★紛らわしいですが、アンドロゲンは3種あり,その内の1つがテストステロンです。
●アンドロゲン=男性ホルモン の種類
①デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
・副腎皮質網状層で産生。
⇒血中では主にDHEA-S(塩酸塩)として存在。
・20歳ごろがピークで、加齢とともに直線的に低下していきます。
・「若返りホルモン」とよばれ、免疫活性化,循環改善に寄与します。
・ストレス、睡眠や食事も影響します。良い生活習慣により、DHEAの減少を防ぐ事ができます。
※特に、健康的な運動(1日30分程度の有酸素運動)がDHEA増加に効果がある可能性があります。
●DHEA欠乏によりsexual dysfunctionが生じ、問題となるケースがあります(特に女性)。この場合、DHEA補充療法の適応となりえます。ルーチンに補充療法を行う事はガイドライン上推奨されていませんが、一部の患者に効果が認められます。
②テストステロン
・95%が精巣で作られます。
…LH刺激⇒Leydig細胞が、DHEAをテストステロンに変化させます
・男らしくする作用があります。
…筋骨格系↑,生殖器↑,体毛↑
・年齢とともに減少していきます。
●アンドロゲン欠乏症に対するテストステロン補充は、ガイドラインで推奨されています。
※高齢男性はアンドロゲンが欠乏しています。テストステロン欠乏により疲労等の症状が出現しますが、この場合のテストステロン補充療法は推奨されていません(リスクがより高いと判断されるため)。
▶︎運動が良いです。補充に頼らずにやってきましょう。
③ジヒドロテストステロン
・毛乳頭や皮脂腺にて
⇒5αリダクターゼでテストステロンが還元⇒ジヒドロテストステロン産生
●「脱毛ホルモン」で、AGA(進行性男性型脱毛症)の原因です。
…髪に作用し、ヘアサイクルの成長期を休止期や退行期に変え、抜け毛を生じさせます。
●AGAの治療でガイドライン上推奨されているのは、5αリダクターゼ阻害薬(フィナステリド)の内服+血管拡張薬の1種(ミノキシジル)外用です。
…Grade 2Bです。これはそれほど推奨されていません。
⇒なぜなら、脱毛は医療介入しなくても問題ない事がほとんどだからです。
⇒ただし、社会的に治療を求める声が多いため、医療ガイドラインがあります。
・フィナステリドは抗アンドロゲン薬の一種ですが、これは紛らわしい分類です。なぜなら、テストステロン⇒ジヒドロテストステロンの変化を抑制する薬のため、テストステロンの減少を抑え得るからです。
・内服が嫌な人は、ミノキシジル外用のみで対応することもあります。
・ミノキシジルは、リアップなど、市販されています。
・あまり副作用は多くないですが、
⇒フィナステリドにより性障害が生じる可能性があります
⇒ミノキシジルにより皮膚炎が生じ得ます(稀です):稀でなければ市販されません
・重要なことは、これらの治療は中断してはいけない、ということです。中断すると、間違えなく脱毛が進行します。副作用はあまり心配しなくてよいと思います。なぜなら、副作用が強ければガイドライン上Grade C以下になるからです。
参照 UpToDate