★NaかKの喪失による。
■血清ナトリウム濃度はどう決まるか
・まず,血漿浸透圧≒2×[Na] である
※2倍してあるのは、Na+と同じmol数だけ陰イオンがあり、陽・陰イオンの総数で浸透圧が決まるため
・また,血漿浸透圧=体内の全溶質÷体内総水分量 である
・体内の全溶質=細胞外溶質(細胞外Na塩)+細胞内溶質(細胞内K塩)
=2×細胞外Na+(Nae)+2×細胞内K+(Ke)
※e=exchangable
・よって,[Na]=(Nae+Ke)÷体内総水分量
⇒喪失するNae+Keが血漿に比べて小さいと,高Na血症となる(★)
=NaでもKでも喪失すると、血中Na濃度は下がる!
…通常は150mEq/L程度
■機序
1.水分補充ができない+以下の水分喪失
①皮膚から
…不感蒸泄,発汗の増加
・普通,口渇感→水分補給で是正される
⇒高齢者,sedation使用時などはこの機序がなくなる
⇒高Na
②尿から
…尿崩症,浸透圧利尿(高血糖による)
・高血糖
⇒近位尿細管で糖を再吸収しきれない
⇒尿管腔の糖が,水を大量に引っ張る(浸透圧利尿)
⇒尿のNae+Keが低下する
⇒(★)
※ただし,高血糖により細胞内から外へ,浸透圧による水の移動がある
⇒高Naとなっていないことがある
⇒インスリンで血糖を是正すると,高Na血症が顕在化する
③消化器から
…下痢
・Nae+Ke
…感染性下痢症では40~100mEq/L程度(尿素,有機酸が残りの溶質を占める)
⇒(★)
2.口渇中枢の障害
・視床下部病変(非常にまれ)
3.高濃度ナトリウム負荷
4.尿崩症
・ADHに反応できない
⇒尿浸透圧<300mOsm/kgの時に疑う
…>500の場合,ADHが比較的作用し,尿濃縮が起きていると考える
(健常者では1000~1200程度まで上昇する)
参照 体液異常と腎臓の病態生理
更新 2014/4/4