⇒つまり鼠径ヘルニアは生じえます。


参照 ラングマン 

★血管異型性(angiodysplasia)による(とされている)!

◎腎臓が悪いと色々な臓器に影響します。消化管出血も多くなります。血管異形成が一つの説明しうる機序と考えられているのですが、果たして因果関係といえるのか?

■血管異型性とは
平滑筋収縮+血管内圧↑
⇒粘膜,粘膜下で静脈血排泄障害
⇒粘膜下の静脈が狭窄+曲がりくねる
うっ滞,動脈と吻合
⇒血管異型性

※原因:末期腎不全,vWD,AS


★慢性腎不全により血管異型性となる病態はわかっていないのです
■possible explanation
・腎不全
⇒血小板機能↓
⇒消化管出血多い
検査する
血管異型性が発見されます
※vWDも同じ原理とされます


◎「腎不全→血小板機能↓」の病態
①血小板の中
・血小板凝集,接着↓:糖蛋白Ⅱb/Ⅲaの機能低下
  ※糖蛋白Ⅱb/Ⅲa:フィブリノゲン,vWFと相互作用し,血小板凝集や接着に関与
・ADP,セロトニン放出異常
・アラキドン酸カスケードの異常⇒TXA2,PG産生↓

②血小板の外
・尿毒症:尿素(BUN)によるわけではない.メチルグアニジンなどが関与
貧血:赤血球多い時には,血管内の中央に赤血球が位置
    ⇒血小板は血管壁に近く位置
    ⇒内皮障害があるとくっつきやすい
    ⇒貧血では血小板がまばら
    ⇒内皮障害があってもくっつきにくい
・NO産生↑:NOは血管拡張作用+血小板凝集阻害


参照 UpToDate

★だめ.

◎これも勘違いしている看護師さん、多いです。

【第2類医薬品】ボルタレンEXテープ 14枚×2個パック(セルフメディケーション税制対象)


 市販のボルタレンは外用薬のみ。


■NSAIDsで胃粘膜障害が生じる機序
直接障害の機序
 ほとんどのNSAIDsは酸性
⇒胃の中ではイオン化しません
胃粘膜を通過できます
⇒粘膜内は中性なのでイオン化し,そこでトラップ
⇒上皮細胞を傷害しえます。

◎但し,実際の胃潰瘍発生というエンドポイントで考えると,この影響は少ないのです!
COX-1阻害によるPG産生阻害が大きいです。
⇒薬剤は血中より胃粘膜に移行するため,坐薬でも潰瘍になるのです。

※COX1阻害によりPG阻害されることによる影響は以下の通りです。
胃粘膜保護(PGE2,PGI2),血小板凝集抑制(PGI2),腎血流増加(PGE2)


■エビデンス(胃潰瘍出現率)
・ボルタレン発売会社の調査⇒ボルタレン錠6.63%,ボルタレンサポ0.83%
 (バイアスです)
・日本リウマチ財団⇒経口NSAIDs13.7%,坐薬NSAIDs18.8%
⇒実際は,坐薬と経口でほとんど差がないです。

※ちなみに,COX-2選択阻害薬でもCOX-1阻害作用が少ないながら存在します
⇒セレコックスでも、潰瘍形成リスクはあります。


参照 UpToDate,ボルタレン®HP

★良いことが多い.

◎これを悩んだ方は、それなりにいるんじゃないかと思います。理論的には、大体の場合許可されます

【プチギフト】寿俵 てまり飴 キャンディー(結婚式 披露宴 ブライダル パーティー 二次会 ギフト プレゼント お返し 和装 和婚)



●絶食の目的

胆嚢の収縮を抑制すること
 状況⇒CT,MRI,腹部エコー,胆嚢炎

胆嚢の収縮は、胃の運動により刺激されます。
⇨飴は胃に入る時には固形でないので、それほど刺激はされないと考えられます。


消化管に固形物が通過することによる出血・便秘を予防すること
 状況⇒様々な原因による消化管出血,イレウス

消化管の固形物=便です。
飴は便にならないので、許可されます。


※ただし、虚血性腸炎の場合など、腸管安静を目的に絶飲食としている場合は、もちろん不可です。
 (絶食水分許可と絶飲食は、目的が異なります)
 .
「飴=もの凄く少量の飲料」だと考えましょう。 


