★利尿薬は理論上有効だが,エビデンスに乏しい.
■初期治療
①緊急透析の必要性判定
・超音波で水腎症の有無=腎後性AKIの除外
⇒水腎症あれば泌尿器科へ
・重症の尿毒症,治療抵抗性高K血症,体液過剰,アシドーシスなど
⇒腎臓内科にコンサルト
※透析絶対適応以外の症例
⇒いつ,どんな方法で始めればよいかは,議論が分かれる
②体液量管理
・体液量,腎潅流圧の維持は重要
⇒体液量推定が必要
⇒困難な場合,体液量↓の場合,生食500mlボーラス投与
⇒尿量増加,臨床症状改善の場合は,血管内脱水を補正
※心不全の患者には,右心カテーテル挿入し,厳密に水分管理を行う
■利尿薬の意義
①尿量を維持する=体液管理を容易にする
・AKI
⇒壊死尿細管上皮などのデブリにより,尿細管が詰まる
⇒尿細管腔内圧↑
⇒糸球体濾過液が腎間質へ漏出
…尿が流れると,デブリを流してこれを予防できる
・乏尿性AKI
…尿が少なく(500ml/day以下),尿中に老廃物を排泄しきれない
⇒尿毒性物質が体内に貯留
⇒非乏尿性AKIより予後が悪い
●利尿薬により,乏尿性を非乏尿性にしようとする
②尿細管上皮の代謝需要を抑える
・腎髄質は生理的に低酸素である
+ここに存在する近位尿細管直部とヘンレループ
…物質輸送を積極的に行っているため,酸素需要が大きい
⇒虚血により障害を受けやすい
・ループ利尿薬
⇒Na-K-Clチャネルをブロック
⇒代謝需要を減らす
⇒腎保護的に作用
※ループ利尿薬は,腎血管抵抗を下げる,とも言われる
■利尿薬の実際
・上記機序により,利尿薬はAKIにおける腎保護に有用,と考えられた
⇒しかし,腎機能への利益を示す質の高い研究はない
+有害とする報告もある
⇒なぜ結果が出なかったか
⇒①利尿薬により循環血漿量が減った可能性
②ループ利尿薬によりTamm-Horsfall蛋白の凝集おき,尿細管が閉塞した可能性
③ループ利尿薬が尿細管にうまく運ばれなかった
…有機酸と競合したため,低Albにより間質液中に漏出したため,蛋白尿のため尿細管で遊離できないため
●AKIに対する利尿薬の使用
⇒利尿薬は,腎性AKIかつvolume overloadを合併した場合のみ有用である
⇒septic AKIについても,利尿薬のエビデンスはない
参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/33919808.html
参照 Intensivist