★ST上昇していない急性冠症候群のうち、トロポニン上昇の有無で分けられる。
◎高感度トロポニンが導入され、実はあまりこの違いは重要でなくなりました。実際はっきりわけずに使われています。
ただ、その背景を理解しておく事は必須です。
■NSTEMIと不安定狭心症の定義の違い
●不安定狭心症 (UA)
・ACSの所見だが、心筋壊死は来していない状態
=心筋逸脱酵素が上昇していない
・心電図所見は関係ない(なくても構わない)
●NSTEMI(非ST上昇型急性心筋梗塞)
・ACSで心筋壊死しているが、STEMI (=心電図でST上昇)でない状態
※違いは心筋逸脱酵素上昇の有無ということ!
・トロポニンはMI後6〜12時間経ってから上昇します
⇒初診時、カテ時に区別できないことも多い
・診断がトロポニンの感度に依存している
…高感度トロポニンで検査すればNSTEMIの診断が増え、不安定狭心症が減るということ
→よって、現在はほとんどがNSTEMIなのです。
→今では、UAPとNSTEMIを合わせて「NSTE-ACS」と分類されることが多いです(STEMIと対応させて)
■不安定狭心症の症状(Brownwald)
①初発(少なくとも2ヶ月で初めて)の労作時胸痛
…特に軽労作 or 痛み増悪傾向の場合、PCIなしだと予後が悪い
②安静時胸痛
…特に痛み持続 or ST変化ある場合、予後が悪い
③心筋梗塞後24時間以内の胸痛
これは随分前に提唱された分類ですが、今でもACS (不安定狭心症、non-STEMI、STEMI)を判別するために重要な基準です。
※こういった場合、ACSの可能性あり
⇒緊急カテを検討する、ということ
…但し、TIMIリスクスコア 3点以上の患者のみ、緊急PCIで利益あるとの研究あり
※胸痛は(当然)狭心痛であることが原則です
■不安定狭心症の分類(Brownwaldの分類)
①重症度分類
・Class Ⅰ:初発 or 重症 or 増悪傾向
・Class Ⅱ:安静時+亜急性 (48時間以内に狭心痛なし)
・Class Ⅲ:安静時+急性 (48時間以内の狭心痛)
②臨床状況
・Class A:二次性UA(発熱、貧血などある時)
・Class B:一次性UA
・Class C:MI後狭心症
⇒これで、Class Ⅲ/Cが重症
…予後、CAG上複雑な病変であることと相関する
※但しNSTEMI診断の12-14%がCAG上病変なし
これは有名な分類です。
ただ、心筋逸脱酵素を考慮していないため、NSTEMIの分類ともなり得ます
⇒つまり今では正確でない、昔の分類ということです
(心筋逸脱酵素が予後規定に重要な要素であることは分かっている)
参照 UpToDate