神経・感覚・精神・脳外科 薬剤

不穏の病態、せん妄との違い

★はっきりと区別できない。

◎定義を知っておきましょう。

自信がもてる! せん妄診療はじめの一歩~誰も教えてくれなかった対応と処方のコツ

 よくまとまっています。


■せん妄と不穏
●せん妄(delirium)

・以下4つの特徴を呈する状態です。
意識障害、集中できなくなる
②認知症で説明のつかない認知機能障害
数時間〜数日しか持続しない、日内変動する
何らかの原因がある
活動性低下や亢進、交感神経↑、感情の障害(うつ、恐れなど)を伴う(必須ではない)

●不穏(confusional states)

…思考のスピード,鮮明さ,一貫性が障害された状態です。

せん妄は、特別なタイプの不穏と考えられる
普通せん妄は、不眠、自律神経活動↑、精神活動↑を伴うからです
 …具体的には、興奮、振戦、幻覚など
※但し、この2つをはっきり区別する定義はありません。

■病態
●複雑で,はっきりと解明されていません。(ベースの疾患の影響を除外できないため)
 以下は関与するであろう病態の一部です。
①神経系
上行性網様体賦活系(ARAS)の障害;覚醒,注意に関わる
非優位頭頂葉,前頭葉の障害;思考の統合の障害
・皮質の障害

②神経伝達物質,ホルモン

アセチルコリン
CNSでの濃度が下がると、せん妄が悪化、発症します
…低酸素、低血糖、チアミン欠損、アルツハイマー患者での研究によります
⇒抗コリン薬はリスクとなります
※但し、ChE阻害薬は治療に使われない⇒死亡率が上昇したためです。

・他:エンドルフィン,セロトニン,ノルアドレナリン,GABAなど関与
・炎症性サイトカインも関与しています:敗血症など

参照 今日の治療薬,UpToDate, DSM-Ⅳ

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