★心不全とは、左室拡張末期圧上昇により症状が出現した状態。
◎「これは心不全っぽいね」とよく聞きますが、どういう基準で診断するのか気になりました。本態はLVEDPの上昇ですが、実臨床では厳密に測らず診断しており、それで問題有りません。
どうやって心不全を診断するか
一番有名な心不全診断基準を押さえましょう。
■Framingham心不全診断基準
大症状 |
問診 |
夜間発作性呼吸困難 or 起坐呼吸 | |
理学所見 |
頚静脈怒張 |
心拡大 |
急性肺水腫 |
Ⅲ音 |
静脈圧↑(>15cmH2O) |
肝頚静脈逆流 | |
小症状 |
問診 |
夜間咳嗽 |
労作性呼吸困難 |
理学所見 |
下腿浮腫 |
肝腫大 |
胸水貯留 |
肺活量↓(<1/3) |
頻脈(>120bpm) | ||
大or小症状 |
理学所見 |
5日間で4.5kg以上の体重減少 |
⇒大症状×2か、大症状×1+小症状×2で診断
※左心不全症状、右心不全症状が両方含まれていることに注意です
*Medcalcで計算できます。
心不全を診断する状況
①初発症状
・起坐呼吸、夜間発作性呼吸困難、浮腫がほとんど
②誘発因子
・虚血、塩分・水分制限、感染、NSAIDs、貧血、内分泌異常、陰性変力作用薬の投与、不整脈、不十分な血圧管理
※この診断基準は、特に臨床研究で重要です。
実際の診断
◎上記認められる状況下において、左室拡張末期圧(LVEDP)の上昇を示します。
⇒直接的にはカテーテルによる圧測定が必要だが、そんなことはせず他の検査でで示す
①心電図
・心不全の基礎疾患、誘因の情報を探る
②胸部レントゲン
・心拡大:圧↑による心室拡大を示す
・Butterfly shadow:肺静脈圧↑
⇒間質+肺胞内への水分漏出
・胸水:右心不全の兆候
・antler pattern:肺静脈圧↑
⇒肺毛細血管周囲の水腫+肺血管抵抗↑
⇒これに肺血管攣縮が加わる
⇒肺静脈陰影の再分布(鹿の角のように、心臓の上方に血管陰影がみえる)
・Kerley's B line:肺静脈圧↑による小葉間隔壁肥厚
③採血
・BNP、NT-proBNP:心室への圧or容量負荷
⇒心筋細胞中にproBNPが生成
⇒BNP,NT-proBNPとなり血中へ分泌
④心エコー
・LVEF:左室収縮能の評価
・E/A:左室充満圧上昇の評価
・E/E':左室拡張能の評価
・他、左房・左室径、弁機能など
参照 心不全をマスターする