知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

膠原・アレルギー

★ステロイドによる白血球の遊走障害が重要.

改訂第3版ステロイドの選び方・使い方ハンドブック



◎AIDSの反対なので一見矛盾してそうですが、違う機序です。

■ステロイドの細胞内への作用
・白血球,血管内皮細胞の接着因子(インテグリンなど)の発現を抑制します
白血球が血管外へ行けない!
感染,損傷の現場へ行けない遊走の抑制
⇒炎症が起きない,易感染性

・より詳細は、
核内のglucocorticoid responsive elements (GRE) へ結合
⇒炎症性サイトカインの転写を抑制
 =産生抑制
炎症性サイトカインは接着因子の発現をup regulate
⇒接着↓


■免疫系への作用
好中球を骨髄から動員する+アポトーシスを抑制
⇒好中球増多
※好中球の機能にはあまり影響しないのです
=易感染性は,遊走抑制の要素が大きいです。

他、
・樹状細胞のアポトーシスを誘導
・T細胞のアポトーシスを誘導+分化を障害(IL-2シグナリングを抑制)
⇒獲得免疫抑制
※B細胞への影響は少ない


●ステロイドの易感染性の効果はdose-dependentです。
●ステロイド長期投与により,リスクは上昇します。
●原疾患や個人(年齢など)の影響が大きいです。
●ステロイドを隔日投与とすることで,リスクを減らせます。

 
参照 UpToDate 

★遺伝子異常が重要だが,研究段階.

◎非常にマニアックですが、気になりました。

■嚢胞性中膜壊死とは
病理の名前です。
⇒嚢胞性とあるが,実際に嚢胞はなく,それっぽく見えることから名づけられました。
・近位の動脈が侵されることが特徴です.
 …理由は不明


■マルファン症候群は、フィブリン形成の異常が原因
fibrillin-1,2遺伝子:細胞外基質のマイクロフィブリンの構成要素
⇒fibrillin-1の異常
⇒フィブリン形成がうまくいきません

mutant fibrillin-1自体のせいではなく,fibrillin-1遺伝子が足りないことが原因かもしれません
⇒治療の余地かも。                 


■先天性の形成不全というよりは,徐々に進行する

・血管は,弾性板により形が保たれます。
⇒弾性板の結合フィラメントは,fibrillin-1で作られます
⇒fibrillin-1がないと,MMP産生↑,ケモアトラクタント産生↑によりマクロファージの浸潤↑
⇒もともとの血管形成不全というより,徐々に壁のdegenerationが進行するのです。


■TGF-βが重要
・マイクロフィブリンはTGF-βをコントロールします。
 ※TGF-βは,他の炎症性サイトカインと同様,細胞増殖・分化・アポトーシス・マトリックス沈着等に関わります
⇒MarfanではTGF-β活性↑
⇒ARBのロサルタン(TGF-β抑制する)により,大動脈拡大のスピードが遅くなります。

 ※βブロッカーではこの効果ないため,循環動態というよりTGF-β抑制が重要なのです。
…要は,ロサルタンが効いたから重要だと思われています。


参照 Heart. 2007 June; 93(6): 755–760. UpToDate

★日焼け。

◎全身性エリテマトーデスで蝶形紅斑は有名な兆候ですが、その機序はあまり知られていません。

■紫外線の影響
DNA障害を、以下の機序で来します。
DNAに対する抗体産生,複合体形成,補体活性…と通常の経過
ケラチノサイト活性化
 ⇒抗RNP,Ro,La抗体と結合
 ⇒IL-1放出
③膜の構造が変化
 ⇒膜におけるリン脂質代謝が変化
④ケラチノサイトのアポトーシス↑+貪食細胞による,死んだ細胞のクリアランス↓

・紫外線自体により、自己免疫の程度も強ります.

▶よって、SLEの場合、紫外線によってダメージを受けやすいです
⇒一番紫外線を浴びやすいのが目の周りです
⇒その部分の皮膚細胞が障害を受けて紅斑となります。
(つまり日焼けのような機序です)


参照 UpToDate

★生物学的偽陽性と抗カルジオリピン抗体検査は同じものを見ている!

