★例えば、HDLが心筋梗塞の原因なのかどうか突き詰める研究手法。
◎遺伝子多型やバイオマーカーなどと疾患の発症の関連性は、群間比較し有意検定を行う事で示す事ができますが、因果関係まで言及できません。因果関係が分かれば、その原因は治療対象となりうるため重要です。
■原理
①目的のバイオマーカーと将来の疾患発症リスクを調べる
・HDLコレステロールが6mg/dL高いと、心筋梗塞発症リスクは0.87倍となる。
②目的のバイオマーカー発現を直接管理する遺伝子多型に注目
・例えば、LIPG遺伝子はHDLコレステロールをencodeする
⇒LIPGの多型を持つとHDL-Cが平均6 mg/dL上昇する
③遺伝子多型と疾患発症との関連を調べる
・LIPG多型があると心筋梗塞発症リスクは0.99倍(有意でない)。
⇒この場合、HDL-Cは直接心筋梗塞の原因とは言えないことが分かる
=HDL-Cをターゲットとする治療は疑問とされる
※mendelian randomizationは観察研究だが、遺伝子情報は恣意的に決定する事ができないため、randomizationと命名されている。
※疾患発症に対する影響がはっきりする要因でないと調査対象とならず、また遺伝子多型が別の表現型を介して疾患発症に寄与している場合は、信頼性が疑問となる。
参照 Braunwald heart disease