知識の卵

医学のWhy?を解決するブログです。What?も少し触れています。
著者は循環器内科医・疫学者です。

古い箇所など、是非、ご指摘お願い致します。

救急・外傷

★短時間では問題とならない熱源が,長時間接触することで生じる熱傷.

◎意外に知らないかもしれません。

■温度,機序
(動物実験による)
SDB:37.8℃
DDB:41.9℃
Ⅲ度:47.9℃
圧力が加わると,これ以下でも生じます
 ⇒血流障害により熱拡散・希釈障害おきるため

・受傷部位にNOの活性酸素代謝物の蓄積が有った
⇒NOの関与が考えられています


■臨床像

・皮膚所見では判断が難しいことあります
⇒より深部へ到達していることある
 …デブリードマン行って判断され得ます

・カイロ,電気カーペットが典型的だが,長時間の入浴や電気こたつも原因となる.


参照  熱傷治療マニュアル

★腸管粘膜からの細菌侵入.

◎最近leaky gutという概念が広まってきております。究極のleaky gutが、バクテリアルトランスロケーションです。


腸からきれいになる、というのは、あながち嘘でないかもしれません。


■機序
●腸は外界とかなり広い面積接しています
 +扁平上皮でなく,一層の円柱上皮からなるのです
⇒これが剥がれただけで、血流感染が起きます。
=皮膚よりも感染の原因となると言われています

動物実験からの仮説だが,支持するエビデンスは多くある
 (人間で以下の現象が実際にあるかは確かめられていない)
<仮説>
①血管内ボリューム↓,低血圧
 ⇒消化管が虚血となる
粘膜が障害,細菌が侵入する
 …死菌,エンドトキシンの移行も無視できないとされる
③局所で炎症を起こす
④交感神経↑
 ⇒血管収縮
 ⇒腸管虚血増悪する
⑤粘膜のバリアを突破した細菌は,腸管網内系へ
 ⇒ここも突破すると,菌血症となる


■防御機構
★胃酸
・無酸症でも消化吸収には影響ないので、
 ⇒胃酸の主目的は,口腔からの菌の除去と言われています!
 …pH<4で殺菌効果でてくる

・つまり、PPI,H2ブロッカーはこれを阻害
⇒感染助長する(少なくともVAPは)
※潰瘍予防と感染リスクに関して,PPIかガスターかスクラルファートのどれを使うか,医者により異なります。例えば、
 ex) 潰瘍は消化器内科医介入の必要があるが,肺炎は抗菌薬で治療できる
   ⇒ガスターやPPI使う
   …PPIの方がpH抑制・持続時間・耐性などの面でH2ブロッカーより優れるが,肺炎発症はPPIの方が多い
 ex) 予防という意味なら,あえて肺炎のリスクが上がるようなことはしたくない
   ⇒スクラルファート使う

★粘膜
・バリア機能
 …高侵襲,虚血,薬物,放射線などで破綻するので、
経腸栄養が重要
⇒超急性期からの経腸栄養が勧められます
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35397922.html

★腸内細菌叢

・腸蠕動低下,腸管内圧上昇により変化,バクテリアルトランスロケーション助長される
※これに対し,選択的口腔内除菌(SOD),選択的消化管殺菌(SDD)のエビデンスあり
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/35397922.html


参照 ICU book,intensivist

★実際は注意して酸素を与える。

◎二酸化炭素と酸素の化学的変化を理解しましょう。

■健常人
CO2蓄積
⇒脳血流関門をこえ、H+ + HCO3-となる(参照:http://chishiegg.com/archives/40292787.html
 =H+を放出
延髄の中枢化学受容体を直接刺激
⇒呼吸回数↑
 …PaCO2 1上昇により2〜4L/min呼吸↑;相関して変化する

低O2
化学受容体刺激
 ・大動脈弓⇒舌咽神経刺激
 ・頸動脈⇒迷走神経刺激
⇒延髄呼吸中枢刺激
PaO2 < 60となって初めて呼吸刺激へ関与する
 

■COPD患者、肺野が小さい患者(胸郭形成術後など)
・慢性的に高CO2血症
二酸化炭素による直接刺激がなくなる
⇒低酸素による刺激のみ
⇒酸素を与えると呼吸刺激↓、高CO2血症増悪
 =ナルコーシス

●実際にCOPD患者に酸素投与した研究
⇒①呼吸回数↓
 ②HbのCO2への親和性↓(Haldane効果):これによりPaCO2↑
 ③死腔換気↑=呼吸が浅くなる


■適切な酸素療法は?
●酸素投与でCO2濃度↑だが、低酸素は許容できない
酸素療法行う必要があり、以下が目安。
PaO2:60〜70%を目標にする
 ※SpO2はあまり当てにならないが、90%前後を目標とする。
・FIO2は4~7%とちょっとずつ上げていく(モニターしながら)
・PaCO2<85なら重篤な意識障害は起きないので、許容できる
・但し、pH<7.2や意識障害が出てきたら挿管の適応
 

参照 UpToDate, 呼吸器内科医 

★軟膏はあくまで補助的。

◎軟膏はたくさんの種類があり、人によって使い方が異なります。理論的に自分の使い方を作っておく事が大事です。ただ創処置の場合、最も大事なのは外科的処置で、軟膏で治すとは考えません。

■抗菌薬作用
●バラマイシン軟膏

・抗菌薬で、汎用性が高いです。
・ガーゼに塗りやすく、広範な病変によく使います。

●ゲンタシン軟膏
・これも使いやすく、外傷によく処方します。
・緑膿菌に効くので、疑われたらこれに。
・傷に直接塗りやすいです。

●フシジンレオ軟膏
・MRSAに効きます。
・よくバラマイシン軟膏と混合して使います。

●カデックス軟膏、イソジンシュガーパスタ
・抗菌薬というよりは、殺菌剤です。
・殺菌効果は極めて高いですが、組織の創傷治癒を遅延します。
・糖尿病の足壊疽などに使います。


■抗炎症作用
●プロスタグランディン軟膏

・血流改善作用が期待されるので、血流が悪そうな創に出します。
・そのままだと塗布しにくいので、よくバラマイシン軟膏と混ぜます。

●デルモベート軟膏
・ステロイドのストロンゲスト
・熱傷の急性期(1-2日)に使い、疼痛を和らげたりします。

●アンテベート軟膏
・ステロイドのベリーストロング
・皮膚科でよく処方されます。痒みの強いときに。

●リンデロンV軟膏
・ステロイドのストロング
・ちょっとした炎症に。

●リンデロンVG軟膏
・Gはゲンタシンです。
・ちょっとした炎症+感染が疑われる時に使います。

●キンダベート軟膏

・ステロイドのミディアム
・こどものかぶれなど。

●ケナログ口腔内軟膏
・口腔内に非常に塗布性の高いステロイドです。
・口内炎に非常に有用です。

●アズノール軟膏
・ステロイドでありません。
・気持ち程度の抗炎症作用です。


■その他
●サトウザルベ、亜鉛華単軟膏

・皮膚を乾燥化させます。
・表皮びらんにつかいます。特に、高齢者の下痢の臀部に頻用します。

●ヒルドイド軟膏
・皮膚の保湿剤です。
・美容目的、採皮後に用います。特に分層植皮で脂腺がない場合、皮膚がカサカサになるので、ずっと塗り続けます。
・ワセリンも同様の保湿剤ですが、ヒルドイドの方が良い、とよく聞きます。一時、医者が自分用に処方しまくって問題になっていました。


参照 形成Dr.S.

★倫理的問題だが,いくらかの経験則はある.