◎実際に梅毒検査陽性をみることはたまにあります。

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↑梅毒検査のスクリーニングを自宅で行う事は可能です。しかし以下の通り解釈は専門的なので、心配があれば病院で行いましょう。


■梅毒検査
●生物学的反応:Wassermann反応
牛の心臓から抽出したリン脂質に親和性をもつ抗体の反応を見ている
⇒この抗体こそがカルジオリピン抗体

➡︎この検査の感度を上げたかった経緯があります
⇒現在は,カルジオリピンを用いたELISA法が利用されている
⇒即ち、抗カルジオリピン抗体検査と同じものを見ているのです

●ただし、梅毒検査の偽陽性はアメリカ人全体の1-2%いるという報告があります
 +titerが高い低いでは、偽陽性か本物の陽性が判別がつかないとされます
…具体的には妊娠、急性発熱性疾患(特に心内膜炎やリケッチア)、最近のワクチン摂取、自己免疫疾患(特にSLE)、iv drug、HIV感染など
特異的な検査に進む
<実際の検査アルゴリズムは複雑です;UpToDate, syphilis screening for asymptomatic, nonpregnanat adult参照>

※抗リン脂質抗体症候群における抗リン脂質抗体は,カルジオリピンの他,ホスファチジルセリンなど他のリン脂質にも親和性を持ちます。 

★基本的に肥満細胞と好塩基球からのメディエーター遊離を抑制するエピネフリンが根本治療。

◎アナフィラキシーは必ず経験する疾患で、バイタルが怪しければまずエピネフリンですが、治療機序を理解する事は重要です。

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■エピネフリン(ボスミン)

●すぐに投与することが重要!遅いと命取りになることが示されています。
アナフィラキシーに対するエピネフリンの禁忌はありません!
 (過剰投与による低酸素/虚血性脳症のリスクはありますが、利益が上回ります)

…なぜエピネフリンかというと、その作用機序が原因治療だからです。
●作用機序
①血管収縮作用(α1)
 ⇒血圧↑
②気管支浮腫改善 (α1) ⇒気管支痙攣改善
③強心作用(β1) ⇒血圧↑
④気管支拡張作用(β2) ⇒浮腫による呼吸困難を改善する
⑤メディエーター遊離を抑制(β2) ⇒血管透過性亢進を防ぐ= 根本的治療

ivよりもim(筋注)が推奨されています。これは、投与しやすい(ルートがいらない)、効果が速やか、かつ副作用が少ない(心室性不整脈)からです。
imのエピネフリンは1mg/ml (もしくは1000倍希釈)です!
 どんな年齢でも、0.01mg/kg (最大0.5mg) 1回の筋注です。
 ⇒反応無い場合は、5-15分後に再投与です!
ivのエピネフリンは0.1mg/ml (10000倍希釈)を0.5-1ml緩徐に投与です!
 小児の適切な投与量は定まっていません


■グルカゴン

β遮断薬内服中の患者は、アドレナリン投与に反応しにくい=低血圧が遷延する場合があります。
⇒こんな時はグルカゴン!
β受容体を介さずに強心作用を発揮するからです。

成人には1-5mgを5分以上かけてゆっくり静注
  小児には20-30μg/kg (最大1mg)を5分以上かけてゆっくり静注
※投与が早すぎると嘔吐します。


■他
●気管支拡張薬(β2刺激薬)

エピネフリンに反応しない気管支痙攣に適応です
⇒しかしα1作用による気管支浮腫改善作用がないため、あくまでエピネフリンの補助です。

●抗ヒスタミン薬(H1/H2 blocker)

・アナフィラキシーの治療効果はないと考えて良いです
 …mast cell, basophilsに働かないため、メディエーター遊離抑制作用がありません
痒み等の症状を取る効果はあります
⇒よく使われますが、アナフィラキシーの治療にはなりません。

●ステロイド

・効き始めるまでに数時間かかるため、アナフィラキシーの初期治療には成り得ません。
・アナフィラキシーのbiphasic reactionを抑えるために投与する事が多いですが、ステロイドの有用性は確かめられていません
※投与するとしても、1-2mg/kg/dayの1-2日投与で十分です。


