★酸性薬物での溶血はG6PD欠損に特徴的!
◎生化学的に説明可能な内容です。
■G6PD活性低下
⇒NADPH(還元剤)産生低下
⇒①細胞内フリーラジカル・過酸化物を解毒する機能低下
②蛋白のSH基を還元状態に保てない
⇒SH基酸化により蛋白変性
⇒不溶性の塊(ハインツ小体)となる
⇒細胞膜に付着し,細胞膜が変形できなくなる
⇒肝腎マクロファージにより貪食される
⇒細胞障害,アポトーシス
●この影響は赤血球が受けやすいです。なぜなら、
…①NADPH産生の回路が1つしかない;ペントースリン酸回路
⇒他の細胞は他の回路(下記参照)を持ちます。
②赤血球は核・リボソームを持たず,酵素を新たに産生できない
⇒不安定な変異酵素があると障害受けやすいです。
⇒よって、「G6PD欠損⇒酸性薬物で溶血」となります。
■ペントースリン酸回路
・グルコース-6-リン酸(G6P)
⇒G6Pデヒドロゲナーゼ(G6PD)により不可逆的酸化される
⇒6-ホスホグルコン酸となり,これも不可逆的に酸化される
※それぞれの反応で,NADP+がNADPHに還元される
⇒リブロース-5-リン酸となる
⇒可逆的な反応により,解糖系へ
■他の回路:細胞質でのNADPH産生
・クエン酸回路
⇒リンゴ酸
⇒NADP+依存性リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(リンゴ酸酵素)
⇒ピルビン酸
※この際 NADP+がNADPHに還元されます
参照 リッピンコット生化学