★分布、半減期で理論的に鑑別されうるが、実際にはあまり使われない。
■肝逸脱酵素の源
・おそらくは、それぞれが多量に存在する組織から出てくる
ALT:主に肝
⇒細胞質内
AST:肝、心筋、骨格筋、腎、脳、膵、肺、血球
⇒ミトコンドリア内、細胞質内(免疫学的に異なる酵素)
…血漿中のASTは細胞質内のものだが、肝で活動しているのはミトコンドリア内のものが主。
⇒アイソザイムあるが、臨床的な意義は微妙
■理論的意義
●ASTとALTの比は理論的に鑑別に有用
①半減期
・ASTの半減期は11〜15時間、ALTは40〜50時間
⇒肝細胞が急激に障害を受ける急性肝炎では、AST優位
…慢性肝炎、肥満による脂肪肝、急性肝炎回復期ではALT優位
②分布
・ASTは肝臓内に均一に分布、ALTは門脈域近くに分布
⇒慢性肝炎は門脈域周辺の壊死が強いため、ALT優位
…肝硬変、肝癌では正常肝細胞の減少より、AST優位
…アルコール性肝炎は小葉中心部の壊死が強いため、AST優位
⇒エタノールによりALT合成が阻害、障害がミトコンドリアに及びAST-mが逸脱することも関与
■臨床的有用性
・AST、ALT比は臨床的に使いにくい
⇒但し、慢性肝炎の内、AST/ALT>2の場合アルコール性肝炎が疑われる
…C型肝炎、肝硬変、Wilson病でも同様の所見となりうる
参照 UpToDate, レジデントノート