参照 UpToDate

★生活指導と理学療法がメイン。

◎外来をしていると、膠原病科でなくともレイノー現象はよく経験します。割と生活で困る人も多いです。正しい対応を調べました。


■レイノー現象に対する診断アプローチ
●レイノー現象とは

冷感やストレスの刺激で血管が攣縮し、指先の色が白くなり痛みを伴う症候。
⇨基本的には交感神経刺激による血管攣縮、虚血が病態です。
動脈硬化による狭窄による虚血が病態ではありません!!
 …それは閉塞性動脈硬化症(ASO)で、基本的には下肢です。Interventionが必要となり得ます。
 =ASOの症状は労作時です。

●まず、2次性のレイノー現象を除外する。
・SLEや全身性強皮症に伴い、レイノー現象が生じる事があります
⇨それらを示唆する症状がなければ否定的ですが、血液検査をしてもよいです。

※2次性レイノー現象が否定されたものをレイノー病(一次性レイノー現象)といいます。


■レイノー病の治療
●良性な疾患であることを理解する

・基本的に命に関わる事はありません。
7-14年のフォローアップで、1/3以上の方が自然に症状消失が得られます
※ただし、寒冷刺激を避けられない方など、積極的な医学介入が必要がいるのも実際です。


●治療の目標を考える

・症状緩和によるADL改善が目標だが、具体的に評価するとよいです。
Raynoud Condition Score (0-100点)というものがあり、15点以上の変化を有意な変化と考えることができます。
⇨これを用いなくても、発作の記録(頻度、持続時間)を記録してもらい、週ごとに平均することで客観的な指標となります。
⇨介入による変化を確認します。


●治療方法

基本的には以下の流れです。
患者教育(最も重要)
②薬物療法
③認知行動療法


①患者教育

●臨床研究によると、これにより発作回数と重症度を10-40%減じる事ができます。
  最も重要です。

●具体的には以下の通りです。
・寒いところに行かない、急激な温度変化を避ける
・暖かい服を着て、体をいつもあたためておく
・指先まで温める(手袋とか)
・発作時の対応を覚える;温かいお湯につける、両手をこする、などして指を温める
・寒いところでは、じっとしないでなるべく動く
・禁煙する
・市販の交感神経刺激薬を控える;鼻炎薬、アンフェタミン、麻黄を含む漢方など
・ADHD薬を控える;メチルフェニデート、デキストロアンフェタミン
・一部の偏頭痛薬を控える;セロトニンアゴニスト(スマトリプタン)、カフェイン+エルゴタミン
・指を傷つけないようにする
・振動するものを持たない(vibration-induced Raynoud's というものがある)
・感情ストレスをコントロールする。ストレス+寒冷刺激がトリガーとなりやすいため。

コーヒーを控えた方が良い、とするコンセンサスはないです。というのは、カフェインは交感神経刺激ですが、コーヒーは血管保護的なその他多くの生理活性物質を有するからです。そのため、患者個人に経験に応じて、コーヒーをどうするか個別に決定すべきです。


②薬物療法

・①の効果が不十分な場合、薬物療法が検討されます。
第一選択薬はカルシウム拮抗薬です。

・上述したように、レイノー現象の本体は血管攣縮です。冠攣縮性狭心症の第一選択薬はCa拮抗薬です。
⇨海外ではアムロジピンが使われるそうですが、血圧の高い人にはよいですが、結構血圧が下がります。
⇨循環器内科では、コニールかヘルベッサーが頻用されます。


③認知行動療法

・あまり推奨されません。
※あまりにストレスが強く、管理できない場合に検討されることがあります。つまり、スパズム誘引としてのストレス除去、という論理的根拠です。
…大規模臨床試験で効果は実証されていません。


参照 UpToDate

★ステロイド+低浸透圧性造影剤の使用

■アレルギー予防法
①ステロイド

有効性は実証されているが、最適な投与法は定まっていない
 例⇒13時間、7時間、1時間前にプレドニン50mgを内服 
   13時間、7時間、1時間前にメチルプレドニゾロン40mg iv

②H2ブロッカー

エビデンスなし

③違う造影剤の使用

・前向き研究で有効性は確かめられていないが、同じ造影剤は必ず避けるべきとされる
低浸透圧(500-900 msom/kg)〜等浸透圧性(290 msom/kg程度)の造影剤が推奨される
 …高浸透圧性造影剤はアレルギーの頻度が多いため
⇒おそらく、浸透圧の出来るだけ低い造影剤を用いるべき

