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心房頻拍(AT)って何? frequent PACとAfってどう違う?;narrow QRS tachycardia解説

★心房リズム整で100bpm以上の、洞結節以外に起源をもつ頻拍。

◎「これはATかな?いや、sinusか?PSVTではないと思うけど、否定しきれないか?AFLの可能性もあるか」みたいな発言をよくしますが、ATって何でしょう。また、他の不整脈とは何が違うでしょう。

■narrow QRS tachycardiaの種類
・洞頻脈(sinus tachycardia, サイタキ)
・心房期外収縮の頻発(frequent PAC)
・心房粗動(AFL, フラッター)
・心房細動(Af)
・心房頻拍(AT)
・発作性上室性頻拍(PSVT)
 ⇒これにAVRT (WPW症候群などの副伝導路)とAVNRTが含まれる
・その他、稀なもの
※もう少し細かい鑑別;参照 http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/41683272.html

●臨床的には「洞頻脈/ frequent PAC」か「AFL/ Af/ AT」かの鑑別が重要。なぜなら、前者はほっておいても良いが、後者は心内血栓のリスクとなり抗凝固が必要となるからです。
⇒参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/45095518.html

※本当に初学者の方へ。
 漫画で学びましょう。著者は著明な循環器内科医師です。

ストーリーでよくわかる!頻脈性不整脈 [ 一色高明 ]

■洞頻脈/ frequent PAC
●そもそも、脈は洞結節からの電気信号がはじまりです。
  ◇ 洞結節⇒心房を興奮(p波)⇒房室結節⇒His束⇒心室を興奮(QRS波)
・洞頻脈は、激しい運動したとき等におきます。洞結節が興奮して、頻回に信号を出すのです。
・心房期外収縮(PAC, APC)とは、「洞結節以外の心房のどこか」を起源とする脈です。
⇒この脈は◇の洞結節以外を通るので、p波とQRS波があります
⇒細かくは、心房の興奮の仕方がsinusとは異なるので、p波の形が異なります
 (分からないことも多いです)

●但し、frequent PACとなると、HRは150bpmとか、かなり上昇することもあります。この時はPACが連続して出て、p波がはっきり分からないことも多々あります。
⇒これが、Afと鑑別に迷うときがあります。
 そしてこの鑑別は重要です(なぜなら、Afは抗凝固が必要だから)
⇒鑑別点は、sinusの時に、よくみてp波を確認する事です。

※sinus tachycardia/ frequent PACは心房がきちんと興奮するので、心房内に血液が鬱滞しません。
⇒だから、左心耳に血栓ができません
 =抗凝固の適応ではありません

■AFL/ AT
●ATは広い概念です。
・定義;心房リズム整で100bpm以上の、洞結節以外に起源をもつ頻拍
※房室伝導(心房▶︎心室)が遅延することで、心室の収縮(=脈)は不整ともなり得ます
 …心房収縮が早すぎると、房室結節は1:1に伝導できなくなるからです
AFLはこの定義のATに含まれます
 (Afはリズム不整、PSVTは洞結節起源のため含まれません)
但し、普通ATという時は、AFL以外で上の定義を満たす頻脈を言います。

ATの機序は3種類あります。
 …自動能亢進、リエントリー、撃発活動(参照:http://blog.livedoor.jp/megikaya/archives/31756527.html
⇒しかしはっきりと区別できることは少なく、EPSで高頻度にオーバーラップします
⇒この機序の分け方は、実用的ではありません
・臨床的には、管理法とアブレーションの戦略が重要です
マクロリエントリー性AT局所性ATの2種類に分けられます
 …マクロリエントリーとは、心房内の大きな回路をグルグル電気が回って起る事
  局所性とは、心房内に、洞結節以外に自動能をもつ箇所を原因とするもの
マクロリエントリー性ATで最も高頻度なのがAFLなのです。

▶︎マクロリエントリー性AT
・最も高頻度なものがcommon AFL;「Ⅱ,Ⅲ,aVFで陰性、V1で陽性の鋸歯状波」(重要)
 ⇒三尖弁輪にリエントリー回路が形成されたもの
 ⇒ablationは比較的容易
・他の原因は、①手術後の痕跡、②心房アブレーション後、③僧帽弁輪、④心房の特発性繊維化、⑤他の解剖学的・機能的な障害物 などがあります
⇒ablationの際はmappingして回路を同定する必要があり、common AFLより大変です


▶︎局所性AT

・洞結節以外の心房の局所に起源をもつものです。
…起源は色々あります;①三尖弁輪、②分界稜(右心耳付近の上大静脈と心房筋との境目:洞結節が近くにある)、③冠静脈洞入口部、④結節周囲組織、⑤右心耳
・PACと異なる点は、心房レートが早い事です(200bpm程度)
 ⇒だから抗凝固が必要となります
※何らかの心臓病をもつ人に多い。また、ジギタリス中毒も原因となる。

※多源性AT(multifocal AT: MAT)
・心房レートが100-130程度の、3パターン以上のp波を認めるAT
 …局所性ATの一型
・COPDや慢性心不全のある高齢者にみられ、Afへ移行する
・原因としてテオフィリンが考えられている

●atrial tachycardia with block
・レートが早くなる
AV伝導が障害される
2度房室ブロックが生じる
atrial tachycardia with blockと心房粗動は、ECGで区別が難しいことがある
(心房粗動も心房レート早く、QRS irregularとなりうる)

参照 UpToDate, Brawnwald

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