◎現場ではなんとなく決まることが多い印象ですが、ACLS-EPという講習のテキストに書かれています。ちなみにACLS-EPとは、ACLSの更新用の1日講習です。非常に勉強になります。

ACLS EPマニュアル・リソーステキスト




■心静止(Asystole),無脈性電気活動(PEA)の定義
・PEA:機械的収縮はあるが,弱すぎて血圧・脈圧とならないものです。
   ⇒治療可能な病態は同定,是正すべき(6H6Tに代表されます)

・Asystole:収縮が全くないもの
     ⇒ECGでフラットラインを示します。

※PEAは戻る可能性がありますが、心原性の場合は非常に厳しいです。少なくともすぐには戻らないのでPCPSを入れます。

AsystoleかPEAの場合に、組成中止というオプションが出てきます。


■Asystole, PEAの治療法
⇒ACLSプロトコルの右側です。
ショック適応(VF)とならない限り,CPR+アドレナリン1mg ivを3~5分おき

※背景
①ショック
・ショックの原理は、一度心臓を止めて、sinusから自動的に洞調律に復すことを期待する手技です。
⇒よって、完全に心臓が止まっているAsystoleに対しては意味がありません。

しかしAsystoleも幅があります
⇒具体的には、細かいVF(fine VF),隠れたVF(Asystoleだが,電極と90°の方向で心筋が活動していると思われるもの)に対して,ショックが使えるのではないか?との議論がありました
⇒2つの試験で,ショックは有害との結論
⇒よって、大体波形がない場合、ショックは使用しないほうが良いとのことになりました。

②アドレナリン
・実は、生存率改善のエビデンスがありません!
・除細動器より以前に,蘇生プロトコルに組み込まれていました。
・高用量アドレナリン(0.2mg/kg)
⇒心臓の再起動には効果がありそうだが,蘇生後の脳機能は悪い
⇒容認できるが,推奨されません。

※今は、経験的にアドレナリンが使用されています。実際はアドレナリンにより、確かに心臓が動くことを期待することができます。
 

③他の薬剤
・バソプレシン:生存率向上効果はアドレナリンよりも高い可能性
        ⇒推奨するに足るエビデンスはない
・アトロピン:心静止は迷走神経,副交感神経の過剰な緊張によると考えられる
       ⇒アトロピン投与は合理的
       ⇒推奨する十分なエビデンスはないが,
          0.04mg/kgに達するまで1mg×3分ごとの投与はいいかも
ということになっています。なのでガイドラインに乗っています。

※なんとなくバソプレシンが良さそうな場合があります


■いつ蘇生を中止するか
●本題ですが、少なくとも,以下を達成する必要があるとされます。
・ACLSを適切に行った
・気管挿管し,有効な換気を行った
・VFの場合,ショックを施行した
・静脈路確保した
・アドレナリン,アトロピン静注施行した
・治療可能な原因を全て治療or除外した
⇒この後,5~10分以上続く心停止を確認した。

●一方、以下の特殊な状況を除外する必要があります(蘇生を中止しない)
・若年者
・毒物,薬物の過量投与がある
・超低体温,冷水に水没している
・自殺を試みた
・近くにいる家族や友が蘇生中止に反対している

●以上確認された場合,蘇生中止は適切です.
院内まで運ばなければならない,というエビデンスはないのです!現場でのACLSで蘇生できなければ救急部においてもかなり難しいです.


参照 ACLSリソーステキスト

★誤嚥の危険のため.

◎ACLS。

心肺蘇生
※胸骨圧迫をやめない方が良い、ということが根本にあります.
バッグマスク⇒胸骨圧迫:マスク換気=30:2
 ⇒同期している
気管挿管後⇒絶え間ない胸骨圧迫+換気(8~10/min)
 ⇒非同期(独立)

バッグマスクで非同期にした場合
⇒肺から押し出される空気と,口から入り込む空気が衝突
胃へ逃げていく
⇒膨満し,内容物が逆流
⇒誤嚥+嘔吐,換気悪くなる

挿管後なら空気の逃げ場がなく,気管内にカフがあるため誤嚥しない
⇒非同期でオッケー。


ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015 準拠


 ACLSを取っていない人は医療者でありません。


参照 ACLS

★急性アルコール性筋症という.

◎私は時々おきますが、その機序を調べました。

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●急性アルコール性筋症
・以下の機序で、アルコールが横紋筋細胞に作用します。
 ①エタノール・アセトアルデヒドによる解糖系酵素活性の阻害
 ②エタノールによる細胞膜の構造・機能障害
  ⇒膜透過性の亢進
 ③慢性アルコール中毒による低K,低P血症
  ⇒細胞障害

・しかし、筋細胞自体に痛みの知覚線維はありません
⇒運動後の筋痛を同様,修復過程での筋膜・結合組織への炎症が原因と考えられています。
⇒だから、アルコールを飲んだ翌日に痛くなるのです。

 
参照 UpToDate

★基本的に肥満細胞と好塩基球からのメディエーター遊離を抑制するエピネフリンが根本治療。

◎アナフィラキシーは必ず経験する疾患で、バイタルが怪しければまずエピネフリンですが、治療機序を理解する事は重要です。

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■エピネフリン(ボスミン)

●すぐに投与することが重要!遅いと命取りになることが示されています。
アナフィラキシーに対するエピネフリンの禁忌はありません!
 (過剰投与による低酸素/虚血性脳症のリスクはありますが、利益が上回ります)

…なぜエピネフリンかというと、その作用機序が原因治療だからです。
●作用機序
①血管収縮作用(α1)
 ⇒血圧↑
②気管支浮腫改善 (α1) ⇒気管支痙攣改善
③強心作用(β1) ⇒血圧↑
④気管支拡張作用(β2) ⇒浮腫による呼吸困難を改善する
⑤メディエーター遊離を抑制(β2) ⇒血管透過性亢進を防ぐ= 根本的治療

ivよりもim(筋注)が推奨されています。これは、投与しやすい(ルートがいらない)、効果が速やか、かつ副作用が少ない(心室性不整脈)からです。
imのエピネフリンは1mg/ml (もしくは1000倍希釈)です!
 どんな年齢でも、0.01mg/kg (最大0.5mg) 1回の筋注です。
 ⇒反応無い場合は、5-15分後に再投与です!
ivのエピネフリンは0.1mg/ml (10000倍希釈)を0.5-1ml緩徐に投与です!
 小児の適切な投与量は定まっていません


■グルカゴン

β遮断薬内服中の患者は、アドレナリン投与に反応しにくい=低血圧が遷延する場合があります。
⇒こんな時はグルカゴン!
β受容体を介さずに強心作用を発揮するからです。

成人には1-5mgを5分以上かけてゆっくり静注
  小児には20-30μg/kg (最大1mg)を5分以上かけてゆっくり静注
※投与が早すぎると嘔吐します。


■他
●気管支拡張薬(β2刺激薬)

エピネフリンに反応しない気管支痙攣に適応です
⇒しかしα1作用による気管支浮腫改善作用がないため、あくまでエピネフリンの補助です。

●抗ヒスタミン薬(H1/H2 blocker)

・アナフィラキシーの治療効果はないと考えて良いです
 …mast cell, basophilsに働かないため、メディエーター遊離抑制作用がありません
痒み等の症状を取る効果はあります
⇒よく使われますが、アナフィラキシーの治療にはなりません。

●ステロイド

・効き始めるまでに数時間かかるため、アナフィラキシーの初期治療には成り得ません。
・アナフィラキシーのbiphasic reactionを抑えるために投与する事が多いですが、ステロイドの有用性は確かめられていません
※投与するとしても、1-2mg/kg/dayの1-2日投与で十分です。


参照 UpToDate

★忘備録です。

◎最近では基本的にエコーガイド下での中心静脈穿刺が推奨されていますが、カテーテルアブレーション時など、ランドマークで穿刺せざるを得ない状況は多くあります。ここではそのコツと注意点をまとめました(自分の経験に基づいているので、かなり主観的です)。