最近はほとんど非イオン性、低浸透圧造影剤が用いられる
⇒高浸透圧性造影剤がルーチンの施設は、以下の患者には低浸透圧性造影剤を用いるべき
・喘息、β遮断薬かNSAIDsの服用、造影剤以外の薬物アレルギーの既往、パワーインジェクターの使用、アレルギーへの不安が強い患者

※但し、どんな方法を用いてもアレルギーが発生する確率をゼロにはできない
(そもそも頻度は非常に低いが;0.05-0.1%未満)
⇒アナフィラキシーに対応する準備をしておくべき


参照 UpToDate

★針を抜いて、アナフィラキシーでなければ冷やす。

■針を抜く

・針が毒液嚢とともに皮膚に刺さる
毒が数秒出続ける
⇒出来るだけ早急に針を抜く必要がある
刺されてから数秒たった場合、急いで針を抜いても仕様がない

皮膚に針が残っている場合、抜く必要ある(救急外来でよくある状況)
 …異物反応が起きるため


■局所反応
●単純性

1-5cm程度の疼痛を伴う発赤と腫脹:数時間〜2日続く
冷やすだけで良い

●大きい局所反応

・2日かけて段々大きくなり、10cm程度となる:5-10日続く
・10%程度の人でみられる
・治療:冷やす、NSAID(除痛)、プレドニン40-60mgから2-5日かけて漸減する
 …かゆみを伴う時は、抗ヒスタミン薬内服かステロイド外用(strong以上)

●二次性の細菌感染

・3-5日かけて腫脹や疼痛が増悪する場合、発熱した場合などに疑う
(通常二次感染しない)
・蜂窩織炎と同様に考え、抗菌薬により治療する


■全身反応
●アナフィラキシー

0.3-3%に認める
診断基準(以下3つの内どれかに当てはまる場合)
 ①皮膚か粘膜を巻き込み数分で進行する症状+呼吸器症状か循環不全を伴う
 ②以下の内2つ以上が、アレルゲンと思われるものへの暴露後数分〜数時間で進行
  …皮膚か粘膜病変、呼吸器病変、血圧低下、腹部症状
 ③既知のアレルゲンへの暴露後の血圧低下
※通常急速に進行する
・一般的なアナフィラキシーの治療をする
⇒エピペンを持たせる;次アナフィラキシーを起こした時の死亡率が30-60%⇒5%
 …但し適切に使用するよう指導する事は、現実的にかなり困難

●他(まれ)

・中毒反応;腎不全、溶血、心臓病、横紋筋融解を合併しうる
・血清病:7-10日後に蕁麻疹、発熱、リンパ節腫脹など呈する
・炎症:血管炎、神経炎、心筋炎、脳炎


参照 UpToDate

★どんなに高用量でも、3週間以内の使用は漸減必要なし。

■ステロイド急速中断による副作用;副腎不全

●機序
・ステロイド長期投与→negative feedback→視床下部-下垂体-副腎系が抑制される
 =下垂体からのACTH分泌↓副腎へのACTH作用↓
副腎不全徴候を呈する場合
…ステロイド急速中断
 下痢で薬剤吸収↓
 肝のCYP3A4誘導作用ある薬剤併用;リファンピシン、フェニトインなど


●ステロイド急速中断による副腎不全のリスク
①リスク高い

⇒プレドニゾロン20mg/day以上 × 3週間以上
 眠前投与の場合、5mg/day以上 × 数週間以上
 Cushing徴候あり
②リスク中等度

⇒プレドニゾロン10-20mg/day × 3週間以上
 プレドニゾロン10mg/day以下の投与(眠前投与でない場合)
③リスク低い
⇒ステロイド3週間以内の使用
 プレドニゾロン10mg/day以下の隔日投与

中等度以上、もしくはリスク不明の場合にステロイドtaperingの適応となる
・ステロイドtaperingが必要か、判断したい場合
…手術前など(tapering必要なければ、すぐ手術したい)
⇒ACTH 1mg刺激試験行う


参照 UpToDate、医学書院;もう膠原病は怖くない!

