★エストロゲン/アンドロゲン比上昇で、乳腺組織に直接作用する。
■病態生理
●エストロゲン
・乳腺に直接作用
⇒乳腺管の肥大/ 伸展/ 分枝の促進
管周囲の繊維芽細胞増殖、血管増成
●アンドロゲン
・エストロゲンの作用に拮抗
・エストロゲンとアンドロゲンのバランスが崩れ、女性化乳房となる
…バランスの決定要素
①胎盤、副腎、精巣でのホルモン生成
②脂肪組織で、アロマターゼによる「アンドロゲン→エストロゲン」
③性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の存在
⇒エストロゲンとの親和性が高い
④ホルモンが作用する細胞
■原因
●新生児の一過性女性化乳房
・胎盤:デヒドロエピアンドロステロン→エストロン、エストラジオール
⇒胎児循環に入る
●肥満
・脂肪組織のアロマターゼ:アンドロゲン→エストロゲン
⇒乳腺へパラクリン作用
●肝硬変
・有意に増えているかは微妙
⇒ほとんど内服しているスピロノラクトンの影響かもしれない
●飢餓、refeeding
・飢餓:テストステロン、ゴナドトロピン↓だが、エストロゲンは正常に保たれるため
・refeeding:ゴナドトロピン高値となるため
●薬剤
・スピロノラクトン:様々な機序
・HAART:だいたいは脂肪再分布による(女性化乳房ではない)
・アンドロゲン阻害薬:前立腺癌の治療
・他、降圧薬など
●男性の性腺機能低下症
・Klinefelter症候群、テストステロン産生酵素の欠損
・精巣へのダメージ:外傷、腫瘍、感染症
●他
甲状腺機能亢進、慢性腎不全など
参照 UpToDate