●ちなみに、水分制限の主な目的は「心不全,腎不全の増悪予防」です。
⇨この観点からも、飴は許可されます。

★ヘモグロビンによる腎障害を防ぐため。

食道静脈瘤に用いられる硬化剤5%EO;オレイン酸エタノールアミン)は溶血作用があります
⇒以下に説明するように、多量溶血は腎障害につながります
⇒ハプトグロビンを投与する事で、腎障害を防止することができます。

※ハプトグロビンの語源
ハプト+グロビン
 …ハプト=ハプテン
  =単独では抗原にならないが,適当な蛋白と結合することで抗原となるもの
  =グロビンにくっつく、ということ
ハプトグロビンはヘモグロビンにくっつき、肝臓に運び正常に処理する


●溶血すると
赤血球からヘモグロビンが流出します。


●大量に溶血すると
ヘモグロビンに結合するハプトグロビンが不足します。
遊離ヘモグロビンが血中に残ります

遊離ヘモグロビン:分子量34000
⇒これは腎臓の糸球体を通過します
⇒尿細管上皮細胞に取り込まれ,ヘムとグロビンに分解されます
⇒このうちヘムが腎毒性を発揮


ということで、多量の溶血が生じる場合は、ハプトグロビンの投与が必要となります。

適応:この他,熱傷,輸血,体外循環下開心術など


参照 UpToDate, 日本血液製剤協会

★原因はたくさん。

■機械性イレウス(小腸閉塞)の種類、原因


原因①

原因①の原因

腸管外異常による閉塞

癒着

手術既往、憩室炎、Crohn病、腹膜炎

ヘルニア

腹壁/鼠径/大腿/横隔膜ヘルニア

腸軸捻転

慢性便秘、腸間膜付着部の先天的異常

腹部膿瘍

憩室炎、虫垂炎、Crohn

腹膜癌

卵巣癌、大腸癌、胃癌

子宮内膜症

 

硬化性腸間膜炎

手術既往、腹部外傷、自己免疫疾患、悪性腫瘍

上腸間膜動脈症候群

急激なダイエット

その他

デスモイド腫瘍、軟部組織の肉腫

腸管内異常による閉塞

先天奇形

 

 

吻合部狭窄

手術既往

炎症性狭窄

Crohn病、憩室疾患、NSAID腸症

虚血性狭窄

末梢性動脈疾患、動脈手術、腸切除

放射線性狭窄

放射線治療

正常腸管の閉塞

腸重積

 

胆石、胃石

 

便

ひどい便秘、嚢胞性繊維症

壁内血腫

 

異物

胃管も原因になる

寄生虫

回虫、糞線虫


 
※但し最も重要な原因は手術の既往であり、腹部手術後の患者が小腸イレウスとなる確率は9.4%


参照 UpToDate 

★胃手術後、糖尿病、幽門肥厚、イレウス、機能性消化不良。

■胃からの排泄はどのような機序か

●3つのレベルで管理される
①自律神経
・副交感:迷走神経(主に背側運動核)⇒筋層間神経叢へ
・交感:T5〜T10(中間外側核)⇒腹腔神経節⇒胃の平滑筋や幽門括約筋へ

②消化管神経

・自律神経と協調し、神経網を形成
腸の運動性を調節する

③平滑筋

・平滑筋は様々な伝達物質が結合できる受容体を発現し、反応する
ペースメーカー細胞といい、自律して脱分極するものあり
⇒隣の細胞へ興奮が伝播
胃の円周+長軸で、ものを送るよう、うまく収縮する
胃底部(fundus)胃前庭部(antrum)で役割が異なる
…胃底部でものを貯めて消化、前庭部は高圧力で混ぜ、すりつぶし、肛門側へ送る

● 蠕動反射

・胃の拡張が刺激
⇒①アセチルコリン、タキキニン、サブスタンスP/K放出
 ⇒胃平滑筋収縮
 ②NO、VIPなど
 ⇒拡張している部分以下の消化管を弛緩させる


■胃排泄遅延の原因、機序
①胃近位部の運動障害

迷走神経離断:液体はすぐ腸へ行くが、固いものが排泄遅延する
糖尿病:運動、運動協調が障害される

②胃前庭部の運動障害

・圧力が足りない、頻度が少ない(機能性消化不良
胃不全麻痺

③幽門障害

特発性幽門肥厚による狭窄:NOを含む神経が欠如しており、弛緩できない
糖尿病性胃不全麻痺:胃の運動は低下するが、幽門は収縮しがち

④小腸の排泄遅延

イレウスのこと

※「機能性消化不良」は臨床上の定義であり、どこに分類されるかは重要でない(UpToDateでは①に分類しているが、①でも②でもあり得る)


