内分泌・糖尿病 感染

糖尿病で易感染性となる機序

★限定された感染症にかかりやすくなり、その機序は大分わかっている。

■本当に易感染か

実は議論が分かれる所
・以下の特定の感染症は明らかに罹患しやすい
…足感染、尿路感染、浅部真菌感染(口腔カンジダ、白癬)、ムコール症、悪性外耳炎、気腫性胆嚢炎、化膿性筋炎、壊死性筋膜炎、歯周病


■易感染性の機序:宿主因子
①免疫機能低下

好中球の遊走と内皮細胞接着、貪食能、細胞内殺菌、オプソニン化、細胞性免疫が低下する
…マクロファージのTNFαとIL-1β産生↓、アポトーシス関連遺伝子発現↑など色々

②血管障害

末梢の虚血
⇒白血球の酸素を用いた殺菌↓、抗菌薬届きにくい

③感覚障害

傷に気づかず、細菌の入り口となる

④自律神経障害
尿閉、尿停滞からUTIの原因となる
・汗がでず、乾燥しやすい=皮膚が傷つきやすくなる

⑤他

皮膚と粘膜に細菌定着しやすい(原因は不明)
 …鼻腔と皮膚にS.aureus、粘膜にCandidaがつきやすい
手術部位感染が増える
 …昔から言われている。

■易感染性の機序:菌の因子
●明らかに証明されているものがある
①カンジダ
・グルコース誘発性蛋白により、頬や膣に定着しやすくなる
⇒貪食されにくくなり、感染引き起こしうる

②Rhizopus(ムコール症)
・ケトンリダクターゼをもち、高血糖+酸性下で繁殖できる;ケトアシドーシス

③Burkholderia pseudomallei(類鼻疽)
・マクロファージのこの菌に対する殺菌力が低下する

 
参照 UpToDate 

-内分泌・糖尿病, 感染