★基本的に対応は非透析患者と同様。
◎透析患者は、血液透析導入時に心エコーが施行されることが少なくありません。どの程度の異常で異常と判断し、循環器内科へコンサルトすべきでしょうか。ここではASとMRについて見てみます。
■大動脈弁狭窄症
●石灰化が病態であり、透析により進行します。
・透析患者ではcommonであり、透析患者の3-9%がsevere ASを合併しているとの報告もあります。
●基本的な手術適応が検討される基準は、非透析患者と同様です。
…症候性AS, もしくは無症候性severe AS+他所見の組み合わせ
(無症候性のmoderate以下のASは手術適応となりません)
⇒透析患者では、AVA<1.0の無症候患者(moderate AS)は1年おきのエコーフォローが推奨されています。
※透析低血圧に伴う胸痛は、狭心症もしくはASが原因の可能性があり、精査が必要となります。即ち、これがASの症候である可能性もあるということです。
●手術時、生体弁より機械弁が好まれる傾向にありますが、controversialな所です。
●follow upの間隔は以下の通り推奨されます(簡略化しています)。
mild AS (Vmax=2-2.9 m/s): 3-5年おき
moderate AS (Vmax=3-3.9 m/s): 1-2年おき
severe AS (Vmax>4 m/s): 6-12ヶ月おき
!恋する心エコー
■僧帽弁閉鎖不全症
●基本的に偶発的な合併で、対応は非透析患者と同様です。
・手術適応が検討されるのは、症候性MR, もしくは無症候性MR+他所見の組み合わせです。
(ASと同様、無症候性のmoderate以下MRは手術適応となりません)
●透析患者では特に、体液量に応じて逆流量が変化することに注意すべきです。
…当然、透析前のovervolumeでは逆流量は増悪しています。
⇒逆に、しっかりとした体液/血圧管理で良好なコントロールを得ることが可能となります。
…アグレッシブなDry weight引き下げが検討されます。
●follow upの間隔、AHA guideline上以下のようになっています。
mild MR: 3-5年おき(実際はあまり実施されません)
moderate MR: 1-2年おき
severe MR: 6-12ヶ月おき
※あと別件ですが、透析患者では感染性心内膜炎のhigh riskであることを知っておきます。
参照 UpToDate