参照 UpToDate

★重症だったらPPI開始。

■アプローチ

・診断補助としての胃カメラは勧められない;が、背景によっては施行しても良い
病歴と診察のみで診断して良いということ
ピロリ除菌は勧められない;GERD改善に効果ない
・アプローチは2種類(UpToDate方式)
⇒step upか、step down

●症状が軽度、または週2回以下の場合

step up アプローチ
①生活指導+頓服でH2ブロッカー開始
②症状残存する時、H2ブロッカー増量(〜通常量まで)
③症状残存する時、H2ブロッカー中止し、最低量からPPI開始
④症状残存する時、PPIを通常量まで増量
⑤症状コントロールできた用法で、8週間まで内服継続(以降中止)
 

●症状が重度、または頻度が多い時

step down アプローチ
①生活指導+通常量のPPIを開始
②症状軽減した際には、PPI漸減→H2ブロッカーへ切り替え
8週間で投薬中止

●投薬中止後再発した場合

消化器内科に紹介
⇒8週間治療をもう一度行う、低用量PPIをずっと飲むなどの対応
PPI長期内服は骨折のリスクを上げる。難しい場合は手術を検討


※生活指導
●エビデンスあるもの

・ダイエット
・食後の頭部挙上
・胃酸分泌促進する食事の回避(脂肪多いもの、カフェイン、チョコレート、辛いもの、炭酸飲料、ペパーミント)
●エビデンスないが、良さそうな事

・ベルトを緩くする;腹圧↓
・食後にガムをかむ;唾液により、逆流した胃酸を中和
・禁煙;煙草は唾液を減らすから
・禁酒;飲酒は食道下括約筋を緩めるから
・腹式呼吸のトレーニング;食道下括約筋を締めるから


参照 UpToDate, Dynamed 

★多くは、機能性消化不良。

■胃もたれ

・英語ではheavy stomach
・医学用語では消化不良(dyspepsia)
「消化不良」は、はっきりとした定義がない
⇒胃部不快感の総称として使われる。消化器症状全般を含み、胸焼けも含むこともある

●胃もたれの鑑別疾患

ほとんどが機能性消化不良(functional dyspepsia)
・他、急性/慢性胃炎、胃癌、胃潰瘍、胆汁排泄遅延など。腸や膵臓、薬剤も含む。心筋梗塞の可能性もある、というのは有名な話。


■機能性消化不良

基質的疾患を認めず、消化不良を呈する疾患
人口の25〜40%に認め、クリニック受診の2〜5%を占める
・リスク:女性、喫煙、NSAIDs
 ※アルコール/コーヒー消費量は関係ないとされる

●病態

・胃近位部、前庭部の運動障害など様々なことが言われている

●診断

人間もコンピューターモデルも、病歴と診察から機能性消化不良の診断をつけることはできなかったJAMA 2006 Apr 5;295(13):1566
⇒但し頻度が多いため、全例に胃カメラは施行しない

●対応

胸焼けがあれば、GERDとして対応する
NSAIDs服用していれば、中止 or PPI併用とする
上部消化管内視鏡は、以下の患者で適応
・症状:慢性出血、体重減少、嚥下困難、持続する嘔吐、鉄欠乏性貧血、心窩部腫瘤
・癌家系
・55歳以上
④上記①〜③に当てはまらない患者は、ピロリ菌感染のスクリーニングをしても良い
⇒いれば除菌、症状改善が見込める
⑤上記当てはまらなければ、エンピリック治療開始
PPI、H2ブロッカーは症状改善に有効
鍼治療のエビデンスは高い(これのみlevel 1、他はlevel 2)
・蠕動作用薬も有効:イトプリド(ガナトン)、ドンペリドン(ナウゼリン)、アコチアミド(アコファイド)、メトクロプラミド(プリンペラン)
・他、有効と思われるもの:ピレンゼピン(ガストロゼピン)、タンドスピロン(セディール)
・精神的介入も、症状改善に効果ある
薬剤の効果がなければ、内視鏡を検討+再評価
⇒何も無ければ、抗不安薬を検討

●生活指導

・アルコールとカフェインを避け、少量ずつゆっくり食べるように
・禁煙
・バランスの取れた食事をするように


参照 UpToDate, Dynamed

★抗菌薬使用は,便培養の結果を待ってからが良い.

■治療
①水分補給
・腸がだめのに水分補給が可能なのは、小腸のGlu-Naトランスポーターはやられないため
⇒補充するのは水分だけではだめで、NaとGluが必要
・WHO推奨の経口補液 (WHO-ORS)
…1L水の中に、3.5g NaCl, 2.5g NaHCO3, 1.5g KCl, 20g Glucose
ポカリスエットがほぼ同じ成分!