★運動誘発性喘息で悪化する。

■冷たく乾いた空気

●仮説①
・冷たい+乾いた空気を吸い込む
気管支収縮
※「運動⇒呼吸数↑⇒気道からの水分喪失⇒炎症」が関与しているかも

●仮説②
・運動により呼吸数↑
⇒気道冷却
気道への血流増加
⇒浮腫


■湿度の高い時

●仮説③
・湿度高い、雷の時、花粉やほこりなどのアレルゲン濃度が上昇しているとの報告
…雷の始まりの時、花粉粒が破裂
⇒花粉のくずが発生
⇒吸い込み、喘息悪化


■暑い時

・オゾン濃度上昇
オゾン誘発性喘息が悪化


参照 UpToDate

★アラキドン酸カスケードを介さない。

■機序
重合していないチュブリンのヘテロダイマーに結合
⇒安定させ、微小管のダイナミクスを阻害
微小管脱重合
細胞骨格の変化を必要とする変化を阻害
 =有糸分裂、エキソサイトーシス、好中球運動性

・内皮細胞のE-selectin、好中球のL-selectin発現↓
好中球の内皮細胞への接着を阻害
・白血球AMP↑、好中球IL-1↓、マクロファージと内皮細胞のTNFα↓

結晶によるNLRP3 inflammasome蛋白複合体の活性↓
⇒カスパーゼ-1↑、IL-1β, IL-18↓
※微小管とNLRP3 inflammasomeが関わるとも言われる 


■使い方
○痛風
・発作後12〜24時間以内に使える
・NSAIDsの次に使う
心膜炎
・急性、慢性ともに使える
○注意
・肝不全、腎不全では禁忌
代謝に細胞膜P-gp、チトクロムP450; CYP3A4が必要
・副作用は腹部症状、可逆性の神経障害が多い
 …汎血球減少、肝不全、横紋筋融解症など致死的なものも


参照 JACC Volume 62, Issue 20, 12 Nov 2013, 1817–1825    UpToDate

★謎の全身炎症でCRP陰性の場合、SLEを考える。

■機序
○SLE
1型インターフェロン産生
 ※1型インターフェロン:IFNα、βのこと
           …マクロファージを活性化するIFNγと区別される
肝細胞でCRP合成を抑制 
⇒炎症があってもCRP陰性となる
 
■SLEでCRP陽性の場合

・慢性滑膜炎、活動性漿膜炎
・細菌感染の合併


■SLEの血清学的診断
抗核抗体感度93%、特異度は低い
 ⇒陽性の場合、以下の検査をする
 ・抗dsDNA抗体:感度70%
 ・Sm抗体:感度30%
  ⇒これらは特異度高い
・抗Ro/SSA、抗La/SSB 抗体:感度20〜30%
 ⇒Sjogren症候群との合併を考える
・抗U1-RNP抗体:感度25%
 ⇒MCTDとの鑑別が必要
・RF:感度20%
 ⇒抗CCP抗体はほぼ陰性であるため、RAとの鑑別はこちらで行う


参照 UpToDate

★同じ抗原を見ている検査が多い。

■SLEと抗リン脂質抗体症候群(APS)

・APSの50%が続発性
⇒そのうち80%の原因がSLE


■検査
①STS法(梅毒に対する血清検査)

・歴史的には補体結合を用いたワッセルマン反応、ガラス板を用いたVDRLテストなど
⇒現在はラテックス粒子を用いて光学的に測定する自動分析法(FTA-ABS法)
・T.pallidum感染による組織破壊
ミトコンドリアに局在するリン脂質(カルジオリピン)が自己抗原として認識される
⇒自己抗体産生
⇒これを抗原抗体反応で検出する
・梅毒でない患者で陽性となった場合、生物学的偽陽性という

②抗カルジオリピン抗体検査
・カルジオリピン検出感度を高めるため開発されたELISA法

※APSでの抗リン脂質抗体は、カルジオリピン以外の多くのリン脂質と反応する

③抗カルジオリピン・β2GPI複合体抗体

リン脂質抗体は、様々なコファクターを介してリン脂質に結合する
 …コファクター:プロトロンビンβ2GPIが主
⇒抗カルジオリピン抗体のコファクター依存性をみる検査

