循環器

局所の血流制御のしくみ

★血管拡張性物質が局所的に制御される。

Chemicalな話、生理学です。直接的な証明は困難なので、いくつか説があります。

局所の血流制御のしくみ

局所の血流制御のしくみ

そもそも、臓器によって血流量が異なります。

・ml/min/100g(組織の重量)によると、
 通常状態:腎臓(360)>副腎(300)>>脳(50)>>筋肉(4)

筋が活動すると、20倍(80 ml/min/100g)まで血流増加

⇒これだけの変動は、当然局所的にしか起こりません。

これだけの血流制御がどのように起きるか、いくつかの側面があります。

アデノシン説

血管拡張性物質の影響をメインと考える説。

・組織への血流↓ or 組織の代謝↑

⇒組織の酸素欠乏

⇒細胞外へ、アデノシンと乳酸(H+含む)が放出

⇒これらは血管拡張作用をもつ

⇒組織への血流↑

特にアデノシンが重要と考えられています


なぜなら…

心臓で酸素が足りなくなる
 ⇒ATPが減る
 ⇒アデノシンが放出される
 ⇒冠動脈が拡張する

 ことが示されているからです。

※但し、実際は多くの血管拡張性物質が関与している可能性が高いです。

酸素欠乏説

酸素は血管収縮を促す

酸素が足りない状況では血管収縮生じない

⇒局所で血管拡張起きる

というもの。

ここで重要な筋肉があります。

前毛細血管括約筋
 =組織に入る血管周囲にある括約筋

これは、収縮と弛緩を繰り返しています(血管運動という)

⇒括約筋の収縮力は、酸素濃度に比例する

組織の酸素濃度が十分に高い場合、酸素が消費されるまで括約筋は収縮している

⇒酸素が消費されると、血管運動再開される

ということで、酸素欠乏説の裏付けとなります。

他の栄養素欠乏も、血管拡張のトリガーとなり得ます

・グルコース、アミノ酸、脂質

・ビタミンB(チアミン、ナイアシン、リボフラビン)
 …ATP産生に必要
 ⇒酸素を介したリン酸化に必要
 ⇒平滑筋収縮↓
 ⇒血管拡張
  …脚気での血管拡張の病態。実際に心拍出量が2~3倍になる

*脚気のメカニズムはこちら
 

組織特異的な制御

以上が組織共通の機序ですが、組織特異的な機序も存在します。

・傍子宮体装置にある緻密斑

⇒遠位尿細管の血液量を感知

⇒多すぎる場合、輸入細動脈を収縮

⇒腎血流、糸球体濾過量を低下させる

・脳の活動性は、CO2H+濃度にかなり依存する

H+濃度増加により脳の活動性が低下する
(CO2+H2O→HCO3-+H+ より、CO2からH+が産生される)

⇒これらが増加した場合、血管拡張し早急にwash outされる

皮膚

・皮膚温により、交感神経を介して制御される

参照 GUYTON生理学 

-循環器