★脳血管栄養部位の境界域の梗塞で、体血圧低下か微小塞栓が原因。
■定義、分類
●脳血管が栄養する境界域の部分の脳梗塞
・脳梗塞の10%程度と推定される
●名前が一定していない
⇒watershed, border-zone, boundary zone, borderland, end zone, terminal zone
(日本語では「分水嶺:ぶんすいれい」か「境界性」)
●2種類ある
・皮質分水嶺:前/中/後大脳動脈(ACA/ MCA/ PCA)各々が栄養する皮質の境目
・内側分水嶺:MCAが栄養する、白質浅層と深層の境目
or 白質浅層で、MCAとACAが栄養する部分の境目
■病態
①体血圧低下による還流不全
・分水嶺はそもそも虚血に弱いところ
⇒還流低下の際、最も影響される部分
・基礎として重要;内頚動脈狭窄/閉塞、各々異なる脳血管の分布
②微小塞栓
・A-to-A塞栓:画像、剖検で示唆されている
…分水嶺は血管分布が少ないので、塞栓により梗塞となりやすい、ということ
(但し、微小塞栓の寄与の程度はコントロバーシャル)
■特徴
●症状
・一般的な脳梗塞の症状を呈する
⇒特にwatershedを疑う場合
=両側失明 or 意識障害 or 四肢近位の脱力で、顔面と手足に障害ない時
(man-in-a-barrel症候群のパターン)
・無症候性の場合、梗塞部位より近位の狭窄を評価する必要あり
●経過、治療
・神経/筋の変性、特に認知症の原因となる
・致死的ともなりうる
・原因治療(基本的にCASか内膜剥離)が最も重要
参照 UpToDate, Stroke. 2005; 36: 567-577 、日本脳卒中学会HP