★急性尿細管壊死(ATN)によるが,その原因は立証されていない.
■ATN
・病理上尿細管壊死がおきた状態
⇒虚血or 腎毒性により,腎臓に壊死性変化を来した状態
・虚血性の場合
⇒臨床では,必ずしも「腎前性腎不全(PRA)」との鑑別が明瞭でない
…①実際,補液により数日で回復すればPRA,しなければATNとされる
②ATNとされた症例の20%程度にしか,病理で壊死を認めない
・結局,腎血流量が低いことによるAKIは,PRA~ATNの中間のどこかに位置づけられる
⇒補液に反応するかどうかを,FENa,尿比重など尿検査で複合的に判断する
・結局,
…糸球体腎炎,血管炎,間質性腎炎でなく,PRAらしくない腎性AKIがATNとされる
■造影剤腎症の機序
①組織低酸素
・造影剤
⇒投与後数秒は腎血流↑
⇒その後腎血管攣縮が長時間持続
⇒髄質を中心とした虚血
※髄質は皮質に比べ,もともと低酸素状態(PO2…40:10)
⇒尿細管障害
②直接毒性
・造影剤の排泄
…糸球体で濾過
⇒一部がエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる
⇒酸素フリーラジカル↑,カスパーゼ活性化など
⇒腎を直接障害
■造影剤腎症の対処
・造影剤
…少ない量で,投与期間が長いほど良い
種類による違いは,現在検討中
・補液
…造影剤投与前後に生理食塩水投与をすることで,腎症を改善しうる
⇒マンニトール,フロセミド等は悪化させる危険あり
・血液浄化療法
…造影剤が除去されるのは確実だが,腎障害の予防効果は実証されていない
⇒HDは特によくなく,悪化したという報告もあり
⇒HFやCHDFは有効とする報告も多い
参照 Intensivist, UpToDate