②栄養指導
BRAT(バナナ,米,アップルソース,トースト)で,牛乳を避けると良いかもしれない
 ⇒牛乳避けるのは,一過性ラクトース不耐症が生じうるから
・ヨーグルトが良いか悪いか、結論はでていない
※クリアウォーターだけを摂取していると、便が緑色になる


③対症療法
制吐剤(ナウゼリン,プリンペラン)は必要ない
⇒嘔吐を減少させるエビデンスなく,副作用の錐体外路症状,下痢の悪化が有りうるため
ナウゼリン(ドンペリドン):ドパミンD2受容体遮断
 プリンペラン(メトクロプラミド):ドパミンD2+5-HT3受容体遮断
 ⇒プリンペランの方がBBB移行性高く,副作用に注意が必要
止痢薬(ロペラミドがエビデンス高い)は使えうる
⇒下痢の持続期間を1日程度短くするかも
⇒但し,シゲラ,C.difficile,HUSの場合,発熱の持続期間を長くする
 +血便,中等度脱水の場合避けるべき
※お茶に止痢作用あり;タンニンが効くらしい


④抗菌薬
炎症性下痢であり,キノロン耐性カンピロ・O-157でないと確認できた場合,フルオロキノロンを用いてもよい
便培養の結果を待つのが合理的

●菌特異的な治療
・カンピロ⇒早期投与により1-2日回復が早まるかも
 ※フルオロキノロン耐性がはびこっているため,エリスロマイシンなど用いる
・シゲラ⇒フルオロキノロン
・サルモネラ⇒健康人で症状強くなければ投与しない
 ※高リスクの場合:ST合剤,フルオロキノロン投与してもよい
・O-157⇒投与しない;毒素が遊離し,致死的となりうるため
・vibrio cholerae(コレラ菌)⇒ドキシサイクリン
・ジアルジア⇒メトロニダゾール


⑤整腸剤(特に乳酸菌)

・症状緩和に有効とする研究がいくつかある
⇒但しエビデンスレベルは低い
⇒あと、飲んでいて効いている感じがしない


参照 N Engl J Med. 2004 Apr 8;350(15):1576-7, UpToDate 

★抗菌薬投与の必要がないウイルスと細菌が多いが、他を見落とさぬように。
外来で,急性下痢・腹痛を主訴とする,生来健康な患者について.

■原因

・軽症はウイルスが多い
・重症は細菌が多い;4回/日以上の下痢が3日以上続いた患者の、87%は細菌性だった
…サルモネラ,カンピロバクター,シゲラ,大腸菌(O-157:H7)、クリストスポリジウム,ビブリオ

■アプローチ
①重症度を評価

・以下の1項目以上で比較的重症
…脱水所見、血便、少量粘液便が頻回、38.5℃以上の発熱、24時間に6回以上の下痢便か48時間以上の下痢持続、激しい腹痛、入院患者か最近の抗菌薬使用、70歳以上か免疫不全者、全身症状のある妊婦

病歴,所見から検査を選ぶ
・24時間以内の発症
半分は24時間以内に軽快するため,経過観察
 ※脱水,発熱,血便の場合は別.
・冬
⇒家族内,介護施設内(ノロ)か,小児(ロタ)
⇒1-3日で収まるので,検査いらない
・発熱(>38.5℃)
⇒細菌感染が疑われる
⇒血便もあれば、ルーチンで便培養すべき
 …サルモネラ,シゲラ,カンピロ、大腸菌(O-157:H7)を疑う
・下痢の持続,テネスムス,発熱
炎症性下痢を確かめる検査が必要
便中白血球;感度73%,特異度84%
 便中ラクトフェリン;感度92%,特異度79%
 ※ラクトフェリンは好中球の顆粒成分の一つ.
・曖昧なケース
 ⇒ラクトフェリンをスクリーニングとし,陽性なら便培養すれば良いかも
  (陰性的中率が高いため)
 ⇒ラクトフェリン陽性の場合,治療可能な原因菌を否定すれば炎症性腸疾患を疑う
 ⇒シゲラ,サルモネラ,カンピロ,C.difficile,赤痢アメーバ