●やっぱりこの本。

ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson




■内頚静脈

●基本的にCVの第一選択となります。
●穿刺のコツ
①動脈の外側にあるので、左より右が刺しやすいです。
顔を傾けると、動脈と静脈が離れます。
 ※傾けると動脈が触れづらくなる事があります。
  ⇒この時は、顔を正面に向く様戻し、動脈の位置を確認します。
③左手で軽く動脈をふれ、その外側縁から、同側の乳頭に向かって刺します。
 ※強く触れると、静脈がつぶれます。
 ※かなり立てて刺しても大丈夫です。寝かすと気胸になります
④刺す高さは、胸鎖乳突筋の分かれ目といいます。
 ※胸鎖乳突筋が分かりにくい人はいっぱいいます。
 ※気胸を危惧するあまり、あまり高くなりすぎないようにします。当たりません。
  ⇒気持ち尾側で穿刺するようにします。
⑤引く時に逆血がくるので、さす時は一気に、引く時はゆっくりとします。
⑥当たらなければ、しっかり引いて角度を変えて刺し直します。
 ※試験穿刺の23G針は体内でかなり曲がるので、しっかり引かないとreferenceになりません。
試験穿刺があたれば、それを保持し、平行に本穿刺針を刺します。
 ⇒角度が決まれば、試験穿刺を抜きます。
 ※本穿刺は深くなりがちなので、23Gの針以上深く入れないよう気をつけます。
 ※気胸になるのは本穿刺で肺を刺した時です。
⑧逆血が来たら、少し寝かせて、全体を少し押します。
 ※気持ち少し寝かすだけで、ワイヤーの入りやすさが全然違います。
 ※個人的にはセルジンガー針でなく、鉄針の方がスムーズな印象です。
⑨抵抗が無ければワイヤーを進めます。
 ※抵抗がある場合は、もう一度逆血を確認します。
  ⇒抜けていることが多いので、その場合は、その角度でそのまま押し、また引いてきます。
 ※どうやっても抵抗がある場合は、穿刺点を変えます。
⑩ワイヤーが進んだら、するする動かせることを確認します。
 ※ペースメーカーが入っている場合など、稀にワイヤーがスタックします。
  ⇒そのときは注意して全体を抜いてきます。
 ※ワイヤーを進めてPVCを確認できれば、なお良いです。
⑪ダイレーションをします。
 ※セルジンガー針を使っていれば、外筒でダイレーションできます。
⑫カテーテルを入れます。右内頚なら13-15cmくらい。
 ※レントゲンで気管分岐部に先端がくるくらいが調度良いとされます。
  ⇒穿刺前に計測しておくとよいです。
⑬逆血を確認します。
⑭固定します。
 ※糸は縦にかけると良いです。固定具の尻にもかけるべきです(計3箇所)
 ※カテーテル固定具が穿刺方向にテンションがかかるように糸をかけます。
  …穿刺部からの出血(=固定が緩い)が感染のリスクとなります。


■鎖骨下静脈

固定がいいので、重宝します。特に下大静脈フィルター留置時など。
①鎖骨が少し曲がる所を確認します。
 ⇒曲がる所の外側より穿刺します。
左手の親指で皮膚を押し、なるべく鎖骨の走行と平行に針が進めるようにします。
左手親指の上から、鎖骨と平行に穿刺します。22Gのカテラン針で。
 ⇒まずは気持ち上向き(身体の前向き)に穿刺し、鎖骨に当てます。
 ⇒少しずつ下に向けていきます。
④これで当たらない場合は、穿刺点をやや身体の下向きに変え、鎖骨に当てる所から穿刺を同じように繰り返します。
⑤逆血がくれば、後は内頚静脈と同じです。
 …カテーテルは10-12cmくらいで固定します。


■大腿静脈

●アブレーション時には4つくらいシースを入れます。させる位置の幅が広い。
上前胸骨棘と恥骨を確認します。
 ⇒これらをつないだ線は超えないようにします。
②安全なのは、この線から3横指下辺りで穿刺することです。
 ※あまりdistalすぎると、動静脈婁となることがあり、手術です。まあ大丈夫ですが。
③動脈の内側にあるので、動脈を軽くふれながら、そのすぐ隣を穿刺します。
結構深い人がいるので、あまり寝かせずに穿刺します。
⑤上と同じく、陰圧をかけて針を引いてきたときに逆血がくることが多いです。
 ⇒特に本穿刺で深くなりすぎないように気をつけます。
⑥あとは同じです。カテーテルは30-40cmくらい入れます。

 

★埋めれば運転停止期間が定まっており、埋めなければ運転は禁止。

◎植え込み型除細動器(ICD)に関して、運転制限は社会的な問題です。運転したいから移植しない、のは医学的に正しくないのは明らかですが、法律上どうでしょうか。


■ICD植え込みが決定するまで

●ICDの適応には一次予防と二次予防があります。
一次予防
⇒致死的不整脈(持続性VTまたはVF)は認められてないが、そのハイリスクである患者 
二次予防
致死的不整脈が確認されている患者

※日本では二次予防目的のICD植え込みがメインですが、アメリカでは一次予防でかなりのICD植え込みが施行されているとのことです。


■ICD植え込みと運転許可について

●ICD植え込みの適応となったということは、致死的不整脈が起こるかもしれないということを意味します。運転中に起こったら、ご本人の命に関わるのみならず、他人を事故に巻き込む危険性があります。ですから、運転が制限されることは合理的です。

●さて、もちろん致死的不整脈のリスクに応じて対応が異なるべきです。上記の一次予防と二次予防では、明らかに二次予防の方がリスクは高いことがわかると思います。
ICD植え込みから運転許可までの、法律で定められた期間が異なります。
 ・一次予防:30日間
 ・二次予防:6ヶ月間
⇒この間にICD作動がなければ、自己申告の上運転が許可されます。

正常なICD作動(致死的不整脈の出現)があれば、当然話は変わります。
⇒現在は、ICD作動した場合は、その日から12ヶ月運転が制限されます
※欧米のガイドラインではこれより短く、日本も近いうちに6ヶ月程度まで短縮されるかもしれません

●現在は、誤作動時に意識消失を伴わない場合は、運転制限の必要はありません
⇒しかし、誤作動の原因検索、対応はなされるべきです(ICDの再設定など)
※誤作動でも意識消失した場合、12ヶ月の運転停止です。

●ちなみに、ICD植え込みや作動は、患者さんが自己申告しなければなりません。自己申告は法律で定められており、自己申告しない場合の罰則があります。この罰則は近年強化されています。注意が必要です。


■ICD移植しなければ運転はできるのか

●これが臨床上大きな問題です。特に田舎は車社会で、運転できないことはかなりのdisadvantageとなるので、よく問題となります。

●医学的には植えこむべき状況でも、社会的な利益を優先する患者さんはいます。特に、ICDは将来のリスクヘッジという治療法ですので、今を大切にされる方はやはり悩まれます。

しかしながら、
二次予防に関しては、植え込まなければ運転は禁止されますこれは法律で禁止されています。ですから、運転したいのであれば植えこむしかないのです。
※一次予防に関しては、法律では禁止されていません。

●循環器内科医が見ると、同じ一次予防でも「この方は中でもハイリスクだな」「この方はそこまでリスクは高くないけど、致死的不整脈は恐ろしいから埋めた方が良いな」と考える例があります。これは臨床研究やガイドラインでは見えないところです。
⇒ですから、やはり専門家に基本的にICD植え込みが提案されれば、従った方が良いと思います。
⇒ですから、一時予防の植え込みでも、運転制限を危惧して患者さんが植え込みを拒否した場合、医師は運転を基本的には禁止します。


参照 ICD講習会資料、日本不整脈心電学会HP

★呼吸窮迫でなければ、Xp⇒直視で評価する。

■急性喉頭蓋炎疑いへの対応

●まずairwayの評価
…気道不安定性あり;気道確保
⇒不安定性なし
Xpで喉頭蓋腫脹あり;急性喉頭蓋炎
⇒腫脹なし
直視で腫脹あり;急性喉頭蓋炎
⇒腫脹なければ、他の疾患


■気道確保の適応

●突然気道閉塞のリスクがある疾患だが、特に成人では挿管せずに管理できることが多い
⇒しかし、その中の3-8%は結局挿管管理となったという報告あり
⇒施設として対応を決めると良い。以下は適応の一例
●適応
・小児;特に4-6歳以下
・呼吸窮迫;スニッフィング、ストライダー、よだれが垂れる、チアノーゼ
 …これらは、ほぼ閉塞に近い状態で初めて現れる症状
・喉頭蓋膿瘍
・症状の進行が急速
・気道の50%以上の狭窄
・合併症:コントロール不良の糖尿病、免疫不全


■急性喉頭蓋炎の検査、診断
●診断法

・喉頭鏡, ファイバーで発赤腫脹した喉頭蓋を確認
頸部レントゲンで腫脹した喉頭蓋を確認
 …感度38-88%, 特異度78%
⇒Xpは刺激の少ない検査なので、特に小児に有用
⇒ただし、以下の時必要ない
 ①気道狭窄、閉塞が明らか
 ②診断が明らか
 ③舌圧子など耳鼻科アプローチで喉頭蓋確認できたとき


■鑑別疾患

・気管炎;ひどい咳き込みあり
 …ウイルス性(クループ)、細菌性
・口蓋垂炎;喉頭蓋炎の合併もあるので注意
・後咽頭膿瘍
・異物誤飲
・アナフィラキシー
・ジフテリア

 
参照 Chest. 1995;108(6):1640    Chest. 1995;108(6):1640(適応)
   Laryngoscope. 1985;95(10):1159.   J Am Osteopath Assoc. 1997;97(4):227.(検査、診断)

