麻酔・外科・胸部外科

三尖弁逆流に対する手術適応

★はっきりと決まってはいないが、手術のタイミングは遅れる傾向にある。

◎三尖弁閉鎖不全症(TR)の手術適応は、特に他の弁膜症が無い場合、決定が難しいです。


■手術適応
●TR+僧帽弁 or 大動脈弁疾患

・severe TRの場合は同時に手術した方が良い
mild-moderate TRの場合、いずれかに当てはまる時
 ①三尖弁輪径の拡大;TTEで径 >40mm, or 21mm/m2
 ②右心不全の既往

●TRのみ

・TRは右心系の拡大、それによるTRの増悪を来たし、悪循環である
 ⇒medicationは十分な治療となりにくい
・手術によりNYHAが改善したとの研究はあるが、生存率に関してエビデンスが乏しい
indicationははっきりと定まっていない。

■手術のタイミング
●コントロバーシャルである
・ある観察研究によると
症候性TRは、RV end-systolic area>20cm2又はHb≤11.3となる前が望ましい、とのこと
・TRが進行すると、肝うっ血から肝硬変、脾腫、汎血球減少となる
ビリルビンが上昇する前が望ましいという考え方もある

・現在は手術のタイミングが遅れやすい印象。今後より早期の手術適応の判断が求められるようになるかもしれない。
(Euroscore 2, STS score等でリスク層別化を行って決定する。)


■TAPか、TVRか

・僧帽弁形成術が第一選択で、形成術施行ができないときのみ置換術を検討する。
…死亡率が高いため。

参照 UpToDate

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