薬剤

Ⅰ群抗不整脈薬の違い、機序

★Naチャネルとの結合速度が違う。

■分類

●Ⅰ群をNaチャネル遮断薬と分類
活動電位持続時間(APD)を延長させるものをⅠa、短縮させるものをⅠbとした
⇒その後でてきた、APDに影響を与えないものをⅠcとした
(大雑把だが、臨床的に使いやすい分類)

Naチャネルとの結合、分離の速さで分けられる
 速い:Ⅰb > Ⅰa > Ⅰc:遅い


■Naチャネル遮断の意義(1群共通の機序)

①薬はプラスに帯電している
⇒Naチャネルのアミノ酸残基と相互作用する
⇒Naチャネル遮断
心筋活動電位0相の脱分極の立ち上がりを抑制
伝導速度を低下
⇒異常な伝導、異常興奮している細胞を抑制
⇒不整脈を止める

※use-dependance
・速い心拍数
薬が分離する時間が少ない
⇒ブロックされるチャネルが増える
刺激伝導速度↓
Ⅰc > Ⅰa > Ⅰb の順にみられる

洞房結節細胞の閾値電位を上昇させる
 +自動能を抑制


■Ⅰc群

・Naチャネルとの分離がかなり遅い
⇒活動電位の立ち上がり速度(0相脱分極)を顕著に抑制(=伝導速度↓)
活動電位の持続時間にはほとんど影響しない

①ピルジカイニド(サンリズム
・使いやすく、心房細動によく使われる
・半減期4時間と短い
②フレカイニド(タンボコール
・CAST study(抗不整脈薬で生存率低下)で使われた
・陰性変力作用が強い
器質的心疾患あると使えない。ないAfとPSVTに
③プロパフェノン(プロノン)
・β遮断作用あり


■Ⅰa群

Kチャネル遮断の性質ももつ。一部抗コリン作用も。
・活動電位の立ち上がり速度を抑制
+活動電位の持続時間を延長(=QRS wide):Kチャネル遮断による
 ⇒心室不応期を延長

①プロカインアミド(アミサリン
静注でつかいやすい:上室性だけでなく、VTにも効果あり
②ジソピラミド(リスモダン
抗コリン作用が強い。陰性変力作用もある
③シベンゾリン(シベノール
・リスモダンに似ている


■Ⅰb群

・再分極の時間を短くする;脱分極した組織において、特に効果を発揮するため
活動電位の持続時間を減少
・基本的に心室不整脈に適応

①リドカイン(キシロカイン
・半減期1〜2時間と短い
・安全域が広い
②メキシレチン(メキシチール)
・リドカインと似ている
③アプリンジン(アスペノン)
・心房不整脈にも有効
 

参照 UpToDate、循環器治療薬ファイル、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/32/3/32_428/_pdf 

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