★狭心痛は生きている心筋から生じる!!
狭心症や心筋梗塞、一番典型的な症状は「胸痛」「胸部圧迫感」ですが、肩の痛みで発症する事もあるのは有名です。
また、嘔気・嘔吐もよく生じます。
これらのメカニズムを生理学的に説明してみました。
簡単に言うと「誘発虚血」です。心筋が死んでいると胸痛は生じません。
■狭心痛の機序
●冠動脈狭窄
⇒ある割合の心筋が虚血となる
⇒虚血心筋から乳酸、ヒスタミン、キニン、蛋白分解酵素が産生される
⇒冠動脈/静脈へ放出されるが、血流のフローが遅いため、濃度上昇
⇒生きている心筋にある、痛み神経終末へ作用
※虚血で壊死した心筋には作用しない、と考えられる
⇒中枢神経へ伝達
●つまり、
・狭心症⇒虚血部位の心筋自体の神経へ作用
・心筋梗塞⇒壊死した周りの、虚血心筋の神経へ作用
し、痛みを生じる。
●臨床像と当てはめると、
①再還流すると、よく痛みが完全消失する
⇒痛み伝達物質を流し、濃度が下がるため
②心筋梗塞で、30分以上の持続する胸痛がみられる
⇒虚血が進行していることを意味する。
つまり、「痛い=生きている心筋がある」ことを意味し、胸痛がマーカーとなる。
■肩痛、歯痛、顎痛
・胎生期、心臓や腕は、首の近くから発生する
⇒感覚神経の分布が共通している
⇒関連痛が生じる
※参照:関連痛のメカニズム
■悪心、嘔吐
・交感神経興奮
⇒左室過剰収縮、心拍数増加
⇒Bezold-Jarisch反射 参照:反射性失神の仕組み
⇒迷走神経刺激による嘔気、嘔吐
※痛み自体による迷走神経反射の関与もある
参照 Guyton, Braunwald