★脚ブロックの病態は伝導遅延なので、3脚とも伝導障害が起きるとPQ延長するため。
■脚ブロック
・右脚、左脚前枝、左脚後枝のどれかの伝導が落ちる、という病態
…伝導遅延 or 伝導しない
⇒他の脚により、心房と心室は正常に伝導する
⇒房室間の伝導時間を示すPQ間隔は延長しない
●2脚ブロック(2枝ブロック、2束ブロック)
…2脚の伝導が落ちている状態
⇒心電図で診断できる
①右脚+左脚前枝;RBBBパターン+軸が-45度以下
②右脚+左脚後枝;RBBBパターン+軸が120度以上
③左脚前枝+左脚後枝;LBBBパターン
…残りの脚は正常伝導するため、PQ延長はない
●3枝ブロック(3束ブロック)
…右脚、左脚前枝、左脚後枝の全ての伝導が落ちている
⇒心房から心室へ伝わる時間が長くかかる
⇒PQ間隔が延長する
※3脚とも完全に伝導しない場合、完全房室ブロック(3度房室ブロック、房室解離)となる
■1度房室ブロック
・心電図上でPQ間隔が延長している状態をいう
・原因として心房、房室結節、His束のどこに伝導障害が起きていても良い
⇒ほとんどは房室結節の伝導遅延
※2度房室ブロック、3度房室ブロックの原因も、房室結節の伝導障害であることが多い
■混乱する用語
・3枝ブロックは「3脚とも伝導遅延している」という病態を表すが、1度房室ブロックとは「PQ延長」という心電図上の診断
⇒3枝ブロックは心電図上、「2脚ブロックのどれかのパターン+PQ延長」か「完全房室ブロック」となる
⇒よって、2脚ブロック+1度房室ブロックをみたら3脚ブロックといえる
・左脚前枝+後枝ブロック=左脚ブロックなのに、これが2脚ブロックのカテゴリーに入るのはおかしい
●1つの脚ブロックは、心電図でほぼ確実に診断できるが、2つ以上になるとやや複雑になることが問題
⇒AHAは2脚 or 3枝ブロックの用語を避けるよう勧告している
参照 UpToDate、Braunwald's heart disease