※疾患特異的な病歴

・食べた時期
⇒6時間以内:黄色ブドウ球菌、Bacillus cereus
 8-16時間:Clostridium. perfringens
 16時間以上:なんでもあり
・発熱なし,血便あり⇒O-157:H7
・アフリカ,アジア,ラテンアメリカ帰りで血便あり⇒赤痢アメーバ
・甲殻類食べた⇒ビブリオ
・持続する腹痛,発熱,腹膜リンパ節炎,他の免疫反応⇒Yersinia属
・最近の抗菌薬使用⇒C.difficile
・汚い水に7日以上接触⇒ジアルジア,クロストスポリジウム(プロトゾルのため)
・ソフトチーズを食べた妊婦⇒リステリア症(20倍危険がある) 

参照 N Engl J Med. 2004 Apr 8;350(15):1576-7, UpToDate 

★危険因子を踏まえた患者選択が推奨される。

■危険因子

・65歳以上:1点
・NSAIDs高用量:1点
・胃潰瘍の既往(重症:2点、軽症:1点)
・アスピリン、ステロイド、抗血小板薬内服中:1点
⇒重度:2点以上、中等度:1点、軽度:0点

○ガイドライン上、中等度リスク以上に予防的PPI内服が勧められる
※しかし、SSRI服用もリスク上昇するなど考慮されていない
⇒不完全ではある


■潰瘍予防

・PPI:最も良い
・ミソプロストール(サイトテック):1日4回内服必要であり、コンプライアンス悪い
・H2拮抗薬:十二指腸潰瘍は予防するが、胃潰瘍は予防しない

※PPI服用による副作用

肺炎
・胃内での殺菌能力が減弱することが原因といわれる
⇒リスクとなるのは特に短期服用の場合
PPIの胃酸分泌抑制効果は長期投与しても減弱しないため、矛盾する
⇒確実なエビデンスはないが、リスクとなりうる、というのが現状
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35639365.html

骨折
・胃酸分泌抑制に伴うCa吸収低下によると考えられる
不用意な長期投与は避けるべきとされる


■COX-2選択阻害薬

・non-selective NSAIDsより潰瘍のリスクは低くなるが、リスクであることは変わりない
⇒PPI内服で有効に予防される 
・長期服用で心血管リスクとなる
…機序:PGI2阻害するがトロンボキサンA2は阻害しないことで内皮障害が起こる
⇒本当に心血管リスクあるか、ややcontroversialなところも。
・PPI内服する場合、COX-2 selectiveが良いかはcontroversial
(より減ったという大規模studyはある)
心血管リスクあることと高いコストから、non-selective + PPIが勧められるかも


参照 UpToDate、パリエットHP 

★減圧する場合は太く。

■意識清明な患者
減圧目的
14Frか16Frセイラムサンプチューブが適切
セイラムサンプチューブは2つ穴があり、片方で吸引しても、もう片方が胃と大気を交通しているため、胃壁にくっつかない仕組みになっている
※十二指腸まで入った時、セイラムサンプチューブは胃内まで引き抜く必要あり
 ⇒固いため、粘膜を傷つける可能性あるから

経腸栄養目的
12Fr以下の小口径のフィーディングチューブを用いる;挿入時の不快感軽減のため
⇒柔らかいためガイドワイヤー(スタイレット)がセットだが、ワイヤーを再挿入してはいけない!
 …胃穿孔の危険あるため
※十二指腸内まで入れてもよいが、それで誤嚥予防とはならない(リスクは減らせる)

■挿管患者
・指を口の中に入れて誘導できる
⇒できない場合、喉頭鏡を用いて行う


■入れ方
・鼻から進める
 ※4%リドカインスプレーを使うことで、不快感軽減できるという研究あり
⇒咳き込みたくなった時、飲み込んでもらう(水を用いてよい)
⇒声出せなくなったり、咳き込みが激しい時は気管に入っている
減圧目的の場合、胃底部に留置する
 +間欠的に低圧で吸引する;セイラムサンプチューブの穴がつまりやすいため
⇒栄養目的の場合、状況に応じて胃 or 十二指腸に留置する

 
参照 UpToDate 

★偽膜性腸炎は内視鏡診断。

■Clostridium difficile(CD)感染症
・CDは芽胞をもつ嫌気性菌で、経口感染する
⇒発熱のみ~偽膜性腸炎まで、様々な病態を示す
抗菌薬関連下痢症(Antibiotics-Associated Diarrhea:AAD)の一種

●CD感染症の病態

 

疫学

特徴

無症候性保菌者

健常者の5%
4週間入院患者の50%

感染者保菌者

下痢症のみ

抗菌薬関連下痢症の20%

抗菌薬中止により改善

下痢症+発熱・炎症反応
(偽膜なし)

 

