★アミオダロンの半減期は100日なので,副作用も遷延する.
■甲状腺機能異常
●亢進も低下も起こる.
①アミオダロンはヨウ素を含む
⇒アミオダロン200mg/dayにつき,6mgのヨウ素が吸収される
…成人1日の摂取量は0.3mg
⇒正常ならヨウ素を多量に摂取しても,甲状腺ホルモンの合成は亢進しない
(Wolff-Chaikoff effect)
⇒結節性甲状腺腫,自己免疫性甲状腺疾患などもつ人は,Wolff-Chaikoff effectがうまく働かない
⇒甲状腺機能亢進
②アミオダロンは甲状腺ホルモンを阻害する
・「T4→T3」の5'-脱ヨードを阻害する
⇒T3産生↓,revearse T3産生↑
・T3受容体の核受容体への結合を阻害する
⇒甲状腺機能低下
③甲状腺濾胞細胞を直性攻撃する
⇒壊性甲状腺炎を起こす
⇒甲状腺機能亢進(→低下)
■肺毒性
●間質性肺炎,ARDS,肺胞出血など多彩.
①肺を直接傷害する
・肺に親和性が高い
・アミオダロン-リン脂質複合体が細胞内に蓄積
⇒代謝経路を阻害
⇒アポトーシス,ネクローシス
・活性酸素を生成
・慢性炎症を惹起
②アレルギー
・リンパ球浸潤(CD8優位)
・免疫染色で,肺にIgG陽性となる
■心毒性
①洞除脈.房室ブロック
・その部位のCaチャネル阻害による
②QT延長
・Kチャネル阻害による
⇒しかしTorsade de pointesは起こらない
…早期後脱分極によるtriggared activityが起きづらいため
■肝毒性
●機序
・リン脂質とアミオダロンが複合体形成
⇒リン脂質の分解できない
・代謝の過程で毒物を産生しやすい体質がある
⇒特に肝細胞
⇒肝障害
※組織的にはアルコール性肝硬変と似る
●症状
一過性AST,ALT上昇は25-50%に認める
肝内胆管胆汁うっ滞も認める⇒Bil上昇
参照 UpToDate