呼吸器 感染

肺結核はなぜ上肺野に多いか. ★結核の病態

★好気性菌だから.
○肺結核:一次結核→潜在性感染→二次結核

■一次結核
●結核菌を含んだ空気を吸入
⇒大部分は上気道で補足,排出(10%程度が下気道へ)
重力により,中~下肺野へ(特に末梢)
⇒非活性化マクロファージによる貪食,ファゴソーム形成
宿主vs.菌
 ・ファゴソームとリソソームの融合により細菌の成育を阻止するか,
  細菌が増殖しマクロファージの破裂に至るか.
 ・機序
 …細菌細胞壁の糖脂質であるリポアラビノマンナン
  ⇒細胞内Ca2+の増加を阻止
  ⇒Ca2+/カルモジュリン経路(ファゴソームとリソソームの融合を導く)を阻害

●2~4週間後
肺実質や肺門部において
  T細胞を介した特異的免疫発現
 …活性化マクロファージにより肉芽腫つくる
 ⇒菌を含んだ非活性化マクロファージを破壊+中央に壊死
 ⇒壊死の環境内でも菌は生き残れるが,
   低い酸素分圧+低いpHにより発育は抑制される

●大多数は自然治癒し,小さな石灰化した結節となり明らかになることがある
⇒免疫抑制者では一時病巣が大きくなり,臨床的結核となる(進行性一時結核)
Ghon complex:下肺野浸潤影+同側の肺門部リンパ節腫脹

■二次結核
●潜在性感染の再燃
上肺野に多い
  ・吸入した酸素は上肺野に多く分布する
  ・肺の血流は重力に従い中~下肺野に多く分布
  ⇒上肺野ではガス交換が少ない
  ⇒酸素濃度↑
  ・結核菌は好気性菌であるため,上肺野で増殖しやすい

・菌の増殖,免疫応答により病変が拡大
気管支も巻き込む
空洞形成
・病変の中心部で,乾酪壊死物質が液化
空洞を介して気道内へ排液
⇒①肺野内に他の衛星病巣つくる
  (⇒それがまた空洞化する)
  ②外に結核菌を放出

参照 UpToDate,ハリソン
更新 2014/6/27

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