★エコー所見で4型に分類される.
■僧房弁の解剖
・乳頭筋-腱索は前・後交連の下あたりにある
・弁輪という解剖学的構造は無い
⇒心房・弁尖・心室で囲われた部分であり,弁尖の位置が固定される所
■僧房弁逆流(MR)の原因疾患
①リウマチ性弁膜症
・弁尖,腱索の肥厚
②感染性心内膜炎
・疣贅部分(肥厚)or 弁尖に穴あく/ 腱索ちぎれる
③Marfan症候群
・腱索の菲薄化/ ちぎれる(弁尖は軽度肥厚する)
④コラーゲン欠乏症
・弁尖/ 腱索の菲薄化,ちぎれる
⑤弁輪の石灰化
⑥虚血
・乳頭筋付着部の心筋が菲薄化
⇒下方へ偏移,のばされる
⇒のばされすぎると乳頭筋断裂(特にP2,P3)
⑦心筋症
・心室の拡大(⑥とほぼ同様)
■画像での分類
●上記分類は複雑なので,エコーにより以下のように分類される
・Ⅰ型:通常の弁尖の動き
⇒虚血、DCM、IE、先天性
・Ⅱ型:弁尖逸脱=prolapse(弁尖の可動性↑)
⇒逸脱 (原発性=変性と考える)、IE、リウマチ性、外傷、虚血、Ehlers-Danlos症候群
・Ⅲa型:弁尖の開く動きが制限される(拡張期)
…MSを伴う
⇒リウマチ性、カルチノイド、放射線、SLE、エルゴタミン使用、好酸球増加症
・Ⅲb型:弁尖の閉じる動きが制限される(収縮期)
⇒虚血、DCM
※MVP;これに応じて作戦を立て,術中弁を実際に見て,問題のある個所を修復する
■僧帽弁逸脱の分類
①僧帽弁逸脱症候群
・20-50歳の女性に多い
・エコー:弁葉が薄く、収縮期に逸脱する
・低血圧、起立性低血圧、動悸を伴う
・良好に経過し、手術が必要ないことが多い
②粘液種様僧帽弁疾患
・40-70歳の男性に多い
・エコー:弁葉が厚ぼったい
・進行性で、手術が必要となる事が多い
③二次性僧帽弁逸脱症
・Marfan症候群、肥大型心筋症、Ehlers-Danlos症候群、その他結合織疾患
参照 Carpentier's reconstructive valve surgery, Braunwald