腎・泌尿器 血液、輸血

なぜクエン酸が代謝されてHCO3-となるか:大量輸血で代謝性アルカローシス

★弱酸だから.

◎これは直感的には理解しにくい話ですが、「代謝性アルカローシス=HCO3-の増加」であって「代謝性アルカローシス=pHの上昇」でない、という事を理解せねばなりません。それはアルカレミアです。
これは用語の定義なので仕方ありません。
その前提で、以下のような平衡が原因でそういうことになります。

●体内での平衡

CO2H2OH2CO3HCO3H+

・このうち,H2CO3がほぼないため,

CO2H2OHCO3H+ (※)

が成り立ちます.

・このうち,
 代謝性アシドーシス/アルカローシス⇒HCO3が低いか高いか
 呼吸性アシドーシス/アルカローシス⇒
CO2が高いか低いか

という定義です。

 

有機酸(クエン酸,酢酸など)の投与
代謝されて
CO2H2Oとなる

⇒(※)の左の項が増える

平衡が右に移動

HCO3増える(代謝性アルカローシス)

 

無機酸HClなど)
純粋に電離するだけ

H+が増える

⇒(※)の右の項が増える

平衡が左に移動

HCO3減る(代謝性アシドーシス)

※よって,大量輸血
⇒クエン酸により,AG開大性代謝性アシドーシス
⇒時間がたつとクエン酸代謝される
⇒代謝性アルカローシス
 

▶︎ただし、臨床的にこれを実感することはほとんどありません。それは、大量輸血が必要な状況はほとんど、循環不全による代謝性アシドーシスだからです。循環が改善して代謝性アシドーシスが改善する影響が大きく、クエン酸投与によるアシドーシス補正はほとんど誤差です。

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