★重要なのはD-shapeとなるタイミングとTAPSEやMPI, 拡張能計測は左室と同様。
◎右室機能は最近注目されている指標です。右室解剖・機能評価法について、簡単にまとめます。
ref:心エコーで何を測っているか,分かりません.
ref:心エコー:収縮能の評価
ref:心エコー:拡張能の評価
ref:心エコー:逆流の評価
ref:心エコー:狭窄の評価
■チャンバーのサイズ、動き
●右心房;様々な心筋症で予後のindicatorである
・RA area:≤18cm2
・長軸のRA径(/体表面積):男性 ≤3cm/m2, 女性 ≤3.1cm/m2
・RA volume(/体表面積):≤39ml/m2
●右心室;volume overloadを意味する。予後予測はRA程優れていない
・RV end-diastolic area:男性 ≤24cm2, 女性 <20cm2
・長軸のRV径:basal ≤4.1cm, mid ≤3.5cm
・長軸のRVOT径:≤3.3cm
・RV end-diastolic volue(/体表面積):男性 ≤87ml/m2, 女性 ≤74ml/m2
●D-shape
・収縮期の右室D-shape:RV pressure overloadを示唆する
・拡張期(特にend-diastolic)の右室D-shape:RV volume overloadを示唆する
⇒left ventricular eccentricity indexを用いて鑑別できる
…短軸で中隔を2分する場所での心筋厚の、end-diastolicとend-systolicの比
■右室機能の指標
◎右室の動きは、①長軸方向の収縮(右室基部の自由壁がapex方向へ移動する動き)▶︎②放射状収縮(右室壁が肥厚する動き)からなります。左室と異なり、円周状に収縮する動きはほとんどありません(その向きの繊維がないため)。
●RVEF
・右室収縮能の指標。3Dにて測定する。
…計算はLVEFと同様;(end-diastolic volume - end-systolic volume)/ end-diastolic volume * 100
⇒正常値は ≥45%
●TAPSE (tricuspid annular plane systolic excursion) = TAM (tricuspid annular motion)
・長軸方向の収縮機能の指標です
…四腔像で、基部の自由壁にM modeのカーソルを合わせ、最大距離を計測します
⇒正常値は ≥1.7cmです
・色々な有用性が報告されています
⇒MRIのRVEFとの相関、下壁のAMIで右室梗塞の早期発見、予後との関連
●S' (tricuspid annular velocity)
・収縮期の三尖弁輪の動く速度です
…TAPSEの位置で、tissue dopplerを用いて収縮期のpeak velocityを測定します。
⇒正常値は ≥9.5cm/sです
●FAC (fractional area change)
・RV areaから求める右室収縮能
…RAC = (end-diastolic RV area - end-systolic RV area)/ end-diastolic RV area * 100
⇒正常値は ≥35%です
●MPI (myocardial performance index)
=RIMP (right ventricular index of myocardial performance)
=right ventricular Tei index
・非常に感度の高い指標であり、かなり早期にRV dysfunctionを同定しうる。
・時間を元に算出される点が、他の指標と異なる。
⇒描出不良の場合、RVの形が正常でない場合も、用いる事ができる。
…MPI = (isovolumetric relaxation time + isovolumetric contraction time) / ejection time
= (tricuspid closure-to-opening time – ejection time) / ejection time
・2通りの測定方法がある。
⇒pulse doppler法:正常値 ≤0.43
tissue doppler法:正常値 ≤0.54
●右室拡張能の指標
・左室拡張能と同様の指標が用いられる(右室流入波形から計測する)
⇒E/A:正常値 <0.8, >2.1
E/E':正常値 >6
deceleration time:正常値 <120msec
参照 JASE April 2017Volume 30, Issue 4, Pages 372–392