★針を抜いて、アナフィラキシーでなければ冷やす。

■針を抜く

・針が毒液嚢とともに皮膚に刺さる
毒が数秒出続ける
⇒出来るだけ早急に針を抜く必要がある
刺されてから数秒たった場合、急いで針を抜いても仕様がない

皮膚に針が残っている場合、抜く必要ある(救急外来でよくある状況)
 …異物反応が起きるため


■局所反応
●単純性

1-5cm程度の疼痛を伴う発赤と腫脹:数時間〜2日続く
冷やすだけで良い

●大きい局所反応

・2日かけて段々大きくなり、10cm程度となる:5-10日続く
・10%程度の人でみられる
・治療:冷やす、NSAID(除痛)、プレドニン40-60mgから2-5日かけて漸減する
 …かゆみを伴う時は、抗ヒスタミン薬内服かステロイド外用(strong以上)

●二次性の細菌感染

・3-5日かけて腫脹や疼痛が増悪する場合、発熱した場合などに疑う
(通常二次感染しない)
・蜂窩織炎と同様に考え、抗菌薬により治療する


■全身反応
●アナフィラキシー

0.3-3%に認める
診断基準(以下3つの内どれかに当てはまる場合)
 ①皮膚か粘膜を巻き込み数分で進行する症状+呼吸器症状か循環不全を伴う
 ②以下の内2つ以上が、アレルゲンと思われるものへの暴露後数分〜数時間で進行
  …皮膚か粘膜病変、呼吸器病変、血圧低下、腹部症状
 ③既知のアレルゲンへの暴露後の血圧低下
※通常急速に進行する
・一般的なアナフィラキシーの治療をする
⇒エピペンを持たせる;次アナフィラキシーを起こした時の死亡率が30-60%⇒5%
 …但し適切に使用するよう指導する事は、現実的にかなり困難

●他(まれ)

・中毒反応;腎不全、溶血、心臓病、横紋筋融解を合併しうる
・血清病:7-10日後に蕁麻疹、発熱、リンパ節腫脹など呈する
・炎症:血管炎、神経炎、心筋炎、脳炎


参照 UpToDate

★脳血管栄養部位の境界域の梗塞で、体血圧低下か微小塞栓が原因。

■定義、分類

●脳血管が栄養する境界域の部分の脳梗塞
・脳梗塞の10%程度と推定される

●名前が一定していない
⇒watershed, border-zone, boundary zone, borderland, end zone, terminal zone
 (日本語では「分水嶺:ぶんすいれい」か「境界性」)

●2種類ある
皮質分水嶺:前/中/後大脳動脈(ACA/ MCA/ PCA)各々が栄養する皮質の境目
内側分水嶺:MCAが栄養する、白質浅層と深層の境目
       or 白質浅層で、MCAとACAが栄養する部分の境目


■病態
①体血圧低下による還流不全
・分水嶺はそもそも虚血に弱いところ
⇒還流低下の際、最も影響される部分
・基礎として重要;内頚動脈狭窄/閉塞、各々異なる脳血管の分布

②微小塞栓
A-to-A塞栓:画像、剖検で示唆されている
…分水嶺は血管分布が少ないので、塞栓により梗塞となりやすい、ということ
(但し、微小塞栓の寄与の程度はコントロバーシャル)


■特徴
●症状
・一般的な脳梗塞の症状を呈する
⇒特にwatershedを疑う場合
 =両側失明 or 意識障害 or 四肢近位の脱力で、顔面と手足に障害ない時
  (man-in-a-barrel症候群のパターン
・無症候性の場合、梗塞部位より近位の狭窄を評価する必要あり

●経過、治療
・神経/筋の変性、特に認知症の原因となる
・致死的ともなりうる
・原因治療(基本的にCASか内膜剥離)が最も重要


参照 UpToDate, Stroke.36: 567-577 、日本脳卒中学会HP

★パラコート⇒フリーラジカル。

■パラコートの組織障害メカニズム

・細胞内でレドックス反応(酸化還元反応)
 …パラコートと活性化パラコート間で延々と繰り返される酵素反応
⇒①この反応の副産物が活性酸素;細胞障害
 ②この反応でNADPHが消費される
 ⇒NADPHは抗酸化物質であり、少なくなる事自体で細胞障害おきる

・血流の多い臓器を障害:肺、心臓、腎臓、肝臓
 …BBBを超えないため、脳は障害されない
 

■パラコート中毒の治療

・初期治療で、ルーチンの酸素投与は勧められない;レドックス反応を増悪させる可能性のため
 …致死的な低酸素血症がある場合は、投与してもよい
・輸液を2-3L
後は一般的なICU管理;腎障害は可逆性であるが、ふつう透析が必要
⇒但し非常に予後が悪く(20-24%パラコート30mlで致死的)、重症パラコート中毒は医学的介入で全く生存率を上げる事ができない
⇒緩和治療としても良いかも


参照 UpToDate

★低CaイオンとなりNaチャネルが敏感になるため。

■体内のカルシウム分布

●Caは血清中で
50%がイオン
40%が蛋白と結合(主にAlb)
③10%が塩
として存在する。
⇒この内,生理的に働いているのはイオン

過換気で低Caイオン血症となる
・過換気
⇒呼吸性アルカローシス
⇒代償性に代謝性アシドーシスとしたい
蛋白がHを離す
蛋白が陰性となり,Ca2+と結合
 =Caのイオン型が減り,蛋白結合型が増える
低Ca2+血症

■低Ca2+血症でテタニーとなる

・低Ca2+血症
神経細胞Naチャネルへ影響
 ①ちょっとでも脱分極に近づくと、開口するNaチャネルの数が増える
 ②Naチャネルの透過性が亢進する
(なぜこうなるかは不明)
神経細胞へNaが流入しやすくなる
神経の興奮性↑
 =テタニー

※筋収縮の際のCaイオンは細胞内であり、低Ca2+血症とは関係ないことに注意。

参照 Guyton, UpToDate

★負荷がかかりやすく、脆弱なため。

■大動脈
峡部(イスムス)
・大動脈は、鎖骨下動脈分岐直後に、生理的に少し狭くなっている
大動脈峡部
※先天的にこの狭窄が強いものをCoA(大動脈縮窄)という


■大動脈損傷⇒イスムスに好発

・イスムスは、可動性のある大動脈弓と、固定された胸部下降大動脈の移行部
負荷がかかりやすい
・イスムスは内在的に脆弱
…理由は不明だが、物理実験の結果確認された

●大動脈損傷の機序

①腹部の急激な圧迫
大動脈閉塞、内圧↑
⇒大動脈破裂
②大動脈が、胸骨など前の骨と、椎骨に挟まれる
挟まれた部分が破裂
※これだけでなく複合的な要因によるが、脆弱なイスムスが破綻しやすい


参照 UpToDate

★レセプターが違う。

■ADH(=AVP)の合成

・主に視床下部の視上核で合成(オキシトシンは傍室核で)
ニューロフィジンというキャリア蛋白とともに下垂体茎を下降
⇒神経終末の集合が下垂体
⇒エキソサイトーシスされ、毛細血管へ


■ADHの制御

・視床下部かその近傍に浸透圧受容体をもつ神経細胞
⇒細胞外液が濃い場合、その細胞内が脱水となる
⇒サイズが小さくなる
⇒視床下部にADH産生を促す
※逆も然り

・血液量減少;15〜25%以上
⇒ADH分泌↑
心房のストレッチが関与している;伸びたら脳でADH産生を促す


■ADHの作用機序

●レセプターが2種類ある。
①抗利尿作用
・腎に分布しているV2レセプターに結合
⇒Gs蛋白、アデニル酸シクラーゼを介す
cAMP産生
⇒cAMP依存性プロテインキナーゼAが活性化
⇒集合管に分布するアクアポリン2により水再吸収が活性化
・低容量:2〜10単位を1日2〜3回(尿崩症)

②昇圧作用

・全身のV1レセプターに結合(血管平滑筋はV1a)
⇒Gq蛋白
ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼCが活性化
⇒細胞膜のイノシトールリン脂質が加水分解
⇒イノシトール3リン酸、ジアシルグリセロール
⇒小胞体からCa遊離促進(直接的)
⇒血管収縮
・高容量:ACLSでは40単位iv を繰り返す


参照 UpToDate, Guyton生理学、[蘇生] vol.[22] no.[1] p.[1]-[7] 

