神経・感覚・精神・脳外科

血管迷走神経性失神にはβ遮断薬を使う?

★使わない方が良い。

■機序
感覚刺激+立位や脱水などで起こる
参照:反射性失神の仕組み

■診断
まず他の疾患を除外する。その後↓
head up tilt試験
・Type1(混合型):Type2と3に当てはまらないが、血圧低下+心拍数低下により症状が誘発される
・Type2(心臓抑制型):HR<40が10秒以上、又は3秒以上の心停止
 ⇒2A:血圧低下が心拍数低下に先行、2B:同時に低下
・Type3(血管抑制型):血圧低下による失神で、心拍数低下は10%以下

■治療
失神を繰り返す時のみ適応
●生活指導
・排尿や脱水に注意し、長時間の立位を避ける
足組み、手をぐっと握る、腕をのばす (physical counterpressure)
⇒静脈還流量を増やすことで失神を予防する
 …十分なエビデンスのある治療はこれだけ
●Tiltトレーニング
・踵を上げて立位を10-50分保つトレーニングを、毎日行う
 ⇒効果がない、とするエビデンスも多い
●β遮断薬
・Bezold-Jarisch反射の求心性繊維、心臓の機械/化学受容体から出るC fiberを阻害すると考えられている
・よく使われるが、エビデンスない+若年者には有害かもしれない
プラセボ効果が強く、複数の大規模試験で効果なしとされた
基本的に使用を推奨されない
●ペースメーカー
・薬剤抵抗性で心停止を伴うType1か2で考慮される(心臓抑制された証明がないと適応外)
 …小規模研究にて、A-systole>3secで失神ある例、A-systole>6secで失神ない例のみ有効
※UpToDateでは、40歳以上の心臓抑制型で、年5回以上失神がある場合にのみ推奨される

参照 UpToDate, EPS

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