感染 消化器・肝胆膵

感染性腸炎疑いの合併症無い成人:どう治療するか

★抗菌薬使用は,便培養の結果を待ってからが良い.

■治療
①水分補給
・腸がだめのに水分補給が可能なのは、小腸のGlu-Naトランスポーターはやられないため
⇒補充するのは水分だけではだめで、NaとGluが必要
・WHO推奨の経口補液 (WHO-ORS)
…1L水の中に、3.5g NaCl, 2.5g NaHCO3, 1.5g KCl, 20g Glucose
ポカリスエットがほぼ同じ成分!

②栄養指導
BRAT(バナナ,米,アップルソース,トースト)で,牛乳を避けると良いかもしれない
 ⇒牛乳避けるのは,一過性ラクトース不耐症が生じうるから
・ヨーグルトが良いか悪いか、結論はでていない
※クリアウォーターだけを摂取していると、便が緑色になる

③対症療法
制吐剤(ナウゼリン,プリンペラン)は必要ない
⇒嘔吐を減少させるエビデンスなく,副作用の錐体外路症状,下痢の悪化が有りうるため
ナウゼリン(ドンペリドン):ドパミンD2受容体遮断
 プリンペラン(メトクロプラミド):ドパミンD2+5-HT3受容体遮断
 ⇒プリンペランの方がBBB移行性高く,副作用に注意が必要
止痢薬(ロペラミドがエビデンス高い)は使えうる
⇒下痢の持続期間を1日程度短くするかも
⇒但し,シゲラ,C.difficile,HUSの場合,発熱の持続期間を長くする
 +血便,中等度脱水の場合避けるべき
※お茶に止痢作用あり;タンニンが効くらしい

④抗菌薬
炎症性下痢であり,キノロン耐性カンピロ・O-157でないと確認できた場合,フルオロキノロンを用いてもよい
便培養の結果を待つのが合理的

●菌特異的な治療
・カンピロ⇒早期投与により1-2日回復が早まるかも
 ※フルオロキノロン耐性がはびこっているため,エリスロマイシンなど用いる
・シゲラ⇒フルオロキノロン
・サルモネラ⇒健康人で症状強くなければ投与しない
 ※高リスクの場合:ST合剤,フルオロキノロン投与してもよい
・O-157⇒投与しない;毒素が遊離し,致死的となりうるため
・vibrio cholerae(コレラ菌)⇒ドキシサイクリン
・ジアルジア⇒メトロニダゾール

⑤整腸剤(特に乳酸菌)
・症状緩和に有効とする研究がいくつかある
⇒但しエビデンスレベルは低い
⇒あと、飲んでいて効いている感じがしない

参照 N Engl J Med. 2004 Apr 8;350(15):1576-7, UpToDate 

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