★機序ははっきりとしていないが、一過性なのでほとんど問題にならない。

■中枢性塩類喪失(cerebral salt-wasting: CSW)

・CNSの疾患で生じる;主にSAHで問題となる
・CSWは実際に存在しない、と考える人もいる
 ●根拠
 ・脳血管攣縮予防に多量の輸液をする
 ⇒反応性に尿が出ているだけ+Naは輸液した分が排泄されている
 ・カテコラミン放出
 ⇒静脈系の血管収縮
 ⇒多尿
 ・SIADHの一表現型だ
⇒但し、大体皆はCSWは実際に存在すると考えている


■メカニズム

①塩類喪失
●仮説が2つある
⑴交感神経
 …レニン↑、近位尿細管にてナトリウム、尿酸、水再吸収↑
交感神経やられると、Na排泄↑
※循環血漿量↓に反応してアルドステロン産生できないため、K排泄は促進されない

頭蓋内圧↑
⇒ホルモン産生神経細胞よりBNP放出
⇒BNPが尿細管でのNa再吸収、レニン放出↓
 +自律神経活性↓
※循環血漿量↓となり、頭蓋内圧↑に対する代償性変化となっている

②低Na血症
・腎での塩類消失
⇒循環血漿量↓
圧受容体反射にてADH放出
尿を希釈できない(尿中Na↑)
⇒低Na血症


■治療
CSWとSIADHの鑑別は重要
⇒SIADHの場合水制限が治療だが、CSWによる循環血漿量減少を増悪させるため
・鑑別は、明らかな循環血漿量低下の所見があるかどうか(あればCSW)
 …低血圧、BUN/Cre↑など
 …尿中Naが下がっていないことが条件
⇒大抵の場合判断が難しい

●CSW
・出た分を生食で補うのはよい
⇒ADH分泌を抑制し、低Na補正につながるため
Na補充ミネラルコルチコイド使用してもよい
※CSWは一過性のため、2週間程度で改善する

●SIADH
・水制限が必要
⇒SAHの場合、循環血漿量低下により血管攣縮が生じるのが怖い
※但し純粋なSIADHだと循環血漿量は正常。結局循環血漿量の評価が難しいのと、CSWも合併しているかもしれないので、水制限はやりづらい、ということ。
⇒代替案として、高調食塩水(3%)が使われる


参照 UpToDate

★2分以上持続する痙攣には、まずセルシン。

■痙攣の分類
seizure:脳の異常な電気活動
convulsion:筋の不随意収縮
けいれん重積けいれんが5~10分以上持続 or 意識の戻らない内に発作再発
 ●メカニズム
 ①GABA受容体の小胞への取り込み・不活性化+NMDA受容体のシナプス表面への移動
  ⇒GABA受容体の数↓、NMDA受容体の数↑ 
  ⇒抑制性ニューロンが働きづらくなる
 ②海馬のペプチドも変化する
  …抑制性ペプチドであるダイノルフィン、ガラニン、ソマトスタチンが減少
    興奮性ペプチドであるサブスタンスPが増加


■痙攣の治療開始
5分以上持続する痙攣
 =痙攣重積が疑われる
 ⇒治療開始
・ほとんどの痙攣は2分以内に消失する
 ⇒治療は必要ない
  ※但し静脈ラインは確保しておく
●臨床的に、2分以上続く痙攣は以下の治療開始する


■痙攣の治療
1)ABCの確保
2)抗痙攣薬
 ①ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)10mg
  ※ジアゼパムはベンゾジアゼピン系の一種
 ●メカニズム
  ・ベンゾジアゼピン
  ⇒ClチャネルへのGABA結合を促進
   …GABAによりClチャネルが開口
  ⇒神経細胞へのCl流入
  ⇒過分極
  ⇒脱分極が起こりづらくなる=神経興奮が抑制される

 ②フェニトイン(アレビアチン)15~20mg/kg 
  ※1000mgを20分以上かけて
  ⇒ローディングドーズであり、ここで十分に血中濃度を上げる必要あり
  ⇒2日目からは維持量(約半量)の投与となる
 ③ジアゼパム10mg
 ④フェノバルビタール(ノーベルバール)20mg/kg 10分で
  ※エビデンス十分でない
 ⑤ICUでチオペンタール、ペントバルビタールなど 24時間以上
  =burst suppression
3) 原因精査、治療

抗てんかん薬は、基本的に2回目のseizureを認めた時から始める
…痙攣再発のリスクが高いため
 

参照 UpToDate、イラスト薬理学、救急医の挑戦 in 宮崎、
    http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/files/anesth/book/29/7.pdf?1368758383

★ガイドラインに定まっている。
頭部CTは、GCS≦14の患者全てに推奨される

■最重要
●酸素化維持:PaO2>60
●血圧維持:sBP>90
●GCSを繰り返し評価する;受傷後数時間では低下しやすい
 ⇒GCS<8、対光反射消失、除脳・除皮質固縮、徐脈、高血圧、呼吸↓
  =脳ヘルニアを示唆する
 ⇒早急に対処する
  …頭部挙上マンニトール1mg/kg iv +繰り返し評価

凝固の評価
 ◎凝固障害がおきやすい理由
 …組織因子の放出、脳リン脂質の血中移行
 ⇒血管内凝固
 ⇒消費性の凝固障害
・PT-INRが伸びてきたら早急に対処する
PT-INR<1.4、PLT>75000を目指し、FFP・PC輸血、ビタミンK投与(ワーファリン服用中の場合)
※DVTの予防
 ・出血のリスクとの兼ね合いがあり、コンセンサスはない
 ⇒24-48時間以内に再出血のリスクが最も高いため、その間は抗凝固避けるべきかも

●体液量維持
 生食で行う;膠質液は予後を悪化させる
●栄養
 …受傷後7日までに必要量カロリーを摂取すべき


■浸透圧療法
・間質から水を引く⇒ICP低下
マンニトール:脳血流改善させることが示されており、推奨される
 …0.25~1mg/kgを、4~6時間ごとに投与する
血漿浸透圧<320mmol/lを維持、電解質・腎機能をモニタリングする
・高張食塩水(6~7.5%)も使われる


■換気
過換気を避ける(人工呼吸管理の場合)
…過換気
 ⇒PaCO2↓
 ⇒血管収縮
 ⇒○脳血流↓→ICP↓
   ●脳虚血
   ●乳酸↑、グルタミン↑→二次性脳障害
 …悪影響の方が強く、PaCO2<30で死亡率↑


■抗痙攣薬
6~10%の患者にけいれん生じる
⇒重症だと30%
・抗痙攣薬の短期使用は早期の痙攣を予防できるが、症候性てんかんは予防しない
⇒痙攣重積の予防、二次的な外傷予防が目的
フェニトインorバルプロ酸の7日間の使用が勧められる


■解熱薬
高体温は脳卒中の予後を悪化させる
…頭部外傷の予後も、おそらく悪化させる
⇒解熱薬の使用、クーリングが勧められるが、予後改善するエビデンスはほぼない

■頭蓋内圧(ICP)モニタリング

・重症の場合施行すべき。ICP>20は予後悪い
詳細は略


■手術適応(血腫除去術)

●硬膜外血腫:血腫>30ml、GCS<8+瞳孔不同
●硬膜下血腫:CTで10mm以上+mid line shiftあり、GCS<8 or 入院後GCS 2以上低下、瞳孔不同+散瞳、
         ICP>20が持続
●脳内出血:後頭蓋窩の出血で、容量効果がある場合
 ※容量効果(mass effect):脳実質の位置の変化・ゆがみ、第4脳室閉塞、基底槽の圧迫、水頭症
 ・他の場所の出血は、手術適応が定まっていない

開頭除圧術の有効性は研究段階


参照 UpToDate 

★経口摂取禁忌の場合、経静脈栄養はすぐ始めないほうが良い。

■経静脈栄養
・入室後48時間以内に開始しても、ICU滞在日数や死亡率に変化ない
感染症の発生率は上昇する:(4~5%程度)
⇒ICU滞在日数、挿管期間も延長するかもしれない
適正な開始時期は不明
⇒一般的に、入室後1週間~2週間程度が目安

入室時より低栄養状態の患者
⇒禁忌がなければ経腸栄養が勧められる
⇒経静脈栄養の是非については、現在研究段階。

※ただし低栄養は確実に死亡率を上昇させる
⇒経腸栄養が不可能な場合、1週間後程度より経静脈栄養開始とすると良いかも。


■経腸栄養
入室後48時間以内に開始すると、感染の発生率が減少する
 …機序(仮説):炎症↓、腸管免疫の保持(バクテリアルトランスロケーションの予防)
⇒死亡率が改善するかどうかは、まだ諸説ある。