ICU発熱のよくある原因
内視鏡ではアフタ性大腸炎
 

偽膜性腸炎

CD関連下痢症の10%

腹痛あり

劇症

CD関連下痢症の3%

腸管穿孔・中毒性巨大結腸症


※38.5℃以上の発熱はCD感染症の15%で認め、腸炎の合併を示唆する
 典型的には、抗菌薬開始後5-10日で症状出現する


■CD感染症の病態・診断
●流れ
抗菌薬投与中に下痢を認める症例において
・toxin(+):positive result=CD感染症
・toxin(-), antigen(+):intermediate result⇒PCR、陽性ならpositive、陰性ならnegative
・toxin(-), antigen(-):negative result=CD感染症でない

・「トキシンの存在→CD感染症」となる
 Toxin A:好中球遊走因子
 Toxin B:細胞毒
⇒Toxin Bの存在証明(Cytotoxin assay)が診断のスタンダードだが、日本では検査できない
Toxin Aを酵素免疫法で診断している
 …感度75%、特異度99%
※但しToxin Bのみ陽性のCDが2~3%あるといわれる
 また、アッセイによっては感度が非常に低い

・CD抗原の証明(ラテックス凝集反応):グルタミン酸脱水素酵素(GDH)に対する試薬
⇒簡便だが、非特異的反応多く、毒素の有無とは無関係
感度は高いため、スクリーニングとしては有用

PCR;toxin Aかtoxin B遺伝子を検出
⇒感度も特異度も高い

便培養
・CDの毒素産生株は30%程度
⇒単純培養で陽性でも診断とならない
意義は感受性出すこと
・選択的な嫌気性培養+toxin検出は最も感度の高い検査
⇒しかし手間と時間がかかるため、疫学調査用の検査


参照 UpToDate、重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省)
更新 2015/8/3

★免疫法ではならない。

■化学法
・大腸癌に対する感度は30~40%程度
・赤血球のヘムがもつペルオキシダーゼ様作用を検出
⇒試験紙を用いて判定

オルトトリジン法
 ・以前使われていた、感度の高い検査
 ⇒肉、魚、緑黄色野菜、ミオグロビンでも陽性となる
グイヤック法
 ・特異度の高い検査
 ⇒オルトトリジン法の1/50~1/100程度
 ⇒微量の血液は検出できない 
※通常①と②を組み合わせて使う


■免疫法
ヒトグロブリンに対する免疫にて血液を検出
上部消化管出血由来のグロブリンは消化液で変性し、陽性とならない

●潜血に対する、各検査の陽性率

 

化学法

免疫法

上部消化管出血

95%

16.70%

下部消化管出血

93%

66.70%




参照 UpToDate、週刊医学会新聞

★脆弱な部位があり、そこに圧がかかってできる。

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■憩室形成の機序
①箇所
直細血管輪筋層を貫く
      …内側の環状筋と外側の縦走筋のこと
直細血管のある箇所は筋層がない
⇒脆弱
・上行結腸、S状結腸に多い
…S上結腸は内腔が最も狭い
 ⇒高圧がかかる

②力学的原因
筋収縮が分節的に生じる
⇒腸管内腔を外へ押し出す力がかかる
⇒憩室できる
※この異常な腸管運動がなぜ起きるかは不明
 …平滑筋M3受容体のup regulationによるかも

③構造異常
●憩室ある腸管には、以下の変化がみられ、憩室形成に関与している可能性あり。
 ・輪筋層の肥厚、結腸ヒモの短縮、内腔縮小
 ・結腸ヒモへのエラスチン沈着
 ・年齢不相応なコラーゲンの変化


■憩室出血の原因
憩室内の血管と内腔との間には粘膜しかない
⇒障害うけやすく、出血する

■憩室炎の原因
・腸管内圧、消化された食物により憩室壁が侵食される
⇒炎症、局所の壊死
壁が貫通
 =憩室炎


参照 UpToDate

★示唆するエビデンスはあるが,議論が分かれる.

■エビデンス
ストレスは定量化できず,盲検化もできないため,研究が難しい
⇒多くの後ろ向き研究は,患者の告白に依存している

●関連を示唆する研究
15年間,ある地域で胃潰瘍の初発・再発を追った研究
 ・何らかの心理的負荷→胃潰瘍初発率↑
 ・うつ症状,ストレス対処せず→胃潰瘍発生率↑(9-15年後)
自然災害,カタストロフィー後に胃潰瘍発生率↑
 …地域を変えることで,コントロール群を設定している

※もちろん,関連がないとする研究も多い.