④ループスアンチコアグラント(LA)活性

・SLE患者の一部で凝固延長認められ、その原因として名付けられた
⇒APSの血栓症の原因ともなることが後で示された
⇒実物は、ビタミンK依存性凝固因子のリン脂質に競合的に結合する、一部のリン脂質のこと
・検査法:患者血清にリン脂質を加える or 加えない
    ⇒凝固の延長を比較する


■検査のカバー範囲
◎オーバーラップしている
・抗カルジオリピン抗体抗体陽性には、抗カルジオリピン・β2GPI複合体抗体陽性、生物学的擬陽性が含まれる
抗カルジオリピン抗体の感度は高い
※ただし一過性陽性の場合があり、陽性持続(12週間以上)を確かめる必要あり
LA活性陽性の感度も高い
⇒しかし、APSの治療である抗凝固薬の影響を受けるため、検査できる時期が限られる

 
参照 週刊医学会新聞 

★違った腹痛の機序を知る。

●糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
・糖尿病
⇒①自律神経障害
  ②アシドーシス、電解質異常
胃内容排泄遅延、イレウス
⇒腹痛
※よって、アシドーシスやDKA補正された後も腹痛持続する場合、他の疾患を検索する

●急性間欠性ポルフィリン症(AIP)
・ヘム合成の障害
ヘム合成経路中の物質蓄積
⇒それらやその代謝物が神経障害性あり
 …特にALA
⇒①神経障害による腹痛
  ②イレウスによる腹痛
※よって炎症反応、腹膜刺激徴候がなく、腹部は平坦・軟であることが多い

●血管炎(特にHenoch-Schonlein紫斑病;HSP)

・小型血管炎
⇒血管閉塞
腸管虚血、ネクローシス
消化管の粘膜下出血、浮腫
※潰瘍やスパズムが生じることもあり


参照 UpToDate

★不明.

■仮説①
・抗原の皮膚での感作,肺への吸入
⇒肥満細胞の脱顆粒
 (一回目)
⇒数時間後,好酸球・好塩基球・リンパ球浸潤
 (二回目)

※患者ごとに,二回目の出現時間が違うことの説明とならない
※致死性アナフィラキシーの際,組織にいるのは大抵好酸球であり,全く細胞浸潤がない事もある
 
■仮説②
肥満細胞の脱顆粒が二回起こる
…抗原暴露後,30分と72時間でメディエーター濃度が高かったとの報告
※時間が合わない(12時間以内とされる)

■他
・治療の効果が切れたため,未知の抗原との接触が原因,と考える人もいる 


参照 UpToDate 

★自己抗原が関係してそう.

皮膚筋炎・多発筋炎
⇒筋細胞が壊れ,再生
⇒再生した細胞に,筋炎特異的自己抗原が発現
合併した癌の細胞にも,同じ抗原を認めるものあり
⇒関係してそう
 (正確にはわかっていない)

神経の傍腫瘍症候群に,同様の傾向あり
元の腫瘍と,神経組織に共通する抗原を認める
 …抗Yo,Hu,Tr,Ta抗体など
T細胞が攻撃
※これら正常の抗原に,なぜ免疫応答してしまうかは不明
 …癌細胞に発現しているからか
  ⇒正常細胞と癌細胞で,異なった免疫応答をしているのかもしれない(仮説)

 
参照 UpToDate 

★薬にもより,すぐ~数ヵ月.

■蕁麻疹様
Ⅰ型アレルギー
・原因:βラクタム,筋弛緩薬
     生物学的製剤(異物)
     プラチナ製剤(カルボプラチン,シスプラチン)
数分~1時間で発症
⇒吸収遅れたり,既に感作されていれば時間は変わってくる

■麻疹様薬疹
Ⅳ型アレルギー
・原因:抗菌薬(βラクタム,ST合剤,サルファ剤,ミノサイクリン)
       抗けいれん薬(フェニトイン,カルバマゼピン)
        アロプリノール
5-14日で発症
⇒最大3週間かかる
・やめて2日で最大,7-14日で消失

■溶血性貧血
・Ⅱ型アレルギー,まれ
■血清病,血管炎
・Ⅲ型アレルギー,まれ

■固定薬疹
表皮内のCD8+ T細胞による免疫反応
・原因:抗菌薬(ST合剤,テトラサイクリン,ペニシリン,キノロン)
     NSAIDs,アセトアミノフェン
     バルビツール酸
     抗マラリア薬
30分~8時間で発症
⇒2週間までかかりうる
・服薬やめれば,7-10日で自然に治る:色素沈着を残す
 
