★多くは、機能性消化不良。
■胃もたれ
・英語ではheavy stomach
・医学用語では消化不良(dyspepsia)
※「消化不良」は、はっきりとした定義がない
⇒胃部不快感の総称として使われる。消化器症状全般を含み、胸焼けも含むこともある
●胃もたれの鑑別疾患
・ほとんどが機能性消化不良(functional dyspepsia)
・他、急性/慢性胃炎、胃癌、胃潰瘍、胆汁排泄遅延など。腸や膵臓、薬剤も含む。心筋梗塞の可能性もある、というのは有名な話。
■機能性消化不良
●基質的疾患を認めず、消化不良を呈する疾患
・人口の25〜40%に認め、クリニック受診の2〜5%を占める
・リスク:女性、喫煙、NSAIDs
※アルコール/コーヒー消費量は関係ないとされる
●病態
・胃近位部、前庭部の運動障害など様々なことが言われている
●診断
・人間もコンピューターモデルも、病歴と診察から機能性消化不良の診断をつけることはできなかった(JAMA 2006 Apr 5;295(13):1566)
⇒但し頻度が多いため、全例に胃カメラは施行しない
●対応
①胸焼けがあれば、GERDとして対応する
②NSAIDs服用していれば、中止 or PPI併用とする
③上部消化管内視鏡は、以下の患者で適応
・症状:慢性出血、体重減少、嚥下困難、持続する嘔吐、鉄欠乏性貧血、心窩部腫瘤
・癌家系
・55歳以上
④上記①〜③に当てはまらない患者は、ピロリ菌感染のスクリーニングをしても良い
⇒いれば除菌、症状改善が見込める
⑤上記当てはまらなければ、エンピリック治療開始
・PPI、H2ブロッカーは症状改善に有効
・鍼治療のエビデンスは高い(これのみlevel 1、他はlevel 2)
・蠕動作用薬も有効:イトプリド(ガナトン)、ドンペリドン(ナウゼリン)、アコチアミド(アコファイド)、メトクロプラミド(プリンペラン)
・他、有効と思われるもの:ピレンゼピン(ガストロゼピン)、タンドスピロン(セディール)
・精神的介入も、症状改善に効果ある
⑥薬剤の効果がなければ、内視鏡を検討+再評価
⇒何も無ければ、抗不安薬を検討
●生活指導
・アルコールとカフェインを避け、少量ずつゆっくり食べるように
・禁煙
・バランスの取れた食事をするように
参照 UpToDate, Dynamed