 ※トライアルの患者は主に外傷・腹膜炎・熱傷の患者。
 他の内科系疾患の患者に、そのまま適用できるかは微妙。
 

■経腸栄養禁忌
循環動態が不安定、シビアなhypovolemia
⇒経腸栄養によって腸管虚血となりうるため
 …安定した循環血漿量低下のみであり、臓器症状なければ適応。
・他:腸閉塞、遷延したイレウス、消化管出血、止まらない嘔吐・下痢、腸管虚血、分泌量が多い消化管ろう

腸管関連手術後:早期の腸管栄養は腸管吻合を強くする
 ⇒以前は禁忌と考えられていたが、現在は推奨される
 

■栄養量
最小限の栄養量とすることで、感染↓、胃腸不耐性↓
⇒熱量:18~25kcal/kg/day
  蛋白:1.2~1.5g/kg/day
    …重症でなければ8~1.2g/kg/day、重症熱傷などでは2g/kg/dayまで。 


参照 UpToDate 

★ほぼ必要ない。

■アルコールの代謝
・胃から70%、十二指腸から25%吸収する
⇒胃が空の場合、摂取から30分~90分でピークとなる
・肝細胞のサイトゾルでエタノール→アセトアルデヒド
※代謝速度は、
  ・普通の人=0.15~0.2mg/mL/h
  ・慢性アルコール中毒者:0.25~0.35mg/mL/h

■アルコール血中濃度
血中濃度(mg/mL)分類症状
0.3~0.5爽快期酒気帯び運転の適用
0.5~1.5弱度・軽度酩酊抑制とれる
1.5~2.5中等度酩酊麻痺症状加わる=千鳥足
2.5~3.5強度酩酊悪心嘔吐、誤嚥
3.5~泥酔・昏睡意識消失、呼吸抑制


■治療
●基本的には経過観察
⇒脱水、低血圧、低栄養→補液
補液して薄める効果はほとんどない
 …代謝を待つ
・意識障害の他の原因を常に念頭に置く

●重症の場合
・アルコール中毒+昏睡の場合、必ずチアミン(vit B1)投与
活性炭、胃洗浄は効果なし
…エタノールはすぐ吸収されるため
・呼吸状態を頻回に確認し、必要なら挿管


参照 UpToDate

★効果はあっても一時的であり、有害な可能性あるため勧められない。

下肢挙上、Trendelenburg体位の理論
●根拠
・下肢挙上することで前負荷があがり、心拍出量が増える
 =ショック時に血圧が上がる
 ⇒輸液・カテコラミンでない一つの方法として使える

●反論
Trendelenburg体位でも1.8%しか体液移動しないとの研究あり
・血管内脱水(hypovolemia)の場合、容量血管(血液をストックしている静脈)が虚脱している
⇒心臓へ返る血液量は少ない
Trendelenburg体位により腹部臓器が移動
大静脈を圧迫
⇒圧受容器反射にぶらせる
⇒交感神経・副交感神経による血管収縮による血圧↑をにぶらせる
⇒血圧が下がる


■禁忌の患者が多い
・肥満の患者
 ⇒横隔膜上に押される+肺尖部に血液が移動し、換気不能となる
 ⇒換気量低下
・意識ある患者
 ⇒耐えられない
・意識ない患者
 ⇒頭蓋内の静脈に血液貯留
 ⇒頭蓋内圧↑、脳浮腫増悪
・冠動脈疾患ある患者
 ⇒心筋酸素需要量↑
 ⇒不整脈誘発
・下肢虚血の患者
⇒虚血増悪


■実際のエビデンス
・CO/CI、平均動脈圧は上がりうるが、ほんの少し
 +しかも一過性(下肢挙上の状態でも前の血圧に戻る)
・アウトカムには全く影響しない
血圧上がったことで臨床家に満足感を与えてしまう
⇒それ以上の治療行為をストップしてしまうかもしれない

※下肢挙上はエビデンスなし。患者の不快にならない程度に、下肢を30度程度挙上することは許容される。

 
参照 Am J Crit Care. 2012 Nov;21(6):449-52. 

★不明.

■仮説①
・抗原の皮膚での感作,肺への吸入
⇒肥満細胞の脱顆粒
 (一回目)
⇒数時間後,好酸球・好塩基球・リンパ球浸潤
 (二回目)

※患者ごとに,二回目の出現時間が違うことの説明とならない
※致死性アナフィラキシーの際,組織にいるのは大抵好酸球であり,全く細胞浸潤がない事もある
 
■仮説②
肥満細胞の脱顆粒が二回起こる
…抗原暴露後,30分と72時間でメディエーター濃度が高かったとの報告
※時間が合わない(12時間以内とされる)

■他
・治療の効果が切れたため,未知の抗原との接触が原因,と考える人もいる 


参照 UpToDate 

★SAHの内,80%しか動脈瘤が原因でない.

■SAH

・SAHの内,20%程度は動脈瘤が見つからない
非動脈瘤性クモ膜下出血
⇒この原因は,
 ①非動脈瘤性中脳周囲SAH:2/3を占める
 ②同定されない動脈瘤,血管奇形, 頭蓋内動脈解離,大脳静脈塞栓, 外傷,鎌状赤血球症,出血素因
  下垂体卒中,コカイン中毒, 脳アミロイド血管症,脊髄動脈瘤, 脳腫瘍,もやもや病,動脈炎


■非脳動脈瘤性中脳周囲クモ膜下出血
●特徴
・中年に多いが,どの年代でも発症
中脳前方の脳底槽~迂回槽~シルビウス裂の底部に限局するSAH
・動脈瘤が見つからない
・予後が良い
…再出血ほとんどない+生命予後は健常人と変わらない
 ※持続する頭痛,うつ病呈することはある
●原因
不明だが,いくつか提唱されている
 ①椎骨脳底動脈系の穿通動脈の破裂
 ②静脈系の血管破綻
 ③脳底動脈壁の壁内血腫


※「動脈瘤がみつからない」ことに関して
・3mm以下はそもそも見つけられないが,破裂する危険は少ない
・検査法
 ①血管造影:感度99.5%,特異度100%
 ②CT Angiography:感度97%,特異度97%
 ③MR Angiography:感度95%以上
⇒すぐできるCTAがよく研究されている
⇒普通のSAHの場合,②でなかったら①やる
中脳周囲SAHの場合,②でなかったら①やらなくていいかも
 …①は合併症あり,②と①やるより②だけの方がoutcome良かった


参照 UpToDate

★ないかもしれない.

★輸血する理由=ヘモグロブリンによる酸素運搬能を補強する

●Hbで輸血の是非を判断してはいけない
⇒①Hbでは組織の酸素化について何もわからない
  ②Hbが低いのは,単に希釈されているからなのかもしれない
⇒ガイドラインではHb値によって輸血判断をすべきでない,とされるが,
 特定の状況下ではHb値によって輸血するよう書いてある(矛盾している)
 …ex. ICUで挿管中・重症外傷・心臓病ある患者で,Hb<7の場合

●酸素需要と供給のバランス評価にて,輸血を判断すべき

「O2 extraction=(SaO2-ScvO2)/ SaO2」(※)
 …運んだ酸素のうち,組織内に取り込まれた酸素の割合
⇒SaO2≒1の場合,(※)≒1-ScvO2
⇒これが0.7以下の場合,輸血の適応と考えられる
(※)=0.5までは組織で代償されている
 …それ以下になると,運ばれる酸素が組織の需要に見合っていない
  =嫌気性代謝となる
0.5を輸血のtriggerとしても良いかも.

敗血症の場合,ミトコンドリアの酸素利用障害が起きる
⇒組織で酸素利用できないため,組織低酸素でもScvO2下がらないことがある(★)
⇒この場合,個別に考える

※但し,Early Goar Directed TherapyではScvO2>75%としている
⇒(★)と矛盾するようだが,EGDTの根拠は「EGDTで生存率が改善したこと」にあるので,こうなっている

しかし,RBC輸血しても,組織の酸素化が改善するというデータはない!
⇒何のために輸血するのか,答えは出ていない
 …確実なのは,Hbではなく血管内volumeが最も重要,ということ.


