★神経が近い,は説明になってない.
関連痛(連関痛)という現象自体は有名ですが、その機序の説明として「神経が近いから」というのは正確ではありません。
神経解剖の知識が少し必要です。
■関連痛(連関痛)の機序
●知覚神経(一次ニューロン)
⇒脊髄の後ろから入る
⇒後角の細胞に伝達
⇒二次ニューロンとなる
⇒脊髄を上行し,脳へ
●内臓知覚神経と皮膚知覚神経が後角細胞に伝達するところ
⇒どちらもシナプスを出す細胞がある(一部)
=内臓からの痛みと、その脊髄レベルの皮膚の痛みが、同じ神経回路をたどる
⇒痛みを区別できない
=関連痛
※なぜこんな後角細胞があるのか?
なぜ逆に、皮膚の痛みが内臓の痛みとならないか?
⇒皮膚は常に刺激にさらされているので,その細胞は皮膚からの情報を優位に結び付けやすいから、と推測されています
●関連痛の例
・虫垂炎での心窩部痛
・心筋梗塞での肩痛、歯痛、顎痛
・腹腔ドレーンが横隔膜刺激している場合の肩痛