■機序
・胃潰瘍の発生機序は,多くの要素がある
⇒個人の要素も大きい
 …例えば,ストレスにより胃酸分泌↑だが,潰瘍あるグループに著明(健常人はそうでもない)
⇒ストレスによる有害な作用は,一部の人にのみみられる
 =個人のストレスへの反応が重要


参照 UpToDate

★下痢でない可能性が高い.
…生理的範囲内である,ということ

■下痢の定義
●「1日に200gを超える便
⇒実際に蓄便はしない
⇒「1日3回以上のゆるい便」が実用的
 
●水分吸収低下,又は腸管の水分分泌亢進による

■下痢と似たもの
偽性下痢
少量の便が頻回に排出されるが,1日量は200g以下であるもの
⇒過敏性腸症候群や直腸炎による
便失禁
・ 不随意的な直腸内容の排出
⇒神経筋疾患や,直腸肛門の解剖的な問題による 


参照 ハリソン,UpToDate,http://www.iryou-hiroba.com/frontline/backnumber/archives/20051201/ 

★主に閉鎖式ドレーンが用いられる.
※ドレーンを入れると勝手に水面が上がるのは,毛細管現象による.

■ドレナージの種類
1.開放式
・ガーゼに吸収させる
⇒逆行性感染(特に4日目以降),凝血解の排出が不良
・受動的ドレナージ
 ①圧格差
   …大気圧より,液体貯留している部位の圧が高い場合
 ②毛細管現象
   …壁面に液体付着.管腔の中央の水面は低い
   ⇒表面張力で,管腔中央の液面が上昇
参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E7%B4%B0%E7%AE%A1%E7%8F%BE%E8%B1%A1 

2.閉鎖式
・バッグにつなぐ
⇒主流.閉塞しやすいため,ミルキングを行う 
・能動的ドレナージ
 =陰圧で引く


■ドレーンの種類
①フィルム型(ペンローズ
○屈曲しても排液可能(毛細管現象による),柔らかい
×屈曲しやすくドレーン入れ替え困難,粘度が高いものに不向き
②チューブ型(デュープル,プリーツ)
○安定している
×材質が硬い,側口に組織が絡み付くと抜去困難
③サンプ型
○閉塞しにくい,持続洗浄可能
×材質硬い


参照 UpToDate,ICU実践ハンドブック,レジデントノート

★細胞診は感度が低い.

○見た目
・クリア:漏出性(肝硬変など)で無菌
  濁っている:細胞数が多い
  乳様:TGが多い(乳糜を含む場合)
  ピンク:赤血球が多い

○細胞診
・臨床では陽性に出ることが少ない
⇒癌性腹膜炎の感度は58~75%
※50ml取る必要がある.

○一般検査
・白血球(≧500)⇒癌性腹膜炎の75%,肝硬変・多発肝転移の66%でみられる.
・蛋白(≧2.5)⇒癌性腹膜炎の95%.肝硬変の場合,ほぼ2.5未満となる.
・糖⇒あまり参考にならない.癌性腹膜炎の70%で100未満となる.
・LDH⇒グルコースより巨大なので,なかなか腹腔内へ移行しない
    ⇒癌性腹膜炎では,74%が血清標準LDHの上限以上となる

○CT
癌性腹膜炎⇒腸管が一塊になって見える


※原発癌が不明の場合,腹膜癌を考えるべき
 ⇒治療可能なため.
 
参照 UpToDate 

★子宮頸癌に対するコルポスコピーでも同じく用いられていた!

インジゴカルミン
・色素であり,凸凹をみやすくする

酢酸
・普段,胃は酸性の環境
⇒正常粘膜は粘液産生し防御
⇒癌細胞は粘液産生しない

・内視鏡施行時,胃内容物ない
⇒刺激なく,胃酸産生されない
酢酸により刺激,胃粘膜より粘液産生させる
粘液とインジゴカルミンが結合する
⇒病変は染まらず,赤いまま
⇒インジゴカルミンだけより見やすい
 

★それぞれ由来があり,意義を知るべき.

検査

臨床的意義,メカニズム

CEA

上皮組織に広く分布し,癌・異型性により血中に入りうる.
再発や増大により上昇するため,治療後のモニタリングに有用.
特に大腸癌術後の再発に対し,最も鋭敏なマーカー.
良性疾患・喫煙・糖尿病・便秘でも軽度高値となる.

