★ビタミンKは、凝固因子やプロテインC,S活性のための補酵素。
■ワーファリン
①ビタミンK依存性のγカルボキシル化(下述)を阻害;Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ
⇒活性していないこれらの蛋白ができる
⇒抗凝固
②ビタミンK依存性のγカルボキシル化を阻害;プロテインC, S
…これらは活性化Ⅷ, Ⅴを抑制する(下述)
=抗凝固活性をもつ
⇒凝固↑
※①、②といった相反する作用をもつ
・プロテインCが最も早く活性無くなる(半減期が短い)
⇒投与後1日程度、一過性の過凝固状態となる
・Ⅱ因子の半減期が最も長く、約3日
⇒ワーファリンの十分な効果発現まで3日程度かかる
⇒平衡に達するのは7日程度必要。
・Ⅶ因子の半減期は4-6時間
⇒投与開始後すぐにPT延長するが、それはⅦ因子の分。
■詳細な反応;γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)生成
●ビタミンKを補酵素として必要とする反応
・活性化ビタミンK(ビタミンKアルカロイド)
⇒グルタミン酸のγ-炭素基から、水素イオンをもらう
…これにより、ビタミンKアルカロイド→ビタミンKエポキシド
⇒グルタミン酸のγ-炭素基に、CO2付加
⇒Gla
・ビタミンKエポキシドは、ビタミンKレダクターゼにより、ビタミンKH2(非活性体)
⇒これにO2付加されビタミンKアルカロイドに
※ワーファリンは、ビタミンKレダクターゼを阻害
=ビタミンKのリサイクルを阻害
・Glaドメイン:ビタミンK依存性凝固因子、プロテインC,Sに10-12個存在
⇒Caイオンと結合することで構造変化
⇒リン脂質結合部分が露出
⇒血小板のリン脂質と結合、それぞれの作用発現
■プロテインC, S
・凝固カスケードにて、Ⅱa(トロンビン)がトロンボモジュリンと結合
⇒トロンビンの構造変化
⇒プロテインC活性化;activated protein C(APC)
⇒リン脂質表面のプロテインSと作用
⇒Ⅴa, Ⅷaを不活性化
⇒抗凝固作用
●プロテインS
・2パターンで存在
①フリー:上記の抗凝固作用をもつ
②補体のC4bと複合体形成して存在:不活性体
⇒急性期炎症蛋白で、炎症部位に多く発現
⇒炎症部位で①の割合低く、凝固優位となる
参照 UpToDate