参照 ICU book

★HESは微妙,生食かアルブミナー.

■膠質液
 …HES製剤,アルブミン製剤,デキストラン製剤

①ヒドロキシエチルデンプン=HES製剤
…ヘスパンダー,サリンヘス,ボルベン
腎障害
 ・特に高分子量のHESで指摘された
 ⇒ヘスパンダー,サリンヘスは低分子量
 ・機序は膠質浸透圧によると考えられるが,詳細は不明
 ・重症患者(重症敗血症,循環血漿量減少性ショック)にみられ,それより軽い患者には見られない
血液への影響
 ・第Ⅶ因子,vWFの阻害,血小板凝集抑制作用あり
 ⇒臨床的に問題となるケースは,大量HES投与しない限り少ない
●AMY上昇
 …1週で戻る
※ボルベンは高分子量だが,腎への影響少なく,組織蓄積性も低い
 ⇒高用量の投与が可能
  …臨床上では普通に腎への影響でる,という人も.

②アルブミン製剤
…アルブミナー
●5%→浸透圧20mmHg:100%血管内に残る
  25%→浸透圧70mmHg:間質から引いて3-4倍になる
⇒細胞外液で言えば,5%アルブミナーで4倍量と等しい

※5%アルブミンと,6%HES(ヘスパンダー)の,血管内ボリューム増幅効果は等しい
⇒腎障害ないぶん,5%アルブミナー使うべき.


■生理食塩水か膠質液か
・ICUにおける輸液蘇生において,死亡率に有意差はないとする研究あり(NEJM2012)
 ⇒但し,HESの方が腎代替療法必要とした
★そもそも,どちらかしか使わないという前提が極端. 
状況に応じて使い分けるべき
 ・出血によるhypovolemia=すぐ血管内への補正が必要
  ⇒膠質液(もちろん外液も負荷する)
 ・脱水によるhypovolemia=間質の水も減少している
  ⇒等張液
 ・低Albなど低浸透圧によるhypovolemia=間質が浮腫
  ⇒高調膠質液(25%アルブミナー)を使っても良い.5%アルブミナーでも.

※但し,生食は安価で効果あるのは確実.
※膠質液を使うなら,5%アルブミナー.
 

参照 ICU book,呼吸器内科医
更新 2014/1/26 

★START法は一次トリアージ.

■トリアージ概念
・災害現場で大まかに篩い分ける(一次トリアージ)
医療機関入口にて,人数的に可能であれば再分類する(二次トリアージ)

■一次トリアージ
START法:simple triage and rapid treatment
・歩行,呼吸の有無(A),呼吸数(B),CRT(C),従命の有無(D)の順に評価
⇒赤タッグを選びだす目的

SALT法:sort, assess, life-saving interventions, tratment and transport
・第一段階で患者に触れずに評価(動かない,手を振る,歩行可能)
⇒緊急救命措置の後に第二段階の評価


■二次トリアージ
PAT:physiological and anatomical triage

1段階:生理学的評価

●以下があれば赤

意識:JCS 2桁以上

呼吸:9/分以下、30/分以上

脈拍:120/分以上、50/分未満

血圧: 収縮期血圧 90mmHg未満、200mmHg以上

SpO290%未満

その他: ショック症状

低体温(35度以下)

 

2段階:解剖学的評価

●以下があれば赤

開放性頭蓋骨陥没骨折

外頸静脈の著しい怒張

頸部または胸部の皮下気腫

胸郭動揺、フレイルチェスト

開放性気胸

腹部膨隆、腹壁緊張

骨盤骨折,両側大腿骨骨折

四肢切断

四肢麻痺

穿痛性外傷

デグロービング損傷

15%以上の熱傷、顔面気道熱傷合併

 

第三段階:受傷機転

●以下があれば黄

体幹部の挟圧

1肢以上の挟圧(4時間以上)

爆発

高所墜落

異常温度環境

有毒ガス発生

汚染(放射性物質、生物剤、化学剤による災害:NBC

※災害弱者は,必要に応じて黄とする. 

 

参照 JATECガイドライン 

★ACLSアルゴリズムではそうだが,実臨床では重症度に応じる.

■緊急カルディオバージョンの適応
①虚血症状・ECG
②臓器虚血の所見
③急性心不全の所見
④副伝導路があり,心室レートがかなり速くなる,と見込まれる
※他,重症と判断された時.

・常に塞栓のリスクを考慮にいれる
発症後48時間以内の場合,リスクは低い(ゼロではない)
 …抗凝固薬をするかどうか,コンセンサスはない(がやることが多い)
 ⇒ほとんどの患者は,緊急カルディオバージョンの適応とならない
 ⇒様子を見るか,薬物を用いる(下記参照)
※自然に消失:72時間以内のAfのうち68%

●カルディオバージョンの適応外
①全く症状がない
②80歳以上で色々な合併症ある
③サイナスに戻す事より,薬剤やカルディオバージョンのリスクが高い
④CHADS2 scoreが高い


■薬剤

○心室レートを下げる(110bpm以下)ことが重要
 =レートコントロール
サイナスに戻らなくても,症状消失することがある
β遮断薬
Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)
心不全ない場合に推奨
・この使い分けは医師と患者の好み,状況に応じる
⇒β遮断薬が有用:MI,労作性狭心症がある場合,心臓手術後
           …レートを下げる作用が強い
  Ca拮抗薬が有用:慢性肺疾患がある場合

ジゴキシン心不全によるAfと分かっているときのみ推奨
        ⇒交感神経↓による洞結節の興奮↓だけでなく,
         心拍出量↑による循環改善から,交感神経↓(興奮の必要なくなる)の作用もあり
        ⇒更に,循環が改善すると不整脈が止まることもままある
        ※①,②に追加することで作用増強する-この使い方もある
④プロカインアミド
・副伝導路による早期興奮ある場合に適応
⇒洞結節を抑えるベラパミル,ジゴキシンなど禁忌のため

アミオダロン:心機能悪い場合,他の薬剤が効かない場合


■基礎疾患の検索・検査
・TSH,fT4
 ※参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/34629070.html
・CBC,電解質,腎機能
・胸部X線(心不全),心エコー(僧房弁疾患)
※トロポニンTなどMIの検索は,心電図でひっかかった場合のみで良い
 …心筋梗塞の症状がAfのみであることは,極めてまれだから.


参照 UpToDate
➤心房細動, 心電図,抗不整脈薬,甲状腺機能,除細動

★CO-Hbの半減期を短くする.

■一酸化中毒の機序
COはO2の200倍Hbに結合しやすい
⇒①COがついた分,O2が結合する場所が少なくなる
  ②Hbには4つのO2-binding siteがあるが,一つにCOがつくと,他の部位からO2を離しにくくなる
  (構造が変化する)
  =酸素解離曲線の左方移動

血管外にあるCO(15%程度)
⇒ミオグロビン,チトクローム,NADPHリダクターゼに結合
⇒ミトコンドリアでの酸化的リン酸化を障害
 ※酸化的リン酸化:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/28604758.html
特に心筋で,酸素の利用障害

・COは血小板からのNO放出↑
⇒過酸化硝酸塩などのフリーラジカル
⇒血管内皮障害,脳の脂質過酸化
⇒遅発性神経障害
 (詳細な機序は研究段階)

・COは血管透過性↑
⇒循環血漿量↓
⇒虚血


■高圧酸素療法の機序
CO-Hbの半減期を短くする
…通常4-6時間が,100%酸素で40-80分,高圧酸素で15-30分に.

溶存酸素濃度が増加
…通常0.3ml/dlが,100%酸素で1.5ml/dl,高圧酸素で6ml/dlに.


■エビデンス
・適応基準がある
CO-Hb≧25%に加え,虚血徴候(pH<7.1,心筋虚血など)か意識障害を伴う場合
  妊婦ではCO-Hb≧20%か,胎児ジストレスを認める場合

発症後6時間以内が有効
⇒12時間以上経過後のエビデンスはない


参照 UpToDate

★輸血,生物学的製剤,トランサミン.