■苔癬型薬疹
・interface dermatitis;非特異的,原因不明
・原因:ACE阻害薬,サイアザイド系利尿薬,抗マラリア薬,β阻害薬,金製剤,ペニシラミン
数ヵ月~年で発症
・服薬やめて数週~数ヵ月で消失:色素沈着を残す 


参照 UpToDate 

★診断基準は研究用.
臨床研究で感度,特異度を出すために作られたもの.
⇒実際に臨床でも用いられるが,clear cutでない症例も多い
「○○っぽい」で診断とし,治療を開始する
⇒治療(投与量など)は異なるが,反応性を見て適宜変化させる

ex) 高安病と側頭動脈炎の鑑別が難しい例
⇒患者の年齢と性別で診断してしまうこともある

※この記事はANCA関連血管炎についてのみ


■定義
・ANCA関連血管炎は,pauch-immune(免疫沈着を認めない)のが原則.
①多発血管炎性肉芽腫症(GPA:Wegener肉芽腫とはいわれない)
 通常,上部と下部の気道を障害する壊死性肉芽腫性炎症で,
主に小型血管から中型血管を障害する壊死性血管炎.
 壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる.

②好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA:Churg-Strauss症候群とはいわれない)
 好酸球に富む壊死性肉芽腫性炎症で,
しばしば気道,主に小型血管から中型血管を傷害し,
喘息と好酸球増多症を伴う.
 ANCAは糸球体腎炎がある時に高頻度である.

③顕微鏡的多発血管炎(MPA)
 小型動脈や中型動脈を侵す壊死性血管炎.
 壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる.
 肺毛細血管炎みしばしば生じる.
 肉芽腫性炎症は生じない.


■ANCAの意義
①多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
感度90%以上
⇒病変が限局したGPAでは,感度60%程度となる
・ANCA陽性の内
PR3-ANCA(+)が80-90%
⇒残りがMPO-ANCA

②好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
感度50%
(MPO-ANCAの特異度は73%)
ANCA陽性・陰性例でPhenotypeが違う可能性
 …陽性:糸球体腎炎,肺胞出血,神経障害が多い
   陰性:心臓,肺障害(肺胞出血以外)が多い

③顕微鏡的多発血管炎(MPA)
感度70%
MPO-ANCAが優位
⇒PR3-ANCA陽性もある

GPA,MPAの鑑別は重要
⇒寛解後,GPAの方が再発しやすいため
⇒両者の鑑別に,ANCAの種類のみで決められない
 (定義が重要

結節性多発動脈炎(PAN):中型血管炎 との鑑別
⇒ANCAは有用
PANはANCA陰性のため

④その他の疾患
・抗GBM抗体病:10-40%でANCA(+)
 …MPO-ANCAが多い
・薬剤誘発性ANCA関連血管炎
 …特に,プロピルチオウラシル,ヒドララジン,ミノサイクリン
・血管炎以外
 ⇒膠原病,炎症性腸疾患,嚢胞性線維症,コカインなど


参照 日内誌,UpToDate

★椎間板が炎症により骨化することによる.

強直性脊椎炎
・他の膠原病と同じく,なぜ炎症が生じるかは不明
 …免疫異常に起因すると考えられている(HLA-B27)
①腱付着部炎:靭帯,脊椎間の炎症
椎体炎椎体と線維輪椎体と軟骨終板の間の炎症
 ※椎間板の成り立ち
  …中心の髄核,それを取り囲む線維輪,上下椎体面に存在する軟骨終板

●②炎症部位に肉芽組織形成
外側線維輪はやがて骨化+軟骨棘形成
⇒軟骨棘が持続的な軟骨内骨化により成長
⇒最終的に,隣接した椎体間を架橋する
⇒これが下部腰椎から上行し,やがてbamboo spineとなる
 (但しここまで進行するのは非常にまれである)
※bamboo spine:Xp上で椎骨間のへこみ(椎間板)がなくなった状態


参照 UpToDate,ハリソン


 

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