★抗てんかん薬のバルプロ酸投与により、高アンモニア血症・けいれん生じうる。
■バルプロ酸⇒てんかん抑制
①GABAトランスアミナーゼ阻害
⇒GABA代謝を阻害
⇒シナプス前GABA濃度↑
②グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性化
⇒GABA合成↑
●以上よりGABA作用↑
⇒電位依存性Naチャネルを抑制
⇒神経の連続的な興奮を抑える
■バルプロ酸⇒高アンモニア血症⇒てんかん
…バルプロ酸関連高アンモニア性脳症(VHE)という
●VPA濃度はアンモニア濃度と比例、カルニチン濃度と反比例する
①バルプロ酸(VPA)
⇒代謝されてプロピオン酸
⇒ミトコンドリアにおいてカルバモイルリン酸シンセターゼⅠを阻害
…尿素回路においてアンモニア代謝に必要
(CO2+NH3+2ATP→カルバモイルリン酸、という最初の反応)
⇒十分に阻害されるとアンモニア蓄積
②VPAとカルニチンが相互作用
⇒カルニチン濃度↓
⇒ミトコンドリアでの脂肪酸β酸化における、カルニチンシャトルを阻害
=アシルCoAの、ミトコンドリア細胞質(外)からマトリクス(中)への輸送
⇒アシルCoAをエネルギー(アセチルCoA)に変換できず、アシルCoAが蓄積
⇒N−アセチルグルタミン酸産生↓
…「グルタミン酸+アセチルCoA→N−アセチルグルタミン酸+CoA」で、アセチルCoA↓のため
⇒N−アセチルグルタミン酸はカルバモイルリン酸シンセターゼⅠの必須の活性化因子
⇒カルバモイルリン酸シンセターゼⅠ活性↓
⇒アンモニア蓄積
■てんかん発作⇒高アンモニア血症
・急激な筋収縮
⇒プリンヌクレオチド回路にて
「アデノシン一リン酸→脱アミノ化→イノシン一リン酸」
⇒アンモニア発生
(参照:Internal medicine. 47: 21-23,2008 詳細な経路は不明)
…この場合、3時間程度でアンモニアは正常値に戻る
※よって、痙攣のないてんかん発作では高アンモニアとならない