★Lightの基準で滲出性胸水の場合、色々な手段で鑑別を進める。
■胸水穿刺の意義
●確定診断できる疾患は限られている
⇒膿胸、癌、結核、真菌、食道破裂、乳び胸、血胸、カテーテル迷入
※血胸
・肉眼的血胸、Ht>50% で血胸
・原因:悪性腫瘍、外傷、肺塞栓、アスベスト肺
■浸出性 or 漏出性
●浸出性胸水の診断
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感度 |
特異度 |
胸水LDH● |
≧血清LDHの2/3 |
82 |
89 |
胸水÷血清LDH● |
≧0.6 |
90 |
82 |
胸水TP |
≧3 |
90 |
90 |
胸水÷血清TP● |
≧0.5 |
86 |
84 |
胸水Chol |
≧60 |
54 |
92 |
≧43 |
75 |
80 |
|
胸水÷血清Chol |
≧0.3 |
89 |
81 |
血清−胸水TP |
≧3.1 |
87 |
92 |
Lightの基準 |
●1つ以上 |
98 |
83 |
●浸出性じゃないことを言いたい
(漏出性である心不全、ネフローゼの頻度が非常に多いため)
⇒感度が高いLightの基準が有用
※ただし滲出性=炎症であり、鑑別疾患は多数ある
⇒以下で鑑別を進める
■滲出性胸水の時、鑑別に有用な検査項目
●細胞分画
①好中球優位
・急性期炎症を示す;PEを忘れない
②リンパ球優位(50%以上)
・結核、悪性腫瘍、リンパ腫、心不全、CABG後、RA、乳び胸、尿毒症、サルコイドーシス
⇒結核と悪性腫瘍をrule outする必要あり
●糖
・低値の場合、滲出性胸水の鑑別が絞られる
⇒61.2mg/dl以下;肺炎、膿胸、結核、SLE、RA、悪性腫瘍、食道破裂
(膿胸とRAでは特に低く、感度以下ともなりうる)
●pH
・正常値は7.6程度
・肺炎、悪性腫瘍による胸水:pH7.3未満の場合、治療抵抗性で予後が悪い
●ADA
・リンパ球優位だが結核菌が検出されない場合
⇒ADA>50で結核診断の感度91%、特異度81%
●AMY
・血清アミラーゼより濃度が高い場合
⇒膵炎、食道破裂、悪性腫瘍の可能性高い
参照 UpToDate、http://hospi.sakura.ne.jp/wp/wp-content/
themes/generalist/img/medical/jhn-cq-140804-nerima.pdf