①輸血
・濃厚血小板(PC)
・新鮮凍結血漿(FFP):全凝固因子が入っている
             ⇒凝固因子産生↓,希釈血漿の場合有効

②生物学的製剤
・第Ⅷ因子製剤,第Ⅸ因子製剤
 ⇒血友病患者
・遺伝子組み換え活性型第因子製剤(ノボセブン
 ⇒30万円するが,劇的に効くらしい(出血性疾患全般に対して)
 ※今はインヒビターを持つ血友病患者,後天性血友病患者にのみ保険適応

③トランサミン(トラキネム酸)
・リジンと類似した構造もつ(リジン誘導体)
⇒プラスミノゲンのリジン結合部位に反応
プラスミノゲンのフィブリンへの吸着を阻止
全身の線溶系活性化状態に有用
 ※線溶抑制型DIC(敗血症などによる)には禁忌!
有効性はRCTで確かめられている
 
④アドナ(カルバゾクロム)
・アドレナリンが体内で酸化
⇒アドレノクロム
⇒これが従来止血効果ある,と考えられていた
⇒カルバゾクロムは,同様の効果を持ち,安定した物質
止血効果の機序は明らかになっていない
 …「血管壁の強化」と謳われているが,実験で血管抵抗性を上げる,という事実に基づく 
  ⇒あやしい
アドナ単独で止血効果を示した研究はなし 


参照 http://pulmonary.exblog.jp/20437806/,金沢大学血液・呼吸器内科ブログ,
    血栓止血誌 20(3):278~280, 2009
 

★主に外傷.

●開胸蘇生術
…心膜切開(心タンポナーデ
  心臓の圧迫止血
  下降大動脈のクロス・クランピング(腹部臓器への血流↓,脳への血流↑)
  開胸心臓マッサージ(通常のAED蘇生に比べ蘇生率は高い)

■貫通性胸部外傷

比較的予後良い:生存率37-60%
<適応>
・現場or 病院で生命徴候が確認できた: この場合生存率は8.9 or 11.5%
                        ⇒確認できなければ1.2%
・輸液療法しても循環が不安定
・心停止の時間が15分以下
・胸部or 外傷外科医が45分以内で着く
⇒これらを全て満たすとき
<適応外>
・経過中脈,血圧なし
・心タンポナーデがなく,最初からAsystole
・15分以上心停止
・重症外傷で助けられない
・胸部or 外傷外科医が45分以内で着かない

■鈍的胸部外傷
予後悪い:生存率0-10%
<適応>
・バイタルサインないが,大量頭蓋内出血や多発重症外傷がない
・心タンポナーデがある
<適応外>
・病院に着くまで15分以上CPRあった場合
・経過中脈,血圧なし
・重症外傷で助けられない
 

参照 UpToDate 

★出血性ショック⇒アシドーシス,凝固異常,低体温
 互いに助長する!


■出血性ショックにより,

1. 嫌気性解糖:乳酸↑
 ⇒代謝性アシドーシス
2. 酸素供給↓+輸液,脱衣,手術
 ⇒低体温
3. 出血
 ⇒DIC;凝固異常


■アシドーシス⇔凝固異常
代謝性アシドーシス
⇒心拍出量↓,低血圧,不整脈,カテコールアミン効果↓
 +凝固因子の活性↓
⇒凝固異常
凝固異常
DIC, 臓器への血流↓
⇒嫌気性解糖
⇒アシドーシス

■低体温⇔凝固異常

低体温
酵素の活性↓+血小板活性↓,血小板接着↓(vWFとGPⅠb-Ⅸ-Ⅴの相互作用阻害)
⇒凝固異常
 ※大量輸液,輸血により更に悪化する:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/22790927.html
凝固異常
⇒輸血,輸液
⇒低体温

■アシドーシス⇔低体温

アシドーシス
心拍出量↓,低血圧,不整脈
⇒血液循環↓
⇒低体温
低体温
酸素解離曲線が左方偏位
⇒Hbが酸素を離しにくくなる
組織への酸素供給↓
⇒嫌気性解糖
⇒アシドーシス


参照 UpToDate,標準救急医学,Blood
死の三徴、triad 

★心停止=pulseless VT or VF

◎VT(心室頻拍)
⇒3回以上連発する,心室起源の頻拍(>100bpm)
・単形性VT:QRSがだいたい同じ
・多形性VT:QRS違い,RR間隔も異なる 

◎VF(心室細動)
⇒正常なQRSなく,P波も見られない
⇒絶対意識消失する

◎Torsade de pointes
QT延長による
⇒定義が2通りある
 ・Torsade de pointesを多形性VTとするもの
 ・QT延長の有無で多形性VTとTorsade de pointesを分けるもの
・サインカーブ状の振幅変化のある,VF様波形

★VTとVFの鑑別
・wide QRS頻拍
意識消失あり: VF or 無脈性VT(規則的)
⇒意識消失なし: VT or 脚ブロック+上室性頻拍(心房起源)
 ※p波あれば上室性頻拍

★VFとTorsade de pointesの鑑別
・Torsade de pointesの古典的な波形がはっきりすることは少ない
⇒①Torsade de pointesは,多形性VTのうち間欠期にQT延長を伴うもの
  ⇒発症直前,若しくは止まった直後の波形
  ②Torsade de pointesは非持続性のVTなので,30秒以内に大抵止まる



治療の観点(ACLS2010に準拠)
・VF,無脈性VT
心停止アルゴリズムに準拠する
・脈のあるVT
脈拍のある頻拍アルゴリズムに準拠する
⇒不安定な;電気ショック
      ※規則的:同期電気ショック100J,不規則:同期電気ショック200J(wide), 除細動(narrow)
⇒状態安定な患者;迷走神経刺激(regularの時)
                   ⇒irregular=AFだが,AFは房室結節を介したリエントリーを持たないため
            薬物療法

※治療が異なってくるポイント
 心停止がTorsade de pointesによると疑われる場合⇒硫酸Mg投与推奨
 Torsade de pointesによる安定した頻拍の場合⇒硫酸Mg,リドカイン使用できる
 Torsade de pointesの場合,QT延長に対する精査が必要
⇒一次救命(心停止)の段階では,鑑別は重要でない;アドレナリン,アミオダロンしか使わない
⇒洞調律に戻った後,QT延長の原因検索をするかがポイント.


★だいたい迷わないが,大量出血時にわかりにくいこと有り.

➤吐血(消化管由来)
●静脈血が多い
悪心を伴う
暗黒色
食物残渣あり
⇒pHが酸性となる;胃酸のため.

➤喀血
●動脈血が多い
を伴う
鮮赤血
泡沫を伴う
窒息感あり
⇒pHが塩基性となる


●病歴,身体所見も重要.これは他のサイトや医学書参照してください.



★心臓の動きを止め,サイナスになるかは自動能に任せる!

1.違い
除細動:心室細動(VF)か無脈性心室頻拍(pulseless VT)にのみ用いる
    ⇒でかいショックを与え,心筋全部を一気に停止させる
カルディオバージョン:VF,pulseless VT以外の頻脈性不整脈に用いる
            ⇒心拍と同期し,R on Tにならない時にショックを与える

2.原理

・細動(AF,VF)以外の頻脈
⇒大きなリエントリーサイトが原因となっている
⇒電気ショック
心筋細胞が脱分極する
⇒心筋組織が,刺激に不応となる
⇒リエントリーが成立しなくなる
⇒頻脈が止まる

・AFとVF
(※依然としてcontroversialである:persistent micro reentryが心筋全体で起こっているため)
●一定の電気密度になると除細動されることは分かっている
⇒電力が足りていないか,電気が心臓全体に届いていないか(仮説).

頻脈が止まった後は,洞結節の自動能に任せる!
⇒また変なところ(肺静脈口など)から刺激が出ると,不整脈が再発する.


参考:up to date

ワクチン接種後5年以降は,どんな傷でもトキソイド接種すべき.

■受傷時の破傷風予防

状況

創傷

きれいな傷

汚い傷

過去のトキソイド
接種回数

02

3以上

02

3以上

最終接種後の
経過年数

不問

5年未満

5年以上

不問

5年未満

5年以上

治療

トキソイド

+

-

+

+

-

+

抗破傷風ヒト免疫
グロブリン

-

-

-

+

-

+

 
⇒接種後5年未満なら投与必要なし
 傷が汚ければ,テタガム(抗破傷風ヒト免疫グロブリン)投与

※摂取後5年を過ぎると,抗体価が発病予防に必要なレベルを下回る.
 初期のワクチンで基礎免疫ができれば,追加接種によりすぐ免疫がつく(ブースター効果).


■破傷風
・日本で年間100名程度が発症し,5-7名程度が死亡する.
・どんな傷も原因となる
明らかな創傷が見られない場合もある(6.4%)


参照 破傷風に対する免疫化のガイドライン
更新 2014/3/27 

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