★右室への還流量を減らす体位。
◎基本的に左心不全で生じて右心不全で生じますが、理由は静脈還流量にあります。
また、まれに肺疾患で生じることもあります。
それらの病態生理をわかりやすく解説しました。
■起坐呼吸のメカニズム
★起座呼吸のほとんどの原因は左心不全です。
まれに肺疾患で生じることがありますが、その鑑別が問題になることはほぼありません。
●心不全 → 起坐呼吸
・立位と座位では:左心は肺静脈系の中央、右心は体静脈系より高い位置にある
・臥位では:左心右心とも、それぞれに対応する静脈系の中央に位置する
よって、立位/座位では右室充満圧が、左心に比べ低いのです!
=立位/座位では右室拍出量が低下します
・機能低下した左心系による肺うっ血による呼吸困難は、右室から肺への流入量が減ることで改善します
→よって、左心不全の場合、立位/座位で楽になります
→立位は体力的にきついので、座位となります。
上記理由から、純粋な右心不全では起坐呼吸がありません。
また、左心不全に右心不全が合併すると、同じ機序で呼吸不全がやや改善します(病態としては悪化しているにもかかわらず)。
●肺疾患 → 起坐呼吸
・両側肺上部に病変がある場合(特にCOPD)
⇒座位により、健常な肺下部に血流が増加
⇒これにより酸素化が改善、呼吸困難感も改善
ということで、座位で楽になります。
※なおこの場合、一般的に患者は前かがみになります。
なぜなら:
前屈みで腹部を圧迫
⇒腹腔内圧増加、平坦になった横隔膜をよりドーム状に押す
⇒呼吸のピストン運動をより効果的にする
⇒呼吸が楽になる
参照 サパイラ(最近は発展しないですが、一度読んでおくべき身体診察の教科書)