★病態にこだわらず、臨床症状から病型分類をする。
■感冒
・かぜ症候群の最も頻度の多い疾患が、急性ウイルス性上気道炎
⇒臨床的には、急性上気道炎の病態にこだわるのは利便性がない
(抗菌薬使用の判断など)
⇒臨床病型分類をして、可能性の高い病気を頭におく
⇒当てはめることで、診察がやりやすくなる
■病型分類
①非特異的上気道炎型
・鼻炎+咽頭炎(咽頭痛)+下気道炎(咳)症状あり
⇒3つ揃えば、ウイルス性上気道炎と自信をもって診断可能
※2つでも、ほぼウイルス性上気道炎と言って良い
⇒抗菌薬必要なし、対症療法のみ
※但し、インフルエンザ流行時期はインフルエンザの可能性あり;症状で上気道炎と区別できない
②鼻炎型
・くしゃみ、鼻水、鼻閉感が主体
・この内、細菌性急性副鼻腔炎が0.2〜5%
…7日以上持続する症状、片側性の頬部痛/腫脹、膿性鼻汁、発熱を伴う
+典型的には、7〜10日後の再増悪として発症
⇒この場合のみ抗菌薬が必要
③咽頭炎型
・咽頭痛が主体
・一般的にはウイルス感染で、抗菌薬の必要なし
・A群β溶連菌性咽頭炎が10%
…Centor基準:発熱/ 扁桃の白苔/ 咳なし/ 前頸部リンパ節腫長、圧痛、の内3項目以上で、感度75%/ 特異度75%
⇒迅速診断キットで確定診断
⇒ペニシリン系を10日間投与
・クラミジア、淋菌、HIV感染の可能性もある(診断難しい、課題)
・症状が激しければ、扁桃周囲膿瘍も考える
・強い嚥下痛、嗄声がある場合、急性喉頭蓋炎を考える
④気管支炎型
・咳が主体
・肺炎の除外が重要;疑ったらレントゲンを
※参照
・5〜10%はマイコプラズマ、クラミジア、百日咳が原因
⇒治療可能だが、診断遅延しても容認される(じっくり診断してよい)
⑤高熱のみ型
・突然の高熱+局所症状なし
・インフルエンザも多いが、腎盂腎炎、前立腺炎、化膿性胆管炎、感染性心内膜炎、リケッチア症など、鑑別は多岐にわたる
⇒インフルエンザで無い場合、抗菌薬投与せず、血液培養採取し、じっくり診断へ
※但し、多くはインフルエンザの初期や、特定不能のウイルス感染であることを知っておく
⑥微熱倦怠感型
・大部分は非特異的なウイルス感染症
⇒急性の場合、急性肝炎と細菌性心内膜炎を除外する必要あり
※伝染性単核球症様症候群が頻度高い
・慢性の場合、不明熱の鑑別と同じ
⑦特徴的所見のある型
●髄膜炎型:neck stiffnessや激しい頭痛がある場合、髄膜炎を考える
●発疹型:ほとんどはウイルス感染で自然に改善する
⇒リケッチア、薬疹は常に念頭におく。小児では猩紅熱、川崎病、エルシニア感染症を
●関節痛型:多関節痛の場合、ウイルスが多い(特にパルボウイルス)
⇒偽痛風、他膠原病も念頭におく
●胃腸炎型:ウイルス性胃腸炎とする
※参照:感染性腸炎疑いの合併症無い成人;何を考えるか、感染性腸炎疑いの合併症無い成人:どう治療するか
参照 かぜ症候群の診療