CA19-9

上皮細胞,特に膵管・胆管・胆嚢に多く発現する.
E-
セレクチンリガンドの1つ⇒転移との関係が示唆
血液型Lea陰性者(日本人の5-10%)では陰性となる
 
⇒膵癌についてはDUPANⅡを使用

CA50

CA19-9に交差反応性をもち,Lea陰性者でも検出できる.

DU-PAN-2

ヒト膵癌培養細胞より得られた抗原.
膵癌・胆道癌・肝細胞癌の治療効果,再発のモニターに有効.
最初に悪性を疑う目安は1000U/ml

PIVKA-

第Ⅱ因子の前駆物質であり,ビタミンK欠乏状態で出現する.
N-MTT
基をもつセフェム系抗菌薬投与時にも出現する.
肝細胞癌において,感度50%以上,特異度90%以上(機序不明).

AFP

胎児期に肝臓・卵黄嚢で産生される蛋白.

肝細胞癌で産生されうる.
卵黄嚢腫,肝芽腫,妊婦(胎児から移行)で陽性となりうる.
劇症肝炎において肝再生の指標としても使用される.

AFP-L3(%)

AFP陽性肝疾患において,肝細胞癌の鑑別に有用.
感度:肝細胞癌(55%),肝硬変+慢性肝炎(6.1%)

CYFRA21-1

中間径フィラメントであるサイトケラチンの亜分画の1つ.
肺扁平上皮癌の早期診断に有用:陽性的中率60%以上
各種消化器癌,婦人科癌でも陽性となりうる.

SLX

肺腺癌・卵巣癌・膵癌などで,あるムチン型糖鎖が修飾された物.
E-
セレクチンのリガンド⇒転移,炎症
唾液中,白血球中に存在するため,混入に注意する.

SCC

子宮頸部扁平上皮癌から精製されたもの.
扁平上皮癌,扁平上皮の存在部位での重症疾患で上昇する.
皮膚表面,唾液中に多量に存在する.

NSE

神経細胞と軸索突起に特異的に存在する,解糖系酵素のアイソザイム.
神経芽腫,網膜芽腫,神経内分泌腫瘍の診断・治療のマーカーとなる.
各種消化器癌,非小細胞肺癌でも陽性となりうる.

ProGRP

神経内分泌細胞で作られるペプチドの一部分.
陽性例の増減幅が大きく,フォローに適する.
感度:肺小細胞癌(72.5%),腎障害(18%),良性呼吸器疾患(5%)

CA15-3

癌への感度が高い抗体と,乳癌への特異度が高い抗体の組み合わせ.
乳癌,卵巣癌のマーカーとして用いられる.
経過のモニタリングに非常に有用だが,早期発見には不適.

CA125

ヒト卵巣漿液性嚢胞腺腫の培養系より得られた抗原.
卵巣癌のマーカーであり,寛解時にはほぼ基準値以下となる.
子宮内膜症の補助診断にも用いられる.

PSA

前立腺上皮細胞内の粗面小胞体で賛成され,精液融解に関与.
前立腺癌の診断・フォローに非常に有用.
前立腺肥大症,前立腺炎でも上昇し,治療により正常化する.
アンドロゲンによりPSA発現が大きく変動する.


 

■BUN=血液尿素窒素
※尿素窒素=蛋白の最終分解産物である,尿素に含まれる窒素の量


・消化管出血
⇒①腸管内の血液吸収
  ⇒血液には蛋白質が豊富に含まれている
  ⇒蛋白質吸収↑
  ⇒蛋白質分解↑
  ⇒腎臓排泄能を超えたとき,BUN↑
⇒②血管内脱水
  ⇒近位尿細管での水・Na再吸収↑
  ⇒それに伴いBUN再吸収↑ 

★胃切除後の合併症まとめ。

①胆石

・リンパ節廓清に伴う迷走神経遮断
胆嚢収縮低下
⇒胆汁鬱滞、胆石
・体重減少により胆汁の胆石化が促進されることも関与

②鉄欠乏性貧血

・鉄は胃酸によりFe3+Fe2+にして取り込む
⇒胃酸分泌↓より貧血

③巨赤芽球性貧血

・内因子分泌↓
⇒vit. B12吸収↓より

④ダンピング症候群

・濃い食事がすぐ小腸へ
浸透圧により循環血漿量↓
⇒低血圧、交感神経↑
⇒高血糖(ここまでが早期ダンピング症候群)
反応性インスリン分泌
⇒低血糖(後期ダンピング症候群)

・他、残胃拡張(破裂)、狭窄、境界域の潰瘍、ヘルニアなど


参照 UpToDate
更新 2015/1/8

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