★原因疾患がないことを確認、生食投与で対応する。
■疫学、病態
・透析で収縮期血圧20mmHg以上低下し、症状出現したもの
・非常によくあることで、透析患者の75%が経験するともいわれる
●基本的な原因:透析自体によるもの
・除水過多;早すぎ、多すぎ
=血液減少に対する、間質からの水の移動が少ない、ということ
…Dry Weightが低すぎる、体重増加が大きいとリスク
・自律神経障害
=交感神経↑という代償機構が弱い、ということ
…特に糖尿病患者
・心臓予備能の低下
※増悪因子:透析中か直前の食事摂取、降圧薬内服
…食事後20-120分後に末梢血管抵抗が下がると言われる
●注意すべき原因疾患
・敗血症
・心臓病:不整脈、心臓タンポナーデ、弁膜症、心筋梗塞
・溶血、出血
・空気塞栓
・透析膜への生理反応
■対応
①限外濾過量を少なくする、又は0にする
②輸液
…基本は生理食塩水250-500mlボーラス投与。20%グルコースがより効果的との報告もあり
③酸素投与
④(下肢拳上)
⑤原因検索
※輸液に反応しない、随伴症状あり(発熱、腹痛、胸痛、呼吸困難)の場合、重篤な原因疾患がある可能性高い
■予防
①Dry Weightを再確認する
②透析液の組成を確認する
⇒Ca≧2.25mmol/l, Mg≧1mmol/l, 重炭酸を使っている(酢酸を使っていない)
③透析前、中の食事摂取をやめる
④透析前の降圧薬内服を中止する
(もしくは、普段の降圧薬内服を夜にする)
⑤普段のナトリウム摂取量を減らす
…1-2g/日程度とする
⑥EPO製剤を用いて貧血を是正する
●これでダメな場合、
⇒透析液を低温とする、透析時間を長くする
●それでもダメな場合、
⇒ミドドリン(メトリジン;α刺激薬)内服とする
⇒透析回数を増やす
参照 UpToDate